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2024年11月23日
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【ヤガランテを召喚できる妹ちなみん】
2010年04月02日
「……おにーちゃん、おにーちゃん」
「……兄は今、便所に篭もっています。用件がある方は、便所の外に出てからお願いします」
トイレの中から機械的な声で妹に返す。
「……大?」
「お願いだから便所くらい静かにさせてください」
便所の中から妹に懇願する羽目になるとは思いもしなかった。
「……ふぁいと、おにーちゃん」
応援された。何を頑張れと言うのか。
しばらく頑張って異物を放出し、すっきりしたので流してからドアを開ける。がんっ、といい音がした。
「……うぅ~」
ちなみがぺたりと床に座り込み、両手でおでこを押さえていた。
「なんでここにいるんだよ……」
「ぶつけた~……。おにーちゃん、責任取って」
「結婚しよう」
「ヤだ」
即答されると、それはそれでショック。
「で? 便所の前で何やってんだ?」
「あ、そうそう……えっと、ちなみはヤガランテを召還できるようになりました~」
嬉しそうにない胸を張るちなみだが、分からないことが幾つかあります。
「ヤガランテとやらが何か分からんし、召還とか無理」
「…………」(ほっぺぷくー)
機嫌を損ねたようだ。さらに困ったことに、腹も減った。しばらく俺の中で協議した結果、飯を優先。
「ちなみ、昼飯なににする? 作るの面倒だし、ラーメンでいいか?」
「……ヤだ。ちゃんとしたの作って。おにーちゃん特製チャーハンがいい」
「んー、チャーハンならいっか。作るから手伝え、ちなみ」
「……ちなみがヤガランテ召還するの見てくれるなら、手伝う」
よく分からんが、それでちなみの気が済むならいいだろう。
「分かった分かった。兄が見ててやるから、ちゃっちゃとするがいい」
「……おにーちゃんのくせに偉そう。……あとで嫌がらせしてやる」
「そういうことは俺のいないところで言え」
「おにーちゃん、邪魔しないで。……集中できないじゃない」
なんか怒られた。
「……なむなむ、……ヤガランテさんヤガランテさん、出て来いはよーん」
どこかで聞いたことのある極めてやる気を削ぐ言葉を呟き、ちなみは両手を上げた。すると、上げた両手の間からどこからともなく煙が舞い起こった。
「おおっ!?」
「……ふふ、だーいせーいこー」
煙が収まると、ちなみの前に小さなロボットが鎮座していた。
「……ごー、ヤガランテ。……おにーちゃんを抹殺だ」
物騒なことを言いながら、ロボットを向けるちなみ。
「なんで殺されるんでしょう」
「……もっとちなみと遊んでくれていれば、死なない未来もあったかも」
やめて死んだものとみなさないで。まだ生きてます。
ちなみがヤガランテと呼ぶロボットが一歩一歩俺の方に歩み寄ってくる。……えーと。
「えい」
「ああっ、……でこぴんした」
ロボットは転んだまま足を動かすだけで、自分では起き上がれないようだ。
「ふっ……この程度で兄を倒そうなどと、十年早い! 出直して来い!」
「……うっ、うう、ううう~……」
「え、えと、ちなみ?」
「……ふぇぇぇぇぇぇん」
ロボットが倒され悲しくなったのか、ちなみは突然泣き出してしまった。
「あっ、あ~……ごめんな、ちなみ。悪いお兄ちゃんだったな」
ちなみの頭を撫でながら謝る。
「……うっ、ぐすっ……うん、悪いおにーちゃんだった。……ひっく」
「手伝うからさ、次はお兄ちゃんを殺せるの召還しような?」
慰めるためとはいえ、なんて台詞だ。
「うっ、うん。……次は、おにーちゃん殺せるの出す。……でも、ちなみと遊んでくれるなら、半殺しで我慢してあげる」
出来れば半殺しもやめて欲しいなぁと思いながら、俺はちなみを抱っこするのだった。
「……兄は今、便所に篭もっています。用件がある方は、便所の外に出てからお願いします」
トイレの中から機械的な声で妹に返す。
「……大?」
「お願いだから便所くらい静かにさせてください」
便所の中から妹に懇願する羽目になるとは思いもしなかった。
「……ふぁいと、おにーちゃん」
応援された。何を頑張れと言うのか。
しばらく頑張って異物を放出し、すっきりしたので流してからドアを開ける。がんっ、といい音がした。
「……うぅ~」
ちなみがぺたりと床に座り込み、両手でおでこを押さえていた。
「なんでここにいるんだよ……」
「ぶつけた~……。おにーちゃん、責任取って」
「結婚しよう」
「ヤだ」
即答されると、それはそれでショック。
「で? 便所の前で何やってんだ?」
「あ、そうそう……えっと、ちなみはヤガランテを召還できるようになりました~」
嬉しそうにない胸を張るちなみだが、分からないことが幾つかあります。
「ヤガランテとやらが何か分からんし、召還とか無理」
「…………」(ほっぺぷくー)
機嫌を損ねたようだ。さらに困ったことに、腹も減った。しばらく俺の中で協議した結果、飯を優先。
「ちなみ、昼飯なににする? 作るの面倒だし、ラーメンでいいか?」
「……ヤだ。ちゃんとしたの作って。おにーちゃん特製チャーハンがいい」
「んー、チャーハンならいっか。作るから手伝え、ちなみ」
「……ちなみがヤガランテ召還するの見てくれるなら、手伝う」
よく分からんが、それでちなみの気が済むならいいだろう。
「分かった分かった。兄が見ててやるから、ちゃっちゃとするがいい」
「……おにーちゃんのくせに偉そう。……あとで嫌がらせしてやる」
「そういうことは俺のいないところで言え」
「おにーちゃん、邪魔しないで。……集中できないじゃない」
なんか怒られた。
「……なむなむ、……ヤガランテさんヤガランテさん、出て来いはよーん」
どこかで聞いたことのある極めてやる気を削ぐ言葉を呟き、ちなみは両手を上げた。すると、上げた両手の間からどこからともなく煙が舞い起こった。
「おおっ!?」
「……ふふ、だーいせーいこー」
煙が収まると、ちなみの前に小さなロボットが鎮座していた。
「……ごー、ヤガランテ。……おにーちゃんを抹殺だ」
物騒なことを言いながら、ロボットを向けるちなみ。
「なんで殺されるんでしょう」
「……もっとちなみと遊んでくれていれば、死なない未来もあったかも」
やめて死んだものとみなさないで。まだ生きてます。
ちなみがヤガランテと呼ぶロボットが一歩一歩俺の方に歩み寄ってくる。……えーと。
「えい」
「ああっ、……でこぴんした」
ロボットは転んだまま足を動かすだけで、自分では起き上がれないようだ。
「ふっ……この程度で兄を倒そうなどと、十年早い! 出直して来い!」
「……うっ、うう、ううう~……」
「え、えと、ちなみ?」
「……ふぇぇぇぇぇぇん」
ロボットが倒され悲しくなったのか、ちなみは突然泣き出してしまった。
「あっ、あ~……ごめんな、ちなみ。悪いお兄ちゃんだったな」
ちなみの頭を撫でながら謝る。
「……うっ、ぐすっ……うん、悪いおにーちゃんだった。……ひっく」
「手伝うからさ、次はお兄ちゃんを殺せるの召還しような?」
慰めるためとはいえ、なんて台詞だ。
「うっ、うん。……次は、おにーちゃん殺せるの出す。……でも、ちなみと遊んでくれるなら、半殺しで我慢してあげる」
出来れば半殺しもやめて欲しいなぁと思いながら、俺はちなみを抱っこするのだった。
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