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2024年11月23日
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【チワワとちくわを間違えたツンデレ】

2010年04月26日
 暇つぶしに先輩の教室に行くと、先輩は何かのチラシを夢中で見ていた。
「こんちゃ、先輩。何見てんの?」
 俺がやってきたことを知ると、先輩は目を輝かせて俺にチラシを見せ付けた。
「ん? ……なんだこりゃ」
 先輩が見せてくれたのは、スーパーのチラシだった。そして先輩が指したものは、ちくわ30円の文字だった。
「…………」
「チワワが30円? 安いから学校の帰りに買う? ……先輩」
 先輩はちくわとチワワを間違えていた。しかし、その事実をつきつけるには、あまりに先輩の目が輝きすぎていた。
「…………」
「楽しみ? 名前はミシンにする? ……その微妙なネーミングセンスはともかく、ええと、だな」
 先輩は俺が言いよどむのを見て、不思議そうに小首を傾げた。
「スーパーにチワワが売ってるのって変だと思わないか?」
 俺は出来るだけ遠回りに間違えていることを伝えた。
「…………」
「便利な時代になったね、……ですか。いやはや、その、馬鹿」
 先輩はほっぺをふくらまして、俺の頬を引っ張った。
「いててて! いや、そのな、も一回チラシをよ~く見てみ」
 先輩は不満そうにチラシを見た。そして、傍で見てて気の毒になるくらいショックを受けていた。
「……ま、そういうことだ。先輩が勘違いするのも仕方ないけど、分かってくれたよな」
「…………」
「……このチラシ一週間前のだった? いやいやいや、そうじゃなくて!」
 可愛らしく小首を傾げているが、悶えている暇はない。俺はずびしと真実を教えることにした。
「先輩が欲しいのは、チワワ。スーパーに売ってるのは、ちくわ。おーけー?」
 先輩は数度チラシを見た。そして最後に俺を見て、ゆっくり顔を赤くしていった。
「しかし、チワワとちくわを間違えるか? さすがは先輩だな。わはははは!」
 大笑いする俺に、先輩は顔をりんごのように赤く染め上げてぽかぽか叩くのだった。

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