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2024年11月21日
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【シャケちなみん】

2010年05月23日
 今日は待ちに待った水泳だ。この学校は男女混合で体育の授業を行うため、スク水見放題という天国。
 なのに、一番スク水姿を見たいちなみはなんでシャケですか。
「……シャケです。しゃーしゃー」
 しゃーしゃー言いながら悠々とプールを泳ぐシャケに、ビート板を投げる。ヒット。
「……何するんですか」
 ゆるゆるとこっちにやってきたシャケに怒鳴る。
「学校の授業でシャケになるとは何事だ!」
 とりあえず怒りの理由は隠しておく。ほら、あんまり変態なのを公表するのもどうかと思うし。
「……スクール水着が見れないからって怒るのは、どうかと思います」
 2秒で看破された。
「ち、違うヨ? べ、べべ、別にスク水が見れないから怒ってるんじゃないヨ?」
「……嘘へた。ぷぷー」
 殴ろうとしたら潜水された。チクショウ、追いかけてやる! 俺はプールに飛び込んだ。
「……うあ、追ってきた」
「河童の川流れと呼ばれた俺の実力、見せてやるぜ!」
 シャケの尻尾を河童クロールで追っていると、突然足がつった。抗いようもなく、水中に沈む。
 いかん、溺れる。手をかいても、掴めるのは水だけ。まずい。マジでまずい。
 薄れゆく意識の中、ちなみが必死で俺の方に向かっているような気がした。

 目が覚めたら、保健室のベッドの上だった。傍らに、目を赤くした制服姿のちなみがいる。
「……馬鹿。ホントに馬鹿」
 そう言って、ちなみは俺に抱きついた。
「ち、ちなみ?」
「……死んだらどうするの。怖かったよ。……本当に怖かったよ」
 カタカタと小さく震えるちなみの肩に、俺は自分がどれだけ馬鹿なことをしたか今更ながら気づいた。
「……悪かった。心配かけたな」
 静かに嗚咽を繰り返すちなみが落ち着くまで、俺はずっとちなみを抱いていた。
 ……もっとも、俺の様子を見に来た級友たちがこの光景を見て大騒ぎするまでの間だが。

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