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2024年11月23日
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【ツンデレが無言で手を繋いできたら】
2010年02月15日
アニメの影響で剣道部に入ったらとてもしんどい! しかも強くならない! 弱いままだよチクショウ!
「こら別府、遊んでないで練習しろ、練習。ちったあ真面目にやれ」
「ごめんね?」
口調からは男性と思われがちな先生に怒られた。なんとなく可愛く謝ってみる。
「うわっ、キモ!」
「いわゆるキモカワイイという奴だな」
「違うわ、アホっ! あーもー、お前今日は居残りで練習だ、練習!」
ちょっとした冗談で面倒なことになってしまった。
「……怒られてる。……ぷぷー」
そして、そんな俺を笑うちなみん。
「くそう、ちょっと強いからって笑いやがって! ちょっとタマちゃんとキャラ被ってるからって笑いやがって! このタマ、タマちゃんめ!」
「……タマちゃんではなく、ちなみです」
「これはご丁寧に、別府タカシと申します」
ぺこりとお辞儀しあう俺たち。なんだこれ。
「あー、ちょうどいい。華丹路、お前こいつ指導してやってくれ」
華丹路とはちなみの苗字であり、かにみちと読み、変な苗字と常々思っている俺の指導をちなみに押し付ける先生。しかし、何故ちなみに任せる?
「……別にいいけど、なんで先生が指導しないんですか?」
俺と同じような疑問を抱いたのか、ちなみが先生に尋ねた。
「やー、先生今日はデートでな。はっはっは」
「奇特な男性がいるもんだな。ボランティア?」
思わず口を挟んでしまう。
「ボランティア言うなッ! これでも先生モテモテなんだぞ?」
「猿に?」
「なんでだっ!」
「いや、ピーナッツを常に携帯してそうな顔してるから。いわゆるピーナッツ顔という奴だな」
「どんな顔だっ!」
ちなみが「また変なこと言ってる」とでも言いたげな表情で俺を見る。悔しいので反撃にとっておきの愉快な顔をしてやる。
「ぶふっ! ……くっ、うぬれー」
悔しげにうめくちなみ。よし、勝利。
「ええいっ、少しは真面目に練習しろ、別府っ!」
先生の叫びと同時に部活の終了を知らせるチャイムが鳴った。
「終わりっ! よし、帰るぞちなみ!」
「帰るなっ! 華丹路、せめて足の運びはできる程度まで頼むな」
ちなみがこっくんと頷くのを見て、先生は部員を集めて解散の号令を出した。三々五々に散って行く部員に紛れて俺も着替えようとしたら、背中を引っ張られた。
「……補習」
俺より頭二つほど小さい奴が何か言ってる。
「この俺に勝てたらな!」
不意打ちで襲い掛かったら2秒で負けたので、大人しく練習する。
「……見てて。足。……こーで、こー」
俺とちなみしかいなくなった道場で、ちなみが足運びを教える。
「ふむふむ、こうだな」
「……全然違う。こう、こー」
「こうか? こうだな? よし、こうだッ!」
「……足運びの練習なのに、どうして踊っているのか。……まったく、タカシは壊滅的に物覚えが悪い」
「ごめんね?」
申し訳なく思ったので、可愛く謝ってみる。
「……うーん、キモい」
「いわゆるキモカワイイという奴だな」
「……天丼だ」
驚かれたことに満足したので、しばらく真面目に練習する。
「……ん。まあ、及第点をあげる」
「よし! 疲れた! もう今日はここに泊まる!」
床に大の字になって寝そべる。代の字になって寝そべるにはバラバラ死体にならないといけないので大変危険です。
「……ほら、馬鹿言ってないで帰る。……早く帰らないと、暗くなる」
「性格が? いや、もうすでに暗いか」
無言でほっぺを引っ張られたので、だらだらしながら着替えて外に出る。だらだらしすぎたのか、道場から出ると夕日が地平線に隠れそうになっていた。
「……遅い。……遅すぎる。……超遅い」
そんな夕日を背中に、ほっぺを膨らました生物が俺をなじる。
「着替えてる最中に刺客に襲われ、危機に瀕した俺に前世の記憶が突如蘇り、僕の地球を守らねばという使命感が」
「…………」
「帰りましょう」
すごい睨まれたので、素直に帰ることにする。
校門を出てからものの数分もしないうちに、すっかり暗くなってしまった。
「……タカシが早く着替えないから。……そもそも、タカシが居残り命じられなかったら。……まったく」
ぶちぶち言いながらも、ちなみは少し不安そうに周囲を窺っている。
「暗いの苦手?」
「……ぜ、全然。……子供じゃないんだから、そんなの怖いはずもない。……逆に、タカシが怖いんじゃ」
「うん、お前の後ろから血を流した女生徒がゆっくりついてくるからすごい怖い」
「ぴきゃあっ!?」
叫びながらちなみは俺に飛びついた。
「という夢を見そうな今日この頃」
全力で頬をつねられ痛い痛い。
「……怖いこと言うの禁止」
「じゃあ、楽しいことを喋ろう」
ちなみはほっとしたように頷いた。
「今日は疲れたな。疲れきったので、早く風呂に入って頭でも洗いたいよ。頭洗う時ってなんか視線感じる時あるよな。それとは全然関係ないが、水場って幽霊を呼び込みやすいらしいね」
「……なんで幽霊の話になってるのか!」
半泣きで睨まれたのでやめる。
「……もう、黙ってて」
言われた通りしばらく黙って歩いてると、不意にぎゅっと手を握られた。
「……べ、別に怖いとかじゃなくて。……た、タカシが怖がるといけないから、握ってあげてるだけ」
「や、怖くないから大丈夫です」
まるで言い訳のように早口に並べるちなみに、すげなく返す。
「……そ、そう」
ちなみはなんだか残念そうに手を離した。それから数分もしないうちに、再び手に感触が。
「……こ、怖くなったでしょ? ……優しい優しい私が、手、握ってあげるよ? ほ、ほら、タカシは女の子に全くもてないダメダメくんだから、こんな機会でもないと手、繋げないよ?」
「霊媒体質の俺になんて優しいんだろう。手を繋ぐとそいつの方に霊が引き寄せられるが、せっかくの好意だ、ありがたく手を繋がせてもらおう」
ちなみは半泣きで俺の手から逃げた。
「うう……嘘だって分かってるのに、分かってるのに……」
「怖いなら怖いって言えばいいのに……」
「……こ、怖くなんてないもん。お化けとか、いないし」
「そりゃそうだ。ところで、そこの暗がりから視線など感じてないが、急に全力で走りたくなったので走ってもいい?」
電信柱の死角を指差すと、ちなみが半泣きで俺の手を握り、ぶんぶん頭を振った。
「……怖いこと言うの禁止!」
「分かった、分かったから手を離せ。幽霊が寄ってくるぞ」
「……怖いこと言うの禁止ぃ!」
なんか目がぐるぐるしだした。これ以上は可哀想か。というか、最初から可哀想だが。
「わーったよ、嘘だよ嘘。手繋いでも幽霊は寄ってこないし、それどころか二人の愛のぱぅわーにより結界が発動、幽霊を寄せ付けません。一ヶ月経ったら効果が切れるのでお取替えください」
「……途中からお薬の説明になってるよ?」
「つっこみどころを間違えてませんか」
「?」
何のことか分からないのか、ちなみは可愛らしく小首を傾げた。
「いや、ほら、俺が殊更言うのも変だが、その、……愛のぱぅわーってぇところに注目されるかにゃーとか思ってたんだが」
「え、あ、……にゃ、にゃー」
ちなみは赤くなってうつむき、小さく鳴いた。
「……もーど、ねこちなみん。……ペットと飼い主の関係なので、愛があってもへーき、という噂」
「便利な機能ですね」
「……便利だにゃあ」
「しかし、俺は猫アレルギーなので、猫が近くにいると全力で駆け出したくなるタチなんだ」
駆け出そうとする俺を全身を使って止めるちなみ。1分ほど揉みあった結果、俺が白旗を揚げることに。
「……タカシはいじわるだ。いじわる、オブ、いじわるだ」
「意地悪オブジョイトイと呼んでくれ」
「……いじわるおぶじょいとい」
全く嬉しくなかった。
「……じょいとい、早く帰ろう」
「その呼び名は勘弁してください」
「……家に着くまで、手、離さないでくれるなら、……呼ばないであげる」
薄く微笑むちなみに、俺は苦笑しながらうなずくのだった。
「こら別府、遊んでないで練習しろ、練習。ちったあ真面目にやれ」
「ごめんね?」
口調からは男性と思われがちな先生に怒られた。なんとなく可愛く謝ってみる。
「うわっ、キモ!」
「いわゆるキモカワイイという奴だな」
「違うわ、アホっ! あーもー、お前今日は居残りで練習だ、練習!」
ちょっとした冗談で面倒なことになってしまった。
「……怒られてる。……ぷぷー」
そして、そんな俺を笑うちなみん。
「くそう、ちょっと強いからって笑いやがって! ちょっとタマちゃんとキャラ被ってるからって笑いやがって! このタマ、タマちゃんめ!」
「……タマちゃんではなく、ちなみです」
「これはご丁寧に、別府タカシと申します」
ぺこりとお辞儀しあう俺たち。なんだこれ。
「あー、ちょうどいい。華丹路、お前こいつ指導してやってくれ」
華丹路とはちなみの苗字であり、かにみちと読み、変な苗字と常々思っている俺の指導をちなみに押し付ける先生。しかし、何故ちなみに任せる?
「……別にいいけど、なんで先生が指導しないんですか?」
俺と同じような疑問を抱いたのか、ちなみが先生に尋ねた。
「やー、先生今日はデートでな。はっはっは」
「奇特な男性がいるもんだな。ボランティア?」
思わず口を挟んでしまう。
「ボランティア言うなッ! これでも先生モテモテなんだぞ?」
「猿に?」
「なんでだっ!」
「いや、ピーナッツを常に携帯してそうな顔してるから。いわゆるピーナッツ顔という奴だな」
「どんな顔だっ!」
ちなみが「また変なこと言ってる」とでも言いたげな表情で俺を見る。悔しいので反撃にとっておきの愉快な顔をしてやる。
「ぶふっ! ……くっ、うぬれー」
悔しげにうめくちなみ。よし、勝利。
「ええいっ、少しは真面目に練習しろ、別府っ!」
先生の叫びと同時に部活の終了を知らせるチャイムが鳴った。
「終わりっ! よし、帰るぞちなみ!」
「帰るなっ! 華丹路、せめて足の運びはできる程度まで頼むな」
ちなみがこっくんと頷くのを見て、先生は部員を集めて解散の号令を出した。三々五々に散って行く部員に紛れて俺も着替えようとしたら、背中を引っ張られた。
「……補習」
俺より頭二つほど小さい奴が何か言ってる。
「この俺に勝てたらな!」
不意打ちで襲い掛かったら2秒で負けたので、大人しく練習する。
「……見てて。足。……こーで、こー」
俺とちなみしかいなくなった道場で、ちなみが足運びを教える。
「ふむふむ、こうだな」
「……全然違う。こう、こー」
「こうか? こうだな? よし、こうだッ!」
「……足運びの練習なのに、どうして踊っているのか。……まったく、タカシは壊滅的に物覚えが悪い」
「ごめんね?」
申し訳なく思ったので、可愛く謝ってみる。
「……うーん、キモい」
「いわゆるキモカワイイという奴だな」
「……天丼だ」
驚かれたことに満足したので、しばらく真面目に練習する。
「……ん。まあ、及第点をあげる」
「よし! 疲れた! もう今日はここに泊まる!」
床に大の字になって寝そべる。代の字になって寝そべるにはバラバラ死体にならないといけないので大変危険です。
「……ほら、馬鹿言ってないで帰る。……早く帰らないと、暗くなる」
「性格が? いや、もうすでに暗いか」
無言でほっぺを引っ張られたので、だらだらしながら着替えて外に出る。だらだらしすぎたのか、道場から出ると夕日が地平線に隠れそうになっていた。
「……遅い。……遅すぎる。……超遅い」
そんな夕日を背中に、ほっぺを膨らました生物が俺をなじる。
「着替えてる最中に刺客に襲われ、危機に瀕した俺に前世の記憶が突如蘇り、僕の地球を守らねばという使命感が」
「…………」
「帰りましょう」
すごい睨まれたので、素直に帰ることにする。
校門を出てからものの数分もしないうちに、すっかり暗くなってしまった。
「……タカシが早く着替えないから。……そもそも、タカシが居残り命じられなかったら。……まったく」
ぶちぶち言いながらも、ちなみは少し不安そうに周囲を窺っている。
「暗いの苦手?」
「……ぜ、全然。……子供じゃないんだから、そんなの怖いはずもない。……逆に、タカシが怖いんじゃ」
「うん、お前の後ろから血を流した女生徒がゆっくりついてくるからすごい怖い」
「ぴきゃあっ!?」
叫びながらちなみは俺に飛びついた。
「という夢を見そうな今日この頃」
全力で頬をつねられ痛い痛い。
「……怖いこと言うの禁止」
「じゃあ、楽しいことを喋ろう」
ちなみはほっとしたように頷いた。
「今日は疲れたな。疲れきったので、早く風呂に入って頭でも洗いたいよ。頭洗う時ってなんか視線感じる時あるよな。それとは全然関係ないが、水場って幽霊を呼び込みやすいらしいね」
「……なんで幽霊の話になってるのか!」
半泣きで睨まれたのでやめる。
「……もう、黙ってて」
言われた通りしばらく黙って歩いてると、不意にぎゅっと手を握られた。
「……べ、別に怖いとかじゃなくて。……た、タカシが怖がるといけないから、握ってあげてるだけ」
「や、怖くないから大丈夫です」
まるで言い訳のように早口に並べるちなみに、すげなく返す。
「……そ、そう」
ちなみはなんだか残念そうに手を離した。それから数分もしないうちに、再び手に感触が。
「……こ、怖くなったでしょ? ……優しい優しい私が、手、握ってあげるよ? ほ、ほら、タカシは女の子に全くもてないダメダメくんだから、こんな機会でもないと手、繋げないよ?」
「霊媒体質の俺になんて優しいんだろう。手を繋ぐとそいつの方に霊が引き寄せられるが、せっかくの好意だ、ありがたく手を繋がせてもらおう」
ちなみは半泣きで俺の手から逃げた。
「うう……嘘だって分かってるのに、分かってるのに……」
「怖いなら怖いって言えばいいのに……」
「……こ、怖くなんてないもん。お化けとか、いないし」
「そりゃそうだ。ところで、そこの暗がりから視線など感じてないが、急に全力で走りたくなったので走ってもいい?」
電信柱の死角を指差すと、ちなみが半泣きで俺の手を握り、ぶんぶん頭を振った。
「……怖いこと言うの禁止!」
「分かった、分かったから手を離せ。幽霊が寄ってくるぞ」
「……怖いこと言うの禁止ぃ!」
なんか目がぐるぐるしだした。これ以上は可哀想か。というか、最初から可哀想だが。
「わーったよ、嘘だよ嘘。手繋いでも幽霊は寄ってこないし、それどころか二人の愛のぱぅわーにより結界が発動、幽霊を寄せ付けません。一ヶ月経ったら効果が切れるのでお取替えください」
「……途中からお薬の説明になってるよ?」
「つっこみどころを間違えてませんか」
「?」
何のことか分からないのか、ちなみは可愛らしく小首を傾げた。
「いや、ほら、俺が殊更言うのも変だが、その、……愛のぱぅわーってぇところに注目されるかにゃーとか思ってたんだが」
「え、あ、……にゃ、にゃー」
ちなみは赤くなってうつむき、小さく鳴いた。
「……もーど、ねこちなみん。……ペットと飼い主の関係なので、愛があってもへーき、という噂」
「便利な機能ですね」
「……便利だにゃあ」
「しかし、俺は猫アレルギーなので、猫が近くにいると全力で駆け出したくなるタチなんだ」
駆け出そうとする俺を全身を使って止めるちなみ。1分ほど揉みあった結果、俺が白旗を揚げることに。
「……タカシはいじわるだ。いじわる、オブ、いじわるだ」
「意地悪オブジョイトイと呼んでくれ」
「……いじわるおぶじょいとい」
全く嬉しくなかった。
「……じょいとい、早く帰ろう」
「その呼び名は勘弁してください」
「……家に着くまで、手、離さないでくれるなら、……呼ばないであげる」
薄く微笑むちなみに、俺は苦笑しながらうなずくのだった。
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