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2024年11月21日
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【犬が怖いツンデレ】

2010年05月23日
「いずみと一緒にラブラブ放課後デートは楽しいなぁ」
「何がラブラブデートや、アホ。たこ焼きおごってくれるゆーから、ついてきただけや」
「人それをデートと呼ぶ!」
「誰がアンタみたいな変人とデートするっちゅうねん、アホ!」
 などと適当にじゃれあっていると、犬の鳴き声がした。甲高いし、子犬かな。
「お、どっかにわんこがいるぞ。いずみ、探し出して撫でよう」
「…………」
「……いずみ?」
 いずみは汗を垂らし、何かに怯えているようだった。
「な、なぁタカシ、急がんとたこ焼き売り切れてまうで。急ご、な?」
「いや、それより俺はわんこを撫でたい。このなで欲求に敵う物などあるものか」
「そ、それやったらうち撫でたらええやん? な? 早よ行こ?」
 珍しいことを言うもんだ、と思ってると電柱の影から子犬が現れた。
「お、わんこ」
「ひっ!」
 しゃがんで子犬を呼ぶと、とてとてとこっちにやってきた。
「人懐っこいな、おまえ。んー、可愛い可愛い」
 ぐりぐりと頭を撫でてると、隣で小刻みに震えるいずみに気がついた。
「どした? ……ひょっとして、怖いのか?」
 びくん、と一際激しくいずみの体が跳ねた。……図星か。
「だ、誰が怖いっちゅーねん! こんな子犬のどこが怖いっちゅーねん! こんな毛玉生物、怖ないで!」
 虚勢を張れば張るほど怖いと認めているようなもんだけど、面白いし、いいか。
「じゃ、抱くか? 可愛いだろ?」
「う……だ、だ、抱か……抱く。抱くわ! 抱けばええんやろ!」
 子犬を持ち上げ、半泣きのいずみにゆっくりと渡す。
「ど……どや? ……ぐすっ、でけたやろ?」
 まばたきするだけで涙がこぼれそうな状態で、いずみは子犬を抱いた。
「わん!」
「ひゃあ!」
 子犬の鳴き声に驚いて、いずみは手を離してしまった。地面に着地した子犬は、一目散に逃げていった。
「う……ふあああ、もう嫌や……犬怖い……犬怖い……」
 地面にぺたんと座り込み、いずみは泣き出してしまった。
「あーごめんごめんごめん! ちょっと調子乗りすぎた!」
 慌てていずみの頭を撫でて慰める。
「怖いん知ってて犬渡したんか。うー……」
 いずみは不満そうに俺をにらんだ。
「たこ焼き二つ奢るから! 許してお願い!」
「……お好み焼きも奢ってくれるんやったら」
「奢る奢る! もうなんでも奢る!」
「……あと、もうちょっと撫でてくれたら、ゆるす」
 うつむきがちに呟くいずみに、俺はいつもより優しく頭を撫でた。

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