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2024年11月23日
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【野性っ娘と昼食を】

2010年05月13日
 アフリカっぽい所からの転校生、ナコが来て初めての昼休み。何故か知らないが嫌われている俺は、少しでも仲良くなるべくナコに話しかけた。
「ナコー、ナコナコ、ナコたん」
「うるさいのだ! 話しかけるなと言ったのだ! たんはやめるのだ!」
「昼の時間だけど、どうすんだ? 弁当か? 学食か?」
「おまえなんかに教える必要なんかないのだ」
「何食うんだ? 虫か? ほら、そこにカナブンいるぞ。取ってこようか?」
「そんなの食わないのだ! ナコは木の実を食べるのだ!」
 ナコは無造作に大小様々な木の実を机の上にばら撒いた。ざっと見ただけで、20個以上ありそうだ。
「木の実、か……食えんのか?」
「あ! こら、取るな!」
 木の実を奪い、口に入れる。むぐむぐ、むぐ……。
「……硬くて食えない。うべー」
「吐くな! 何を考えているのだ! まったく、親の顔を見たいのだ」
「待ってろ、今から連れてくる」
「やめるのだ! ……まったく、不愉快なのだ。どっか行け」
「まぁそう言うな。飯を貰ったんだし、お返ししないとな」
 弁当箱を取り出し、ナコの机の上に置く。
「いらないのだ。こら、開けるな! ……なんでおかずが玉子焼きだけなのだ?」
「好きだから」
 今日のメニューはごはん、玉子焼きとなります。献立考えるの面倒だったんだね。ありがとう、母さん。
「うまいぞ。ほれ、あーん」
「つーん、なのだ。誰が食べるか、なのだ」
「……えい」
「むが!」
 大口開いてたので無理やり放り込む。
「何するのだ! ……あ、おいしいのだ」
「だろ? 母さんの玉子焼きは絶品なんだ。他の料理のことを考えると涙目になりそうだけど」
「うまいのだ。もっと寄越すのだ」
 俺が許可する前に、ナコは玉子焼きを手づかみで食べてる。
「待って全部食べないで俺の大好物!」
 すごい勢いでナコは俺の玉子焼きを食べきった。
「げふー。うまかったのだ。ごちそうさまなのだ」
「う、ううう……俺の、俺の玉子焼きが……」
 残ったのは、真っ白な飯だけ。悲しみのあまり、涙がほほを伝う。
「……ち、ちょっとだけ悪い気がするのだ。しょうがない、代わりにナコの木の実を少しやるのだ」
「まずいからいい」
「うまいのだ! おまえは食べ方を間違ってるのだ。こう食べるのだ」
 ナコは木の実を口に入れ、豪快にばりばりと音を立てて噛み砕いた。
「……無理。普通の人間にはクルミの殻を歯で砕くことはできません」
「やればできるのだ! 食うのだ!」
 ナコは俺の口に無理やりクルミを入れ、強引に咀嚼させた。
「むがむがむが!」
「おお、いけそうなのだ! ……あ」

 今日の収穫:ナコとの友好度+1
 今日の損失:玉子焼き×1 奥歯×1

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