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2024年11月24日
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【休みの男の元に何かと理由をつけて押しかけるツンデレ達】

2010年01月26日
 今は夏休み。ここは学生らしく夏を満喫すべくバイトとかして海で女の子たちときゃきゃうふふな生活を! と思ったけど面倒なので自宅でごろごろ。
 そんな感じで夏休みを過ごしてたら、ぴんぽーんという音が鳴った。転がりながら受話器に向かおうとして階段を転げ落ちる。
「はい! 痛いです! どなたですか痛いぜコンチクショウ!」
『ぷ、ぷに……』
 受話器の向こうから聞こえてきたのは、ちょっとばかりアレな感じの言葉だった。
『ぷにー!』
 しかし、なんか聞き覚えがあるというかなんというか……なんだったかな。
『ぷにちゃん、ちょっと代わって……こほん。私です、委員長です』
「ああなんだ、委員長か。この暑さで頭をやられたんだな」
『違いますっ! 最初に出たのはぷにちゃんですっ! 私がぷにぷに言うはずありませんっ!』
 その言葉で思い出した。さっきのぷにぷに言ってた奴はぷに子という奴で、ぷに国とかいう国からの留学生だ。何故か俺を気に入っており、学校では色々楽しく遊んでいるのだが、それはともかく。
「分かったからぷに子に代わってくれ」
『まったくもう……はい、ぷにちゃん。別府くんが代わってくれって』
 ややあって、受話器の向こうからぷに子の声が響いてきた。
『ぷに?』
「うす、ぷに子。こんなクソ暑い日に何か用か? あ、何か妖怪? なんちて。うひゃひゃ」
『ぷに、ぷにに……ちょっと、そんなつまらないこと言ってる暇があったら私たちを家に上げたらどうなんですか?』
「ぷに子が突如辛らつな言葉を!?」
『私です、委員長です!』
「これはこれはご丁寧に、別府タカシと申します」
『そんなのどうでもいいから、早く入れなさいっ!』
 これ以上からかうとインターホンを破壊されかねないので、素直に家に招き入れる。
「ぷにー♪」
 まず最初に目に飛び込んだのは、ぷに子だ。ぷにぷに言いながら俺に抱きついてくれるのは嬉しいが、割と汗びっちょりで大変。
「あっ、またぷにちゃんに抱きついたりして! やめなさい、この変態!」
 そして次に現れたのが、俺を変質者扱いする委員長だ。休みだってのに制服姿なのは、俺へのサービスなのだろうか。
「委員長、確かに俺は制服フェチなのでその格好は大変嬉しい。そこで、次来る時はパワーアップしてスク水とかどうだろう」
「別府くんを喜ばせるために着てるんじゃありませんっ! 校則にあるでしょう、『休日でも、外出時は制服か年齢に相応しい服に限る』って!」
「既に形骸化してると思うぞ、その校則。何年前にできた校則だ」
 委員長と話しながら、ぷにぷに言いながら俺をよじ登ろうとするぷに子を抱っこして動けなくする。
「生徒手帳に載ってるから、まだ有効ですっ!」
「はいはい、分かったよ。あんまギャンギャンわめくな」
「なんですってえ!?」
「ごめんなさい俺が悪かったです」
 とても怖かったので土下座して謝る。
「ぷぎゅー」
 俺と床に挟まれ、ぷに子がつぶれていた。
「それで、今日は何か用なのか? ……あ、何か妖怪? なんちて。うひゃひゃ」
「それ、言わないとダメなんですか?」
「ダメなんだ」
「ダメなのは頭の中だけにしてほしいですね」
「言われてるぞ、ぷに子」
「別府くんに言ってるですっ!」
 委員長の迫力に気圧され、ぷに子が怯えていた。
「ぷ、ぷに……」
「はいはい、怖くない怖くない。んで、実際のところなんなんでせうか」
 ぷに子の頭をなでて落ち着かせてから、委員長に改めて問い直す。
「……いいなぁ」
「委員長?」
「……え、あ、な、なんでもないですっ!」
 とてもそうは思えなかったが、激しく手を振ってる委員長を見てると、それ以上何も言えなくなってしまったので、手で話を促す。
「え、えっとですね、ぷにちゃんが別府くんと遊びたいって言いまして、それで別府くんの家を知ってる私が案内をですね」
「なるほど。しかし、よくぷに子のぷに語が分かったな」
 俺はぷに子の表情とジェスチャーと雰囲気で当てるのだが、委員長もそうなのだろうか。
「筆記というものがあります」
 してやられた。悔しいのでさっきと同じようにぷに子をつぶす。
「ぷきゅ」
「やめなさいっ! まったくもう、こんな小さい子をいじめて……」
 つぶれぷに子を奪い、委員長は俺を叱った。
「いじめるだなんて人聞きの悪い。一緒に遊んでるだけだ」
「……そうなの、ぷにちゃん?」
「ぷに、ぷにー」
 ぷに子は手をぱたぱたさせてぷにぷに言った。うむ、全く分からん。
「違うって言ってるわよ!」
「いや、遊んでると言っているのではないだろうか」
 ただ、合否を判定できる人間がここにはいないのでフィーリングで決めるしかない。
「まあどうでもいいや……それでぷに子、俺様と遊びたいということは着床の覚悟はあるのだな」
 委員長が鬼の形相で僕の顔を握り締めます。
「痛い痛い痛いっ! 脳が、脳があっ!」
「ぷにちゃんの純潔は私が守りますっ!」
「冗談、冗談です! ですからお願い助けてぇ!」
「冗談にしても品がなさすぎですっ!」
 必死に謝り、どうにか難を逃れる。やれやれ、どうして自宅で死にかけなければならないのか。
「ぷに?」
 頭をさすってると、ぷに子が寄ってきて俺の服をくいくい引っ張った。
「ん? ああ、着床とはお前の子宮に俺の精子が」
「説明しなくていいですっ!」
 またアイアンクローされた。あまりの苦しさにどっすんばったん転げまわるが、委員長の手が離れたのはそれから数分の後だった。もげるかと思った。
「ぷにー……」
「ぷにちゃんも! 確認しなくていいですっ!」
 自分の下半身をしげしげと眺めてるぷに子にも怒鳴る委員長だった。
「怖いね」
「ぷにー」
 部屋の隅っこに移動し、ぷに子と二人で委員長に怯えて震える。
「誰のせいですかっ、誰のっ! まったく、私だって好きで怒ってるんじゃないです!」
「そう怒るなよ、いいんちょ」
「い、いいんちょってゆーな!」
 何故かは知らないが、委員長はいいんちょと短く呼ばれるのを嫌う。一緒だと思うんだけど、委員長の中では譲れない何かがあるのだろう。
「呼ばないから、委員長も一緒に遊びましょう」
「わ、私はぷにちゃんを案内しただけで、別に別府くんと一緒に遊びたくなんてありません」
「そう言うなよ。ぷに子もきっと一緒に遊びたがってるぞ」
「ぷにー、ぷににー」
 俺の言葉に同意するように、ぷに子がぷにぷに言い出した。
「……ま、まあ、そこまで言うならやぶさかでもないです。べ、別に私が別府くんと遊びたいんじゃないですからねっ!?」
「分かってるよ。さて、それじゃ何するかな……」
「ぷにー」
 何かゲームでも、とゲームを置いてる棚を見てると、ぷに子が俺の膝に座った。
「ぷに子さん、そこに座られると移動できないのですが」
「ぷーににー♪」
 しかし、人の話なんて聞いちゃいないのか、ぷに子はご機嫌な様子で俺に背中を預けた。
「ふむ。可愛いからいいか!」
「ぷにー☆」
 膝の上で微笑むぷに子のほっぺをうにうにする。
「ぷにに、ぷにー」
「ちょっと、ぷにちゃん嫌がってるでしょ!」
 そんなそぶりはまるでなかったと思ったが、委員長がぷに子を抱きかかえて俺から奪ってしまった。
「ぷにー、ぷにー!」
 ぷに子も両手をぐいーっと伸ばし、俺に再び抱きつこうとしている。
「委員長、嫌がってないと思ったんだけど……」
「い、嫌がっていようとなくても、男女が無闇やたらにくっつくのはよくないです! 男女七歳にして席を同じくせずと言いますし!」
「さすがいいんちょ、博識だな」
「ほ、褒めても何も出ませんよ。ていうか、いいんちょってゆーな!」
「ぷにんにょ」
「ぷ、ぷにちゃんも言わなくていいです!」
 照れる委員長が可愛かったので、ぷに子に続けて俺も言う。
「そう言うなよ、いいんちょ」
「ぷにんにょ」
「だっ、だから、いいんちょってゆーな!」
「げぎゃっ」
 ぷに子と二人で言ったのに、俺だけが殴り飛ばされた。
「ぷにー、ぷににー!」
「あー……大丈夫だ、ぷに子。まだ生きてる」
 床に倒れてぐったりしてる俺を心配してゆさゆさと揺するぷに子を安心させるため、笑いかける。
「わ、私は悪くないです。嫌だって言ってるのに、あんなこと言う別府くんが悪いんです」
「軽い冗談だろーが……あいたた」
「そ、そうやって私の罪悪感をチクチク攻める作戦ですか。別府くんはやり口がイチイチ卑怯です」
「卑怯も何も、実際にお前に殴られた箇所が痛いからしょうがないだろ」
「男の子なんですから、我慢してください」
「無茶言いやがって。こうなったらぷに子をつぶして溜飲を下げるしかない」
 ぷに子を抱っこし、そのまま前傾姿勢を取りぷに子を潰す。
「ぷぎゅー」
「だから、やめなさいっ!」
「やめてほしければ、代わりに委員長が潰れることだな。はーっはっはっはっは!」
 自分で言っておいてなんだが、全く意味が分からない。高笑いも含めて。
「え……そ、そんな、別府くんに抱っこされるなんて……」(ぼそぼそ)
「聞いてるか? おーい、いいんちょ」
「いいんちょってゆーな! ……わ、分かりました。ぷにちゃんのためです、私が身代わりになりましょう!」
 そんなことはないのだけど、なんだか悪の権化になったような気分だ。
「そういうことなので、ぷに子は一時退場」
「ぷにー……」
 ぷに子はしぶしぶ、といった感じで俺の膝から退いた。そこへ、委員長がゆっくりと座る。
「へ、変なところ触ったら許しませんよ!?」
「腸とか?」
「どうやって触る気ですかっ! お尻とか胸とかです!」
「馬鹿な!? 楽しみの90%が水泡と消えた!」
「そのまま別府くんも消えてください」
 とても酷い言葉に深く傷つきながら、委員長を後ろから抱っこする。
「う……」
「あ、強かったか? 悪い悪い」
「へ、へーきです。ただ……」
「ただ?」
「……お、男の人に抱きしめられるなんて、初めてで、その……」
 ぬ。そういう可愛いこと言われると、いかん。
「ひゃっ!? な、何かお尻の下に固いのがムクムクって!?」
「熱に反応する棒状の何かが大きくなっただけだよ!? 本当に!」
「ぼうじょう……? ……っ!?」
 ばれたっぽい。
「へっ、変態ですっ! 別府くんは確実に変態ですっ!」
「動くなっ! ええい、尻が委員長の柔らかい尻が!」
「ひゃああ!? お尻に棒が、棒がぴたーって!?」
「ぷにーぷにー!」
「ええいっ、どさくさに紛れて抱きつくなぷに子っ!」
 もう滅茶苦茶でした。

 ややあって。
「うう……汚されました。もうお嫁にいけません」
「人聞きの悪いこと言うなっ!」
「ぷにーぷにー!」
「おまーは抱きついてきただけだろっ! なんでお前も嫁にいけねーんだ!」
 叫んでから気づいたが、普通にぷに子の言葉が理解できるようになってるのに少し驚く。将来ぷに語の通訳で食ってけそうだな。
「うー……。責任、取ってください」
「いや、抱っこしただけで、そうなる理由が分かりません」
「ぷに、ぷにに」
「いや、だから」
 二人の美少女から迫られる。状況だけ書くと垂涎ものだが、実際に自分の身に降りかかると、これほどの苦難はない。
 背中に流れる冷や汗を感じながら、この状況から逃れる術を必死に考える俺だった。

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【階段でこけそうになった女の子を助けた男】

2010年01月25日
「やっ、ほっ……にゃっ、にゃーっ!?」
 学校でだらだら階段を上ってたら、頭上から奇声がするなあと思った瞬間に影が差した。室内なのに雲か、と思うはずもなく、誰か足を踏み外しみぎゃっ。
「あいたた……あ、あれ? あんまり痛くない」
「それは俺が下敷きになっているからであり、俺が大変痛い」
「いいっ!?」
 慌てて俺から離れる感覚。
「すっ、すま……なんだ、別府か。謝って損した」
 頭を下げかけて、潰れてるのが俺と分かるや否や頭を起こす人。こんなのでこの学校の生徒会長ってんだから、どうかと思う。
「あと、もう少しこっちに寄って来てくれるといいと思う」
「ん? なんでだ?」
「その位置だと丁度パンツが見えなくて。もう少し近寄ってくれないと困ります」
 会長はゆっくりこちらにやってくると、きゅっと俺の顔を踏んだ。
「違う、それでは足の裏しか見えない」
「全く……ほら、立てるか?」
 会長は足をどけると、スカートを気にしながら俺を起こした。
「や、どうも。あいたた……」
「いや、でも、まあ、なんだ。お前がいてくれて助かった」
 あさっての方向を見ながら、会長は頬をぽりぽりかいて珍しいことを言った。
「この世界に俺がいることに、会長が感謝の言葉を述べている」
「この、場所に、偶然、お前が、いたから、私は怪我をせずに済んだ、と言いたいだけだッ!」
 言葉が妙に途切れているのは、俺の顔を渾身の力で締め上げているからであり、もう少しでもげること請け合い。
「うろれん」
「うひゃあっ!?」
 なので、舌でうろれんっと会長の手のひらを舐めてパージを阻止する。
「なっ、なな、な、舐めーっ!?」
「妖怪手の平舐め。主に十代の女性の手の平を舐めて生活したいが、なかなかそうはいかないので50代60代の手の平を舐めては『明日こそは……!』と悔し涙を流す妖怪。可哀想だと思う」
「嘘解説はいいッ! きっ、貴様、私の手を舐めたな!?」
「だって、このままだと俺の顔が物理的に外れるから」
「だからと言って舐める奴があるかっ!」
 どうやら大変に怒っているらしい。どうしよう、と思ってたら、会長の怒鳴り声を聞きつけてか、人が集まってきた。
「う……と、とにかく! このことは後できっちり詫びてもらうからな! 放課後、生徒会室に来い!」
 言うだけ言って、会長は人ごみをかき分けどこかへ行ってしまった。会長がいなくなってしまい、群衆は興味をなくしたのか三々五々に散っていった。

 てなわけで、放課後。助けたはずなのに怒られるために生徒会室に出向く。
「……しかし、普通に入っても面白くないな。転がりながらの登場……つまらんな。ここはいっそ消火器を吹かせながら登場とか」
「したら停学だぞ」
 ドアの前で考え事をしてたら、背後から声をかけられて驚いた。
「それはもう尻が割れそうなくらい驚いた」
「誰でも割れてる!」
「恥ずかしいことを大声で言う人だなあ」
「う、うるさいっ! お前に乗せられたんだ!」
 俺のすぐ背後にいたのは、やっぱり会長だった。面白くなさそうに俺を睨んでいる。
「しかし、素直に来るとは感心だな。てっきり私の言うことなんて無視して帰ったかと思ったが」
「会長の言うことを無視なんてできないよ」
「う……そ、そうか?」
 会長は満更でもない顔ではにかんだ。
「帰ったら家が不審火でなくなってる、なんて嫌だし」
「私は何だと思われてるのかなあ?」
 ニコニコ笑いながら俺の頬を全力でつねりあげる人です。
「ほら、くだらないこと言ってないで入るぞ」
 猫のように首根っこを掴まれ、生徒会室へ入る。しかし、中には誰もいなかった。
「会長、他の人は?」
「ん? いや、今日はいないが」
「ほほう。二人っきりですな!」
「いらんことは言わんでいいっ!」
 俺を一発殴ってから、会長は椅子に座った。
「あー……その、なんだ。今日は、その、悪かった」
 俺が謝る時間のはずが、会長が謝っている。
「これはどこかで時間軸がねじれ、本来俺がいるはずでない時間──つまり、『そうなったかも』という世界に入ったに違いない」
「何を言っているのだ?」
「パラレルワールドの可能性について少し」
「……相変わらず訳が分からんな、お前は」
 会長は疲れた顔でため息を吐いた。どうやら違うらしい。
「だから、何だ。私は、階段で助けてもらった礼をしたかっただけだ」
「ああ、なんだ。そんなの、あの時ちょちょいって言えばよかったのに」
「あの時に変なことばかり言って無駄に話を長引かせたのは誰だ!?」
 どうやら怒られているようだ。
「お前はいつもそうだ。いつもふざけてばかりで……聞いているのかッ!?」
「はい、すいません」
 気がつけば正座していた。怖いよ。
「……っと。違う、怒るんじゃない、お礼だ、お礼。……え、ええとだな、あの時お前がいなかったら、私は大怪我していたかもしれない」
「はぁ」
「だ、だから、その、……あ、ありがとぅ」
 会長は消え入りそうな声で感謝の言葉を告げた。こういった場面にあまり慣れていないのか、顔が真っ赤だ。
「いやはや……会長、可愛いな」
「なっ!? ななっ、何を言ってるんだ、お前は!?」
「む、年上だから可愛いは失礼か。でも、まあ、いいか!」
「よっ、よくない! き、貴様、な、何を言って!?」
「おや、足が正座のせいでしびれあしら」
「人の話を聞けーッ!?」
 何か目がぐるぐるしてる人が叫んでました。

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【成績優秀なツンデレ】

2010年01月25日
 生徒会長は普段勉強なんてしないくせに、学年でトップとかふざけた状況なので呪う事にした。しかし、わら人形なぞどこで仕入れたらいいのか分からない。
「売ってる場所とか知りません?」
「私に聞くな、この馬鹿ッ!」
 物知りな生徒会長に事情全部話したら怒られた。
「まあ、いいじゃん。で、知りませんか?」
「知らないし、仮に知ってても教えるわけないだろ、ばか。……まったく、どうしてこんな奴が副生徒会長なんだ?」
「恐らく、子守役として」
「だっ、誰が子供だっ、誰が!?」
「会長。かーわいいね」
 会長の頭をくりくりなでると、火が点いたように怒った。
「子供じゃないっ! お前より年上だ、ばかっ!」
「はぁ」
「うー……全然敬ってる感じじゃない」
 会長は腰に手をあてて俺を睨んだ。しかし、どう見ても子供が無理して大人ぶってるようにしか見えないので、自然と顔が綻んでしまう。
「に、にやにやすんな、ばかー!」
「や、つい。微笑ましさとロリコンとしての喜びが顔に」
「寄るな、変態っ!」
「嫌われた」
 ショックのあまりその場にうずくまる。
「むぎゅーっ! わ、私を巻き込んでうずくまるな、ばかあ!」
「しまった、近くにちっこくて抱き心地のよさそうな物体があったせいで、つい」
 言いながらも、会長のすべすべ肌が俺の駄目な部分を刺激するので、思わずほお擦りしてしまう。
「すっ、すりすりすんなあ!」
「いやはや、気持ちいい」
「がぶがぶがぶっ!」
「大変痛い!」
 すりすりしてたらほっぺをがぶがぶ噛まれ、痛みのあまり手を離してしまう。会長は慌てて俺から離れ、すごく怖い顔で俺を睨んだ。
「お前なあ……ちょっとそこ座れ。説教だ」
「明日でいいですか? 今日はなんだか眠くて」
「今すぐ!」
 子供の言うことをきくのも大人の役目なので、唯々諾々と座る。
「お前は普段からそうだが、目上の者を敬う精神がない」
「いやいや、敬ってますよ? 会長はこんな小さいのに毎日頑張ってるなあって」
「そこっ! “こんな小さい”ってのが余計だっ!」
「いやいや、背丈の話なのでそんな過剰に反応する必要はないかと」
「それ以外に何があるっ! ……あっ、むっ、胸か、胸なのかっ!?」
 会長はつるぺたい胸を隠した。
「会長は性格も含め、全身その全てが俺のストライクゾーンに入ってるので毎日辛いです。どうしてくれる」
「うっ、うるさいっ、ばかっ! そんなの私の知ったことじゃないっ!」
「そこは『じゃ、じゃあ、……お兄ちゃん、私の全部、もらってくれる?』とか言ってくれると幸いなのですが」
「お前もう退学しろ!」
「まあそれは追々考えるとして、会長。とりあえずわら人形の話の続きを」
「しないっ! だいたい、なんで私を呪うんだ? お、おまえは……その、私が好きなのだろう?」
「はあ、まあ」
「じゃーその相手を呪うっておかしいだろう!」
「理性と感情が矛盾するなんて思春期にはよくある話ですよ」
「当の本人が冷静に言うなっ! お前が言うことは基本、何も信用できないからな……」
 どうやら俺は会長に嫌われているようだ。
「じゃあ呪わないので勉強教えて、勉強。このままではテストが大変なことに」
「いい気味だ、馬鹿。誰がお前なんかに教えるか」
「しょうがない……テストの分からない問題の答えの欄には、会長の個人情報を連ねるか」
「……教えてやるから、次に生徒会室に来る時は、教科書とノート持って来い」
「ヤッタネ!」
 小躍りする俺の横で、会長が小声でいつか殺すとか剣呑なこと言ってるような気がするけど気のせいだ。

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【男がツンデレを起こしたら】

2010年01月25日
「うー……いかん、ダメだ。おい別府、少し寝るから20分くらいしたら起こせ」
 生徒会室で書類を片付けてると、会長がそんなことを言った。
「任せてください、会長。寝たことを後悔するくらい素晴らしい起こし方をしますので」
「普通に起こせ! ……あと、いちおー言っておくが、変なことしたら絶対殺すからな」
「変なこと。と言うと、具体的にはどのような」
「そっ、それは、その……ええいっ、そうやって私をからかう行為全てだっ!」
 会長は顔を真っ赤にして俺を一発殴ると、肩をいからせたままソファの元へ歩き、そのまま座った。
「いーか、絶対変なことするなよ! 絶対だかんなっ!」
「ダチョウ倶楽部か。竜ちゃん最近病的な痩せ方してて心配ですよね」
「違うっ! そーゆーのではないっ! 少しでも私に触れてみろ、その時がお前の最後だからなっ!」
「触れずにどうやって起こせと言うのですか。超能力?」
「うるさいっ! もーいい、私は寝るからな!」
 それだけ言って、会長は備え付けてある毛布を頭からかぶってしまった。ものの数秒もしないうちに、寝息が俺の耳まで届いてきた。
「どれだけ眠かったんだか……」
 とまれ、俺は俺の仕事を片付けよう。
 しばらく黙々と書類を片付けてると、会長が寝てから20分ほど経った。さて、そろそろ起こすか。
 足音を立てないよう注意しながら、会長の下へゆっくり歩み寄る。
「ふひゃー……ふひゃー……」
 頭までかぶっていた毛布はすっかり剥ぎ取られており、見事なまでの寝相の悪さを俺に見せ付けていた。制服の裾がまくれ、腹が丸出しだ。へそが可愛い。
「むにゅむゆ……むー」
 さて、どうやってこの愉快生物を起こそう。触ることは禁止されていたが、そんなことは俺の、俺様の膨れ上がるパッションの前には無効だ。
 とりあえず、さっきから愉快な寝息を立てる口元をどうにかしてみよう。そっと、会長の口に指を差し入れる。
「む……ゆ? ……むー」
 変化なし。てっきり擬似フェラとかしてくれると思ったのに! がむでぶ!
 それはともかく次だ次。指を引き抜き今度は……って、指が抜けねえ!
「あぎあぎあぎ」
「俺の指が!?」
 何と勘違いしてるのだか知らないが、会長が俺の指を捕食し始めた! がじがじがじと結構な力でかじられており、このままではヤのつく職業と間違われかねない!
「待て会長、待て! 大変痛いのであぎあぎは勘弁!」
「……んぅ?」
「甘噛みとかならウェルカムなのでそっちの方向でひとつ!」
「……あぎあぎあぎ」
「大変痛い!」
 起きてるのか寝てるのか分からないが、とにかく俺の指が大変に痛い。ここは空いてる手でどうにかすべきだと判断したので断行! 会長のほっぺをむにーっと引っ張る!
「これならさしもの会長も起きるだろ! 起きて俺の指から離れるのだ!」
「……ぅゆ?」
 会長の目がうっすら開いた! 今だ、ほっぺむにーの力をさらに上げるのだ!
「くらえっ! 俺の持てる力の全て、ここにぶつけてやるっ!」
「……ほっぺ、いたいー」
「ああごめんねごめんなさい会長俺が全部悪かったです」
 夢うつつの会長には勝てず、すぐさま手を離して土下座。しようとしたが、未だ指を食われたままなのでできない。
「……ん? ……うあっ、何だコレ!?」
 ようやっと目が覚めたのか、会長は俺の指をぷっと吐き出した。すぐさま保護。痛かった。
「やっぱお前か、別府! 変なことするなって言ったのに!」
「幼女が寝てたら変なことするに決まってるじゃないですか」
「幼女じゃないっ! 私はお前より年上だっ! あと、そんなことを当然のように言うな、この変態っ!」
「まあそんなことより擬似フェラしてくれませんか? 不完全燃焼でどうにもこうにも」
「ふ、ふぇ……!?」
「そう、フェラ。俺の指をアレに例えて、ちゅぴちゅぱお願いします」
 真摯に頼んだのに、ダメみたい。だって、会長が怒りのあまり震えてるんですもの。
「……ああ、そうだ。殺そう」
「やめて」
 何故か生徒会室に置いてある木刀を手に取り、ゆらりと会長がこっちに来たので部屋から飛び出て逃げる。
「逃げるなっ、別府!」
「いやホントごめんなさいもう指ちゅぱしてくれなんて言いませんから!」
「そっ、そーゆーことを大声で叫ぶなっ、ばかーっ!」
 夕暮れの校舎を二人で駆けずり回りました。まあ、捕まりましたけど。

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