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2024年11月22日
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【ハナ 七夕】
2010年01月27日
この世界には奇跡という代物があるらしく、こんな俺にも彼女ができた。たぶんこれで運尽きた。
「そんなわけで、以後とんでもない災難に遭う事間違いないので、そのバヤイは俺を助けてくれると幸いです」
「はや……わ、分かりました。頑張ります。今日から筋トレします」
などと一生懸命にコクコクうなずく彼女のハナ。
「ほう、腕立てできるようになったのか! 凄いぞ、ハナ!」
「……ま、まだです」
やはり心配なので、もし災難に遭ったら自力で頑張ることにした。
「まあそんな戯言はどうでもよくて、ハナさん」
「は、はひ! ……はい、なんですか?」
「噛んだことをなかったことにしたハナに聞くが、七夕ですな」
そう、今日は七夕なんだ。何日か過ぎてるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ。ちうことで、うちの庭でハナと一緒に竹につける短冊を書いている。
「そ、そですね。……あ、あの、彰人くんは何をお願いしたんですか?」
「彰人? 誰?」
「……わ、私の大好きな人です」
軽くボケたら、ハナったら符長彰人たる俺の腕をちょこんとつまんで顔を真っ赤にしてうつむいたりして。そんなの、俺も赤くならざるを得ないじゃないか。
「う、うー……ええい! 照れくさい! たあっ!」
「やあっ、お、おでこ出さないでくださいー!」
ハナの前髪を両手であげ、おでこ全開にする。ハナは半泣きでじたじたした。
ハナは普段前髪を下ろしており、おでこはおろか目の半ばまで隠している。なんだか知らないがそこを露出されるのを大変嫌がっており、こうしておでこ丸出しにされると大変恥ずかしがる。
まあ、あまりやっても仕方ない。手を離すと、ハナはすすーっと離れて髪を整えた。
「うー……恥ずかしいからやめてほしいって言ってるのに。彰人くんのばか。嫌いです。……嘘です。好きです」
ハナは再びこちらに寄ってきて俺の服の裾をつまみ、前髪の隙間から俺を見つめた。
「いちいち動作が可愛いのは作戦ですか」
「……? よく分かりませんが、もうおでこ出すのダメです。そんなのされたら、彰人くんを嫌いになってしまいます。……嘘です。無理です」
「えい」
「やー! おでこやー!」
あんまりにも可愛かったので、もう一度おでことこんにちは。
そのようなことを数回に渡ってやった結果、ようやっと満足した。
「短冊に追加しておきます。『彰人くんが私のおでこに興味をなくしますように』って」
「無理だ」
「即答ですよ……」
なんかがっかりしてるハナの頭をなでなでしてから、改めて自分の短冊を見る。
「それで、彰人くんはどんなお願いをしたんですか?」
「ハナが俺のことを好きになってくれますようにって」
「……も、もう叶ってます」
ハナは俺の服の裾をちょこんとつまみ、顔を伏せた。ええい。
「……? 彰人くん、どして鼻を押さえてるんですか?」
「あー、気にしないでもらうと助かる」
「はぁ……よく分からないですけど、分かりました。気にしません」
「うん、助かる。ええと……そうな。それじゃ、人前でもイチャイチャできますようにって短冊に書く」
「……む、無理です。倒れます。でででも、彰人くんがそうしたいなら頑張ります。今日から鍛えます。筋トレします」
「腕立て何回できる?」
「……ぜろ、です」
可愛く握りこぶしを作ったと思ったら、もう意気消沈して肩を落とした。
「まあ気にするな。筋トレしても羞恥心は消えないだろうし」
「しゅ、しゅーちしーん、しゅーちしーん」
ハナは数ヶ月前テレビでよく見た振り付けをして俺を固めた。
「……え、えと、ごめんなさい。なんでもないです」
自分の行為がどういうものだったか俺の反応を見て悟ったのか、ハナは顔を真っ赤にしてうつむいた。
「……え、あ、えーと。うん。可愛い可愛い」
どんなリアクションが最適か分からなかったので、とりあえず適当に褒めてハナの頭をくりくりなでる。
「な、なしです。さっきのなしです。短冊に書きます、さっきのなしって」
「じゃあ俺はさっきのを未来永劫記憶に残りますようにって書く」
「あ、彰人くんひどいですあんまりですいじわるです!」
「わはは」
ひとしきり笑ってから、ハナと一緒に短冊を竹に飾る。
「あ。彰人くん、これ」
「ん? ……うあ」
ハナが見せてくれたのは、俺が書いた短冊のひとつだった。
「『ハナがいつも幸せでありますように』……ですか?」
「いや、俺には『ハナが巨乳になりますように』って見える」
「……どーせ小さいです。じゃなくて、あの、これ……?」
「や、まあ、そのー、願うだけならタダだし、いいじゃん。そんな掘り下げる話題じゃないからとっとと吊るすべきではなかろうか!」
奪うようにハナから短冊を取り、竹に取り付ける。くるりと振り返ると、ハナのはにかんだような笑顔が待っていた。
「……一緒、です」
そう言うハナの手にある短冊には、『彰人くんがずっと幸せでありますように』って──
「は、恥ずかしい奴め。ていうか、自分の幸せ願え、バカ」
「そんなの、私の幸せ願ってる彰人くんに言われたくありません」
ぐうの音も出ずに突っ立ってる俺の横を通り過ぎ、ハナはさっき俺が吊るした短冊の隣に自分の短冊を吊るした。
「よし……っと。これで、二人一緒にずっと幸せです」
くるっと振り返り、ハナはその名の通り花のような笑顔を咲かせた。
「そんなわけで、以後とんでもない災難に遭う事間違いないので、そのバヤイは俺を助けてくれると幸いです」
「はや……わ、分かりました。頑張ります。今日から筋トレします」
などと一生懸命にコクコクうなずく彼女のハナ。
「ほう、腕立てできるようになったのか! 凄いぞ、ハナ!」
「……ま、まだです」
やはり心配なので、もし災難に遭ったら自力で頑張ることにした。
「まあそんな戯言はどうでもよくて、ハナさん」
「は、はひ! ……はい、なんですか?」
「噛んだことをなかったことにしたハナに聞くが、七夕ですな」
そう、今日は七夕なんだ。何日か過ぎてるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ。ちうことで、うちの庭でハナと一緒に竹につける短冊を書いている。
「そ、そですね。……あ、あの、彰人くんは何をお願いしたんですか?」
「彰人? 誰?」
「……わ、私の大好きな人です」
軽くボケたら、ハナったら符長彰人たる俺の腕をちょこんとつまんで顔を真っ赤にしてうつむいたりして。そんなの、俺も赤くならざるを得ないじゃないか。
「う、うー……ええい! 照れくさい! たあっ!」
「やあっ、お、おでこ出さないでくださいー!」
ハナの前髪を両手であげ、おでこ全開にする。ハナは半泣きでじたじたした。
ハナは普段前髪を下ろしており、おでこはおろか目の半ばまで隠している。なんだか知らないがそこを露出されるのを大変嫌がっており、こうしておでこ丸出しにされると大変恥ずかしがる。
まあ、あまりやっても仕方ない。手を離すと、ハナはすすーっと離れて髪を整えた。
「うー……恥ずかしいからやめてほしいって言ってるのに。彰人くんのばか。嫌いです。……嘘です。好きです」
ハナは再びこちらに寄ってきて俺の服の裾をつまみ、前髪の隙間から俺を見つめた。
「いちいち動作が可愛いのは作戦ですか」
「……? よく分かりませんが、もうおでこ出すのダメです。そんなのされたら、彰人くんを嫌いになってしまいます。……嘘です。無理です」
「えい」
「やー! おでこやー!」
あんまりにも可愛かったので、もう一度おでことこんにちは。
そのようなことを数回に渡ってやった結果、ようやっと満足した。
「短冊に追加しておきます。『彰人くんが私のおでこに興味をなくしますように』って」
「無理だ」
「即答ですよ……」
なんかがっかりしてるハナの頭をなでなでしてから、改めて自分の短冊を見る。
「それで、彰人くんはどんなお願いをしたんですか?」
「ハナが俺のことを好きになってくれますようにって」
「……も、もう叶ってます」
ハナは俺の服の裾をちょこんとつまみ、顔を伏せた。ええい。
「……? 彰人くん、どして鼻を押さえてるんですか?」
「あー、気にしないでもらうと助かる」
「はぁ……よく分からないですけど、分かりました。気にしません」
「うん、助かる。ええと……そうな。それじゃ、人前でもイチャイチャできますようにって短冊に書く」
「……む、無理です。倒れます。でででも、彰人くんがそうしたいなら頑張ります。今日から鍛えます。筋トレします」
「腕立て何回できる?」
「……ぜろ、です」
可愛く握りこぶしを作ったと思ったら、もう意気消沈して肩を落とした。
「まあ気にするな。筋トレしても羞恥心は消えないだろうし」
「しゅ、しゅーちしーん、しゅーちしーん」
ハナは数ヶ月前テレビでよく見た振り付けをして俺を固めた。
「……え、えと、ごめんなさい。なんでもないです」
自分の行為がどういうものだったか俺の反応を見て悟ったのか、ハナは顔を真っ赤にしてうつむいた。
「……え、あ、えーと。うん。可愛い可愛い」
どんなリアクションが最適か分からなかったので、とりあえず適当に褒めてハナの頭をくりくりなでる。
「な、なしです。さっきのなしです。短冊に書きます、さっきのなしって」
「じゃあ俺はさっきのを未来永劫記憶に残りますようにって書く」
「あ、彰人くんひどいですあんまりですいじわるです!」
「わはは」
ひとしきり笑ってから、ハナと一緒に短冊を竹に飾る。
「あ。彰人くん、これ」
「ん? ……うあ」
ハナが見せてくれたのは、俺が書いた短冊のひとつだった。
「『ハナがいつも幸せでありますように』……ですか?」
「いや、俺には『ハナが巨乳になりますように』って見える」
「……どーせ小さいです。じゃなくて、あの、これ……?」
「や、まあ、そのー、願うだけならタダだし、いいじゃん。そんな掘り下げる話題じゃないからとっとと吊るすべきではなかろうか!」
奪うようにハナから短冊を取り、竹に取り付ける。くるりと振り返ると、ハナのはにかんだような笑顔が待っていた。
「……一緒、です」
そう言うハナの手にある短冊には、『彰人くんがずっと幸せでありますように』って──
「は、恥ずかしい奴め。ていうか、自分の幸せ願え、バカ」
「そんなの、私の幸せ願ってる彰人くんに言われたくありません」
ぐうの音も出ずに突っ立ってる俺の横を通り過ぎ、ハナはさっき俺が吊るした短冊の隣に自分の短冊を吊るした。
「よし……っと。これで、二人一緒にずっと幸せです」
くるっと振り返り、ハナはその名の通り花のような笑顔を咲かせた。
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ハナがかわいすぎて生きるのが辛い