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2024年11月24日
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【手を繋いだまま離れなくなったツンデレと男】

2010年03月24日
 誤って接着剤を手に塗布してしまい、さらに不幸な事故が重なり偶然家に遊びに来ていたかなみと手を繋いでしまい、現在そのまま手が離れません。
「なんでアンタなんかと手繋がなくちゃなんないのよ……最悪」
「そう嫌そうな顔するない。俺はむしろ嬉しいぞ」
「え……そ、そうなの?」
「もし何かの拍子にウンコ掴んでたら、俺は一生ウンコと過ごさなくちゃいけなくなってたからな。そう考えるとウンコではなく、かなみを掴んでまだよかった」
「小学生かっ! そう連呼するな、ばかっ!」
「うんこうんこうんこ」
 握られた手に力が込められ潰されそう。
「すいません二度と言わないので潰さないで痛くて泣きそうです」
「最初から言わなきゃいいのに……今回の事といい、本当アンタって馬鹿ねー」
 繋がれた手をひらひらと振り、かなみは呆れたように言った。
「いや、ははは……」
 返す言葉もないので曖昧に笑って誤魔化す。
「……で?」
「はい?」
「だから、これからどうするの? もし夜までこのままだったら、……あ、アンタと一緒に寝なきゃいけないじゃない!」
 よほど嫌なのか、怒りで顔を真っ赤にしてかなみは俺に指を突きつけた。あ、空いてる方の手で、です。
「どうするのどうするのどうするの! あたし、アンタと一緒に寝るなんて嫌よ!」
「大丈夫、俺はそうでもない」
「アンタの考えなんて聞いてないっ!」
「大丈夫、かなみも実はそうでもない」
「か、勝手にあたしの考えを捏造すんなっ!」
 適当言ったらさらに怒りが増したのか、かなみの頬がさらに赤くなった。
「まぁ落ち着け、いま母さんに頼んで剥がし方を調べてもらってる。その間暇なのでしりとりしよう、しりとり。みかん……はっ、しまった!」
「馬鹿」
 などと暇を潰してると、母さんがノックもなしに部屋に入ってきた。
「用件を言え」
 無言で頭に肘を落とされたので黙る。というか、痛すぎて喋れない。
「ごめんね、かなみちゃん。うちのバカが迷惑かけて」
「いえ、いいんです。慣れてますから」
 どっちも失礼だが、事実なので何も言えない。
「でね、調べたんだけど、お湯の中に入れて時間をかけてもみほぐしたらはがれるみたいよ」
「湯! 風呂、風呂だな!? よしかなみ、風呂だ風呂! let's風呂!」
 また肘が落ちてきたので黙る。頭陥没したかも。
「じゃ、洗面器にお湯入れて持ってくるから。ホント、ごめんね」
「い、いえ……あの、タカシ大丈夫ですか? なんかプルプル震えてるんですけど……」
「大丈夫だいじょーぶ。まだコレで死んだことないから」
 当然だ。ていうか判断基準そんな適当ですか、母さん。
 で、母さんが洗面器を持ってきて、また部屋を出て行って。
「……アンタさぁ、なんであたしの手ばっか揉むのよ」
 洗面器に手をつっこんでぐにぐに手を揉んでると、かなみが小さく頬を染め、横目で俺を見ながら言った。
「胸揉んだら怒るだろ?」
「そういうこと言ってるんじゃないっ!」
「何っ!? じゃ、じゃあ揉んでいいと? しかも吸っていいと!? ……テンション上がってきたかも!」
 思い切り頬をつねられたのでテンションダウン。しぼむー。
「じゃなくて、なんで自分の手じゃなくて、あたしの手を揉むのかって話よ」
「そりゃお前、む……」
「同じ話したら引き千切る」
 視線が俺の股間を捉えて離さないので必死で言い訳を考える。
「え、えと、ええと、ええと」
「…………」
 いかん、かなみが俺をじーっと見ているせいか、うまい言い訳がまるで思いつかない!
「ええとええとええとええと」
「……たの?」
「え、田野?」
「……あたしの手、触りたかったの?」
 田野って誰だと思ってると、なんか赤い顔でそんなこと言われたので、どうしよう。
「そ、そういうわけじゃ」
 肯定すると「スケベ!」とか言われて引き千切られそうなのでそう言ったら、
「……あ、そ、そうなんだ。あははは」
 かなみの奴は、少し寂しそうに笑ったので。
「──あ、いや、そうかも。ちゃんと触りたかったのかも」
 思わず本音が口をつき、困った。
「……へ、変態」
 さらに、口では悪態吐きながらかなみの顔がすげー赤くなってるので、もっと困った。
「あ、あはは……あ、はがれた」
 湯の中で俺とかなみの手が離れる。お湯の中にあるはずなのに、なんだか手の平が冷たい。
「……まだ、はがれてない」
 洗面器から手を出す気にならずゆらゆら手を遊ばせてると、俺の手にかなみの手が絡みつき、ついさっきのように手が握られる。
「え、いや、あの」
「は、はがれてないの! まだ! ……まだだから、もうちょっと」
「あ、あー……そ、そだな。まだはがれてないな。……もーちっと揉まないとな」
「あ、あは……タカシは本当にあたしの手を触るの好きねー」
 じゃぶじゃぶと湯をかき混ぜながら、かなみはなんだか嬉しそうに言った。
「否定はしないが……お前もそうじゃないのか?」
「あ、あたしは別にアンタの手なんか触っても何も思わないわよ」
 俺の手をぐにぐに揉みしだきながら、全然説得力のない事を言うかなみ。
「……へへ♪」
「かなみかなみ、顔にやけてる。しまりがなくなってる」
「にっ、にやけてなんかないわよっ! ていうかアンタもにやけてる!」
 なんか幸せな日でした。

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