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2024年12月04日
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【笹を担いでるところをツンデレに見られたら】

2011年07月05日
 もうすぐ七夕らしいので、笹買ってきた。その帰宅中、ばったりかなみに会った。
「ばったりとバタリアンて似てますよね。ははは。じゃ俺はこれにて」
「あからさまに避けてるのがばれてるわよっ、ばかっ!」
 最大限のさりげなさでエンカウントから逃れたかったのだが、失敗したようだ。
「ったく……なによ、ばか」
「ああ、いや、避けているのではなくて。ただ、この植物について言及されたくなかっただけで」
「え? ……ふぅ~ん。で、なに? なんなの? その笹」
 触れて欲しくないと聞いた途端、かなみは嬉しそうな笑みで早口に問いかけた。
「うちのパンダの食欲が旺盛で、供給が追いつかないんだ」
「嘘つけっ!」
「いや、本当に。最近うちの親父がとある泉で溺れたらパンダになりまして」
「どこのらんまよっ!」
「そんなわけで、七夕用の笹なんだ」
「どこがそんなわけよっ! 初耳よっ!」
「ちなみに、触れて欲しくないと言ったのは罠です。この一連のボケが笹を担いでる時に浮かんでしまい、誰かに言いたくて言いたくて」
「途中からそんな気がしたわよ、ばかっ!」
「よく叫ぶ人だなあ」
「誰が叫ばさせてんのよっ! ……ぜーぜー」
「辛そうですね。短冊に『かなみのノドがうるおいますように』って書いておくよ」
「素直にジュースの一本くらいおごりなさいっ!」
 そんなわけで、無理矢理財布を強奪され、自販機でジュースを奢る羽目になってしまった。なんという不幸。
「んーと……どれにしよっかな」
「俺のオススメはこのドクロマークがついてる『極楽一直線』というジュースだな。メーカーの客を舐めてる感が半端ではない」
「アンタが飲め」
「ばか、俺みたいな性格破綻者が極楽なんかに行けるわけないだろ」
「どこを指摘してんのよ! ……ったく、これにしよ」
 かなみが白魚のような指でむんぎゅと押したのは、オレンヂジュースだった。
「うわ、地味」
「ジュースに地味も何もないでしょ! ……そういうアンタは、どんなのを選ぶのかしら?」
「ぽち」
 俺もかなみと一緒のジュースを買う。
「どういうことよっ!」
「かなみと一緒のジュースを飲みたかったんだ」
「う……へっ、変態! なっ、なによっ、擬似間接キスとでも言うつもり!? ばっかじゃないの!?」
 かなみの顔がみるみる赤くなっていく。自分で言って照れてどうする。
「でも本当は普通にオレンヂジュースが飲みたかったんだ」
「死ねっ!」
「大変痛い!」
 缶を投げつけられた。常人なら一撃で顔が吹き飛んでいるであろうが、俺は我慢強いので鼻血を出す程度で済んだ。
「あのですね、かなみさん。投げるな。危ないから」
「うるさいっ! ばかっ!」
「馬鹿でも何でも。危ないから」
 かなみの手を握り、投げつけられた缶を渡す。まだ開いてないので飲めるハズ。
「……う、うるさい。ばか」
「まあ、俺に投げるのであればまだいいが、他人にすると死者が出るから」
「……アンタくらいにしかやんないわよ、こんな危ないこと」
「じゃあいいや。ただ、手加減していただけると何かと助かります」
「……う、う~~~~~っ!」
「踏むな」
 げしげし何度も足を踏まれた。我慢できるとは言え、痛いものは痛い。
「何をほげーっとした顔してんのよ! 怒りなさいよ! 酷いことされてんだから!」
「ほげー顔は生まれつきだから諦めてくれ。そして、怒るのは好きじゃないから嫌なんだ」
「怒れーっ!」
 何やら頬を引っ張られた。仕返しに頭をなでてやる。
「頭なでんなっ!」
「おはへはおほっへほうふふ(訳:お前が怒ってどうする)」
「ぐう……もー、決めた! 今日はアンタを怒らせる! つーわけで、今からアンタの家行くから!」
 俺から手を離し、ずびしっと指を突きつけるかなみ嬢。なんの宣言してんだ。
「そりゃ構わんが、笹の取り付け手伝えよ。あ、ついでに短冊に願い事も書いてけ」
「ふんっ! アンタが死にますようにって願い事書いてやるんだから!」
「およそ90年後には叶うことだろう」
「遅い、おーそーいっ! ていうかアンタ長生きしすぎっ!」
「かなみを看取ってから死ぬつもりなんだ」
「な、何を勝手に夫婦にしてんのよっ! 妄想でも禁止よ、禁止!」
「しょうがない。現実で夫婦になるので我慢しとくか。ああこんな貧乳と結婚か。ついてない」
「なんでそっちはおっけーって思うのよ、ばかっ! ていうか貧乳言うなっ! こっちこそアンタみたいな変態お断りよ!」
「でも本当は貧乳大好きだから満更でもないんですよ?」
「知らんっ!」
「だから教えてるんじゃないか。ははっ、かなみって結構ばーかー。でも馬鹿な子ほど可愛いって言うかー」
「絶対、殺すっ!」
 などと殺気を振り撒く娘っ子と一緒に帰宅しました。いっぱい殴られた。

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