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2024年11月23日
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【ゲリラ豪雨とツンデレ】
2010年01月29日
授業も終わったのでさて帰ろうと下駄箱で靴を履き替えてたら、突如信じられないほどの勢いで雨が降ってきた。
「うあ……なんだこの雨。すっげーなあ」
まさにいま俺が言おうとした台詞を言われた。この俺様と全く同じ心象風景を持った人物とは何者だと隣を見たら、級友のみおがいた。
口をあんぐりと開け、ぽかーんと空を見上げている様は、あまりおにゃのこらしいとは言えない。とはいえ、それもみおの魅力のひとつなのかもしれないが。
「おす、みお」
「うあ、さらに別府まで追加か。最悪じゃん」
みおは俺の姿を認めると、嫌そうに顔をしかめた。
「いや、俺は別に空から降ったりはしない」
「んな意味で言ってんじゃねー!」
「しかし、これから先何かの弾みでスカイダイビングをするかもしれないので、将来的には空から降るかもしれない」
「そのままパラシュートが開かなけりゃいいのに……」
「その時はどうにかして軌道を曲げ、絶対にみおの家に降るから覚悟しろ」
みおが大変に嫌そうな顔をしたのに満足したのはいいが、そんなことをしたところで雨が止むはずもなく。
「みお、傘は?」
「あるけど、こんなすげーゲリラ豪雨じゃ意味ねーよ」
「えっ、ゲリラが降らしてるの!?」
「ちげー! 突然降ってくる雨をそう言うんだよ!」
「知ってるけど、一応驚いてあげた方が喜ぶかなと思ったんだ」
「喜ばねーよ! ……あーもー、オマエといたら疲れるよ」
「不思議だね。さて、どうするかな」
……んー、少し待ってたら雨の勢いも多少は治まるかもしれないし、どこかで時間を潰すか。
ちらりと隣を見ると、みおも俺と同じ考えを持ったのか、こちらと目が合った。
「みお、一緒に」
「ぜってーヤだ」
「子作りしようよ」
「絶対に嫌だ!!!!!」
物凄く嫌がられた。
「ちげーだろ! なんか別のこと言おうとしただろ!」
「いや、提案する前に断られたし、いっそ絶対に受け入れられないであろうことを言ったら逆に受け入れられると思ったんだけど、否定の要素が強くなっただけで残念無念」
「当たり前だろーが! バカ!」
何か言うたびに怒られる。
「そうじゃなくて、少し時間を潰して雨の勢いが治まるのを一緒に待とうと言おうとしたんですよ」
「やっぱか。でも、オマエと一緒なんて嫌だ」
「学校で時間潰せる所……図書室か?」
「い、嫌だって言ってるのになんでオレの手握ってんだバカ!」
このまま一人で時間を潰すのもなんだかなあと思ったので、逃さぬようにみおの手をきゅっと握ってはみたものの、頬を染められて急に恥ずかしくなってきた。
「友達に見られて噂とかされると恥ずかしい」
「オマエが握ってんだ! オレが恥ずかしいの!」
なんかみゃーみゃー言ってるみおを引き連れ、図書室へ。俺たちと一緒の考えを持った奴も多いのか、普段より少し騒がしい室内だった。
「だっ、だから握るなって! 逃げないから!」
その中でも最も騒がしい人物が俺の手から必死に逃れようともがいている。
「みお、図書室では静かに」
「みゅ……わ、分かったよ」
指を自分の口に押し当て、しーっというジェスチャーをしたら途端に静かになった。これで結構素直で可愛いなあチクショウ! なんだよ、みゅって!
などという俺内部動揺を悟られないよう、最大限のさりげなさで室内に滑り込もうとしたら、雨で床が濡れていたのかすーっと足が滑り、みおと一緒に大きくバランスを崩す。
「みゃー!?」
このままではみおが痛い思いをしてしまうので、咄嗟の機転でみおの下に滑り込もうとしたが、全然間に合わなかった。
「みぎゃっ! みぎゃっ!?」
しかも、倒れたみおの上に俺が倒れてしまう始末。なんたる様。
「みゅーっ! 痛い重い痛い重いー!」
「いや、それが俺は痛くない上に柔らかくてとても気持ちがいい」
「ひゃうっ!? ばばばばかっ、どけっ、どけーっ!」
「でもですね、みおさん。こんな心地よい場所がよもや現世にあるとは思わなかったんで、体の野郎が言うことを聞かないんです。こんな場合どうしたらいいんでしょうか」
「みゃーっ!? すりすりすんなっ、すりすりすんなあっ!」
「……いかん、ムラムラしてきた」
「みーっ!?」
もうこうなったら勢いに任せて色々しちゃおうかと思った瞬間、部屋中の視線が俺たちに集まっていることにようやっと気づいた。
「……あー、いやはや。偶然って怖いですよね」
「偶然じゃねー! ぜってーオマエわざとだろ!」
「別府くん、ちょっと来なさい。みおちゃんも」
「はい」
「なんでオレも!?」
司書さんに連れられ、部屋の奥で大変に叱られた。
やっと解放された頃には、雨はすっかりあがっていた。あれほど騒がしかった図書室も、しんと静まり返っている。
「なんでオレまで叱られなくちゃいけなかったんだよぉ……みゅー」
「ぐっ」
「むー?」
ぐったりした様子で俺を見るみおだったが、こちらとしては悲しそうな鳴き声に反応しないよう、鼻をぎゅーっと押さえるのに忙しい。
「はぁ……まーいーや。いーか、今後オレに近づくんじゃねーぞ?」
「悲しいことを言う娘め……まあいいや、今後は約4万km離れるよ」
そう言いながら、みおにぴたーっと近づく。
「バカみたいな距離言いながらすっげー近づいてるじゃねーか!」
「しまった、偶然言った距離がちょうど地球一周分の距離だったため、逆に近づく羽目に!」
「わざとだろ、ぜってーわざとだろ、このバカ!」
「くんかくんかくんか」
「頭におうなーっ!」
「大丈夫、今日もいい匂いだ。健康体で二重丸!」
「鼻チョップ鼻チョップ鼻ちょーっぷっ!」
「やっ、はっ、ほっ」
「防御すんな、ばかーっ!」
何度も繰り出される鼻チョップを受け流しまくる放課後だった。
「うあ……なんだこの雨。すっげーなあ」
まさにいま俺が言おうとした台詞を言われた。この俺様と全く同じ心象風景を持った人物とは何者だと隣を見たら、級友のみおがいた。
口をあんぐりと開け、ぽかーんと空を見上げている様は、あまりおにゃのこらしいとは言えない。とはいえ、それもみおの魅力のひとつなのかもしれないが。
「おす、みお」
「うあ、さらに別府まで追加か。最悪じゃん」
みおは俺の姿を認めると、嫌そうに顔をしかめた。
「いや、俺は別に空から降ったりはしない」
「んな意味で言ってんじゃねー!」
「しかし、これから先何かの弾みでスカイダイビングをするかもしれないので、将来的には空から降るかもしれない」
「そのままパラシュートが開かなけりゃいいのに……」
「その時はどうにかして軌道を曲げ、絶対にみおの家に降るから覚悟しろ」
みおが大変に嫌そうな顔をしたのに満足したのはいいが、そんなことをしたところで雨が止むはずもなく。
「みお、傘は?」
「あるけど、こんなすげーゲリラ豪雨じゃ意味ねーよ」
「えっ、ゲリラが降らしてるの!?」
「ちげー! 突然降ってくる雨をそう言うんだよ!」
「知ってるけど、一応驚いてあげた方が喜ぶかなと思ったんだ」
「喜ばねーよ! ……あーもー、オマエといたら疲れるよ」
「不思議だね。さて、どうするかな」
……んー、少し待ってたら雨の勢いも多少は治まるかもしれないし、どこかで時間を潰すか。
ちらりと隣を見ると、みおも俺と同じ考えを持ったのか、こちらと目が合った。
「みお、一緒に」
「ぜってーヤだ」
「子作りしようよ」
「絶対に嫌だ!!!!!」
物凄く嫌がられた。
「ちげーだろ! なんか別のこと言おうとしただろ!」
「いや、提案する前に断られたし、いっそ絶対に受け入れられないであろうことを言ったら逆に受け入れられると思ったんだけど、否定の要素が強くなっただけで残念無念」
「当たり前だろーが! バカ!」
何か言うたびに怒られる。
「そうじゃなくて、少し時間を潰して雨の勢いが治まるのを一緒に待とうと言おうとしたんですよ」
「やっぱか。でも、オマエと一緒なんて嫌だ」
「学校で時間潰せる所……図書室か?」
「い、嫌だって言ってるのになんでオレの手握ってんだバカ!」
このまま一人で時間を潰すのもなんだかなあと思ったので、逃さぬようにみおの手をきゅっと握ってはみたものの、頬を染められて急に恥ずかしくなってきた。
「友達に見られて噂とかされると恥ずかしい」
「オマエが握ってんだ! オレが恥ずかしいの!」
なんかみゃーみゃー言ってるみおを引き連れ、図書室へ。俺たちと一緒の考えを持った奴も多いのか、普段より少し騒がしい室内だった。
「だっ、だから握るなって! 逃げないから!」
その中でも最も騒がしい人物が俺の手から必死に逃れようともがいている。
「みお、図書室では静かに」
「みゅ……わ、分かったよ」
指を自分の口に押し当て、しーっというジェスチャーをしたら途端に静かになった。これで結構素直で可愛いなあチクショウ! なんだよ、みゅって!
などという俺内部動揺を悟られないよう、最大限のさりげなさで室内に滑り込もうとしたら、雨で床が濡れていたのかすーっと足が滑り、みおと一緒に大きくバランスを崩す。
「みゃー!?」
このままではみおが痛い思いをしてしまうので、咄嗟の機転でみおの下に滑り込もうとしたが、全然間に合わなかった。
「みぎゃっ! みぎゃっ!?」
しかも、倒れたみおの上に俺が倒れてしまう始末。なんたる様。
「みゅーっ! 痛い重い痛い重いー!」
「いや、それが俺は痛くない上に柔らかくてとても気持ちがいい」
「ひゃうっ!? ばばばばかっ、どけっ、どけーっ!」
「でもですね、みおさん。こんな心地よい場所がよもや現世にあるとは思わなかったんで、体の野郎が言うことを聞かないんです。こんな場合どうしたらいいんでしょうか」
「みゃーっ!? すりすりすんなっ、すりすりすんなあっ!」
「……いかん、ムラムラしてきた」
「みーっ!?」
もうこうなったら勢いに任せて色々しちゃおうかと思った瞬間、部屋中の視線が俺たちに集まっていることにようやっと気づいた。
「……あー、いやはや。偶然って怖いですよね」
「偶然じゃねー! ぜってーオマエわざとだろ!」
「別府くん、ちょっと来なさい。みおちゃんも」
「はい」
「なんでオレも!?」
司書さんに連れられ、部屋の奥で大変に叱られた。
やっと解放された頃には、雨はすっかりあがっていた。あれほど騒がしかった図書室も、しんと静まり返っている。
「なんでオレまで叱られなくちゃいけなかったんだよぉ……みゅー」
「ぐっ」
「むー?」
ぐったりした様子で俺を見るみおだったが、こちらとしては悲しそうな鳴き声に反応しないよう、鼻をぎゅーっと押さえるのに忙しい。
「はぁ……まーいーや。いーか、今後オレに近づくんじゃねーぞ?」
「悲しいことを言う娘め……まあいいや、今後は約4万km離れるよ」
そう言いながら、みおにぴたーっと近づく。
「バカみたいな距離言いながらすっげー近づいてるじゃねーか!」
「しまった、偶然言った距離がちょうど地球一周分の距離だったため、逆に近づく羽目に!」
「わざとだろ、ぜってーわざとだろ、このバカ!」
「くんかくんかくんか」
「頭におうなーっ!」
「大丈夫、今日もいい匂いだ。健康体で二重丸!」
「鼻チョップ鼻チョップ鼻ちょーっぷっ!」
「やっ、はっ、ほっ」
「防御すんな、ばかーっ!」
何度も繰り出される鼻チョップを受け流しまくる放課後だった。
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