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2024年11月24日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉13】
2010年03月17日
妹のカナが熱を出した。
「どうしよどうしよ、タカくん! カナちゃん、熱あるよ!」
「ああどうしようどうしよう! カナが、カナが死んじゃう!」
「うるさい」
カナの部屋でお姉ちゃんと二人でドタバタしてたら、俺だけカナに殴られた。
「ちょっと熱出ただけ。別に死にゃしないわよ」
布団に戻り、カナは胸元から温度計を取り出し、お姉ちゃんに渡した。はだけた胸元をじぃぃぃぃっと見つめていたら殴られた。
「37度……うーん、今日は学校お休みだね、カナちゃん」
お姉ちゃんの言葉に、カナは小さくうなずいた。
「カナだけ休むなんてずるい。俺も休む」
「子供かッ!」
「大人です。いや、まだ成人してないから大人とはいえないものの、気分的には大人です」
「そういうことじゃなくて……ああもう、しんどいんだから怒らせるなっ!」
「まぁまぁ。タカくんはカナちゃんが心配だから、看病したいんだよ。ね?」
お姉ちゃんは憤るカナをなだめてから、俺に視線を移した。
「いっ、いや、俺はズル休みの背徳感を味わいだけで、別にカナが心配とかそんな」
必死で言い訳するものの、お姉ちゃんは訳知り顔でうんうんうなずくばかりだし、カナは真っ赤になって俺を睨んでるし、嗚呼。
「じゃ、お姉ちゃん学校行ってくるね。カナちゃんのことお願いね、タカくん」
下手クソな鼻歌を口ずさみながら、お姉ちゃんは部屋を出て行った。
「……ああもう、仕方ないから世話されてやるわよ。感謝しなさいよ」
「すげー偉そう」
「……嫌なら看病しなくていいわよ、別に」
途端に機嫌を損ね、カナは背を向けてしまった。
「看病という名の元に恥辱の限りを尽くそうと思った矢先にこれか! こうなっては機嫌を直してもらうよう、思ってもない事を並べて悦に浸らせ」
「兄貴。ちょいこっち来て」
「なになにー?」
ふらふらカナの寝る布団に近づいたら、鼻殴られた。鼻血でた。
「病気でも関係なしですか」
「うっさい! 思ってる事をそのまま口に出す癖どうにかしろっ!」
俺もどうにかしたいです。それはともかく、血が出るので鼻にティッシュを詰める。
「とにかく、セクハラ……ごほんごほん、セクハ……いやいや、看病したいのですが」
「妹に欲情するって、変態と思うわよ」
「し、失敬な! 妹に欲情せずして何に欲情しろというのか! 全国1兆人の妹ファンに謝れ! でも姉も大好きです!」
「地球人口より多いっ! 怒るなら変態って言われたこと怒れ! あと死ね」
全部律儀にツッコんでくれた。立派な芸人に育ってくれて兄は嬉しいが、最後のツッコミが冷たすぎて泣きそう。
「まぁそんなわけで、兄は純粋にカナを心配しているのです」
「病人を怒らせて、何言ってんだか……」
心底呆れたようにため息を吐いて、カナは布団に寝そべった。
「とにかくさ、大したことないんだし、寝てたら治るわよ」
「しかし、それでは俺が暇だ」
「知らないわよ。兄貴が勝手に学校休んで、勝手に看病しようとしてるだけでしょ?」
「む……」
確かにそうなのだが、ちっとくらい感謝してくれても罰は当たるまい。さらに、感謝が行き過ぎてエッチなことをしてくれても罰は当たるまい。しかし……。
「……ちょっと、どこ見てるのよ」
「カナのぺたい胸じゃパイズリは無理だな」
カナの すごい 暴力
「死ぬぜ?」
「死ね!」
部屋から追い出されてしまった。今戻ると本当に殺されかねない。寝ると言ってたし、しばらく時間を置こう。
しばらく時間を置いたら昼になった。カナの様子を見に部屋へ。
小さくノックをするが、返事がない。まだ寝てるのかな?
そっとドアを開け、中を覗く。果たして、小さな寝息を立てるお嬢様が布団の中にいた。
音を立てないようにドアを閉め、くーくー言ってるお姫様に近づく。
「……寝てる時は可愛いのになぁ」
ぴくり、とカナが小さく身じろぎして、寝息が止まった。
「あ、起きちゃったか?」
「……く、くーくー」
まだ寝ているようだ。少し寝息がわざとらしいような気がするが、病気の時は寝息もみだれるのかもしれない。
カナのオデコに手を当て、熱を測る。……よく分からんが、たぶん平熱だろう。一安心。
枕元に座り、みだれた前髪を手で揃える。ついでに頭もなでる。
「……ん♪」
気のせいか、少しだけカナの顔が綻んだような気がした。
……ふむ。起きてる時になでたりしたら殴られるだろうし、今のうちに起きない程度に沢山なでよう。
「なでなでなで」
「……♪♪♪」
カナの顔がすげー嬉しそうに綻んだ。どんな夢見てんだか。
「……っと、あんま長居したら起こしちまうな」
腰を上げようとしたら、途中で何かに引っかかった。見ると、いつのまにか服の裾を掴まれていた。これでは立てない。
カナの手を解こうとするものの、しっかり握られており、無理に解こうとすれば起きてしまうかもしれない。
「困ったな……」
このままではカナが起きた時に勘違いされ、殴られること請け合い。
「ウケアイ!」
フレーズが気に入ったので小さく呟くと、カナがぶほっと噴き出した。
「カナ? 起きたのか?」
カナは小さくぷるぷる震えてはいるが、目はしっかりつむられたままだった。震えるって事は……寒いのか?
周囲を見回すが、あいにく布団はカナが被ってるものしかない。……んーむ、前例がないわけでもないし、まぁいっか。
「ちょい失礼」
「っ!?」
カナの寝てる布団の中に入る。俺の体温でカナを温める冬山作戦だ。
「うむ、ホコホコ」
カナ方向から小さく“あぅあぅ”という声が聞こえるような、聞こえないような。
……しっかし、こうやって一緒に寝るなんて最近なかったけど、……いかんな。大変いかんですよ。
カナの匂いがいい匂いで。お姉ちゃんとはまた違ったいい匂いで。
気がつけばカナの頭を抱え込み、思い切りカナの香りを胸いっぱいに吸い込んでいた。
「あ……」
自分の行為に気づいて慌てて体を離すと、俺を見上げるカナの視線とかち合った。めっちゃ起きてた。
「い、いつから?」
「え、えっと……今! 今さっき起きたの!」
「……そ、そか」
大変嘘臭いですが、それを指摘する度胸は御座いません。
「そっ、それより兄貴、なんでここにいるのよっ」
「あ、いや、その、ごめん。なんか寒そうだったから。……もう出るな」
布団から這い出ようとしてたら、腕を掴まれた。
「……? どした?」
「……まっ、まだ、寒いから。……もうちょっと」
こっちを見ようとしないまま、カナが囁く。
「……じゃ、じゃあ、お邪魔します」
半分出てた体を布団に戻し、再び布団の中でカナと向き合う。……ええい、なんでカナ相手にこんな緊張しなけりゃならんのだ。
「……な、なんか喋りなさいよ」
緊張してるのはカナも同じようで、俺の腹を指で押しながら何か喋れとせっつく。
「え、えと、いい匂いですね」
「…………」
カナは顔を真っ赤にして黙ってしまった。失敗したようだ。
「そ、そうじゃなくて、その、な? あ、あははは」
「……うぅ」
笑って誤魔化そうとするも、カナは小さくうめくだけで誤魔化されない。
「……喋る事ないなら、その、……したいこと、したらいいじゃない」
「したいこと?」
「……な、なでなで、……とか」
…………。なでなで、って。
「べっ、別に起きてなかったわよ!? ゆ、夢の中で兄貴があたしの頭なでてて、嬉しそうだったから!」
カナの すごい 言い訳
「つまり、カナは頭なでて欲しいと。大好きなお兄ちゃんに頭なでて欲しいと」
「だっ、誰もそんなこと……ひゃっ」
カナの頭に手を乗せ、優しくなでる。
「……うぅ」
何か言いたそうだが、言い出せないまま俺にされるがままのカナ。ちょっと可愛い。
「……なー。もういいか?」
可愛いけど、それも小一時間続けてるとなると話は別。超しんどい。
「まだ。もっと」
カナは安心しきったように俺に抱きつき、目を細めながらもっとなでろとせっつく。
「なんか、すげー甘えん坊になってるな」
「……病気の時くらい、甘えん坊になるわよ」
悪い? とでも言いたげな口ぶりで囁くカナ。
「いかん、カナが普段の暴虐ぶりからは考えられないくらい可愛く見える」
「……兄貴ってさ、いっつも失礼よね」
口だけは不満そうにしながら、カナは自分の顔を俺の胸に押し付けた。
「……兄貴は、さ。いつもみたいな、元気なあたしの方がいい? ……甘えん坊は、嫌い?」
「……ばーか」
カナの頭をくしゃくしゃに撫でる。
「大事な大事な妹なんだ。元気なカナも、甘えん坊のカナも、どっちも大好きに決まってる。俺がカナを嫌う訳ねーだろ」
そう言って、カナを優しく抱きしめる。カナの鼻息が胸に当たり、ちょっとくすぐったい。
「……お兄ちゃん……」
カナの俺を呼ぶ言い方が、昔の──小さかった頃に戻っていた。
「ははっ、甘えついでにキスでもするか? ほら、外国だと親愛の情を示すのにキスするだろ?」
なーんて、と言おうとして、俺を見上げるカナの瞳が熱っぽく潤んでいることに気づいた。
「お兄ちゃん……」
「え、えと、カナ? あの、家族のキスって、ほっぺたにすると思うんですケド……」
「……そんなの、聞こえないよ……」
カナの口唇が少しずつ、少しずつ近寄ってくる。このままでは、だがしかし……!
「たっだいまーっ! カナちゃん、元気になっ……あああああ! カナちゃんとタカくんが合体してるーっ!?」
お姉ちゃんが部屋に入ってくるなり、不穏当な言葉を隣近所に響き渡らせた。
「ちょ、ちょっと姉ちゃん! なに叫んでんのよ!」
「そうだ。まだ挿れてないぞ」
「兄貴も何を冷静に訂正してるかっ! ほらっ、早く出た出た!」
カナに布団から蹴り出された。とにかく、パニックに陥ってるお姉ちゃんをなんとかしないと。
……しかし。キスを中断され、ほっとしたのが半分、残念なのが半分なのは、兄としてどうなんだろうな。
「どうしよどうしよ、タカくん! カナちゃん、熱あるよ!」
「ああどうしようどうしよう! カナが、カナが死んじゃう!」
「うるさい」
カナの部屋でお姉ちゃんと二人でドタバタしてたら、俺だけカナに殴られた。
「ちょっと熱出ただけ。別に死にゃしないわよ」
布団に戻り、カナは胸元から温度計を取り出し、お姉ちゃんに渡した。はだけた胸元をじぃぃぃぃっと見つめていたら殴られた。
「37度……うーん、今日は学校お休みだね、カナちゃん」
お姉ちゃんの言葉に、カナは小さくうなずいた。
「カナだけ休むなんてずるい。俺も休む」
「子供かッ!」
「大人です。いや、まだ成人してないから大人とはいえないものの、気分的には大人です」
「そういうことじゃなくて……ああもう、しんどいんだから怒らせるなっ!」
「まぁまぁ。タカくんはカナちゃんが心配だから、看病したいんだよ。ね?」
お姉ちゃんは憤るカナをなだめてから、俺に視線を移した。
「いっ、いや、俺はズル休みの背徳感を味わいだけで、別にカナが心配とかそんな」
必死で言い訳するものの、お姉ちゃんは訳知り顔でうんうんうなずくばかりだし、カナは真っ赤になって俺を睨んでるし、嗚呼。
「じゃ、お姉ちゃん学校行ってくるね。カナちゃんのことお願いね、タカくん」
下手クソな鼻歌を口ずさみながら、お姉ちゃんは部屋を出て行った。
「……ああもう、仕方ないから世話されてやるわよ。感謝しなさいよ」
「すげー偉そう」
「……嫌なら看病しなくていいわよ、別に」
途端に機嫌を損ね、カナは背を向けてしまった。
「看病という名の元に恥辱の限りを尽くそうと思った矢先にこれか! こうなっては機嫌を直してもらうよう、思ってもない事を並べて悦に浸らせ」
「兄貴。ちょいこっち来て」
「なになにー?」
ふらふらカナの寝る布団に近づいたら、鼻殴られた。鼻血でた。
「病気でも関係なしですか」
「うっさい! 思ってる事をそのまま口に出す癖どうにかしろっ!」
俺もどうにかしたいです。それはともかく、血が出るので鼻にティッシュを詰める。
「とにかく、セクハラ……ごほんごほん、セクハ……いやいや、看病したいのですが」
「妹に欲情するって、変態と思うわよ」
「し、失敬な! 妹に欲情せずして何に欲情しろというのか! 全国1兆人の妹ファンに謝れ! でも姉も大好きです!」
「地球人口より多いっ! 怒るなら変態って言われたこと怒れ! あと死ね」
全部律儀にツッコんでくれた。立派な芸人に育ってくれて兄は嬉しいが、最後のツッコミが冷たすぎて泣きそう。
「まぁそんなわけで、兄は純粋にカナを心配しているのです」
「病人を怒らせて、何言ってんだか……」
心底呆れたようにため息を吐いて、カナは布団に寝そべった。
「とにかくさ、大したことないんだし、寝てたら治るわよ」
「しかし、それでは俺が暇だ」
「知らないわよ。兄貴が勝手に学校休んで、勝手に看病しようとしてるだけでしょ?」
「む……」
確かにそうなのだが、ちっとくらい感謝してくれても罰は当たるまい。さらに、感謝が行き過ぎてエッチなことをしてくれても罰は当たるまい。しかし……。
「……ちょっと、どこ見てるのよ」
「カナのぺたい胸じゃパイズリは無理だな」
カナの すごい 暴力
「死ぬぜ?」
「死ね!」
部屋から追い出されてしまった。今戻ると本当に殺されかねない。寝ると言ってたし、しばらく時間を置こう。
しばらく時間を置いたら昼になった。カナの様子を見に部屋へ。
小さくノックをするが、返事がない。まだ寝てるのかな?
そっとドアを開け、中を覗く。果たして、小さな寝息を立てるお嬢様が布団の中にいた。
音を立てないようにドアを閉め、くーくー言ってるお姫様に近づく。
「……寝てる時は可愛いのになぁ」
ぴくり、とカナが小さく身じろぎして、寝息が止まった。
「あ、起きちゃったか?」
「……く、くーくー」
まだ寝ているようだ。少し寝息がわざとらしいような気がするが、病気の時は寝息もみだれるのかもしれない。
カナのオデコに手を当て、熱を測る。……よく分からんが、たぶん平熱だろう。一安心。
枕元に座り、みだれた前髪を手で揃える。ついでに頭もなでる。
「……ん♪」
気のせいか、少しだけカナの顔が綻んだような気がした。
……ふむ。起きてる時になでたりしたら殴られるだろうし、今のうちに起きない程度に沢山なでよう。
「なでなでなで」
「……♪♪♪」
カナの顔がすげー嬉しそうに綻んだ。どんな夢見てんだか。
「……っと、あんま長居したら起こしちまうな」
腰を上げようとしたら、途中で何かに引っかかった。見ると、いつのまにか服の裾を掴まれていた。これでは立てない。
カナの手を解こうとするものの、しっかり握られており、無理に解こうとすれば起きてしまうかもしれない。
「困ったな……」
このままではカナが起きた時に勘違いされ、殴られること請け合い。
「ウケアイ!」
フレーズが気に入ったので小さく呟くと、カナがぶほっと噴き出した。
「カナ? 起きたのか?」
カナは小さくぷるぷる震えてはいるが、目はしっかりつむられたままだった。震えるって事は……寒いのか?
周囲を見回すが、あいにく布団はカナが被ってるものしかない。……んーむ、前例がないわけでもないし、まぁいっか。
「ちょい失礼」
「っ!?」
カナの寝てる布団の中に入る。俺の体温でカナを温める冬山作戦だ。
「うむ、ホコホコ」
カナ方向から小さく“あぅあぅ”という声が聞こえるような、聞こえないような。
……しっかし、こうやって一緒に寝るなんて最近なかったけど、……いかんな。大変いかんですよ。
カナの匂いがいい匂いで。お姉ちゃんとはまた違ったいい匂いで。
気がつけばカナの頭を抱え込み、思い切りカナの香りを胸いっぱいに吸い込んでいた。
「あ……」
自分の行為に気づいて慌てて体を離すと、俺を見上げるカナの視線とかち合った。めっちゃ起きてた。
「い、いつから?」
「え、えっと……今! 今さっき起きたの!」
「……そ、そか」
大変嘘臭いですが、それを指摘する度胸は御座いません。
「そっ、それより兄貴、なんでここにいるのよっ」
「あ、いや、その、ごめん。なんか寒そうだったから。……もう出るな」
布団から這い出ようとしてたら、腕を掴まれた。
「……? どした?」
「……まっ、まだ、寒いから。……もうちょっと」
こっちを見ようとしないまま、カナが囁く。
「……じゃ、じゃあ、お邪魔します」
半分出てた体を布団に戻し、再び布団の中でカナと向き合う。……ええい、なんでカナ相手にこんな緊張しなけりゃならんのだ。
「……な、なんか喋りなさいよ」
緊張してるのはカナも同じようで、俺の腹を指で押しながら何か喋れとせっつく。
「え、えと、いい匂いですね」
「…………」
カナは顔を真っ赤にして黙ってしまった。失敗したようだ。
「そ、そうじゃなくて、その、な? あ、あははは」
「……うぅ」
笑って誤魔化そうとするも、カナは小さくうめくだけで誤魔化されない。
「……喋る事ないなら、その、……したいこと、したらいいじゃない」
「したいこと?」
「……な、なでなで、……とか」
…………。なでなで、って。
「べっ、別に起きてなかったわよ!? ゆ、夢の中で兄貴があたしの頭なでてて、嬉しそうだったから!」
カナの すごい 言い訳
「つまり、カナは頭なでて欲しいと。大好きなお兄ちゃんに頭なでて欲しいと」
「だっ、誰もそんなこと……ひゃっ」
カナの頭に手を乗せ、優しくなでる。
「……うぅ」
何か言いたそうだが、言い出せないまま俺にされるがままのカナ。ちょっと可愛い。
「……なー。もういいか?」
可愛いけど、それも小一時間続けてるとなると話は別。超しんどい。
「まだ。もっと」
カナは安心しきったように俺に抱きつき、目を細めながらもっとなでろとせっつく。
「なんか、すげー甘えん坊になってるな」
「……病気の時くらい、甘えん坊になるわよ」
悪い? とでも言いたげな口ぶりで囁くカナ。
「いかん、カナが普段の暴虐ぶりからは考えられないくらい可愛く見える」
「……兄貴ってさ、いっつも失礼よね」
口だけは不満そうにしながら、カナは自分の顔を俺の胸に押し付けた。
「……兄貴は、さ。いつもみたいな、元気なあたしの方がいい? ……甘えん坊は、嫌い?」
「……ばーか」
カナの頭をくしゃくしゃに撫でる。
「大事な大事な妹なんだ。元気なカナも、甘えん坊のカナも、どっちも大好きに決まってる。俺がカナを嫌う訳ねーだろ」
そう言って、カナを優しく抱きしめる。カナの鼻息が胸に当たり、ちょっとくすぐったい。
「……お兄ちゃん……」
カナの俺を呼ぶ言い方が、昔の──小さかった頃に戻っていた。
「ははっ、甘えついでにキスでもするか? ほら、外国だと親愛の情を示すのにキスするだろ?」
なーんて、と言おうとして、俺を見上げるカナの瞳が熱っぽく潤んでいることに気づいた。
「お兄ちゃん……」
「え、えと、カナ? あの、家族のキスって、ほっぺたにすると思うんですケド……」
「……そんなの、聞こえないよ……」
カナの口唇が少しずつ、少しずつ近寄ってくる。このままでは、だがしかし……!
「たっだいまーっ! カナちゃん、元気になっ……あああああ! カナちゃんとタカくんが合体してるーっ!?」
お姉ちゃんが部屋に入ってくるなり、不穏当な言葉を隣近所に響き渡らせた。
「ちょ、ちょっと姉ちゃん! なに叫んでんのよ!」
「そうだ。まだ挿れてないぞ」
「兄貴も何を冷静に訂正してるかっ! ほらっ、早く出た出た!」
カナに布団から蹴り出された。とにかく、パニックに陥ってるお姉ちゃんをなんとかしないと。
……しかし。キスを中断され、ほっとしたのが半分、残念なのが半分なのは、兄としてどうなんだろうな。
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