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2024年11月24日
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【学校帰りにちなねえと会ったら】
2010年03月31日
最近仲良くなった先輩と一緒に帰ってると、偶然ちなねえの後姿を見かけた。
「ちなねえ!」
「あっ、タカく……」
振り向いた時は微笑んでいた顔が、隣の先輩を見た瞬間に不機嫌そうになった。
「……何か用ですか?」
「え、いや、用っつーかなんつーか、偶然見かけたから声かけただけで、ついでに一緒に帰ろうかなー……なんて」
「……家にいたら嫌でも会うんです。……わざわざ外でも一緒にいる必要なんて、ないです」
俺を一刀両断して、ちなねえは先輩に微笑みかけた。
「……ごめんなさいね。……不肖の弟が迷惑ばっかりかけて」
先輩は無言で首を横に振った。迷惑ではないらしい。
「……そう? ……それじゃ、私は先に帰ります」
先輩は俺にだけ聞こえるくらい小さな声で「全部私にお任せです」と言った。言った瞬間、ちなねえのこめかみが引きつった。
「ち、ちなねえ、……もしかして聞こえた?」
「……な、何を言ってるのかさっぱりです。……全く、変なことばかり言う子です」
それだけ言って、ちなねえは足早に去って行った。
「…………」
「え、任せ代として、喫茶店に連れてけ? ……先輩、ひょっとして、俺のおごりか?」
嬉しそうにコクコク頷く先輩に、軽くため息をついて喫茶店に向かった。
喫茶店で散財した後、先輩と別れ帰宅する。
「はー……やれやれ、先輩食いすぎだよ……」
独りごちながら自室に入る。
「……お帰りなさい、タカくん」
ちなねえが俺の部屋にいた。
「あ、ただいま。ちなねえ」
挨拶を返すと、ちなねえがすすすーっと寄って来た。
「……さっきはごめんなさい。……お姉ちゃん、タカくんを立派な人間にするため、外では厳しくするようにしてるんです」
俺の手を握りながら、謝罪するちなねえ。
「いや、別にいいよ。毎度のことだし」
ちなねえは外で会う度、いつもこうして謝ってくる。俺を想っての行為に喜びこそすれ、どうして怒らなければいけないのか。
「……タカくんが優しい子に育ってくれて、お姉ちゃんはとても嬉しいです」
「よ、よせよちなねえ、優しいとか勘弁しろよ……」
「……そんな優しいタカくんは、当然、隣にいた子のことを教えてくれますよね……?」
「え、いや、別に先輩はちなねえに紹介するような子じゃ」
握られた手に、この小さな体のどこに隠してたんだと思えるほどの力が込められる。
「……教えて、くれますよね?」
「おっ、教える! 教えるからちなねえ、手離して!」
ちなねえの手が離れる。すげー痛かった。
「……最初から言えればいいんです。……それで?」
「いてて……それでもなにも、ただの友達だよ」
「……友達、ですか?」
「それ以外何があるってんだよ」
「……こ、恋人……とか」
「そうだとよかったんだけど、残念ながらただの友達だ」
ちなねえはなんだか心底安心したかのように、深く息を吐いた。
「そうですか。……友達ですか」
「ちなねえがいるのに、恋人なんて作るわけないだろ」
「っ!! そ、それはどういうことですか!? お、お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから、タカくんの恋人じゃないですよ!?」
「当たり前だろうが。そうじゃなくて、ちなねえの面倒見るのに忙しくて、恋人なんて作ってる暇ないって事だよ」
「あ、ああ……そういうことですか。……あ、タカくんが私の面倒を見てるのではなく、私がタカくんの面倒を見ているんですよ?」
「俺がちなねえに面倒見てもらったことなんて、一度たりともない! ところでちなねえ、今日の晩御飯なに?」
「……言ってるそばから面倒見られまくりです」
呆れたようにため息をつくちなねえ。
「……まったく、困ったものです」
なんて言いながら、ちなねえは嬉しそうに微笑むのだった。
「ちなねえ!」
「あっ、タカく……」
振り向いた時は微笑んでいた顔が、隣の先輩を見た瞬間に不機嫌そうになった。
「……何か用ですか?」
「え、いや、用っつーかなんつーか、偶然見かけたから声かけただけで、ついでに一緒に帰ろうかなー……なんて」
「……家にいたら嫌でも会うんです。……わざわざ外でも一緒にいる必要なんて、ないです」
俺を一刀両断して、ちなねえは先輩に微笑みかけた。
「……ごめんなさいね。……不肖の弟が迷惑ばっかりかけて」
先輩は無言で首を横に振った。迷惑ではないらしい。
「……そう? ……それじゃ、私は先に帰ります」
先輩は俺にだけ聞こえるくらい小さな声で「全部私にお任せです」と言った。言った瞬間、ちなねえのこめかみが引きつった。
「ち、ちなねえ、……もしかして聞こえた?」
「……な、何を言ってるのかさっぱりです。……全く、変なことばかり言う子です」
それだけ言って、ちなねえは足早に去って行った。
「…………」
「え、任せ代として、喫茶店に連れてけ? ……先輩、ひょっとして、俺のおごりか?」
嬉しそうにコクコク頷く先輩に、軽くため息をついて喫茶店に向かった。
喫茶店で散財した後、先輩と別れ帰宅する。
「はー……やれやれ、先輩食いすぎだよ……」
独りごちながら自室に入る。
「……お帰りなさい、タカくん」
ちなねえが俺の部屋にいた。
「あ、ただいま。ちなねえ」
挨拶を返すと、ちなねえがすすすーっと寄って来た。
「……さっきはごめんなさい。……お姉ちゃん、タカくんを立派な人間にするため、外では厳しくするようにしてるんです」
俺の手を握りながら、謝罪するちなねえ。
「いや、別にいいよ。毎度のことだし」
ちなねえは外で会う度、いつもこうして謝ってくる。俺を想っての行為に喜びこそすれ、どうして怒らなければいけないのか。
「……タカくんが優しい子に育ってくれて、お姉ちゃんはとても嬉しいです」
「よ、よせよちなねえ、優しいとか勘弁しろよ……」
「……そんな優しいタカくんは、当然、隣にいた子のことを教えてくれますよね……?」
「え、いや、別に先輩はちなねえに紹介するような子じゃ」
握られた手に、この小さな体のどこに隠してたんだと思えるほどの力が込められる。
「……教えて、くれますよね?」
「おっ、教える! 教えるからちなねえ、手離して!」
ちなねえの手が離れる。すげー痛かった。
「……最初から言えればいいんです。……それで?」
「いてて……それでもなにも、ただの友達だよ」
「……友達、ですか?」
「それ以外何があるってんだよ」
「……こ、恋人……とか」
「そうだとよかったんだけど、残念ながらただの友達だ」
ちなねえはなんだか心底安心したかのように、深く息を吐いた。
「そうですか。……友達ですか」
「ちなねえがいるのに、恋人なんて作るわけないだろ」
「っ!! そ、それはどういうことですか!? お、お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから、タカくんの恋人じゃないですよ!?」
「当たり前だろうが。そうじゃなくて、ちなねえの面倒見るのに忙しくて、恋人なんて作ってる暇ないって事だよ」
「あ、ああ……そういうことですか。……あ、タカくんが私の面倒を見てるのではなく、私がタカくんの面倒を見ているんですよ?」
「俺がちなねえに面倒見てもらったことなんて、一度たりともない! ところでちなねえ、今日の晩御飯なに?」
「……言ってるそばから面倒見られまくりです」
呆れたようにため息をつくちなねえ。
「……まったく、困ったものです」
なんて言いながら、ちなねえは嬉しそうに微笑むのだった。
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