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2024年11月24日
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【ツンデレに後ろから追い掛けられたら】

2010年02月20日
 悪友にそそのかれて更衣室を覗いてたら、丁度着替えてたかなみと目が合ってしまったので逃げたら追いかけてきた。
「くぉるぁあああああ! 待ちなさい、このド変態ッ!!!」
 悪鬼羅刹のような表情で追いかけてくるかなみを見るに、怒髪天を衝くほど怒っているのだろうなあ。捕まると大変な目に遭いそうだなあ。
「待って違う違うんだ、俺が悪いんじゃない、そそのかれたんだ!」
「そそのかれようが覗いた事実は変わらないっ! そしてアンタがあたしに殺される事実も変わりようがないのよッ!」
 いかん、本気で怒ってる。このままではミンチより酷い状態になりかねない。なんとかなだめてお仕置きを緩めてもらわねば……!
「安産型のお尻でしたよ?」
「絶対死なすッッッ!!!」
 いかん、火に油を注いでしまった。必死に階段を駆け上り……しまった、この上は屋上だ! 逃げ場がない! しかし、ここでまごまごしていても待ち受けるのは死だけなので、ドアを開け放ち屋上に飛び出る。
「……ふっふっふ、年貢の納め時のようね、別府タカシ!」
 ドアを背にかなみは勝ち誇った。屋上は金網で周囲をぐるりと囲まれており、ベンチがいくつかあるだけで隠れられるような場所なんてない。もう……ダメだ。
「何か言い残すことある?」
 がっくりと膝を着く俺の前で仁王立ちになり、かなみが問いかける。
「この位置関係だと、ちょうどパンツが見えて大変嬉しいです」
「なっ、み、見るな変態っ!」
 思い切り頭を踏まれ、おでこから地面に激突。世界が暗転した。

「……カシ、タカシ、タカシ!」
「……あー、はい。俺の名前です」
「……ばかっ! 早く目を覚ましなさいよ、ばかばか!」
「あい?」
 真っ暗な世界にいたかと思ったら、赤の世界に来たようです。風に遊ばれてるかなみの髪も燃える様な赤に染まっていて、とても綺麗です。
「……アンタ、さっきまでピクリとも動かなかったんだから。……死んだかと思ったじゃない」
 そう言って、かなみは目をこすった。ちょっと心配をかけてしまったようだ。
「あー、うん。ごめんな」
「う、……ま、まぁ、あたしもちこっとだけ悪かったけど。こんなトコで頭踏んじゃったんだし」
 かなみが心配そうに俺のおでこを触った途端、焼けるような痛みが走った。
「いたっ!」
「あ、ご、ごめん、ごめんね。痛かった?」
「ヒリヒリする。下がコンクリなのに、思い切り踏まれるとは予想だにしなかった。恐るべし、かなみ」
「わ、悪かったわよ。……悪かったと思ってるんだから、こうして膝枕してやってるんじゃない」
 ……?
「膝枕?」
「そ、そうよ。悪い?」
 あーそういや木のベンチの割になんか頭の後ろがふかふかするなーって思ってたんだ。そっか膝枕だとふかふかだよなー太ももだもんなーって
「何ィッ!?」
 あまりの驚きにバネじかけの人形みたいな動きで跳ね起きる。
「きゃっ! も、もう! 変な動きしないでよ! びっくりするじゃない!」
「びっくりはこっちの話だ! いわゆる吃驚ってえ奴だ! え、膝枕? 予定調和的ラブコメの主人公が頻繁に遭遇する例のアレ?」
「よ、よく分かんないけど、膝枕は膝枕よ。……べ、別に好きでやってるんじゃないわよ。頭ぶつけてたし、他に枕みたいなのがなかったから、仕方なくしてただけよ」
 頬を軽く染めながら、かなみは恥ずかしそうに呟いた。
「いーからほら、もうちょっと休んでなさい。頭ぶつけたんだから、急に動いたりしたら危ないわよ」
「む」
 優しく誘導され、再び膝枕状態に。
「覗きなんかするからこんな目に遭うのよ。まったく、なんでこんなエッチなのよ……」
「や、また膝枕されるなら、再び覗くのもやぶさかでもない」
「覗くなッ! ちょっとは反省しなさい!」
「それが嫌なら、今後も継続して膝枕を要求する」
「な、なんであたしがアンタなんかのためにわざわざしてあげなくちゃいけないのよ!」
「してほしいなあ……かなみに膝枕してほしいなあ」
「う……そ、そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでよ」
「きゅーん、きゅーん」
「……ああもうっ! そんな目で見られるくらいなら、してやった方がマシよ! 分かったわよ、そのうちまたしてあげるわよ!」
「やった! 絶対だぞ? 約束だぞ?」
「はいはい、分かったわよ」
「楽しみだなあ……かなみとのベロちゅー!」
「んな約束してないわよッ!」
 屋上にかなみの叫びが響き渡った。

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