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2024年11月23日
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【バレンタインとツンデレ】
2010年04月19日
「チョコください、委員長」
「ヤ」
いつものように委員長と帰宅してる最中、今日はバレンタインと気づきチョコをせがむも一言で断られた。
「なんで貴方にチョコをあげないといけないの。甘いのが食べたいなら、コンビニで何か買ってきたらいいじゃない」
「や、そうではなくて。バレンタインに愛の塊チョコを食べたいという男心でして」
「だったら尚のことよ。貴方なんかにあげるチョコなんてないわよ」
「むぐぐ……し、しかし、付き合っているというのに、愛する彼氏にチョコの一つぐらいいいのでは?」
「だっ、誰と誰が付き合ってるってのよ、誰が!」
「俺と、委員長が、ラブラブ」
顔に参考書を投げつけられた。
「へ、変なこと言わないで! 私はただ、頭の悪い別府くんに勉強を教えてあげてるだけ! 勘違いしないでよ!」
「では、勘違いを真実にしようではないか。おお、そういえば今日はバレンタイン。さ、委員長。チョコください」
地面に落ちた参考書を委員長に返すと、また投げつけられた。角が当たって超痛え。
「いいから帰る! おばさまと担任の先生と校長先生に貴方の勉強頼まれてるんだから、ちょっとは頑張りなさいよ」
「う、ううう……チョコ、チョコ……甘いチョコが食いたい」
俺は委員長に引かれながら、えぐえぐとしゃくり上げるのだった。近所の園児が俺を指差し笑ってるのが悔しかった。
「チョコー……」
「はぁ、まだ言ってる」
家に帰り、委員長から個別授業を受けてるがまるで頭に入らない。俺はコタツの上に頭を乗せ、どうして委員長がチョコをくれないのか考えていた。
「……金か? 委員長! 金を俺が出せば、チョコを買ってくれるか?」
「ヤ」
委員長の一言で撃沈する。……どうやら本気でくれないようだ。
「今年こそ、チョコ0から脱却できると思ったんだけどなぁ……現実は甘くないなぁ」
「え、別府くん、チョコ今まで貰ったことないの?」
「も、貰ったことくらいある! 確か幼稚園の時に、保母さんから貰ったような」
「…………」
「な、なんだよぅその目は! 貰ったのは事実だ! たぶん!」
「……そうね。よかったね」
どうしてか、憐憫の目で見られているような気がしてならない。
「ほら、いいからこの問解きなさい」
「うー……花子さんと太郎くんがいます。二人が子作りをしたとして、何ヵ月後に子供が生まれるでしょう、か……。最近の教科書は過激だな」
「そんなの全然書いてないわよ! 今やってるの数学だし!」
「うーん……3以上数えられないから、数学苦手なんだよなぁ」
「もうちょっとマシな言い訳しなさいよ。ほら、頑張る頑張る。今日のノルマが終わったら、ご褒美あげるから」
「ご褒美!? 処女か、処女だな!」
物凄い怒られた。
「すいません、おっぱいタッチで我慢します」
「なんでよ! そういうのじゃないわよ!」
なんだか分からないが、ご褒美があるなら頑張ろう。
その後、17回ほど委員長に怒られながらも、どうにか今日のノルマを終える。
「うー……つーかーれーたーぁー……」
「お疲れ様。はい、ご褒美」
「さてはチョコだな!? なんだかんだ言って優しいからな、委員長は」
コタツの上にちょこんと置かれたそれは、チョコにしてはやけに丸々としてて、オレンジ色で、ミカンのようで。
「……いかん。目を酷使しすぎたせいか、チョコがミカンに見える」
「おいしいわよ、ミカン」
委員長は鞄からミカンを4つほど取り出し、そのうちの一つを手に取った。
「ミカン、嫌い?」
「嫌いじゃないけど、今日ぐらいは黒くて甘くて、でもどこか苦味のある菓子を食べたかったなぁ、とか」
ぶちぶち文句を言いながら、ミカンの皮を剥いて食べる。
「ん、甘い」
「でしょ? 私、ミカンって好きなんだ。このミカン当たりね」
チョコを貰えないのは残念だけど、まぁこうやってコタツに入って委員長とミカン食うのも悪くない、かな。
……ごめんなさい強がりです。本当は血尿が出るほどチョコが欲しかったです。
「おいしいわね、このミカン」
「むぐむぐ……委員長、いちいち白い筋取るのやめたら? 気にすることないと思うが」
「この方がおいしいし、綺麗よ」
適当に話してると、すぐにミカンは二人の腹の中に収まってしまった。
委員長を玄関先まで送る。外はもう夕闇に包まれていた。
「ミカンありがとな、委員長。美味かったよ」
「そ、そう。……あ、そうだ。コレあげる」
そう言って委員長が差し出したのは、綺麗にラッピングされた小さな包みだった。
「え、委員長、これって……」
「じゃ、じゃあまた明日!」
委員長は素早く走って行ってしまった。部屋に戻り、包みを開ける。果たして、そこには小さなチョコが入っていた。
「委員長……」
小さくて、少し歪んだチョコを頬張る。甘くて、少しだけ苦かった。
翌日。俺はいつもの場所で委員長を待っていた。いつもより少し遅れて、委員長がゆっくりやって来た。
「おっはよー、委員長!」
「お、おはよう……」
委員長はなんだか居心地悪そうに体を揺すった。
「チョコありがとうな、委員長。あんな嬉しいチョコは生まれて初めてだ」
「ち、チョコチョコ言わないでくれる? 義理なんだから、そんな喜ばないでよ」
「や、義理でもなんでも嬉しいもんは嬉しいし。それをしっかり伝えないのは失礼だと思うわけで」
「……そ、そう。義理でそんな喜んで、おめでたい性格ね」
「ま、ホントは本命がよかったんだけどな。それは来年まで待つ」
「だっ、誰が貴方なんかに本命チョコをあげるってのよ! 貴方なんて、来年もその次もずーっと義理に決まってるわよ!」
「ほう、委員長は俺とずーっと一緒か。幸せなことこの上ないな」
「なっ……!」
委員長は顔を赤くして口元をもごもごさせた後、一人で学校へ向かってしまった。
「ああ待って待って委員長! 一緒に行こう!」
足早に歩く委員長の後を、俺は軽く駆けて追いかけるのだった。
「ヤ」
いつものように委員長と帰宅してる最中、今日はバレンタインと気づきチョコをせがむも一言で断られた。
「なんで貴方にチョコをあげないといけないの。甘いのが食べたいなら、コンビニで何か買ってきたらいいじゃない」
「や、そうではなくて。バレンタインに愛の塊チョコを食べたいという男心でして」
「だったら尚のことよ。貴方なんかにあげるチョコなんてないわよ」
「むぐぐ……し、しかし、付き合っているというのに、愛する彼氏にチョコの一つぐらいいいのでは?」
「だっ、誰と誰が付き合ってるってのよ、誰が!」
「俺と、委員長が、ラブラブ」
顔に参考書を投げつけられた。
「へ、変なこと言わないで! 私はただ、頭の悪い別府くんに勉強を教えてあげてるだけ! 勘違いしないでよ!」
「では、勘違いを真実にしようではないか。おお、そういえば今日はバレンタイン。さ、委員長。チョコください」
地面に落ちた参考書を委員長に返すと、また投げつけられた。角が当たって超痛え。
「いいから帰る! おばさまと担任の先生と校長先生に貴方の勉強頼まれてるんだから、ちょっとは頑張りなさいよ」
「う、ううう……チョコ、チョコ……甘いチョコが食いたい」
俺は委員長に引かれながら、えぐえぐとしゃくり上げるのだった。近所の園児が俺を指差し笑ってるのが悔しかった。
「チョコー……」
「はぁ、まだ言ってる」
家に帰り、委員長から個別授業を受けてるがまるで頭に入らない。俺はコタツの上に頭を乗せ、どうして委員長がチョコをくれないのか考えていた。
「……金か? 委員長! 金を俺が出せば、チョコを買ってくれるか?」
「ヤ」
委員長の一言で撃沈する。……どうやら本気でくれないようだ。
「今年こそ、チョコ0から脱却できると思ったんだけどなぁ……現実は甘くないなぁ」
「え、別府くん、チョコ今まで貰ったことないの?」
「も、貰ったことくらいある! 確か幼稚園の時に、保母さんから貰ったような」
「…………」
「な、なんだよぅその目は! 貰ったのは事実だ! たぶん!」
「……そうね。よかったね」
どうしてか、憐憫の目で見られているような気がしてならない。
「ほら、いいからこの問解きなさい」
「うー……花子さんと太郎くんがいます。二人が子作りをしたとして、何ヵ月後に子供が生まれるでしょう、か……。最近の教科書は過激だな」
「そんなの全然書いてないわよ! 今やってるの数学だし!」
「うーん……3以上数えられないから、数学苦手なんだよなぁ」
「もうちょっとマシな言い訳しなさいよ。ほら、頑張る頑張る。今日のノルマが終わったら、ご褒美あげるから」
「ご褒美!? 処女か、処女だな!」
物凄い怒られた。
「すいません、おっぱいタッチで我慢します」
「なんでよ! そういうのじゃないわよ!」
なんだか分からないが、ご褒美があるなら頑張ろう。
その後、17回ほど委員長に怒られながらも、どうにか今日のノルマを終える。
「うー……つーかーれーたーぁー……」
「お疲れ様。はい、ご褒美」
「さてはチョコだな!? なんだかんだ言って優しいからな、委員長は」
コタツの上にちょこんと置かれたそれは、チョコにしてはやけに丸々としてて、オレンジ色で、ミカンのようで。
「……いかん。目を酷使しすぎたせいか、チョコがミカンに見える」
「おいしいわよ、ミカン」
委員長は鞄からミカンを4つほど取り出し、そのうちの一つを手に取った。
「ミカン、嫌い?」
「嫌いじゃないけど、今日ぐらいは黒くて甘くて、でもどこか苦味のある菓子を食べたかったなぁ、とか」
ぶちぶち文句を言いながら、ミカンの皮を剥いて食べる。
「ん、甘い」
「でしょ? 私、ミカンって好きなんだ。このミカン当たりね」
チョコを貰えないのは残念だけど、まぁこうやってコタツに入って委員長とミカン食うのも悪くない、かな。
……ごめんなさい強がりです。本当は血尿が出るほどチョコが欲しかったです。
「おいしいわね、このミカン」
「むぐむぐ……委員長、いちいち白い筋取るのやめたら? 気にすることないと思うが」
「この方がおいしいし、綺麗よ」
適当に話してると、すぐにミカンは二人の腹の中に収まってしまった。
委員長を玄関先まで送る。外はもう夕闇に包まれていた。
「ミカンありがとな、委員長。美味かったよ」
「そ、そう。……あ、そうだ。コレあげる」
そう言って委員長が差し出したのは、綺麗にラッピングされた小さな包みだった。
「え、委員長、これって……」
「じゃ、じゃあまた明日!」
委員長は素早く走って行ってしまった。部屋に戻り、包みを開ける。果たして、そこには小さなチョコが入っていた。
「委員長……」
小さくて、少し歪んだチョコを頬張る。甘くて、少しだけ苦かった。
翌日。俺はいつもの場所で委員長を待っていた。いつもより少し遅れて、委員長がゆっくりやって来た。
「おっはよー、委員長!」
「お、おはよう……」
委員長はなんだか居心地悪そうに体を揺すった。
「チョコありがとうな、委員長。あんな嬉しいチョコは生まれて初めてだ」
「ち、チョコチョコ言わないでくれる? 義理なんだから、そんな喜ばないでよ」
「や、義理でもなんでも嬉しいもんは嬉しいし。それをしっかり伝えないのは失礼だと思うわけで」
「……そ、そう。義理でそんな喜んで、おめでたい性格ね」
「ま、ホントは本命がよかったんだけどな。それは来年まで待つ」
「だっ、誰が貴方なんかに本命チョコをあげるってのよ! 貴方なんて、来年もその次もずーっと義理に決まってるわよ!」
「ほう、委員長は俺とずーっと一緒か。幸せなことこの上ないな」
「なっ……!」
委員長は顔を赤くして口元をもごもごさせた後、一人で学校へ向かってしまった。
「ああ待って待って委員長! 一緒に行こう!」
足早に歩く委員長の後を、俺は軽く駆けて追いかけるのだった。
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