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2025年04月19日
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【ジェットストリームなでなで】
2010年02月17日
「あまり無茶な題を選ぶものではない」
「? いきなり何を言うておる。とうとう狂ったかの? まあ、貴様にしては遅いくらいじゃのういたたたた!」
いきなり失礼なまつりのほっぺを引っ張るのはいいとして、ジェットストリームなでなでか。黒い三連星に倣うとして……あと2人いるな。
「しかし、こんな奴を満足させるために人を使うのもなあ……」
「痛い痛い痛いと言っておる! わらわのほっぺが見えぬのかえ!? 大層面白いことになっておるではないか!」
「やあ、本当だ。びろーんと伸びてて……うひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「笑うな、阿呆! いいから離さぬか!」
怒られたので、手を離す。
「むー……まったく、女子に暴力をふるうとは呆れたものじゃの」
「まつりだけだよ、こんなことするの」
「ちっとも嬉しくないわいっ! なぜ目を輝かせてわらわの手を握るっ!?」
「いや、なんかモテ台詞だったし、落ちるかなーって」
「落ちるか、阿呆っ!」
「阿呆阿呆と失礼な奴め。そんな貴様にはこれがお似合いだっ!」
「なっ、何ィ!?」
まず俺がまつりに突進する。その突進を避けたまつりに分身した俺がなでなでをし、さらに分身した俺が上空からまつりめがけなでなでする手筈だったが、まつりは突進をよけなかった。
ていうか分身とか無理なので、よけられなくてよかった。
「……何をしておる」
突進をかました結果、まつりを押し倒した形になっており、俺の下に不満そうな顔をしたまつりがいます。
「ジェットストリームなでなで」
「じぇっと……何じゃ? よく分からんが、わらわを押し倒しただけじゃ。わらわに卑猥なことでもするのかえ? もっとも、そのような度胸があれば、の話じゃがの」
「いいの!? やったあ!」
「ちょっとは躊躇せんか、阿呆!」
「うーんうーん、どうしよう、よし卑猥なことをしよう!」
「形だけ躊躇すればいいってもんじゃないわい!」
「まつりの言うことは難しいので、最初にしようとしたことをします」
まつりを抱っこして、開いてる手でなでなで。
「ぬ……な、何をするのじゃ」
「ジェットストリームなでなで」
「よ、よく分からんがやめよ。な、なでなでなど、されても嬉しくないわい」
「む。なでなで力あっぷ」
「にゃにゃにゃ……にゃふー」
やや満足げに息を吐く猫っぽい娘さん。
「どうです?」
「や、やめぬか! わらわにこのようなことをして、ただで済むと」
「さらになでなで力あっぷ」
「にゃにゃにゃにゃ……にゃふー」
さらに満足そうな猫娘。
「ぬふー」
「いかん、にゃふー顔から戻らない! もう一生まつりはにゃふー顔のままだ! 神はいないのか!」
「失礼な事を言うな、愚か者がっ! 何がにゃふー顔じゃ! わらわはそのような間の抜けた顔などしておらん!」
「一秒前までしてましたが」
「お主の目が腐っただけじゃ」
「なるほどそうか!」
「納得してどうする!」
「しかし、俺の目が腐っているのか、それともまつりが実際ににゃふー顔になっているのか。これはもう一度ジェットストリームなでなでをする必要があるな」
「そんなものないわいっ! こ、こら、ないと言って、言っておる……にゃにゃにゃにゃにゃ、にゃふー」
「ノドの下くりくり」
「ぬー♪」
「うーん、実に猫っぽい」
「誰が猫かーっ!」
すごく怒られた。
「? いきなり何を言うておる。とうとう狂ったかの? まあ、貴様にしては遅いくらいじゃのういたたたた!」
いきなり失礼なまつりのほっぺを引っ張るのはいいとして、ジェットストリームなでなでか。黒い三連星に倣うとして……あと2人いるな。
「しかし、こんな奴を満足させるために人を使うのもなあ……」
「痛い痛い痛いと言っておる! わらわのほっぺが見えぬのかえ!? 大層面白いことになっておるではないか!」
「やあ、本当だ。びろーんと伸びてて……うひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「笑うな、阿呆! いいから離さぬか!」
怒られたので、手を離す。
「むー……まったく、女子に暴力をふるうとは呆れたものじゃの」
「まつりだけだよ、こんなことするの」
「ちっとも嬉しくないわいっ! なぜ目を輝かせてわらわの手を握るっ!?」
「いや、なんかモテ台詞だったし、落ちるかなーって」
「落ちるか、阿呆っ!」
「阿呆阿呆と失礼な奴め。そんな貴様にはこれがお似合いだっ!」
「なっ、何ィ!?」
まず俺がまつりに突進する。その突進を避けたまつりに分身した俺がなでなでをし、さらに分身した俺が上空からまつりめがけなでなでする手筈だったが、まつりは突進をよけなかった。
ていうか分身とか無理なので、よけられなくてよかった。
「……何をしておる」
突進をかました結果、まつりを押し倒した形になっており、俺の下に不満そうな顔をしたまつりがいます。
「ジェットストリームなでなで」
「じぇっと……何じゃ? よく分からんが、わらわを押し倒しただけじゃ。わらわに卑猥なことでもするのかえ? もっとも、そのような度胸があれば、の話じゃがの」
「いいの!? やったあ!」
「ちょっとは躊躇せんか、阿呆!」
「うーんうーん、どうしよう、よし卑猥なことをしよう!」
「形だけ躊躇すればいいってもんじゃないわい!」
「まつりの言うことは難しいので、最初にしようとしたことをします」
まつりを抱っこして、開いてる手でなでなで。
「ぬ……な、何をするのじゃ」
「ジェットストリームなでなで」
「よ、よく分からんがやめよ。な、なでなでなど、されても嬉しくないわい」
「む。なでなで力あっぷ」
「にゃにゃにゃ……にゃふー」
やや満足げに息を吐く猫っぽい娘さん。
「どうです?」
「や、やめぬか! わらわにこのようなことをして、ただで済むと」
「さらになでなで力あっぷ」
「にゃにゃにゃにゃ……にゃふー」
さらに満足そうな猫娘。
「ぬふー」
「いかん、にゃふー顔から戻らない! もう一生まつりはにゃふー顔のままだ! 神はいないのか!」
「失礼な事を言うな、愚か者がっ! 何がにゃふー顔じゃ! わらわはそのような間の抜けた顔などしておらん!」
「一秒前までしてましたが」
「お主の目が腐っただけじゃ」
「なるほどそうか!」
「納得してどうする!」
「しかし、俺の目が腐っているのか、それともまつりが実際ににゃふー顔になっているのか。これはもう一度ジェットストリームなでなでをする必要があるな」
「そんなものないわいっ! こ、こら、ないと言って、言っておる……にゃにゃにゃにゃにゃ、にゃふー」
「ノドの下くりくり」
「ぬー♪」
「うーん、実に猫っぽい」
「誰が猫かーっ!」
すごく怒られた。
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【男の匂いが大好きなツンデレ】
2010年01月31日
何の約束もしてないのにいきなり人の部屋に上がりこんできて、あまつさえ茶を持て愚民とかいうたわけた奴だーれだ?
「答え:まつり」
「ひゃー! ひっはふは、ははー!」
まつりのほっぺを引っ張って溜飲を下げてから、とりあえず何の用か訊ねる。
「ううう……わらわのほっぺを引っ張るとは何事じゃ、この大莫迦者め!」
「もう一度引っ張りましょうか」
「暇じゃから遊びに来てやったのじゃ、喜べうつけ者!」
手をわきわきさせながら近寄ると、まつりは早口に用件を告げた。
「ふん、最初っからそう言えば痛い目に遭わなかったものを」
「かんっぺきに悪人の台詞じゃの。まあ、元々悪人じゃから問題ないがの。にゃはははあぅーっ!」
最後にあぅあぅ語になったのは、まつりのほっぺが僕に引っ張られているからです。
「うー……すぐに暴力を振るいおって。覚えておれ、いつか絶対に復讐してやるからの」
「何か言う時はもっと近くに来てもらわないと聞こえません」
俺の攻撃範囲から逃れるためか、まつりはベッドと壁の隙間にちょこんと座り込み、何かぶつぶつ言っていた。
「なんでもないわい! それより、早く茶を持て。わらわはのどが渇いた」
「偉そうな……まあいいや、淹れてやるよ」
「高級な茶じゃないと駄目じゃぞ?」
「分かった、高級な茶に混入する」
「何を!? ていうか何も入れるな、愚か者!」
「…………」
「な、何か言え、言わぬか! わ、わらわを怯えさせるなど百年早いのじゃ! じゃから早く何か言うのじゃ!」
暗い笑みを残して、部屋を出て行く。まあ、高級ではないけど、茶くらい普通に出してやるか。
茶葉を急須に入れ、そこにポットから湯を入れ……ようと思ったが、沸いてない。
しょうがないのでヤカンで沸かし、それを湯飲みに注ぐ。ちょい時間がかかったが、完成したのでもよんもよんしながら戻る。
ノブを掴んだ時、ふと部屋の中から奇妙な声が聞こえてきた。少しだけドアを開き、中を覗き見る。
「…………」
ベッドの上に座り、まつりは熱い視線を俺が脱ぎ散らかしていたカッターシャツに注いでいた。
「……全然帰ってこんし、大丈夫じゃ……の?」
何の話だと思っていたら、まつりは意を決した表情でシャツを手に取った。
「んー♪」
そして、おもむろに顔に押し付けるではないか。人のシャツを顔に押し付けているではないか。嬉しそうな声を響かせベッドをごろんごろん転がってるではないか。
「んー、んぅー、んー♪」
それだけで飽き足らないのか、まつりはシャツを咥えてふんふん振り回した。犬?
中々に愉快な絵ではあるが、こんな様子を見られたとあってはまつりも耐えられないだろう。音を立てないようそーっと台所に戻ろうとした第一歩目で、廊下がみしりと音を立てた。
その瞬間、部屋の中からどすんばたんどでんという愉快なのか愉快でないのか分からない音が響いた。そして、それきり何の音もしなくなった。完全にばれた。
……いつまでもここでこうしていても仕方ない。意を決して部屋に入る。
「や、やあまつり。こんなところで会えるだなんて、運命だと思わないかい?」
「……覗いてたじゃろ」
まつりはベッドと壁の間に座り込み、顔を真っ赤にして俺を睨んでいた。
「な、何のことか俺には皆目」
「わらわが貴様のシャツをくんくんしてるの見てたんじゃろっ!」
隣近所にまで響かんばかりの大声で叫ぶまつり嬢。色々勘弁して。
「い、いやぁ、どうだったかな? はっはっは」
「う~……こ、これでわらわの優位に立ったつもりか! こ、この程度でわらわの牙城が崩れると思うたか、この痴れ者が!」
む。人が折角気づかないフリをしてやってるというのに、なんだこの態度。それならそれで、こっちにも考えがある。
「はうわっ!?」
先ほどまつりがふんがふんがしていたシャツを手に取り、ふんが部に顔をつける。
「やっ、やめぬか、この大莫迦者! 離せ、離せーっ!」
「や、俺のシャツだし。ただ、どういうわけかまつりの匂いがしますね。はっはっは」
「笑うな、阿呆! ……そ、そっちがそういうつもりなら……」
そう言うと、まつりはふんがシャツを引っ張った。
「これと貴様を始末すれば、最早わらわを脅かすものは存在せぬ! 潔く露と消えい!」
「超嫌です」
まつりがぐぃーっと引っ張り、俺もぐぃーっと引っ張る。互いの力でシャツがぴーんと引き伸ばされており、今にも千切れそうだ。あ、千切れた。
「ふぎゃーっ!?」
千切れるのを予期していた俺はともかく、全力で引っ張っていたまつりは千切れたシャツを持ったままぐりんぐりん後方回転し、やがて壁に激突するとその動きを止めた。
「死んだ? もし死んでたら埋めるので、そのように言って」
「……し、死んでないわいっ! 埋めるなっ!」
ゾンビみたいな動きで起き上がると、まつりはその手にシャツがあることに気づいた。
「……くくく。これさえ処分すれば、あとは貴様だけじゃ」
「いや、ここにもあるし」
そう言って、千切れたシャツを見せる。ちょうど真ん中あたりで千切れており、ふんが部が二つに分かれた形になっている。
「よ、よこせ阿呆! これはわらわが処分する!」
「『これで家でもふんがふんがし放題で、らっきーにゃ♪』って言ったら譲る」
「だっ、だだだだだ誰がそんなことするか、あ、阿呆!」
ものすごく動揺しているように見えるのは、僕の気のせいでしょうか。
「……あー、まあいいや。破れちまったし、やるよ」
「本当かっ!? ……あ、いや、別に欲しいとかじゃないんじゃぞ? 処分するだけじゃぞ?」
「じゃあこっちで捨ててもいいけど」
「わらわに任せよっ!」
素早く俺の手からシャツを奪うと、まつりは後ろを向いた。
「……これで、家で嗅ぎ放題じゃ」
「独り言は聞こえないようにお願いします」
「おっ、乙女の独り言を聞くなっ、阿呆!」
殴りかかってきたまつりをさらりとかわし、そのまま脇固めへと移行。
「ふぎゃー! 痛い痛い痛いのじゃー! 乙女にする技じゃないのじゃー!」
「まるで恋人同士がじゃれあっているようで素敵だね」
「恋人にプロレス技をする奴がおるか、阿呆ーっ! 痛い痛い痛いっ、ぎぶあっぷ、ぎぶあっぷじゃー!」
必死に俺の腕をタップするまつりだった。
「答え:まつり」
「ひゃー! ひっはふは、ははー!」
まつりのほっぺを引っ張って溜飲を下げてから、とりあえず何の用か訊ねる。
「ううう……わらわのほっぺを引っ張るとは何事じゃ、この大莫迦者め!」
「もう一度引っ張りましょうか」
「暇じゃから遊びに来てやったのじゃ、喜べうつけ者!」
手をわきわきさせながら近寄ると、まつりは早口に用件を告げた。
「ふん、最初っからそう言えば痛い目に遭わなかったものを」
「かんっぺきに悪人の台詞じゃの。まあ、元々悪人じゃから問題ないがの。にゃはははあぅーっ!」
最後にあぅあぅ語になったのは、まつりのほっぺが僕に引っ張られているからです。
「うー……すぐに暴力を振るいおって。覚えておれ、いつか絶対に復讐してやるからの」
「何か言う時はもっと近くに来てもらわないと聞こえません」
俺の攻撃範囲から逃れるためか、まつりはベッドと壁の隙間にちょこんと座り込み、何かぶつぶつ言っていた。
「なんでもないわい! それより、早く茶を持て。わらわはのどが渇いた」
「偉そうな……まあいいや、淹れてやるよ」
「高級な茶じゃないと駄目じゃぞ?」
「分かった、高級な茶に混入する」
「何を!? ていうか何も入れるな、愚か者!」
「…………」
「な、何か言え、言わぬか! わ、わらわを怯えさせるなど百年早いのじゃ! じゃから早く何か言うのじゃ!」
暗い笑みを残して、部屋を出て行く。まあ、高級ではないけど、茶くらい普通に出してやるか。
茶葉を急須に入れ、そこにポットから湯を入れ……ようと思ったが、沸いてない。
しょうがないのでヤカンで沸かし、それを湯飲みに注ぐ。ちょい時間がかかったが、完成したのでもよんもよんしながら戻る。
ノブを掴んだ時、ふと部屋の中から奇妙な声が聞こえてきた。少しだけドアを開き、中を覗き見る。
「…………」
ベッドの上に座り、まつりは熱い視線を俺が脱ぎ散らかしていたカッターシャツに注いでいた。
「……全然帰ってこんし、大丈夫じゃ……の?」
何の話だと思っていたら、まつりは意を決した表情でシャツを手に取った。
「んー♪」
そして、おもむろに顔に押し付けるではないか。人のシャツを顔に押し付けているではないか。嬉しそうな声を響かせベッドをごろんごろん転がってるではないか。
「んー、んぅー、んー♪」
それだけで飽き足らないのか、まつりはシャツを咥えてふんふん振り回した。犬?
中々に愉快な絵ではあるが、こんな様子を見られたとあってはまつりも耐えられないだろう。音を立てないようそーっと台所に戻ろうとした第一歩目で、廊下がみしりと音を立てた。
その瞬間、部屋の中からどすんばたんどでんという愉快なのか愉快でないのか分からない音が響いた。そして、それきり何の音もしなくなった。完全にばれた。
……いつまでもここでこうしていても仕方ない。意を決して部屋に入る。
「や、やあまつり。こんなところで会えるだなんて、運命だと思わないかい?」
「……覗いてたじゃろ」
まつりはベッドと壁の間に座り込み、顔を真っ赤にして俺を睨んでいた。
「な、何のことか俺には皆目」
「わらわが貴様のシャツをくんくんしてるの見てたんじゃろっ!」
隣近所にまで響かんばかりの大声で叫ぶまつり嬢。色々勘弁して。
「い、いやぁ、どうだったかな? はっはっは」
「う~……こ、これでわらわの優位に立ったつもりか! こ、この程度でわらわの牙城が崩れると思うたか、この痴れ者が!」
む。人が折角気づかないフリをしてやってるというのに、なんだこの態度。それならそれで、こっちにも考えがある。
「はうわっ!?」
先ほどまつりがふんがふんがしていたシャツを手に取り、ふんが部に顔をつける。
「やっ、やめぬか、この大莫迦者! 離せ、離せーっ!」
「や、俺のシャツだし。ただ、どういうわけかまつりの匂いがしますね。はっはっは」
「笑うな、阿呆! ……そ、そっちがそういうつもりなら……」
そう言うと、まつりはふんがシャツを引っ張った。
「これと貴様を始末すれば、最早わらわを脅かすものは存在せぬ! 潔く露と消えい!」
「超嫌です」
まつりがぐぃーっと引っ張り、俺もぐぃーっと引っ張る。互いの力でシャツがぴーんと引き伸ばされており、今にも千切れそうだ。あ、千切れた。
「ふぎゃーっ!?」
千切れるのを予期していた俺はともかく、全力で引っ張っていたまつりは千切れたシャツを持ったままぐりんぐりん後方回転し、やがて壁に激突するとその動きを止めた。
「死んだ? もし死んでたら埋めるので、そのように言って」
「……し、死んでないわいっ! 埋めるなっ!」
ゾンビみたいな動きで起き上がると、まつりはその手にシャツがあることに気づいた。
「……くくく。これさえ処分すれば、あとは貴様だけじゃ」
「いや、ここにもあるし」
そう言って、千切れたシャツを見せる。ちょうど真ん中あたりで千切れており、ふんが部が二つに分かれた形になっている。
「よ、よこせ阿呆! これはわらわが処分する!」
「『これで家でもふんがふんがし放題で、らっきーにゃ♪』って言ったら譲る」
「だっ、だだだだだ誰がそんなことするか、あ、阿呆!」
ものすごく動揺しているように見えるのは、僕の気のせいでしょうか。
「……あー、まあいいや。破れちまったし、やるよ」
「本当かっ!? ……あ、いや、別に欲しいとかじゃないんじゃぞ? 処分するだけじゃぞ?」
「じゃあこっちで捨ててもいいけど」
「わらわに任せよっ!」
素早く俺の手からシャツを奪うと、まつりは後ろを向いた。
「……これで、家で嗅ぎ放題じゃ」
「独り言は聞こえないようにお願いします」
「おっ、乙女の独り言を聞くなっ、阿呆!」
殴りかかってきたまつりをさらりとかわし、そのまま脇固めへと移行。
「ふぎゃー! 痛い痛い痛いのじゃー! 乙女にする技じゃないのじゃー!」
「まるで恋人同士がじゃれあっているようで素敵だね」
「恋人にプロレス技をする奴がおるか、阿呆ーっ! 痛い痛い痛いっ、ぎぶあっぷ、ぎぶあっぷじゃー!」
必死に俺の腕をタップするまつりだった。
【ツンデレに夜食は太るぞって言ったら】
2010年01月30日
いきなりまつりが押しかけてきたので、塩をまいたら大変怒られた。仕方ないので部屋にあげて遊んでたら夜中になった。
「ぬー……やいタカシ、わらわはお腹が空いたのじゃ。何かあまーいものを食べたいのじゃ。今すぐ用意せい」
「面倒だけど、他ならぬまつりの頼みだし、道端に落ちてる犬のフンをかりんとうと偽って用意するよ」
「普通に甘いものを用意せぬかっ! どうしてお前は普通に『ははー、分かりました、まつり様』と言えぬのじゃ? もっとわらわを崇めい、たわけめ」
それは普通じゃないなあ、と思いながらまつりのほっぺをむにーっと引っ張る。
「ははへっ、ははふはっ! はははひほふはほほひへ、ははへふふほほほっへひふほはーっ!」
「用意するのは構わんが、まつりよ。こんな夜中に飯なんか食って、太らないか?」
むにむにするのに満足したので手を離し、今度はまつりの腹をつんつくしながら訊ねる。
「わ、わらわが太っておると言うのかっ! わらわのどこに肉があるというのかや!?」
「……まあ、肉はないよな」
自然、視線が腹から胸へと移動して行く。
「あーっ!? いま、胸のことを! わらわの胸のことを言ったな!?」
「胸のことも言った」
「も!?」
イチイチうるせえ。
「とにかく、夜食は不許可。今すぐ餓死するとかじゃない限り、甘いものは出しません」
「が、餓死するぞよ? わらわ、今すぐ餓死するぞよ? あー、お腹きゅるきゅる、目の前真っ暗。今にも死にそうじゃわい。……の?」
の? とか言いながら俺を上目遣いで見るずるいお嬢さん。
「……はぁ。何がいい?」
「めろんぱん! 外はサクサクで、中はふわふわのがいいのじゃ! ぬべーっとしとるのはダメじゃぞ? あれは邪道じゃからのぉ」
「分かったよ。どっかでメロンとパン買ってくるよ」
「ちがわいっ! 別にパンの中にメロンが入ってるんじゃないのじゃ! あれはメロンパンという名の、メロンを模したパンなのじゃ! そんなことも分からぬとは、暗愚よのぅ。にゃーっはっはっはっは!」
「お前はそこで乾いていけ」
大変むかついたので、浮かしかけた腰を再び下ろして徹底抗戦の構えにつく。
「あっ、うそ、うそじゃ。わらわの可愛い嘘じゃ。こんな可愛い嘘にへそを曲げるほどおぬしは狭量な男ではないじゃろ? の?」
メロンパン奪還に向け、背中を向けた俺に抱きつき媚を売りまくるまつり。分かってるけど、こうもすりすりされては口をへの字に維持するのも至難の業だ。
「……まぁいいや。コンビニのでいいな?」
「うむ♪ 一緒にヤクルトも買ってくるのじゃ」
「……今更乳製品摂っても変わらんと思うが」
「またわらわの胸のことを!?」
「いや、今回は背」
「背!?」
胸を押さえたり頭押さえたり、忙しいなあ。
「いーから買ってくるのじゃ! 買ってくるのじゃ!」
「わーったよ。んじゃ、金くれ」
「ぬ? おごりに決まっておろう」
差し出した手を、そのまままつりの顔に押し付ける。
「ぬ?」
そして、万力のような力を持って締め付ける。
「みぎゃーっ!? 痛い痛い痛いのじゃー! 顔がー、わらわの顔がーっ!?」
「お金ください」
「やるやる、いくらでもやるのじゃー! じゃから一刻も早く手をのけるのじゃーっ!!!」
正しい取引が行えたので、まつりの顔から手を離す。
「ううううう……なんという悪辣な輩じゃ。火事にでも遭えばいいのじゃ」
「もしそうなったら、まつりの家に転がり込むしかないな」
「火の始末は大事じゃぞ!?」
防災の危機管理を聞いた後、まつりから金を貰ってコンビニへ。適当にメロンパンとヤクルトを買って帰宅。
「遅いのじゃ! お腹が減って死ぬかと思ったのじゃ!」
「もしゃもしゃ、すまん」
「なんでわらわのメロンパンを食っとるのじゃーっ!?」
面白いなあコイツ。
「よこせっ! ……ああ、半分も食べておるではないか。おぬしは鬼かえ?」
「人です」
半泣きで俺の歯型がついたメロンパンを見つめるまつり。こんなことで泣くな。
「ううう……こんな奴しか召使いがおらぬとは、わらわも堕ちたものよのぉ……はぐはぐ」
「誰が召使いだと一応つっこみつつ、俺との間接キスを何ら気にしないまつりに覇王のオーラを見た」
「にゃぐわっ!?」
「にゃぐわ?」
「な、なんでもないのじゃ。……さ、さて、わらわは貴様のような小者など気にしないので、引き続きパンを食うのじゃ」
とは言いながらも、それ以上口をつけようとはしない。視線はメロンパンと俺を行ったり来たり、頬は紅潮してなんとも言いがたい雰囲気に包まれている。
「そんな食いにくいなら、俺が反対側から食べてお前はその反対から食べる恋人食いをしても構わんが」
「余計食べにくいわっ! も、もうよい、黙っておれ。……わ、わらわは覇王となる者。この程度の困難、ちょちょいのちょいで乗り越えてくれるわっ!」
そう言うと、まつりは目をつむって大きく口を開けた。そして、がぷりとメロンパンをほうばった。
「むしゃむしゃむしゃ! ……ど、どうじゃ、わらわの偉業!」
「すげー」
「心がこもってないのじゃ。もっと心の底からわらわを褒め称えぬかっ!」
「パンひとつでそこまで偉そうにできるまつりに脱帽」
「……何か、いまひとつ嬉しくないのじゃが」
「不思議だねもぐもぐ」
「ぬー……ぬ? あああああっ! 貴様っ、どうしてわらわのパンを食べておるのじゃ!?」
さっきまでまつりの手にあったパンが、気がつけば俺の手の内に収まっている不思議。
「や、俺も小腹が減ってて」
そう言いながら、最後の欠片を口の中に入れる。なかなかどうして、最近のパンはコンビニのでもうまいなあ。
「わ、わらわのめろんぱんが! ……どーしてくれるのじゃ!」
「まあ、全部食うより美容のためにはいいじゃん」
「そ、それはそうじゃが……もしかして、そのためにわざと食ったのかえ?」
「いや、さっきも言ったように小腹が空いたから」
「コイツ適当じゃーっ! ばかめーっ! うわーんっ!」
半泣きでぺこぽこ叩いてくるまつりをいなすのに忙しい夜だった。
「ぬー……やいタカシ、わらわはお腹が空いたのじゃ。何かあまーいものを食べたいのじゃ。今すぐ用意せい」
「面倒だけど、他ならぬまつりの頼みだし、道端に落ちてる犬のフンをかりんとうと偽って用意するよ」
「普通に甘いものを用意せぬかっ! どうしてお前は普通に『ははー、分かりました、まつり様』と言えぬのじゃ? もっとわらわを崇めい、たわけめ」
それは普通じゃないなあ、と思いながらまつりのほっぺをむにーっと引っ張る。
「ははへっ、ははふはっ! はははひほふはほほひへ、ははへふふほほほっへひふほはーっ!」
「用意するのは構わんが、まつりよ。こんな夜中に飯なんか食って、太らないか?」
むにむにするのに満足したので手を離し、今度はまつりの腹をつんつくしながら訊ねる。
「わ、わらわが太っておると言うのかっ! わらわのどこに肉があるというのかや!?」
「……まあ、肉はないよな」
自然、視線が腹から胸へと移動して行く。
「あーっ!? いま、胸のことを! わらわの胸のことを言ったな!?」
「胸のことも言った」
「も!?」
イチイチうるせえ。
「とにかく、夜食は不許可。今すぐ餓死するとかじゃない限り、甘いものは出しません」
「が、餓死するぞよ? わらわ、今すぐ餓死するぞよ? あー、お腹きゅるきゅる、目の前真っ暗。今にも死にそうじゃわい。……の?」
の? とか言いながら俺を上目遣いで見るずるいお嬢さん。
「……はぁ。何がいい?」
「めろんぱん! 外はサクサクで、中はふわふわのがいいのじゃ! ぬべーっとしとるのはダメじゃぞ? あれは邪道じゃからのぉ」
「分かったよ。どっかでメロンとパン買ってくるよ」
「ちがわいっ! 別にパンの中にメロンが入ってるんじゃないのじゃ! あれはメロンパンという名の、メロンを模したパンなのじゃ! そんなことも分からぬとは、暗愚よのぅ。にゃーっはっはっはっは!」
「お前はそこで乾いていけ」
大変むかついたので、浮かしかけた腰を再び下ろして徹底抗戦の構えにつく。
「あっ、うそ、うそじゃ。わらわの可愛い嘘じゃ。こんな可愛い嘘にへそを曲げるほどおぬしは狭量な男ではないじゃろ? の?」
メロンパン奪還に向け、背中を向けた俺に抱きつき媚を売りまくるまつり。分かってるけど、こうもすりすりされては口をへの字に維持するのも至難の業だ。
「……まぁいいや。コンビニのでいいな?」
「うむ♪ 一緒にヤクルトも買ってくるのじゃ」
「……今更乳製品摂っても変わらんと思うが」
「またわらわの胸のことを!?」
「いや、今回は背」
「背!?」
胸を押さえたり頭押さえたり、忙しいなあ。
「いーから買ってくるのじゃ! 買ってくるのじゃ!」
「わーったよ。んじゃ、金くれ」
「ぬ? おごりに決まっておろう」
差し出した手を、そのまままつりの顔に押し付ける。
「ぬ?」
そして、万力のような力を持って締め付ける。
「みぎゃーっ!? 痛い痛い痛いのじゃー! 顔がー、わらわの顔がーっ!?」
「お金ください」
「やるやる、いくらでもやるのじゃー! じゃから一刻も早く手をのけるのじゃーっ!!!」
正しい取引が行えたので、まつりの顔から手を離す。
「ううううう……なんという悪辣な輩じゃ。火事にでも遭えばいいのじゃ」
「もしそうなったら、まつりの家に転がり込むしかないな」
「火の始末は大事じゃぞ!?」
防災の危機管理を聞いた後、まつりから金を貰ってコンビニへ。適当にメロンパンとヤクルトを買って帰宅。
「遅いのじゃ! お腹が減って死ぬかと思ったのじゃ!」
「もしゃもしゃ、すまん」
「なんでわらわのメロンパンを食っとるのじゃーっ!?」
面白いなあコイツ。
「よこせっ! ……ああ、半分も食べておるではないか。おぬしは鬼かえ?」
「人です」
半泣きで俺の歯型がついたメロンパンを見つめるまつり。こんなことで泣くな。
「ううう……こんな奴しか召使いがおらぬとは、わらわも堕ちたものよのぉ……はぐはぐ」
「誰が召使いだと一応つっこみつつ、俺との間接キスを何ら気にしないまつりに覇王のオーラを見た」
「にゃぐわっ!?」
「にゃぐわ?」
「な、なんでもないのじゃ。……さ、さて、わらわは貴様のような小者など気にしないので、引き続きパンを食うのじゃ」
とは言いながらも、それ以上口をつけようとはしない。視線はメロンパンと俺を行ったり来たり、頬は紅潮してなんとも言いがたい雰囲気に包まれている。
「そんな食いにくいなら、俺が反対側から食べてお前はその反対から食べる恋人食いをしても構わんが」
「余計食べにくいわっ! も、もうよい、黙っておれ。……わ、わらわは覇王となる者。この程度の困難、ちょちょいのちょいで乗り越えてくれるわっ!」
そう言うと、まつりは目をつむって大きく口を開けた。そして、がぷりとメロンパンをほうばった。
「むしゃむしゃむしゃ! ……ど、どうじゃ、わらわの偉業!」
「すげー」
「心がこもってないのじゃ。もっと心の底からわらわを褒め称えぬかっ!」
「パンひとつでそこまで偉そうにできるまつりに脱帽」
「……何か、いまひとつ嬉しくないのじゃが」
「不思議だねもぐもぐ」
「ぬー……ぬ? あああああっ! 貴様っ、どうしてわらわのパンを食べておるのじゃ!?」
さっきまでまつりの手にあったパンが、気がつけば俺の手の内に収まっている不思議。
「や、俺も小腹が減ってて」
そう言いながら、最後の欠片を口の中に入れる。なかなかどうして、最近のパンはコンビニのでもうまいなあ。
「わ、わらわのめろんぱんが! ……どーしてくれるのじゃ!」
「まあ、全部食うより美容のためにはいいじゃん」
「そ、それはそうじゃが……もしかして、そのためにわざと食ったのかえ?」
「いや、さっきも言ったように小腹が空いたから」
「コイツ適当じゃーっ! ばかめーっ! うわーんっ!」
半泣きでぺこぽこ叩いてくるまつりをいなすのに忙しい夜だった。
【ツンデレに朝ごはんはパンとご飯どっち派って聞かれたら】
2010年01月25日
まつりがいたのでセクハラしたら怒られた。
「その、後学のために聞いておきたいのだけど、どこからがセクハラで、どこからが親愛の情を示す行為なのだ?」
「人のスカートの中に頭を突っ込むのは押し並べてセクハラじゃっ!」
「いい匂いなのに!?」
「匂いは関係ないわい、愚か者っ! いい匂いとか言うでない、阿呆っ!」
「臭いと言えと。嘘は基本的に嫌いなんだが……まつりのたっての願いだ、承ろう。まつりの尻が臭い!」
「お前もうわらわに近寄っちゃダメなのじゃー! うわーん!」
「わははは愉快痛快。ところでまつり」
「ぐすぐす……なんなのじゃ? また酷いことするのかえ?」
「それはまた後で」
「するの!?」
「今日朝ごはん食べた? 朝飯を食わないと元気が出ないぞ。でも一説によると食わない方が健康にいいという話もあるが、どうだろう」
「わらわを惑わすなッ! どちらかに統一するのじゃ!」
「まあ俺の持論はともあれ、朝飯食ったか?」
「ふん、無論じゃ。わらわは朝はご飯をむしゃむしゃ食べるのじゃ。おいしいのじゃよ?」
「ふむ、まつりは朝食に生米だけを食う偏食家、と……メモメモ」
「わらわの間違った情報がメモ帳に記されておる!? 違うのじゃ、わらわはご飯のほかにおかずも食べるし、何より生米など食べぬぞ!?」
「生麦生米生卵。はい」
「なみゃみゅぎなまごめなまままごっ! ……ふふん?」
「いや、言えてないから」
「なんでなのじゃ! ふがー!」
「俺に怒られても。ていうか、そんなのどうでもいい」
「そうなのじゃ。朝食の話をしていたのに、どうして早口言葉になっているのじゃ。まったく、貴様と話しているといつもこれじゃ。脱線せずにはいられんのかえ?」
「いられんのかえ。んーで、まつりの朝はご飯派なのな?」
「なのなのじゃ。貴様はどちらなのじゃ? ご飯かえ? パンかえ?」
「食べるのはお前だー」
「きゃー! ……とでも言うと思うたか、愚か者! 何じゃそのやる気のない演技は! そもそも、それが赤ずきんの狼と一体誰が分かると言うのじゃ!」
「お前は分かってるじゃん」
「わ、わらわは、その、……貴様と一緒にいる時間が長いから、その、じゃな……?」
まつりは突然もじもじと自分の指と指を合わせ、俺を上目遣いがちに見た。
「……な、なんでもないのじゃ! 馬鹿者!」
「怒られる意味が分かりませんが」
「うるさいのじゃ! そんなのどーでもいいからご飯の種類を教えるのじゃ!」
「それこそどうでもいい話題かと思うますが」
「うるさいうるさいうるさいのじゃ! わらわはどーしても気になるのじゃ!」
「パンツ見せてくれたら教える」
「もう既に見られた後じゃー! うわーん!」
「さう言えばさうでしたね。しまぱんラブリー」
「うわーん、言ったらダメなのじゃー!」
「まあ見ちゃったので言います。俺は朝は食べません」
「ぐすぐす……ダメじゃよ? 朝は食べぬと」
「や、朝はギリギリまで寝ていたくて。そうすると朝に飯を食う時間がなくなり、結果昼まで腹を空かすことになるので腹が減った」
「……なんじゃ、結局それが言いたくてこの話をしたのかえ?」
「いやまぁそういうことなんですよウヒヒヒヒ」
「極端に気持ち悪い生物が発生したのじゃ!」
大変傷ついた。
「ふ、ふん、わらわをいつもいつもいじめておいて、何を傷ついたフリをしておるか」
「明日死にます」
「自殺をほのめかしておる!? そ、そこまでショックを受けずとも……」
「遺書にはまつりへの恨みつらみパンツの色を書いておきます」
「聞き逃せぬことをさらりと言いおったな!?」
「それが嫌なら少しだけ今お弁当分けてください。お腹が空いて力が出ないんだ。あと、財布も忘れたので早弁も出来ないんだ」
「……何もかもダメじゃな、貴様」
「ぐぅ」
「しょうがないのぉ……優しい優しいわらわが貴様に弁当を分けてやるのじゃ。感謝せぬとダメじゃぞ?」
「おおっ、さすがはまつり! これからはブログにまつりのパンツの色を書き込むのやめるよ!」
「わらわの個人情報が流出!?」
俺の嘘情報に半泣きのまつりだった。
「その、後学のために聞いておきたいのだけど、どこからがセクハラで、どこからが親愛の情を示す行為なのだ?」
「人のスカートの中に頭を突っ込むのは押し並べてセクハラじゃっ!」
「いい匂いなのに!?」
「匂いは関係ないわい、愚か者っ! いい匂いとか言うでない、阿呆っ!」
「臭いと言えと。嘘は基本的に嫌いなんだが……まつりのたっての願いだ、承ろう。まつりの尻が臭い!」
「お前もうわらわに近寄っちゃダメなのじゃー! うわーん!」
「わははは愉快痛快。ところでまつり」
「ぐすぐす……なんなのじゃ? また酷いことするのかえ?」
「それはまた後で」
「するの!?」
「今日朝ごはん食べた? 朝飯を食わないと元気が出ないぞ。でも一説によると食わない方が健康にいいという話もあるが、どうだろう」
「わらわを惑わすなッ! どちらかに統一するのじゃ!」
「まあ俺の持論はともあれ、朝飯食ったか?」
「ふん、無論じゃ。わらわは朝はご飯をむしゃむしゃ食べるのじゃ。おいしいのじゃよ?」
「ふむ、まつりは朝食に生米だけを食う偏食家、と……メモメモ」
「わらわの間違った情報がメモ帳に記されておる!? 違うのじゃ、わらわはご飯のほかにおかずも食べるし、何より生米など食べぬぞ!?」
「生麦生米生卵。はい」
「なみゃみゅぎなまごめなまままごっ! ……ふふん?」
「いや、言えてないから」
「なんでなのじゃ! ふがー!」
「俺に怒られても。ていうか、そんなのどうでもいい」
「そうなのじゃ。朝食の話をしていたのに、どうして早口言葉になっているのじゃ。まったく、貴様と話しているといつもこれじゃ。脱線せずにはいられんのかえ?」
「いられんのかえ。んーで、まつりの朝はご飯派なのな?」
「なのなのじゃ。貴様はどちらなのじゃ? ご飯かえ? パンかえ?」
「食べるのはお前だー」
「きゃー! ……とでも言うと思うたか、愚か者! 何じゃそのやる気のない演技は! そもそも、それが赤ずきんの狼と一体誰が分かると言うのじゃ!」
「お前は分かってるじゃん」
「わ、わらわは、その、……貴様と一緒にいる時間が長いから、その、じゃな……?」
まつりは突然もじもじと自分の指と指を合わせ、俺を上目遣いがちに見た。
「……な、なんでもないのじゃ! 馬鹿者!」
「怒られる意味が分かりませんが」
「うるさいのじゃ! そんなのどーでもいいからご飯の種類を教えるのじゃ!」
「それこそどうでもいい話題かと思うますが」
「うるさいうるさいうるさいのじゃ! わらわはどーしても気になるのじゃ!」
「パンツ見せてくれたら教える」
「もう既に見られた後じゃー! うわーん!」
「さう言えばさうでしたね。しまぱんラブリー」
「うわーん、言ったらダメなのじゃー!」
「まあ見ちゃったので言います。俺は朝は食べません」
「ぐすぐす……ダメじゃよ? 朝は食べぬと」
「や、朝はギリギリまで寝ていたくて。そうすると朝に飯を食う時間がなくなり、結果昼まで腹を空かすことになるので腹が減った」
「……なんじゃ、結局それが言いたくてこの話をしたのかえ?」
「いやまぁそういうことなんですよウヒヒヒヒ」
「極端に気持ち悪い生物が発生したのじゃ!」
大変傷ついた。
「ふ、ふん、わらわをいつもいつもいじめておいて、何を傷ついたフリをしておるか」
「明日死にます」
「自殺をほのめかしておる!? そ、そこまでショックを受けずとも……」
「遺書にはまつりへの恨みつらみパンツの色を書いておきます」
「聞き逃せぬことをさらりと言いおったな!?」
「それが嫌なら少しだけ今お弁当分けてください。お腹が空いて力が出ないんだ。あと、財布も忘れたので早弁も出来ないんだ」
「……何もかもダメじゃな、貴様」
「ぐぅ」
「しょうがないのぉ……優しい優しいわらわが貴様に弁当を分けてやるのじゃ。感謝せぬとダメじゃぞ?」
「おおっ、さすがはまつり! これからはブログにまつりのパンツの色を書き込むのやめるよ!」
「わらわの個人情報が流出!?」
俺の嘘情報に半泣きのまつりだった。
【かまくらを作るツンデレ】
2010年01月21日
今年の冬はすごい。普段は滅多に雪なんて降らない地方なのに、今日は一面銀世界だ。
「ぬふふー、かまくらじゃ、かまくらなのじゃー」
それに浮かれたまつりが学校の校庭に勝手にかまくらを作ってる。今は内部を施行しているようなので、ばれないようにそっと近づき、入り口を雪で硬く硬く塞ぐ。
「ふう、とりあえずこんなものなのじゃ。次は……ぬ? な、何なのじゃー!?」
どうやら入り口が塞がっていることに気がついたようだ。外側から聞き耳を立てることにする。
「入り口が埋まってるのじゃ! 一大事なのじゃ! このままでは春まで発見されないのじゃ!」
いや、その前に普通に餓死か凍死すると思う。などと考えていると、内側からドンドンと激しい衝撃音が聞こえてきた。
入り口を体当たりしているようだが、まつりの小さな身体程度ではビクともしないほど固めているので自力での脱出は難しいだろう。
「はぁはぁ……ちっとも崩れないのじゃ。……ま、まさか、本当に閉じ込められたのかえ?」
そうです。正確には俺が閉じ込めたんだけど。
「……だ、誰か傍にいないかえ? わ、わらわはまだここにいるのじゃ、誰か助けてたもれ!」
む。声に少々泣きが入っている。面白かったし、そろそろ助けるか。
「おや、こんなところにカマクラのような何かが」
わざとらしく声をあげて、俺が近くにいることをまつりに知らせる。
「!!! その声、タカシか!」
「それはどうかな?」
「その人を食った言い回しは絶対タカシなのじゃ! 特別に命ずる、わらわを助けよ!」
「まつりのためなら、この命、惜しくはない! どうすればいい、指示してくれ!」
「タカシ……わらわ、感激なのじゃ! で、では、このカマクラの入り口を崩してほしいのじゃ!」
「寒いから嫌だ」
「命を惜しまないって言った口で、寒いから嫌!? 寒さ>命なのかえ!?」
「じゃあまた春にでも」
「待って待ってお願い助けて! 寒くて死にそうなのじゃ!」
「三回まわってワンって言ったら助ける」
「ぐるぐるぐる、わん! 言ったのじゃ! 助けてたもれ!」
「ここからじゃ内部が見えない。本当にしたか確認できないので、残念ながら助けられません」
「タカシは悪魔なのじゃー! うわーん!」
いかん、泣かしてしまった。しょうがないのでパワーオブパワーで入り口を崩す。
「ぐすぐす……ん?」
「大丈夫か?」
「タカシー! ふわーん!」
まつりが泣きながら俺の胸に飛び込んできた。
「ううう……怖かったのじゃ、もう一生閉じ込められたものだと思ったのじゃー」
「よしよし、もう大丈夫だぞ」(なでなで)
「ううう……ふぅー」
まつりは俺になでられ、安心したように鼻息を漏らした。
「タカシ、ありがとうなのじゃ。おかげで助かったのじゃ。タカシは命の恩人なのじゃ」
「いやあ、そんな感謝されると照れますねウヒヒヒヒ」
俺の笑い声に感謝してるはずのまつりが引いた。
「で、でも、なんで塞がったんじゃろか……しかも、あんな強固な壁になって」
「ああ、それは俺がこう、ぺたぺたと」
「……何じゃと?」
事の顛末を分かりやすくまつりに伝えたのに、とても怒られた。
「なんでわらわを閉じ込めるんじゃ!」
「感謝されたかったんだ。あと、困るまつりも見たかったんだ。一挙両得」
「マッチポンプもいいところなのじゃ!」
「マッチポンプぁーと呼んでくれ」
「マッチポンプぁー。……言い難いのじゃ! というか、名前なんてどうでもいいのじゃ! やっぱりタカシは悪魔なのじゃ!」
「よし。折角まつりがカマクラを作ったことだし、一緒に入ろう」
「こやつちっともわらわの話を聞いておらぬぞよ!? こっ、こら、わらわを持つな!」
まつりを小脇に抱えたまま、カマクラの内部に入る。
「ふむ。一人で作ったにしては上出来じゃないか?」
「ふん。貴様みたいな悪魔に褒められても嬉しくないのじゃ」
「フンコロガシが作った糞の方が綺麗だな」
「だからって貶されても嬉しくないのじゃ! あと、比較対象があんまりなのじゃ!」
「ううむ……しかし、やはり雪だけあって冷えるな。あ、カイロ的存在発見。らっくぃー」
「わらわはカイロじゃないのじゃ! こっ、こら、抱っこするな、すりすりするでない、ほっぺをはむはむするにゃーっ!」
寒さのせいにしてまつりで温まりました。冬サイコー。
「ぬふふー、かまくらじゃ、かまくらなのじゃー」
それに浮かれたまつりが学校の校庭に勝手にかまくらを作ってる。今は内部を施行しているようなので、ばれないようにそっと近づき、入り口を雪で硬く硬く塞ぐ。
「ふう、とりあえずこんなものなのじゃ。次は……ぬ? な、何なのじゃー!?」
どうやら入り口が塞がっていることに気がついたようだ。外側から聞き耳を立てることにする。
「入り口が埋まってるのじゃ! 一大事なのじゃ! このままでは春まで発見されないのじゃ!」
いや、その前に普通に餓死か凍死すると思う。などと考えていると、内側からドンドンと激しい衝撃音が聞こえてきた。
入り口を体当たりしているようだが、まつりの小さな身体程度ではビクともしないほど固めているので自力での脱出は難しいだろう。
「はぁはぁ……ちっとも崩れないのじゃ。……ま、まさか、本当に閉じ込められたのかえ?」
そうです。正確には俺が閉じ込めたんだけど。
「……だ、誰か傍にいないかえ? わ、わらわはまだここにいるのじゃ、誰か助けてたもれ!」
む。声に少々泣きが入っている。面白かったし、そろそろ助けるか。
「おや、こんなところにカマクラのような何かが」
わざとらしく声をあげて、俺が近くにいることをまつりに知らせる。
「!!! その声、タカシか!」
「それはどうかな?」
「その人を食った言い回しは絶対タカシなのじゃ! 特別に命ずる、わらわを助けよ!」
「まつりのためなら、この命、惜しくはない! どうすればいい、指示してくれ!」
「タカシ……わらわ、感激なのじゃ! で、では、このカマクラの入り口を崩してほしいのじゃ!」
「寒いから嫌だ」
「命を惜しまないって言った口で、寒いから嫌!? 寒さ>命なのかえ!?」
「じゃあまた春にでも」
「待って待ってお願い助けて! 寒くて死にそうなのじゃ!」
「三回まわってワンって言ったら助ける」
「ぐるぐるぐる、わん! 言ったのじゃ! 助けてたもれ!」
「ここからじゃ内部が見えない。本当にしたか確認できないので、残念ながら助けられません」
「タカシは悪魔なのじゃー! うわーん!」
いかん、泣かしてしまった。しょうがないのでパワーオブパワーで入り口を崩す。
「ぐすぐす……ん?」
「大丈夫か?」
「タカシー! ふわーん!」
まつりが泣きながら俺の胸に飛び込んできた。
「ううう……怖かったのじゃ、もう一生閉じ込められたものだと思ったのじゃー」
「よしよし、もう大丈夫だぞ」(なでなで)
「ううう……ふぅー」
まつりは俺になでられ、安心したように鼻息を漏らした。
「タカシ、ありがとうなのじゃ。おかげで助かったのじゃ。タカシは命の恩人なのじゃ」
「いやあ、そんな感謝されると照れますねウヒヒヒヒ」
俺の笑い声に感謝してるはずのまつりが引いた。
「で、でも、なんで塞がったんじゃろか……しかも、あんな強固な壁になって」
「ああ、それは俺がこう、ぺたぺたと」
「……何じゃと?」
事の顛末を分かりやすくまつりに伝えたのに、とても怒られた。
「なんでわらわを閉じ込めるんじゃ!」
「感謝されたかったんだ。あと、困るまつりも見たかったんだ。一挙両得」
「マッチポンプもいいところなのじゃ!」
「マッチポンプぁーと呼んでくれ」
「マッチポンプぁー。……言い難いのじゃ! というか、名前なんてどうでもいいのじゃ! やっぱりタカシは悪魔なのじゃ!」
「よし。折角まつりがカマクラを作ったことだし、一緒に入ろう」
「こやつちっともわらわの話を聞いておらぬぞよ!? こっ、こら、わらわを持つな!」
まつりを小脇に抱えたまま、カマクラの内部に入る。
「ふむ。一人で作ったにしては上出来じゃないか?」
「ふん。貴様みたいな悪魔に褒められても嬉しくないのじゃ」
「フンコロガシが作った糞の方が綺麗だな」
「だからって貶されても嬉しくないのじゃ! あと、比較対象があんまりなのじゃ!」
「ううむ……しかし、やはり雪だけあって冷えるな。あ、カイロ的存在発見。らっくぃー」
「わらわはカイロじゃないのじゃ! こっ、こら、抱っこするな、すりすりするでない、ほっぺをはむはむするにゃーっ!」
寒さのせいにしてまつりで温まりました。冬サイコー。