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2024年11月22日
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【デレデレ幼女 VS ツンデレ2】
2010年04月06日
隣家のちっちゃな娘さん、麻衣は今日も今日とて俺の部屋に入り浸りんぐ。
それは別に構わないのだけど、男のとある部位を激しく動かす運動ができないのが少し辛い。
「あのねあのねお兄ちゃん、麻衣ね、さっきテレビでやってたのしたい!」
「兄はエレクトしたい」
「えれくと?」
「あ、いや、その、なんでもないぞ麻衣」
誤魔化すように麻衣の頭をわしわしなでる。
「……なんか、ごまかされてるみたい」
「そ、それでテレビでやってたのって何だ? 兄に話してみるがいい」
「あ、そーそー。あのね、麻衣がポッキーくわえて、もう片っぽをお兄ちゃんがくわえるの」
「…………」
それは、巷で言う所のポッキーゲームとかいう奴ではないでしょうか。確かにしたいが、相手が麻衣というのは、少しばかり……いや、かなりの抵抗が。
「お兄ちゃん?」
「あ、ええとだな、麻衣。それは恋人同士でなければできない禁じられた遊びなのだ。だから残念ながら……」
「じゃあ大丈夫だね。だって麻衣とお兄ちゃんは恋人同士だもん♪」
違います。嬉しそうに抱きつかないで。
「それじゃやろっ、お兄ちゃん」
「あ、その……ああそうだ! 残念ながらポッキーがない。これじゃできないなぁ。わはははは!」
「じゃあ買いに行こっ!」
「……まぁ、そうなるわな」
非常に不本意ながらも、俺は麻衣と一緒におてて繋いでコンビニへ行くことになった。
「ありゃ、タカシじゃないの」
どうやって切り抜けるか考えながら店内に入ると、偶然かなみと遭遇した。
「よっ、かなみ。何買ってんだ? 避妊具?」
「あっ、麻衣ちゃんも。こんにちは、麻衣ちゃん」
俺を完膚なきまでにスルーし、かなみは麻衣に笑いかけた。
「こんちちは、お姉ちゃん!」
「ちょっと変な挨拶だけど、元気があって花丸! いい子いい子」
「えへへへへっ♪」
俺とは対照的に、麻衣はかなみに撫でられ喜色満面だった。
「俺にばかり冷たいのは、屈折した愛情表現と取っていいのだろうか」
「そんなこと、私に言われましても……」
困惑顔のお姉さんが言うとおり、店員さんに愚痴ても仕方ない。二人の元に戻ると、和気あいあいとお菓子を物色していた。
「これは315キロカロリー、これは445キロカロリー」
「…………」
「ごめんなさい」
親切心で後ろからカロリーを教えてあげたら、かなみに股間が縮み上がるような視線で射抜かれたのですかさず謝る。
「それで、麻衣ちゃん何買いに来たの?」
「ポッキー! あのね、お姉ちゃん知ってる?」
そう前置きして、麻衣はかなみにポッキーゲームのことを事細かに説明した。
「ちょっとタカシ、アンタ何考えてるのよ!」
かなみは俺の胸倉を掴み、がっくんがっくん揺らした。
「ちょ、ちょっとまっ、待てっ! 揺するな!」
「こんなちっちゃい子相手に……いくら同い年の子に相手されないからって、恥を知りなさい!」
「ち、違うんだ! 落ち着け、とりあえず手を放してこのままでは脳が脳が揺れていい感じにうえっぷ」
なだめすかしたり吐きそうになったりして、どうにか手を放してもらう。
「で、どういうことなの?」
俺はかなみに事の次第を説明した。
「……というわけで、ポッキーゲームをすることになりました」
「結局するんじゃない!」
だよね、まだ切り抜ける方法思いついてないし。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、何個買う? 10個? 20個?」
どうすんべかと思ってると、麻衣が両手で抱えきれないほどポッキーを抱えていた。
「そんなに買いません。ていうか、別の買わない? ほらほら、ポテチとかうまいぞ。はよーん」
「……お兄ちゃん、麻衣と一緒にポッキーゲームしたくないの?」
「え、いや、あの」
「……お兄ちゃん、麻衣が嫌いなんだ。だから、ポッキー買わないんだ」
「ま、待て待て麻衣。嫌いとかそういうことじゃなくてだな」
「……麻衣、麻衣、お兄ちゃんに嫌われちゃったよーーーーっ!! うわーーーーーーんっ!!!」
麻衣が子供の本領を発揮した。
「ちょっとタカシ、おろおろしてないでどうにかしないさいよ!」
「うーんうーん、そうだ! かなみ、ちょっと乳出せ。母乳をすすれば落ち着くんじゃないか?」
「出るかッ!」
それもそうだ。混乱してるな、俺?
「うわーーーーーーーん!! お兄ちゃんに嫌われちゃったよーーーーーー!!」
「ああ、落ち着け麻衣。俺が麻衣のことを嫌うわけないじゃん、な?」
「う……えぐっ……じゃあ、すき?」
「う……」
「やっぱり……麻衣のこと……」
麻衣の目の端に涙がじんわりと生産されている! いかん、このままではまた泣かれてしまう!
「お、俺が麻衣を嫌うわけないじゃないか、な?」
そう言うなり麻衣の頭をなでなでなで。同時に泣き止め電波を麻衣に送信。
「う~……ちゃんと、好きって言って」
「好きだっ!」
「なんであたしに言ってんのよ! 抱きつくな!」
緊張感に耐え切れず、思わずかなみに抱きつく。
「うわーーーーーーん、お兄ちゃん寝取られたーーーーーーーーーっ!」
微妙に間違った単語を用いつつ、麻衣は再び泣き出した。
「ち、違うわよ麻衣ちゃん。寝取ってない、お姉ちゃん寝取ってないからねー? この馬鹿が勝手に抱きついてきただけだから」
「そうだぞ麻衣。ちょっとフェロモンに誘われただけで、抱きついた時に“あー柔らけー”とか“小ぶりな乳だけど、それがまた”とか思っただけだぞ」
「うわーーーーん! お兄ちゃんがお姉ちゃんの魅力にたじたじだよーーーーーっ!」
どうしたことか、より一層泣きが強まったような。
「ちっ、違うぞ麻衣! 俺がかなみなんかにたじたじになるはずないだろ?」
「……それって、あたしに魅力がないってコト?」
なぜかなみが怒っているのでしょう。
とにかく、大泣きの麻衣と静かに怒ってるかなみをどうにかしないと。考えろ、考えるんだ!
「なんでいきなり座禅組んでるのよ!」
考えすぎたようだ。しかし、座禅のおかげかよい案が浮かんだので早速実行する。
「お兄ちゃん、麻衣とポッキーゲームしたいんだけど……泣いてるから無理かなー?」
「うっ、ひぐっ……やる、やるっ!」
多少泣きながらも、麻衣は根性で涙を止めた。
「…………」
麻衣が泣き止んだのはいいんだけど、隣から視線がザクザク刺さってくる。
「あ、あの、かなみさん? よろしければ、ご一緒しませんか?」
「するかっ! 何が悲しくてアンタなんかとポッキーゲームしなくちゃいけないのよっ!」
「ご、ごめんなさい」
「……し、しないけど、アンタが麻衣ちゃんに変なことしないよう見張る!」
信用ゼロだった。
そんなわけで、店員さんに店を騒がせた謝罪をしてから商品を買い、三人で帰宅する。
「じゃ、じゃあ早くやろうよ、お兄ちゃん!」
帰宅するなりコンビニ袋からポッキーを取り出し、もう待てない様子で迫ってくる麻衣。
「…………」
そして、俺を無言の圧力で殺そうとするかなみ。
「テトリスおもしれー」
全てから逃避してテトリスを始める俺。
「……お兄ちゃん、麻衣とポッキーゲームしたくないの?」
「したいです! だから泣かないで麻衣に泣かれると兄は辛いのだ!」
「じゃあじゃあ……んー♪」
麻衣はポッキーのビスケット部分をくわえ、俺に差し出した。
「…………」(キスしたら殺す殺す殺す殺す)
かなみが無言で俺に殺意をぶつけてきた。恐怖のあまり失禁しそう。
「え、えっと……それじゃ」
そっとチョコ部分をくわえる。
「んー♪」
満面の笑みで俺を迎える麻衣。
「…………」(それ以上近寄ったら殺す殺す殺す殺す)
俺にしか通用しないテレパシーで殺意をぶつけてくるかなみ。
「は、はふ、ふ……」
恐怖のあまり震えが止まらない。その震えが口を伝い、ポッキーが折れてしまった。
「あーっ、折れちゃったー!」
「ざ、残念だな麻衣。折れちゃったな。それじゃこの辺でお開きに」
「じゃ次ね。次はがんばろーね、お兄ちゃん!」
「…………」
これは、成功するまで無限ループ? しかし、成功したら隣で俺を睨むかなみにきっと殺される。
「矛と盾が俺を苛む」
「ほらほらお兄ちゃん、訳のわかんないこと言ってないで早く早く! はい、んー♪」
再びポッキーが向けられる。かなみ方面から圧力も向けられる。暑さとは違う種類の汗をかきながら、ポッキーをくわえる。
「…………」(成功したら殺す殺す殺す殺す)
「は、はふ、ふ……」(小動物さながらに震えながら)
恐怖心を克服できず、またしてもポッキーが折れてしまう。
「あーっ! また失敗した! もーお兄ちゃん、下手すぎ!」
「ご、ごめん」
隣のお姉ちゃんに命を狙われてるんだとは言えず、素直に謝る。
「あははっ、下手ねータカシ」
「や、隣でじーっと見てる奴がいなけりゃもっと上手にできるんだけどな」
「……へぇ、面白いこと言うのはこの口かしら」
皮肉を言ったらほっぺを引っ張られた
「もーっ、いいからお兄ちゃんやろーよ! 次はちゃんとやってよ?」
「うーあーうー」(見る人が見れば頷いているように見えなくもないが、基本的にうなっているだけ)
「お兄ちゃん、真面目にやって!」
麻衣にもほっぺを引っ張られた。もうどうすればいいのやら。
「わ、お兄ちゃんライオンさんみたい。がおー、がおー」
「あ、本当だ。タカシ、ちょっとライオンのマネして」
「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」
「それ、マリーアントワネットだよ?」
麻衣に素で返された。子供の割に博識だな、麻衣。
「いーから手離して。痛い痛い」
ようやく頬が元に戻った。やれやれ。
「じゃあ、三度目の正直! んー♪」
三度ポッキーが向けられる。そして、三度殺意が向けられる。
「…………」(性犯罪者になったら殺す殺す殺す殺す)
「は、はふ、ふ……」(ちょっと泣きながら)
やっぱり折れてしまった。一緒に心も折れそうです。
「あーっ! まただよ、また! お兄ちゃん!」
「不思議だね」
「不思議じゃないよ! お兄ちゃんがぷるぷるしなかったらできるのに……お兄ちゃん、しっかりやってよ!」
「兄はコンニャクだからぷるぷるを止められないんだ」
「お兄ちゃん人間でしょ!」
「無茶苦茶な言い訳ね……」
呆れ混じりに呟くかなみだが、誰のせいでこんな苦労してると思ってるんだ。
「もう、もう! お兄ちゃん、もっかい! んー!」
「…………」(とにかく殺す殺す殺す殺す)
ポッキーをくわえて俺をじっと見る麻衣と、殺意を込めて俺をじっと見るかなみ。
果たして、俺は明日を無事に迎えることができるだろうか。……衰弱死しそう。
それは別に構わないのだけど、男のとある部位を激しく動かす運動ができないのが少し辛い。
「あのねあのねお兄ちゃん、麻衣ね、さっきテレビでやってたのしたい!」
「兄はエレクトしたい」
「えれくと?」
「あ、いや、その、なんでもないぞ麻衣」
誤魔化すように麻衣の頭をわしわしなでる。
「……なんか、ごまかされてるみたい」
「そ、それでテレビでやってたのって何だ? 兄に話してみるがいい」
「あ、そーそー。あのね、麻衣がポッキーくわえて、もう片っぽをお兄ちゃんがくわえるの」
「…………」
それは、巷で言う所のポッキーゲームとかいう奴ではないでしょうか。確かにしたいが、相手が麻衣というのは、少しばかり……いや、かなりの抵抗が。
「お兄ちゃん?」
「あ、ええとだな、麻衣。それは恋人同士でなければできない禁じられた遊びなのだ。だから残念ながら……」
「じゃあ大丈夫だね。だって麻衣とお兄ちゃんは恋人同士だもん♪」
違います。嬉しそうに抱きつかないで。
「それじゃやろっ、お兄ちゃん」
「あ、その……ああそうだ! 残念ながらポッキーがない。これじゃできないなぁ。わはははは!」
「じゃあ買いに行こっ!」
「……まぁ、そうなるわな」
非常に不本意ながらも、俺は麻衣と一緒におてて繋いでコンビニへ行くことになった。
「ありゃ、タカシじゃないの」
どうやって切り抜けるか考えながら店内に入ると、偶然かなみと遭遇した。
「よっ、かなみ。何買ってんだ? 避妊具?」
「あっ、麻衣ちゃんも。こんにちは、麻衣ちゃん」
俺を完膚なきまでにスルーし、かなみは麻衣に笑いかけた。
「こんちちは、お姉ちゃん!」
「ちょっと変な挨拶だけど、元気があって花丸! いい子いい子」
「えへへへへっ♪」
俺とは対照的に、麻衣はかなみに撫でられ喜色満面だった。
「俺にばかり冷たいのは、屈折した愛情表現と取っていいのだろうか」
「そんなこと、私に言われましても……」
困惑顔のお姉さんが言うとおり、店員さんに愚痴ても仕方ない。二人の元に戻ると、和気あいあいとお菓子を物色していた。
「これは315キロカロリー、これは445キロカロリー」
「…………」
「ごめんなさい」
親切心で後ろからカロリーを教えてあげたら、かなみに股間が縮み上がるような視線で射抜かれたのですかさず謝る。
「それで、麻衣ちゃん何買いに来たの?」
「ポッキー! あのね、お姉ちゃん知ってる?」
そう前置きして、麻衣はかなみにポッキーゲームのことを事細かに説明した。
「ちょっとタカシ、アンタ何考えてるのよ!」
かなみは俺の胸倉を掴み、がっくんがっくん揺らした。
「ちょ、ちょっとまっ、待てっ! 揺するな!」
「こんなちっちゃい子相手に……いくら同い年の子に相手されないからって、恥を知りなさい!」
「ち、違うんだ! 落ち着け、とりあえず手を放してこのままでは脳が脳が揺れていい感じにうえっぷ」
なだめすかしたり吐きそうになったりして、どうにか手を放してもらう。
「で、どういうことなの?」
俺はかなみに事の次第を説明した。
「……というわけで、ポッキーゲームをすることになりました」
「結局するんじゃない!」
だよね、まだ切り抜ける方法思いついてないし。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、何個買う? 10個? 20個?」
どうすんべかと思ってると、麻衣が両手で抱えきれないほどポッキーを抱えていた。
「そんなに買いません。ていうか、別の買わない? ほらほら、ポテチとかうまいぞ。はよーん」
「……お兄ちゃん、麻衣と一緒にポッキーゲームしたくないの?」
「え、いや、あの」
「……お兄ちゃん、麻衣が嫌いなんだ。だから、ポッキー買わないんだ」
「ま、待て待て麻衣。嫌いとかそういうことじゃなくてだな」
「……麻衣、麻衣、お兄ちゃんに嫌われちゃったよーーーーっ!! うわーーーーーーんっ!!!」
麻衣が子供の本領を発揮した。
「ちょっとタカシ、おろおろしてないでどうにかしないさいよ!」
「うーんうーん、そうだ! かなみ、ちょっと乳出せ。母乳をすすれば落ち着くんじゃないか?」
「出るかッ!」
それもそうだ。混乱してるな、俺?
「うわーーーーーーーん!! お兄ちゃんに嫌われちゃったよーーーーーー!!」
「ああ、落ち着け麻衣。俺が麻衣のことを嫌うわけないじゃん、な?」
「う……えぐっ……じゃあ、すき?」
「う……」
「やっぱり……麻衣のこと……」
麻衣の目の端に涙がじんわりと生産されている! いかん、このままではまた泣かれてしまう!
「お、俺が麻衣を嫌うわけないじゃないか、な?」
そう言うなり麻衣の頭をなでなでなで。同時に泣き止め電波を麻衣に送信。
「う~……ちゃんと、好きって言って」
「好きだっ!」
「なんであたしに言ってんのよ! 抱きつくな!」
緊張感に耐え切れず、思わずかなみに抱きつく。
「うわーーーーーーん、お兄ちゃん寝取られたーーーーーーーーーっ!」
微妙に間違った単語を用いつつ、麻衣は再び泣き出した。
「ち、違うわよ麻衣ちゃん。寝取ってない、お姉ちゃん寝取ってないからねー? この馬鹿が勝手に抱きついてきただけだから」
「そうだぞ麻衣。ちょっとフェロモンに誘われただけで、抱きついた時に“あー柔らけー”とか“小ぶりな乳だけど、それがまた”とか思っただけだぞ」
「うわーーーーん! お兄ちゃんがお姉ちゃんの魅力にたじたじだよーーーーーっ!」
どうしたことか、より一層泣きが強まったような。
「ちっ、違うぞ麻衣! 俺がかなみなんかにたじたじになるはずないだろ?」
「……それって、あたしに魅力がないってコト?」
なぜかなみが怒っているのでしょう。
とにかく、大泣きの麻衣と静かに怒ってるかなみをどうにかしないと。考えろ、考えるんだ!
「なんでいきなり座禅組んでるのよ!」
考えすぎたようだ。しかし、座禅のおかげかよい案が浮かんだので早速実行する。
「お兄ちゃん、麻衣とポッキーゲームしたいんだけど……泣いてるから無理かなー?」
「うっ、ひぐっ……やる、やるっ!」
多少泣きながらも、麻衣は根性で涙を止めた。
「…………」
麻衣が泣き止んだのはいいんだけど、隣から視線がザクザク刺さってくる。
「あ、あの、かなみさん? よろしければ、ご一緒しませんか?」
「するかっ! 何が悲しくてアンタなんかとポッキーゲームしなくちゃいけないのよっ!」
「ご、ごめんなさい」
「……し、しないけど、アンタが麻衣ちゃんに変なことしないよう見張る!」
信用ゼロだった。
そんなわけで、店員さんに店を騒がせた謝罪をしてから商品を買い、三人で帰宅する。
「じゃ、じゃあ早くやろうよ、お兄ちゃん!」
帰宅するなりコンビニ袋からポッキーを取り出し、もう待てない様子で迫ってくる麻衣。
「…………」
そして、俺を無言の圧力で殺そうとするかなみ。
「テトリスおもしれー」
全てから逃避してテトリスを始める俺。
「……お兄ちゃん、麻衣とポッキーゲームしたくないの?」
「したいです! だから泣かないで麻衣に泣かれると兄は辛いのだ!」
「じゃあじゃあ……んー♪」
麻衣はポッキーのビスケット部分をくわえ、俺に差し出した。
「…………」(キスしたら殺す殺す殺す殺す)
かなみが無言で俺に殺意をぶつけてきた。恐怖のあまり失禁しそう。
「え、えっと……それじゃ」
そっとチョコ部分をくわえる。
「んー♪」
満面の笑みで俺を迎える麻衣。
「…………」(それ以上近寄ったら殺す殺す殺す殺す)
俺にしか通用しないテレパシーで殺意をぶつけてくるかなみ。
「は、はふ、ふ……」
恐怖のあまり震えが止まらない。その震えが口を伝い、ポッキーが折れてしまった。
「あーっ、折れちゃったー!」
「ざ、残念だな麻衣。折れちゃったな。それじゃこの辺でお開きに」
「じゃ次ね。次はがんばろーね、お兄ちゃん!」
「…………」
これは、成功するまで無限ループ? しかし、成功したら隣で俺を睨むかなみにきっと殺される。
「矛と盾が俺を苛む」
「ほらほらお兄ちゃん、訳のわかんないこと言ってないで早く早く! はい、んー♪」
再びポッキーが向けられる。かなみ方面から圧力も向けられる。暑さとは違う種類の汗をかきながら、ポッキーをくわえる。
「…………」(成功したら殺す殺す殺す殺す)
「は、はふ、ふ……」(小動物さながらに震えながら)
恐怖心を克服できず、またしてもポッキーが折れてしまう。
「あーっ! また失敗した! もーお兄ちゃん、下手すぎ!」
「ご、ごめん」
隣のお姉ちゃんに命を狙われてるんだとは言えず、素直に謝る。
「あははっ、下手ねータカシ」
「や、隣でじーっと見てる奴がいなけりゃもっと上手にできるんだけどな」
「……へぇ、面白いこと言うのはこの口かしら」
皮肉を言ったらほっぺを引っ張られた
「もーっ、いいからお兄ちゃんやろーよ! 次はちゃんとやってよ?」
「うーあーうー」(見る人が見れば頷いているように見えなくもないが、基本的にうなっているだけ)
「お兄ちゃん、真面目にやって!」
麻衣にもほっぺを引っ張られた。もうどうすればいいのやら。
「わ、お兄ちゃんライオンさんみたい。がおー、がおー」
「あ、本当だ。タカシ、ちょっとライオンのマネして」
「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」
「それ、マリーアントワネットだよ?」
麻衣に素で返された。子供の割に博識だな、麻衣。
「いーから手離して。痛い痛い」
ようやく頬が元に戻った。やれやれ。
「じゃあ、三度目の正直! んー♪」
三度ポッキーが向けられる。そして、三度殺意が向けられる。
「…………」(性犯罪者になったら殺す殺す殺す殺す)
「は、はふ、ふ……」(ちょっと泣きながら)
やっぱり折れてしまった。一緒に心も折れそうです。
「あーっ! まただよ、また! お兄ちゃん!」
「不思議だね」
「不思議じゃないよ! お兄ちゃんがぷるぷるしなかったらできるのに……お兄ちゃん、しっかりやってよ!」
「兄はコンニャクだからぷるぷるを止められないんだ」
「お兄ちゃん人間でしょ!」
「無茶苦茶な言い訳ね……」
呆れ混じりに呟くかなみだが、誰のせいでこんな苦労してると思ってるんだ。
「もう、もう! お兄ちゃん、もっかい! んー!」
「…………」(とにかく殺す殺す殺す殺す)
ポッキーをくわえて俺をじっと見る麻衣と、殺意を込めて俺をじっと見るかなみ。
果たして、俺は明日を無事に迎えることができるだろうか。……衰弱死しそう。
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