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2024年11月21日
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【ツンデレに消しゴムを拾われたら】
2013年12月28日
英語の授業中。とても眠い。だが、最近寝すぎて先生に目をつけられているため、例えポーズだけでも起きていなければ。ああそれにしても眠い。
……そうだ、板書をノートに写して目を覚まそう。えーと、I am a pen、と。斬新なカミングアウトだな……あ、全然違う。寝ボケて見間違えたか。
消しゴムを筆箱から取り出そうとしたら、手が滑って床に落ちてしまった。慌てて腰を浮かしかけてると、隣の席の女子が拾ってくれた。
「あ、サンキュ」(小声)
「うるさいです殺しますよ」(小声)
はい、と俺に消しゴムを手渡し、なんでもない顔で授業に戻る女生徒。俺も黒板に向き直る。
「……いやいや、いやいやいや! 違うだろう! そりゃ拾ってくれたことには感謝しますがその感謝に対しうるさい殺しますよはないんじゃないですかねェ!? いやうるさいまでは100歩譲っていいとしても殺されるのはどうしても嫌だ! なぜなら死ぬのはとても怖いから!」
「別府うるさい。座れ」
「はい」
あまりの納得のいかなさのあまり思わず立ち上がって思いの丈をぶち撒けたら、普通に英語教師に叱られた。
「とてもうるさいです殺します」(小声)
そしてまた殺意をぶつけられた。睨まれもした。
「……あのさ、俺なんかしたか?」
このままでは大人しく授業を受けることなんてできやしない。こそこそっと例の女子に耳打ちしようと近寄ったら、その距離だけ離れられた。
「お、おい待て。逃げるな」
「悪臭がします。むしろ死臭です」
「あれ、俺死んでた?」
「はい」
「いつの間に!? 嫌だあ!」
「別府うるさい。座れ」
「はい」
知らず死んでいた恐怖に再び立ち上がって叫んだらまた怒られたので、座る。あと、よく考えたらこんなので騙される俺が悪い。が、それとこれは別。
「ええい、よくも騙しやがって、この……ええと、名も知らぬ女生徒!」ヒソヒソ
「私だって貴方の名前なんて知らないです」ヒソヒソ
「さっきから教師に名前を呼ばれてますが。口だけじゃなく耳まで悪いのか」
「う、うるさいです死にます死になさい殺します」
このお嬢さんはすぐに人を殺そうとするので怖いが、ちょっと頬が赤いので恐怖心が薄れた。
「すぐに人を殺そうとするな。それより、どうしてそんなに俺を殺そうとするんだ。アレか、実はお前は悪魔か何かで、俺の魂にすごく価値があるからそれを他の悪魔に奪われまいといち早く俺を殺して魂を取ろうとしているのか」
「邪気眼キモいです」
「…………」
「さらに言うなら、貴方の魂にそんな価値があるとはどうしても思えません。どれだけ自惚れてるんですか。自身を顧みたことないのですか。その上での発言ならもうどうしようもないです、一人で穴でも掘って永遠に埋まっててください」
「…………」
「最後に、授業中です。邪魔しないでください。とても迷惑です」
「うっうっうっ……」ポロポロ
「泣いたッ!?」
畳み掛けられすぎて思わず涙が出てしまった。そしてそれを大声で言われた。
「うわっ、マジだ! 別府の奴泣いてるぞ!」
「すげぇ、高校生でここまでマジ泣きしてる奴初めて見た」
「別府くんの泣き顔よ! レアよレア! 早く撮らないと!」パシャパシャ
「うわ、調教したい……」ハァハァ
周囲から聞こえてくる黄色い声に、自らの立ち位置を自覚して死にたくなる。ていうか最後のなんだ。
「どうした別府、お腹でも痛いのか? ほら、便所行って来い」
そういうわけではないが、ここで晒し者になってるよりマシだ。俺は逃げるように教室から出て行った。
「はぁ……」
数分時間を潰してから教室に戻る。先ほどの喧騒が嘘のように、教室は静寂を取り戻していた。だが、生徒たちの俺を見るニヤニヤとした顔が夢幻ではなく現実であると知らしめる。
ただ、ニヤニヤされて悔しいので俺なりの精一杯の愉快な顔をして対抗したのだが、全員一斉に真顔になったので一層辛い。
「ちくしょう」
さっき泣いたのとはまた別の理由で泣きそうになりながら着席する。今日は厄日だ。大人しく最初から寝てりゃよかった、とか思ってたらツンツンと肩をつつかれた。例の女がボールペンでつついている。
「なんだコンチクショウ。今の俺のは非常に傷心なので、これ以上死ねと言われたら実行しかねないので勘弁してくれると嬉しいです」
「さっきの顔はなんですか?」
真新しい傷に塩をたっぷり塗り込まれた。
「……なんでもない」
「そうですか。……あの、その。……さっきはごめんなさい。私が言わなかったらあんなことにならなかったですよね?」
……びっくりした。この殺します女に、こんな殊勝な態度を取れるとは。
「全くだ。土下座して謝れ。その際全裸でお願いします。支配欲が満たされそうだし、その大きなおっぱいが床でぐにゃりと押しつぶされる様をとても見たいです」
そこで、全力で大人げない態度をとる。
「…………」ジーッ
「嘘ですごめんなさい」
養豚場の豚を見る目で見られたので、思わず謝ってしまう。
「……いや違う、なんで俺が謝ってんだ。そうだ、お前が謝るんだ。酷いこと言って泣かせてごめんなさいと言え。あ、泣かせてはやっぱナシで」
「ちょっと言っただけで高校生を泣かせてしまい申し訳ありません」
「ちくしょう」
謝らせたはずなのに、心は晴れるどころかより一層重くなる。
「ところで、なんであんなので泣けるんですか? 何か秘訣があるのですか? 子供じゃあるまいし、あんなので普通泣けませんよね?」
「俺に恨みでもあるのか」
「はい」
「え? マジ? 何かしたの、俺?」ズイッ
「近寄らないでください真剣にキモいです死にます殺します」
「うっうっうっ……」ポロポロ
「また泣いた!?」
十数分前の繰り返しになったので割愛。
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いろいろと楽しみです