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2024年11月23日
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【「人生」って何?と考えるツンデレ】

2010年04月08日
 昼休み、飯も食い終わり暇に任せてぼんやり教室を眺めてると、ちなみが真剣な表情で何か考え込んでいるのに気がついた。
「よっ、何やってんだ?」
「……む、人が思索に耽っているところを得意のセクハラトークで邪魔する気ですね」
「普通に声かけただけですよ!?」
「……そうやって油断させといて、『背が小さい奴は胸も小さい』とか、『小学生は小学校へ行こうね、お嬢ちゃん』とか言うつもりですね」
「言いません!」
「……なんだ、残念」
 残念なのか。
「……とにかく、私は哲学的な問題を考えてる最中なのです。……邪魔しないように」
「ほう、哲学。よく分からんけど小難しげだな」
「そうです、小難しいのです。……タカシには一生かかっても理解できないような難問です」
 ちなみはことあるごとに俺を馬鹿にするので少し悲しい。
「ま、ま。三人寄ればもんじゅメルトダウンの恐怖という格言もある。一人より二人で考えた方がいいかと」
「三人寄れば文殊の知恵、です。……やっぱりタカシはオッペケペーです」
 よく分からないけど、馬鹿にされていることだけは伝わってきました。
「……まぁ、オッペケペーなりに考えるのもいいかもしれません」
 そう言って、ちなみは俺の方に向き直った。
「……人生、とは何でしょう」
「じ、人生デスか?」
「……昨日から考えているのですが……答えが出ないのです」
「まー哲学に答えなんてないしなぁ……」
 頭をかいてどうしたもんかとしばし考える。
「……やはり、タカシじゃ分からないですね。……相談した私がバカでした」
「いやいやいや、分かるぞ。俺に任せろ」
「え……?」
 途端、ちなみの瞳が期待で満ちた。
「人生とは! それ即ち、ちっちゃい子を愛でることである!」
「…………」
 気のせいか、ちなみの目が犯罪者を見るそれに変わっているような。
「……本気で、タカシに相談した私が馬鹿でした」
「ええっ、なんで!? ちっちゃい子可愛いよ!? ちなみとか!」
「……私は小さくないです」
 思い切り頬をつねられた。大変痛いです。あと、ちなみは小さいです。
「……はぁ、タカシはダメダメです。ダメダメのうえ、性犯罪者ときた」
「まだ捕まってない! 前科0犯!」
「……まだ、という辺りに自信のほどが窺い知れます」
「ええい、重箱の隅をつつくな! とにかくだ。人生なんざ幸せになったもん勝ちだぞ」
「……え?」
「俺はちっちゃい子を愛でてたら幸せだ。だから、ちなみも何でもいいから幸せなことを探すんだな」
「…………」
「どした? ぼやーっとして」
「……本当に時々ですが、タカシはすごいことを言うので油断できません」
 なんだ、すごいことって。……今日はまだセクハラ言ってないよな?
「……よく、分かりました」
「な、何が?」
「……分からないなら、いいです。……それでこそ、タカシです」
 馬鹿にされているような、褒められているような。
「……すっきりしたら、おなかが空きました。学食に行きましょう」
「え、お前弁当食ったんじゃないのか?」
「……育ち盛りは、すぐお腹が空くんです。……たくさん食べると、背も伸びます」
「いや、背とか胸とか無理だから。諦めろ」
「……今日はタカシのおごりですか。メニューの端から端まで頼むのもいいですね」
「ええっ!? なんで!?」
「……さ、早く行きましょう。お昼休みが終わっちゃいます」
「え、もう奢るの確定? あれ、なんで?」
 首を傾げながら、俺はちなみに着いていくのだった。

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