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2024年11月23日
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【ツンデレを手伝ったら】
2010年01月21日
放課後、帰っても暇なので俺と同じように暇な人を探して校内をぷらぷらしてると、かなみと会った。
「こんにちは、ご機嫌いかが?」
「アンタと会ったおかげで最悪よ」
げんなりした顔でかなみがつぶやくが、負けない。
「そいつは何より。ところで、暇なので俺に構え」
「こっちは準備で忙しいの! ったく、なんだってあたしがクリスマス会の準備なんてしないといけないのよ……」
「ふむ? なにやら面白げな匂いを感じ取ったぞ。なんですか、そのクリスマス会とは」
どういうことか、かなみの顔が呆れたものへと変貌していく。
「……アンタ、やっぱ聞いてなかったのね。今日のHRで先生が言ってたじゃない、うちのクラスは終業式の後、みんなでクリスマス会するって」
「ふむ。町内会のイベント的な扱いの代物と見た。よしかなみ、俺もその準備とやらを手伝うぞ」
「いい。ていうか嫌」
二秒で返答された。
「それで、まず何をすればいい?」
「嫌だって言ってるでしょうが! 聞こえなかったの!?」
「聞こえた上に泣きそうになったが、それをぐっと飲み込んで聞こえなかったフリをしたんだ」
「アンタは……まあ、どうしても手伝いたいってんなら手伝ってもいいわよ?」
「どうしても」
「あたしに忠誠を誓う?」
「誓う誓う。靴も舐めるし生クリームも舐めるしケーキも食べたい」
「途中で舐めたいものに変わってる! ……はぁ、まあいいわ。んじゃ、こっち来て」
「任せろ、得意だ」
「誰もあたしにぴたーっとくっつけとは言ってない! お尻を触るなッ!」
「どさくさに紛れたし、いけると思ったんだ」
沢山殴られた後、かなみに連れられやってきたのは、俺たちの教室だった。
「おや、ここ?」
「そーよ。みんなー、人手確保したよー!」
わー、という歓声が俺に向けられる。
「一発芸、餃子」
場が静まった。超泣きそう。
「……なんで一発芸なんてしてるの?」
「視線が集まったので、何かしなければならないという脅迫概念に襲われた故に。しかし、失敗しました。饅頭の方がよかったのだろうか。ちなみにやり方は」
「いーからこっち来なさい!」
饅頭のやり方をレクチャーしようとしたら、かなみに耳を引っ張られた。
「あはは……別府くんは愉快だね」
「別に俺は好きで愉快なわけではない」
連れて来られた先で、クラスメイトの笹子が折り紙でわっかの飾りを作っていた。ますます町内会のイベント色が強くなってきた。
「こーやってね、色んな色の折り紙で飾りを作るの。簡単だけど、量が多いから大変なの」
「なるほど、つまり俺にその工程を自動化する機械を作れと言うのだな。笹子は無茶を言う。だが……よし、やってみよう!」
「言ってない! あーもー、アンタ放っておいたら何するか分からないから、あたしがアンタ見張る!」
俺の鼻をぎゅーっと摘まみながら、かなみは俺と笹子の間の席に座った。それを見て、笹子がくすくす笑う。
「……な、何よ」
「ううん、何でもないよ。……大変だね、かなみちゃん」
俺には何のことか分からない笹子の台詞だったが、かなみには何か思うところがあるのだろう、一気に顔が赤くなった。
「どうしたかなみ、顔が赤いぞ。大丈夫か? 保健室行くか? ……ていうか、何が大変なのだ?」
「う、うっさい! アンタは知らなくていいのよ!」
何のことか分からずかなみに訊ねるが、鼻を再び摘ままれるだけに終わった。
「ふふ。じゃ、別府くん、わっか作ってくれる?」
「分かった。間違って鶴になるかもしれないけど、できるだけ頑張る」
「普通鶴になんてならない! わざと鶴にしたら殺すわよ」
間違えると死ぬというとんでもない恐怖に怯えながら、せっせとわっかを作る。
「うーむ……飽きた」
「早ッ! まだ5分も経ってないじゃない。もうちょっと頑張りなさいよ」
「かなみがパンツ見せてくれたら頑張れる」
見せてくれるどころか、顔面を握り締められるだけで終わった。痛いばかりで何も嬉しくない。
「ったく。このスケベ」
「ふふ。二人とも仲いいね」
「はぁ? 今のどこを見たらそう見えるの?」
笹子の言葉に、かなみはちょっと不機嫌そうに答えた。
「だって、別府くんってああいうえっちなこと、私とか、他の子に言ってるとこ見たことないもん。かなみちゃんと仲がいいって証拠だよね」
「う……」
かなみは居心地悪そうに机の下でスカートをぎゅっと握りながら、俺を睨んだ。
「いや、まあ、あの、なんちうか、アレですよ、相手を見て言葉を選んでると言うか、かなみ相手だと割と踏み込んだとこまでいけるというか、もういいや結婚しよう」
「途中で説明を諦めるなッ! ちゃんと最後まで説明しろッ!」
「あはははは!」
しばらく没頭して作業してると、いつの間にやらいい時間になっていた。今日の準備はここで終了、ということで次々と教室から出て行く生徒たちを余所に、かなみは未だ教室に残り何か冊子を作っていた。
「何やってんだ? 帰るぞ」
「んー……もうちょっと。あとちょっとでキリのいいとこいくから」
「どーしたの、別府くん? 帰らないの?」
他の友達と一緒に教室から出て行った笹子が、俺がいないことに気づき教室に戻ってきた。
「んー、と。ちょっと忘れ物」
「……ああ。ふふ、そっか。頑張ってね」
ちらりとかなみの方を見て、笹子は意味ありげな笑みを浮かた。そして、ばいばいと手を振って教室から出て行った。
「ほら、アンタも帰りなさいよ」
「……その前に、忘れ物をちょっとな」
言いながら、席に着いてかなみの作業を手伝う。
「何やってんのよ。忘れ物持って帰りなさいよ」
「んー、まあ、そうなんだが」
「……何よ、誰も手伝ってなんて言ってないでしょ」
「手伝うな、とも言ってないだろ」
「…………」
ちょっとふてくされた様子だったが、かなみはそれ以上何も言わずに手を動かし続けた。
数十分後、ようやく全作業が終わった。
「はふー。疲れた」
「……何よ、イヤミ?」
「ミーはおフランス帰りざんす」
「そっちじゃないっ! ……まあいいわ。……その、アンタがアレしてくれたから、早く終わった」
かなみはそっぽを向きながらぽしょぽしょ呟いた。顔がほんのり朱に染まってる事は、指摘しない方が殴られずに済みそうだ。
「んむ。じゃ、帰りましょう」
「あっ、待って。アンタ、忘れ物は?」
「えー……と、あー、いや」
「…………。そっか。ふふっ、帰ろ?」
「あ、ああ」
かなみと一緒に学校を出る。時刻は既に夕刻、すぐにでも日が落ちるだろう。
「アンタってさー……よく分かんないわよね」
「そう見えないかもしれないが、人間です」
「知ってるわよ! そうじゃなくて、……なんか、いい奴なんだか嫌な奴なんだか、よく分かんない」
「ちょお善人ですよ?」
「……あはっ、分かった。自分でそう言う善人はいないから、アンタは嫌な奴。決定♪」
「なんという誘導尋問か」
「嫌な奴だから、これから先の人生、アンタ色んな人から嫌われっぱなしね。かわいそー」
「勝手に人の人生を決められた」
「……だ、だからさ。……今だけ、あたしが少しだけアンタのこと、好きになってあげる。か、感謝しなさいよ?」
そう言いながら、かなみは俺の手をきゅっと握った。
「ふひっ!?」
「なっ、なんて声出してるのよ!」
「い、いやあの、びっくりしまして」
「……そ、そう。……嫌じゃない?」
「全然! ちっとも! それどころか嬉しさのあまり俺の脳でなにやら興奮物質が分泌されてる模様!」
「う……」
「かなみ?」
「う、うるさいっ! 嬉しいとか言うなっ!」
かなみは顔を真っ赤にして俺に怒鳴った。
「いや、言う。俺は言うね。かなみに手を握られて俺は嬉しい」
「だっ、だから、嬉しいって言うなーっ!」
「ははははは。ちょお幸せ」
「ああもおっ! やっぱアンタって嫌な奴っ!」
なんと言われようと手を離さないかなみだった。
「こんにちは、ご機嫌いかが?」
「アンタと会ったおかげで最悪よ」
げんなりした顔でかなみがつぶやくが、負けない。
「そいつは何より。ところで、暇なので俺に構え」
「こっちは準備で忙しいの! ったく、なんだってあたしがクリスマス会の準備なんてしないといけないのよ……」
「ふむ? なにやら面白げな匂いを感じ取ったぞ。なんですか、そのクリスマス会とは」
どういうことか、かなみの顔が呆れたものへと変貌していく。
「……アンタ、やっぱ聞いてなかったのね。今日のHRで先生が言ってたじゃない、うちのクラスは終業式の後、みんなでクリスマス会するって」
「ふむ。町内会のイベント的な扱いの代物と見た。よしかなみ、俺もその準備とやらを手伝うぞ」
「いい。ていうか嫌」
二秒で返答された。
「それで、まず何をすればいい?」
「嫌だって言ってるでしょうが! 聞こえなかったの!?」
「聞こえた上に泣きそうになったが、それをぐっと飲み込んで聞こえなかったフリをしたんだ」
「アンタは……まあ、どうしても手伝いたいってんなら手伝ってもいいわよ?」
「どうしても」
「あたしに忠誠を誓う?」
「誓う誓う。靴も舐めるし生クリームも舐めるしケーキも食べたい」
「途中で舐めたいものに変わってる! ……はぁ、まあいいわ。んじゃ、こっち来て」
「任せろ、得意だ」
「誰もあたしにぴたーっとくっつけとは言ってない! お尻を触るなッ!」
「どさくさに紛れたし、いけると思ったんだ」
沢山殴られた後、かなみに連れられやってきたのは、俺たちの教室だった。
「おや、ここ?」
「そーよ。みんなー、人手確保したよー!」
わー、という歓声が俺に向けられる。
「一発芸、餃子」
場が静まった。超泣きそう。
「……なんで一発芸なんてしてるの?」
「視線が集まったので、何かしなければならないという脅迫概念に襲われた故に。しかし、失敗しました。饅頭の方がよかったのだろうか。ちなみにやり方は」
「いーからこっち来なさい!」
饅頭のやり方をレクチャーしようとしたら、かなみに耳を引っ張られた。
「あはは……別府くんは愉快だね」
「別に俺は好きで愉快なわけではない」
連れて来られた先で、クラスメイトの笹子が折り紙でわっかの飾りを作っていた。ますます町内会のイベント色が強くなってきた。
「こーやってね、色んな色の折り紙で飾りを作るの。簡単だけど、量が多いから大変なの」
「なるほど、つまり俺にその工程を自動化する機械を作れと言うのだな。笹子は無茶を言う。だが……よし、やってみよう!」
「言ってない! あーもー、アンタ放っておいたら何するか分からないから、あたしがアンタ見張る!」
俺の鼻をぎゅーっと摘まみながら、かなみは俺と笹子の間の席に座った。それを見て、笹子がくすくす笑う。
「……な、何よ」
「ううん、何でもないよ。……大変だね、かなみちゃん」
俺には何のことか分からない笹子の台詞だったが、かなみには何か思うところがあるのだろう、一気に顔が赤くなった。
「どうしたかなみ、顔が赤いぞ。大丈夫か? 保健室行くか? ……ていうか、何が大変なのだ?」
「う、うっさい! アンタは知らなくていいのよ!」
何のことか分からずかなみに訊ねるが、鼻を再び摘ままれるだけに終わった。
「ふふ。じゃ、別府くん、わっか作ってくれる?」
「分かった。間違って鶴になるかもしれないけど、できるだけ頑張る」
「普通鶴になんてならない! わざと鶴にしたら殺すわよ」
間違えると死ぬというとんでもない恐怖に怯えながら、せっせとわっかを作る。
「うーむ……飽きた」
「早ッ! まだ5分も経ってないじゃない。もうちょっと頑張りなさいよ」
「かなみがパンツ見せてくれたら頑張れる」
見せてくれるどころか、顔面を握り締められるだけで終わった。痛いばかりで何も嬉しくない。
「ったく。このスケベ」
「ふふ。二人とも仲いいね」
「はぁ? 今のどこを見たらそう見えるの?」
笹子の言葉に、かなみはちょっと不機嫌そうに答えた。
「だって、別府くんってああいうえっちなこと、私とか、他の子に言ってるとこ見たことないもん。かなみちゃんと仲がいいって証拠だよね」
「う……」
かなみは居心地悪そうに机の下でスカートをぎゅっと握りながら、俺を睨んだ。
「いや、まあ、あの、なんちうか、アレですよ、相手を見て言葉を選んでると言うか、かなみ相手だと割と踏み込んだとこまでいけるというか、もういいや結婚しよう」
「途中で説明を諦めるなッ! ちゃんと最後まで説明しろッ!」
「あはははは!」
しばらく没頭して作業してると、いつの間にやらいい時間になっていた。今日の準備はここで終了、ということで次々と教室から出て行く生徒たちを余所に、かなみは未だ教室に残り何か冊子を作っていた。
「何やってんだ? 帰るぞ」
「んー……もうちょっと。あとちょっとでキリのいいとこいくから」
「どーしたの、別府くん? 帰らないの?」
他の友達と一緒に教室から出て行った笹子が、俺がいないことに気づき教室に戻ってきた。
「んー、と。ちょっと忘れ物」
「……ああ。ふふ、そっか。頑張ってね」
ちらりとかなみの方を見て、笹子は意味ありげな笑みを浮かた。そして、ばいばいと手を振って教室から出て行った。
「ほら、アンタも帰りなさいよ」
「……その前に、忘れ物をちょっとな」
言いながら、席に着いてかなみの作業を手伝う。
「何やってんのよ。忘れ物持って帰りなさいよ」
「んー、まあ、そうなんだが」
「……何よ、誰も手伝ってなんて言ってないでしょ」
「手伝うな、とも言ってないだろ」
「…………」
ちょっとふてくされた様子だったが、かなみはそれ以上何も言わずに手を動かし続けた。
数十分後、ようやく全作業が終わった。
「はふー。疲れた」
「……何よ、イヤミ?」
「ミーはおフランス帰りざんす」
「そっちじゃないっ! ……まあいいわ。……その、アンタがアレしてくれたから、早く終わった」
かなみはそっぽを向きながらぽしょぽしょ呟いた。顔がほんのり朱に染まってる事は、指摘しない方が殴られずに済みそうだ。
「んむ。じゃ、帰りましょう」
「あっ、待って。アンタ、忘れ物は?」
「えー……と、あー、いや」
「…………。そっか。ふふっ、帰ろ?」
「あ、ああ」
かなみと一緒に学校を出る。時刻は既に夕刻、すぐにでも日が落ちるだろう。
「アンタってさー……よく分かんないわよね」
「そう見えないかもしれないが、人間です」
「知ってるわよ! そうじゃなくて、……なんか、いい奴なんだか嫌な奴なんだか、よく分かんない」
「ちょお善人ですよ?」
「……あはっ、分かった。自分でそう言う善人はいないから、アンタは嫌な奴。決定♪」
「なんという誘導尋問か」
「嫌な奴だから、これから先の人生、アンタ色んな人から嫌われっぱなしね。かわいそー」
「勝手に人の人生を決められた」
「……だ、だからさ。……今だけ、あたしが少しだけアンタのこと、好きになってあげる。か、感謝しなさいよ?」
そう言いながら、かなみは俺の手をきゅっと握った。
「ふひっ!?」
「なっ、なんて声出してるのよ!」
「い、いやあの、びっくりしまして」
「……そ、そう。……嫌じゃない?」
「全然! ちっとも! それどころか嬉しさのあまり俺の脳でなにやら興奮物質が分泌されてる模様!」
「う……」
「かなみ?」
「う、うるさいっ! 嬉しいとか言うなっ!」
かなみは顔を真っ赤にして俺に怒鳴った。
「いや、言う。俺は言うね。かなみに手を握られて俺は嬉しい」
「だっ、だから、嬉しいって言うなーっ!」
「ははははは。ちょお幸せ」
「ああもおっ! やっぱアンタって嫌な奴っ!」
なんと言われようと手を離さないかなみだった。
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