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2024年11月24日
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男「ヤンデレっていいよな」 幼馴染「えっ?」

2012年03月16日
男「というわけで、今日からお前はヤンデレな」

幼馴染「何がというわけなの!?」

拍手[87回]

男「だから、俺がヤンデレ好き→お前がヤンデレなら俺幸せ→回りまわって世界人類が幸せ→全宇宙が恒久的に平和に、となる」

幼馴染「空いた口が塞がらないよ……」

男「幼馴染も賛同してくれたようで何よりだ」

幼馴染「ちっとも賛同してないよっ!」


男「そう言うなよ。最大の障壁である性別はクリアしている、後は俺を監禁なり拘束なりして調教すればいいだけだ」

幼馴染「つっこみどころが満載だよっ! なんだよ、監禁とか拘束って!」

男「あと、これが最重要なんだが、俺を病的に愛せ」

幼馴染「あ、愛せって……/// そ、そんなの無理に決まってるよ!」

男「フリでいいから。じゃ、そういうことで今からお前はヤンデレな」

幼馴染「勝手に決めるしぃ……。わ、分かったよ、言い出したら聞かないし、なってあげるよ。で、でも、しょーがなくだよ、別に男のことなんて愛してなんてないんだからねっ!///」

男「ツンデレじゃなくてヤンデレをやれ」

幼馴染「う、うるさいっ! え、えーっと……それで、どしたらいいの?」

男「とりあえず包丁だな」

幼馴染「包丁!?」


幼馴染「……何するかと思ったら、料理?」

男「お腹空いたんだ」

幼馴染「別にいーけどね、いつものことだし。それで、何食べたい?」

男「メロンパン」

幼馴染「……作らなくてもいいんだけどね、私は」

男「ごめんなさい、お任せします」ドゲザー


幼馴染「♪~♪~♪~」

男「楽しそうだな」

幼馴染「うんっ。料理は好きだからね。それに……」チラッ

男「?」

幼馴染「な、なんでもないよっ///」

男「あ、そうだ。料理に何らかの体液を入れておけよ」

幼馴染「男が変態にっ!?」

男「ちげーよ、ばか。ヤンデレなら、血なり涎なり下の口から出る何らかの分泌液なりを入れるもんなんだよ」

幼馴染「し、下の口って……お、男のえっちえっちえっち!///」ポカポカ

男「いていて、待て、落ち着け。下の口ってのはお前が想像してる性的なものじゃなくて、腹にある口のことだ。主に通りがかった人を食すことで有名な口の方だ」

幼馴染「そんな口、私だけじゃなくて全世界の女の子に存在しないよっ!」

男「マジで? ……どうやら参考にする文献を誤ったようだ」

幼馴染「どんな文献読んで……って、これ魔物図鑑じゃないの!」

男「女は魔物と言うし」

幼馴染「どしてそんなに馬鹿なの?」


幼馴染「とりあえず、血とかはヤだから料理に涎入れておいたよ」

男「うわ、汚え」

幼馴染「男が言ったことだよっ!?」

男「すまん、つい本音が出た」

幼馴染「どっちにしろショックだよぅっ!」

男「幼馴染タンの涎ペロペロー♪」

幼馴染「うわぁ……」

男「ノリノリでもダメなのか」

幼馴染「どして真ん中のテンションでいけないのかなぁ……?」


幼馴染「なんだかんだで料理が完成したよ」

男「特製、幼馴染の涎入りチャーハンだな」

幼馴染「入れろって言われたから入れたの! 好きで入れたんじゃないの!」

男「じゃあお前は死ねって言われたら死ぬのか!?」

幼馴染「何の対抗心!? 小学生!?」

男「じゃあいただきます」ペコリ

幼馴染「テンションの落差についていけないよ……。あ、おあがりなさい」

男「もぐもぐ」

幼馴染「ど、どう? まずい? まずいよね? まずかったら残していいからね? 後で私が食べちゃうから残しても大丈夫だよ?」

男「もぐもぐ。んー……いつも食ってるチャーハンと味が変わらん。本当に涎入れたのか?」

幼馴染「い、入れたよ! ぺっぺってしたもん!」

男「うわ、汚え」

幼馴染「二回目でも傷つくものは傷つくんだよっ!?」


男「それは悪かった。すまん。しかし、いつものチャーハンと全く一緒の味だけどなあ……」

幼馴染「炒めちゃった時に、涎の味が飛んじゃったかなあ?」

男「え、涎って味あるの? よし、ちょっとキスして確かめてようか」

幼馴染「しっ、しないよっ! 男のえっちえっちえっち!///」ポカポカ

男「ぶべらはべら」モグモグ

幼馴染「私に叩かれながら普通にチャーハン食べてる……」


男「ごちそうさま」ペコリ

幼馴染「はい、おそまつさま。……どだった?」

男「将来はいいお嫁さんになると思う」

幼馴染「そっ、そうじゃなくて! もー! 分かってるくせに! もー!///」ポカポカ

男「でもこのご時世だから、専業主婦じゃなくて性奴隷との兼業で頑張って欲しいと思った」

幼馴染「人の将来の職業を勝手に決めるなっ! ふつーにOLの予定だよっ!」

男「夢がないなあ。将来は力士になるンだと意気込んでいた幼馴染はどこへ行ってしまったんだ」

幼馴染「最初からどこにもいないよっ! メチャ女の子だよっ! 将来の夢はお嫁さんだよっ!」

男「まあ今はその夢はひとまず置いといて、俺の夢であるヤンデレを手伝ってくれ」

幼馴染「ううう……」


男「さて、幼馴染の体液も摂取したし、次は何をするかな」

幼馴染「もうちょっと言い方に気を付けようよ!?」

男「ま、オーソドックスに監禁かな。つーわけで幼馴染、俺を手錠で拘束しろ」

幼馴染「そんなの持ってないよ」

男「この幼馴染は使えねえなあ。ヤンデレの風上にも置けやしねえ」

幼馴染「し、しょーがないもん! 今日突然任命されたもん! まだヤンデレってよく分かってないもん!」

男「もんもんうるせえ! お前はモンモンモンか! あっ、今の笑うところですよ?」

幼馴染「それで、どやって拘束したらいいかな?」

男「スルーもやむなしと思います」


男「しょうがないのでガムテープを代用品に手首をぐるぐる巻きにされた」

幼馴染「だいじょぶ? きつくない? あ、服の上から巻いちゃったね……あとで弁償するね?」

男「俺が頼んだことなんだから弁償とかするな、ばか。むしろ俺が後でお前に精神的に弁償しなきゃいけないことしてんだから」

幼馴染「精神的な弁償って?」

男「そだな……今回は俺のやりたいことを手伝ってもらってるから、次はお前のしたいことを手伝ってやる」

幼馴染「えええっ!? な、何でもいい!?」

男「今すぐミジンコになってコサックダンスしろ、とかいう無茶な内容でなければ」

幼馴染「なんでも……えへへ、なんでも、なんでも♪」

男「いかん、ミジンコでコサックダンス、略してミジコサの予感しかしねぇ」

幼馴染「そんなのしないよっ!」


幼馴染「じゃ、じゃあね、じゃあねえ、次のお休みにね、一緒にお買い物したいなーって……ダメ?」

男「ダメ」

幼馴染「ふぇええ!!? なんでもって言ったのに!?」

男「そんなの頼むことでも何でもない。普通に付き合うから、別のことにしろ」

幼馴染「な、なんだ……あーびっくりした」

男「あと、さっきの『ふぇええ』ってのが媚びた感じで可愛かったのでもっかい言え」

幼馴染「い、言わないよっ! ていうか咄嗟に出た言葉だったから自分でもびっくりだよ!」

男「ふぇええフェルトペン」

幼馴染「絶対確実に言いたいだけだよ……」


男「それより今は俺のことだ。ガムテで手の拘束は済んでるから、次はベッドに体を繋ぐか」

幼馴染「あ、あの、私、ベッドじゃなくて布団なんだけど……」

男「そうか。俺は人間なんだ」

幼馴染「巧みな話術で私がさも布団みたいにされた!?」

男「荒川工」

幼馴染「また言いたいだけだよ! たくみ繋がりだよ! ええっと……こ、粉川巧!」

男「みりん干し」

幼馴染「せっかく対抗したのにしりとりにされた!?」


男「しかし、布団か……繋ぐ場所がないな。しょうがない、今すぐベッド買ってこい」

幼馴染「無茶苦茶だよぅっ!? うぅ……売ってるお店あったかなあ? いくらくらいするんだろ」

男「本当に買おうとするな、ばか。冗談だ。しょうがない、ひとまずそこの机と俺をガムテで繋ぐか」

幼馴染「あ、私がやるよ。ぐーるぐーるぐーる……はい、できあがり♪」

男「よし、これで監禁拘束された俺が完成だ」

幼馴染「……動けないの?」

男「こうもぐるぐる巻くと、たとえガムテとはいえなかなかに強固になっており、俺程度の力ではとてもじゃないが破けない。そして砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」

幼馴染「イチイチそういうことは言わなくていいよ。……でも、そなんだ。動けないんだね?」ニヤア

男「ひぃ、幼馴染が突如ニャアと! 猫憑きか!」

幼馴染「ニヤア、だよ! ほくそ笑んだの!」

男「なんだ」

幼馴染「ありえない勘違いだよぉ……」


幼馴染「と、ともかくだよ。私は今はヤンデレだから、ろくに動けない男を好きにしていいんだよね?」

男「それこそ俺が望んだ展開だ。流石は幼馴染、やればできるな!」ナデナデ

幼馴染「え、えへへぇ♪/// ……って、どこでなでなでしてるんだよ!」

男「手はさる事情により使えないので、足で行っております」

幼馴染「足蹴にされてるよ! 絵面が悪いよ! 明らかにいじめられてる図だよ!」

男「大丈夫、俺はSだから興奮してる」

幼馴染「ちっともだいじょばないよ!」

男「ジョビジョバ?」

幼馴染「そんなことは言ってない!」

男「スペーストラベラーズは面白かったね」

幼馴染「そしてそんなことも聞いてないよ!」


幼馴染「そーじゃなくてそーじゃなくて! 今は私のたーんなんだよ! 男は拘束されて動けないんだから、私の言うことをなんでも聞かなくちゃダメなんだからね? じゃないと、解放してあげないよ?」

男「ふむ、よいロールプレイだ。元から素質があったのかもしれないね」

幼馴染「人がいっしょーけんめー怖がらせてるんだから、ちょっとは怯えてよ!」

男「まるで気づかなかった。前言撤回、素質ゼロ」

幼馴染「うぅぅ……い、いーもん! そんなこと言う酷い男なんて、一生解放してあげないもん!」

男「ヤンデレ娘と一生一緒だなんて、幸せすぎる」

幼馴染「し、幸せって……/// そ、外に出さないんだよ? ずっと、ずーっとだよ?」

男「それは困るな。学校に行けないのはモチロンだが、その行き帰りにお前とお喋りするのは楽しみなんだったんだけどな」

幼馴染「あ、あぅ……/// そ、それじゃ、特別に学校は行ってもいーことにするよ」

男「あんな口車で簡単に折れるな」

幼馴染「嘘なの!?」


幼馴染「もー怒った! 何があっても解放してあげないもん!」

男「ほう」

幼馴染「ご飯だってここで食べてもらうし、お風呂は一緒に入ってもらうもん! おトイレは……え、えと、一人で頑張ってもらうとして、その、寝るのも一緒に寝るもん!」

男「上々の出来だ。いいじゃないか、イイジャマイカ!」

幼馴染「そ、それで、ち……ちゅーとかもするもん!///」

男「あ、そういうのはいいです」

幼馴染「乙女の決心をすげなく断るなッ!」


幼馴染「うう……こ、こんなことで負けないもん! 折角のちゃんすだもん、諦めないよ!」

男「チャンス?」

幼馴染「あっ! な、なんでもないよ?」

男「…………」

幼馴染「か、考えこまなくていーから!」

男「お前……ひょっとして……」

幼馴染「あ……あぅ……///」

男「実は、……女、なのか?」

幼馴染「実はも何も最初から全身全霊で女だよっ! どこに考えこむ余地があるんだよっ!」

男「幼馴染が実は女ってネタはよくある話だから、お前もそうなのかなーって思ったんだ」

幼馴染「元から女の子だよっ! スカート履いてるし、おっぱいとかあるもん!」

男「いいえ、ないです」

幼馴染「ちっこくて見えないけどあるのっ!」

男「大喜びです」

幼馴染「ヤンデレ好きだけじゃなくてロリコンも併発!?」


幼馴染「うー……こうなったら、私の愛の力で目覚めさせるしかない!」

男「あいのちから?」

幼馴染「べっ、便宜上ね、便宜上! ほっ、ほら、いま私ヤンデレだから! ヤンデレは対象者を大好きだから!」

男「ああ、そっかそっか。いやてっきりお前が実は俺のことが大好きで、今回の件を利用してどうにか俺を意識させようとしてるんだと下衆の勘ぐりなんかしちゃった。いや悪い悪い」

幼馴染「えすぱー!?」

男「はい?」

幼馴染「なっ、なんでもない、なんでもないよ!」


幼馴染「こ、こほん! 今の私はヤンデレっ子なんだから、歯向かったりしたら何するか分からないんだよ? だから、口答えとかしないよーに!」

男「お、いいないいな、いい感じだな!」

幼馴染「じゃ、じゃー……と、とりあえず、なでなでして?」

男「こうか?」ナデナデ

幼馴染「足でじゃなくて! って、手はガムテープでぐるぐる巻きだし! 一回目で気付こうよ私!」

男「ばーかばーかばーか」

幼馴染「ば、ばかじゃないもん、ばかじゃないもん!」


幼馴染「ぐすぐす……ま、負けないもん。次だよ、次! え、えっと、それじゃ、抱っこして?」

男「こうだな」ギュッ

幼馴染「足でじゃなくてえ! 足ばっかりだよ! なんだかちょっと器用になってるよ!」

男「この短時間に進化した俺を褒めろ」

幼馴染「うぅー……じゃ、じゃあ、発想の転換だよ!」

男「え?」

幼馴染「こ、こうだもん!」ギュッ

男「はひぃ」


幼馴染「さ、逆らったりしたら殺しちゃうもん。だ、だからどけとか言ったらダメだもん」ムギュー

男「い、いや、言いませんが。そ、その、近くないですかね?」

幼馴染「……だ、抱きついてるから、そりゃ、ちょっとは近いもん」ムギュギュー

男「だ、大胆ですね」

幼馴染「だ、だいたーんすりーだからしょうがないもん」

男「ヤンデレと思いきや、ロボだったのか」

幼馴染「よそーがいです」

男「なんかちょい古いな」

幼馴染「テレビあんまり見ないもん。男の教えてくれる範囲でしかテレビのこと分からないもん」

男「今は『ご主人様、抱いて欲しいですにゃんわん』と幼馴染の男性に言うのが若い女性の間でブームらしいぞ」

幼馴染「にゃわん」

男「清々しいほどの略しっぷりだ」

幼馴染「ていうか、嘘でしょ」

男「はい」


幼馴染「それにしても……なんか、おっきくなった?」

男「ちんこの話?」

幼馴染「体の話っ! もー、えっちえっちえっち!///」

男「ははは。体ねえ……お前とこうやってがっつり触れ合うなんて、ガキ以来だからなあ。その頃から思えばでかくもなるだろ」

幼馴染「そだね、そだよね。……久しぶりだよね、こーやって触れ合うのなんて」

男「深夜になるとお前の家に忍び込み、寝てるお前にペロペロペロペロしてるから久しぶりでもないけどな、俺は」

幼馴染「変態ッ!?」

男「ばか、年頃の男性はみんなこんなもんだぞ?」

幼馴染「えっ、じゃあ、知らない間に私のファーストキス奪っちゃったの?」

男「気づいてないようですが冗談ですよ?」


幼馴染「冗談でキスしたの!?」

男「忍び込み辺りの話……って、いかんな。コイツ暴走してやがる」

幼馴染「乙女の唇をなんだと思ってるんだよ! 超許せないよ! ……あ、改めて、しっかりちゅーしてもらうよっ!」

男「えっ」

幼馴染「ほ、ほほほら、動かないの! わ、私はヤンデレだから! 嫌でもちゅーしてもらうんだからね!」

男「待て落ち着け幼馴染! 嫌なんてことはないがとにかく落ち着け! ああでもこの抵抗できずに蹂躙されるってシチュエーションは興奮するなあウヒヒヒヒ」

幼馴染「うわぁ」

男「落ち着いてくれたようで何よりだが、どういうことか涙が止まらないよ」


幼馴染「あんな気持ち悪い笑い方されたら、そりゃ冷めるよ」

男「せっかくいい感じだったのに」

幼馴染「よく考えたら冗談だよね。忍び込んだりなんてできないもん。じゃあ、ちゅーも冗談かぁ。……はぁ」

男「何のため息ですか」

幼馴染「たっ、ため息なんて吐いてないもん! なんかはぁーって息吐きたくなっただけだもん! そしてこれ以上の追求禁止!」

男「…………」

幼馴染「熟考も禁止ぃ! 色々考えるな、ばかぁ!」

男「幼馴染……まさか、お前……」

幼馴染「あ、あぅ……」

男「……女、なのか……?」

幼馴染「そのネタはもーいーよっ!」

男「テンドン大好きなんです」

幼馴染「知らないよッ!」


男「それはそうとして、いつまで抱きついているのですか」

幼馴染「うぐ……い、いーの! 今の私はヤンデレさんだからずっとくっついてるの! 男が私のことを好きって言うまでずーっとこうなんだからねっ!」

男「好き」

幼馴染「ぴゃー!?」

男「なんて愉快な生き物だ。もっと言ってやれ。好き好き好き好き」

幼馴染「そっ、そそ、そんな言葉だけじゃいっこーに信じられないもん! も、もっと誠心誠意心を込めて言わないとダメだもん!」

男「誠心誠意と心を込めてって意味重なってませんか」

幼馴染「細かいことはどーでもいーのっ! いーから! ほら!」

男「分かったよ。んん……幼馴染、俺は、お前が……」

幼馴染「はわ、はわわ……///」

男「……スキーだ」

幼馴染「惜しいっ! 最後に伸ばさなければ百点だった! でもそれのせいで冬の楽しみになっちゃって何もかも台無しだよぅ!」

男「幼馴染は愉快だなあ」

幼馴染「好きで愉快なんじゃないよっ! こちとら必死だよ!」


男「さて、監禁拘束と成功したし、次は何するかな。にしても、自分がヤンデレに狙われてるなんて、楽しいなあ!」

幼馴染「……あ、あのね、ひとつ提案があるんだけど」

男「大好きな幼馴染の言うことだ、なんだって聞いてあげるよ」

幼馴染「だっ、だだっ、大好きぃ!!? ふ、ふひゃー……///」

男「ただ、聞くだけで全部聞き流すけどね」

幼馴染「それならいっそ聞いてもらわない方がいいよっ! 大好きな相手への行動じゃないよッ!」

男「ばか、今の俺は『ヤンデレに狙われている哀れな虜囚』という役なんだ。上手に媚びを売って隙を見て逃げ出す、というロールプレイなんだから、この程度のリップサービスは当然だ」

幼馴染「ちっともサービスされてないよ! 私が本当のヤンデレなら今頃惨殺ENDだよっ!」

男「好きとか適当言ってりゃなんでも許されるんじゃないんですか」

幼馴染「適当すぎるよぉ……男と付き合う人は大変だね。……わっ、私は幼馴染だから、男のことなんでも知ってるからっ、だいじょぶだけど!」

男「へー」

幼馴染「明らかに興味がない素振りだよぉ……」


幼馴染「じゃなくてじゃなくてぇ! 提案だよ、提案!」

男「はい」

幼馴染「あのね、男の手が使えないのは面白くないから、ガムテープでぐるぐるするのは手じゃなくて足にしない?」

男「それは名案だ。でも、そうするとお前を足蹴にする大義名分がなくなっちゃうからなあ……うーむ、どしたものか」

幼馴染「この人ものすごく酷い!?」

男「まあ、難癖つけて足蹴にすりゃいいか。よし、それじゃこのガムテを剥がしてくれ」

幼馴染「全部聞こえてるよ! 足蹴になんてしたら怒るよ!? いちおー剥がすけど!」ビリビリ

男「剥がすのか。って、いていて! 俺の腕毛がガムテに奪われる」

幼馴染「こら、暴れるな! 言うほど生えてないんだから我慢する! ……はい、剥がしたよ」

男「おお、なんという開放感! あー楽しかった。んじゃ帰るか」

幼馴染「かーえーるーなー! まだ私のターンは終わってないぜ!」ダキツキ

男「ドロー! モンスターカード! か?」

幼馴染「そーそー! あの動画面白かったねぇ♪ またあーゆーの見せてね♪ ……じゃなくてえ! もー! 男はすぐに話を脱線させる!」

男「お前が振ったんだろうが」

幼馴染「うるさいの!」


幼馴染「はい、足に巻くよ。ぐーるぐーるぐーる……よし!」

男「これで俺の機動力は大幅にdown、全盛期のビルバインと並ぶとまで言われた鬼回避率も露と消えた」

幼馴染「またよく分かんないこと言ってるしぃ……とにかく、これで手は使えるようになったよね」

男「ん、ああ。で、何すんだ? ラジオ体操第二? あの肩をいからせてウホウホするのが恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないが、それが望みか? なんという羞恥プレイ。だが、命令とあらばやってやる!」

幼馴染「まったく頼んでないことを嬉々としてやろうとするなっ! ……え、えっと。とりあえず、そこに寝て」

男「ああ、はい」

幼馴染「それで、よい、しょっと」ノシッ

男「ぅおおいっ! 寝る場所間違ってやしませんかお嬢さん!?」

幼馴染「ま、間違ってないもん! いっつもこの布団は薄くて背中痛いなーって思ってたもん! 人間肉布団だもん! 男はおっきいからその上に寝ても問題ないもん!」

男「いや、俺が大きいのではなくお前が小さいだけってお前何やってんだ」

幼馴染「ろ、ろーりんぐで敵の攻撃を回避。結果、仰向けからうつ伏せになっちゃったけど、結果論だからそれを責めるのは酷だ」

男「敵などどこにもいません」

幼馴染「う、うるさい! ……ぅああ、思ったより顔近いぃ///」

男「鼻息がこしょばい」

幼馴染「そ、そゆこと言うなあ!///」


男「それで、どうしろと言うのでしょうか」

幼馴染「……でろ」

男「へ?」

幼馴染「だから、なっ、なでろって言ったの!///」

男「尻か。任せろ、得意だ」

幼馴染「頭に決まってるだろ! なんでお尻をなでてくれなんて言うと思うんだよぉ!」

男「そりゃ頭より尻の方がなでた時に俺が楽しいからだろ」

幼馴染「楽しいとか知らないっ! 頭なでるのっ! 命令、めーれー! 断ったら包丁でぶすぶすーだよ!」

男「お、これは実にヤンデレらしい台詞。……いや待て、本当にそうか? 包丁=ヤンデレとは、あまりに記号的過ぎやしまいか? 俺はいつから人ではなく物に萌えていたんだ?」

幼馴染「そーゆーことは一人の時に考えろっ! 今は私をなでなでする時間なのっ!」

男「そうか。どうぞ存分になでなでしていてください」

幼馴染「私が自分の頭なでてたらただの頭おかしい人じゃないのっ! 男が私の頭をなでるのっ! いーこいーこするのっ!」

男「どんどん幼児化が進むな。いい傾向だ!」

幼馴染「喜ぶなっ! 止めろ!」


幼馴染「なんでもいーからなでるの! なーでーるーのっ!」ジタバタ

男「子供か。暴れるな」

幼馴染「うるさいっ! 今の私の言うことは絶対なんだよ! 断ったりしたら痛い目見せちゃうからね!」

男「そりゃ怖いな。しかし、なでる、か……」

幼馴染「な、なんだよ……い、嫌でもなでないとダメだかんねっ! なでないと解放したげないから! 嫌々でもなでなきゃダメだからね! で、でもそれを顔に出しちゃダメだよ!」

男「実は、もうボケの案が尽きちゃって。普通になでることしかできそうにないんだが、それでもいいか?」

幼馴染「最初っからそれをお望みだよっ! 無駄にドキドキしちゃったよ! 正直泣きそうだったよ!」

男「じゃあ、はい」ナデナデ

幼馴染「は……はぅぅぅぅ///」

男「うわ、きめぇ」

幼馴染「流石に泣くよ!?」

男「冗談だ、冗談。とても可愛い鳴き声です」

幼馴染「な、鳴き声とかゆーなっ! 勝手に漏れちゃっただけだよっ!」

男「つくづく萌えキャラだな」

幼馴染「そんなつもりは毛頭ないよっ!」


男「にしても、そうじっくり見る機会がなかったから気づかなかったが、よくよく見ると、お前って結構可愛いのな」

幼馴染「はぅわっ!?」

男「はぅわ? 何語?」

幼馴染「お、お世辞なんて効かないもん!/// そ、そ、そゆこと言っても解放なんてしてあげないから!」

男「あと、ほっぺもふにふにで気持ちいいし」フニフニ

幼馴染「あ、あぅ……///」

男「わはは。モチみてえ」グニー

幼馴染「あぅぅ……監禁されてる人の行動じゃないよぅ」

男「それを言うなら、お前こそ。人を監禁しておいて、何を好き勝手に頬をうにうにされている」

幼馴染「だ、だって、気持ちいーし……」

男「お前の性感帯おかしいぞ」

幼馴染「そーゆー意味の気持ちいいじゃないよっ! 男に触ってもらって気持ちいいってお話っ!」

男「ほう」


幼馴染「はっ、やっ、そ、そうじゃなくてそうじゃなくて! そーゆー意味じゃなくて!///」

男「落ち着け。深呼吸だ」

幼馴染「そ、そだね。すーはーすーはー」

男「吸って吐いて吸って吐いて吐いて吐いて吐いて吐いて」

幼馴染「すーはーすーはーはーはーはーは……っ!? っぱあ! 無理だよ死ぬよ臨死体験だよ!」

男「最初から気づけ」

幼馴染「テンパってるんだからちょっとは気遣ってよ!」

男「なるほど。分かった、任せろ」ムギュッ

幼馴染「ふわわわっ!? ふわ、ふわあ!? だ、抱っこ、抱っこ!?」

男「そして、よしよし」ナデナデ

幼馴染「こっ、このコンボは凶悪、凶悪だよぅ! 頭溶けるよ!」

男「あらかじめ手に塩をすり込んでおいた甲斐があるというものだな」

幼馴染「ナメクジじゃないっ! 全力で人だよっ! 折角の甘いムードも雲散むしょーだよっ!」


男「安心しろ、まだ俺の抱っこは続いている。その気になれば、まだまだ甘いムードは継続可能だ」ナデナデ

幼馴染「じゃあ最初から余計なこと言わなきゃいいのにぃ……」

男「それは、どうせいつか死ぬから生きててもしょうがないと言っているようなもんだぞ」ナデナデ

幼馴染「極論すぎるよぉ。……あの、ところでさ?」

男「ん?」ナデナデ

幼馴染「……えへへ。な、なんか近いね?」

男「飛び出すメガネをしてるからそう見えるだけだ。ただの錯覚だ」ナデナデ

幼馴染「なんだか古いよ。今ならすりーでぃーメガネだよ?」スリスリ

男「む。自身の顔が高速振動させることにより、俺のなでなでを妨害するとは。やるな、幼馴染!」

幼馴染「ちっともやってない! 頬ずりして甘えてるの! さりげなくやったつもりだったのに大失敗だよ!」

男「わはは。んで、ちっとは落ち着いたか?」

幼馴染「へ?」


男「さっき何やらテンパってたのでね。どだ?」

幼馴染「……えと、うん。落ち着いた、みたい」

男「そか。よかった」

幼馴染「……あの、落ち着いても、抱っこしてくれる?」

男「絶対に御免だ」

幼馴染「悪魔!?」

男「さっきの抱っこはあくまでお前を落ち着かせるため。それ以外の何物でもない」

幼馴染「……そ、そだよね。……男って、優しいもんね。……ただ私を落ち着かせるためで、他の感情なんてあるはずないもんね。……えへへ。なに勘違いしてたんだろ、私」


男「そして、これからは俺の楽しみだ」ムギュー

幼馴染「ふわっ!? ……え、え?」

男「ヤンデレ娘を抱っこっこ。あー幸せ」

幼馴染「…………。……うぅぅぅぅーっ!」ギュー

男「頬をつねるな」

幼馴染「わざとだもん! わざとあーゆー言い方して私を悲しませた罰だもん! ちょっとは痛い思いしてもらわないと割に合わないもんっ!」ポロポロ

男「あーもー、こんなことで泣くな。まったく、どこまで子供みたいなんだか」ナデナデ

幼馴染「子供じゃないもん……うぅぅ……」ズビー

男「鼻を垂らすな。ティッシュティッシュ……ほれ、ちーん」

幼馴染「ふがふが……ちーん」

男「はい、よくできました」ナデナデ

幼馴染「全力で子供扱いだよ……ぐす。あっ、ゴミ箱はそこだよ」

男「ん。よし、飛んでけー」ポーイ


幼馴染「ぐすぐす……じゃ、次はなでなで」

男「ところで、そろそろヤンデレ成分が切れてきたので、何かやってもらえませんかね?」

幼馴染「なでなで……」

男「そんな悲しそうな声を出すな。なんかそれっぽい台詞言ったらやってやるから」

幼馴染「うー……あっ! ……お、男は何も心配しなくてもいいんだよ? 私が一生飼ってあげるからね?」

男「んー、台詞としちゃ間違ってないが、俺とお前の関係じゃ逆の方がしっくりきませんかね?」

幼馴染「逆? 私が男の、……ぺ、ぺっと? ……ふへへぇ///」

男「なんで喜んでんだ」

幼馴染「よっ、よよ喜んでなんてないよっ!///」

男「まあ、一応言えたしご褒美です」ナデナデ

幼馴染「私の方が立場が上のハズなのに、どう見ても男の方が偉そうだよぉ……」

男「実際偉いしな」ナデナデ

幼馴染「うちゅうのほうそくがみだれてるよぉ……♪」スリスリ


幼馴染「ふにー……あ、そだ。今日ね、今日ね、泊まってく?」

男「ストレートにえろいな!」

幼馴染「そっ、そういう意味で言ったんじゃないよっ!/// 久しぶりにいっぱいお話できたから、明日もそうしたいなーって……ねっ?」

男「うーん……でも、流石にお泊りまでは」

幼馴染「……いっ、嫌とは、言わないよね、言わないよね?」

男「そこで不安そうにするな。もっと病んだ感じでニヤーっと笑いながら言え」

幼馴染「うぅぅ……不安の方が大きくて笑ったりなんてできないよぉ」

男「断ったら殺す、いやむしろ何か喋る前に包丁を腹に突き立てる、くらいの意気込みで頑張れ」

幼馴染「怖いよっ! 男を殺すとか考えただけで泣いちゃうよ!」

男「うーむ……どーも向いてないみたいだなあ」

幼馴染「えっ」

男「キャストを誤ったか? 今からでも、他のやつに」

幼馴染「ヤ、ヤだっ。捨てないで、捨てないでっ。頑張るからっ、頑張るからっ」

男「お、おい」


幼馴染「もっと一生懸命やるからっ、本気でやるからっ。だから、他の子とかヤだ、ヤだっ」

男「ちょっと落ち着けって」

幼馴染「ほ、他の子とこんなことするなら。い、いっそ、私が、私がっ」

男「落ち着けと言っとるだろ」ペシッ

幼馴染「にゃっ! ……うー」

男「うなるな。そもそも俺に他の女性の知り合いなんていないぞ」

幼馴染「へ? …………そなの?」

男「そなの。知らなかったのか?」

幼馴染「だ、だったら最初っからそう言ってよ! ……うぅ、なんか変なこと言った気がする」

男「大丈夫、気のせいじゃない!」

幼馴染「笑顔で言わないでよ、ばかぁ!」

男「いやはや。しかし……さっきのはよかった。鬼気迫ってた。ああいうのだよ、俺が望んでたのは! 正直身の危険を感じたぞ!」

幼馴染「さ、さっきのは……そ、その。演技とかじゃないから。盗られちゃうって、必死だったから」

男「どうやら開いてはいけない扉が少し開いたようですね」

幼馴染「う、うぅ~……自分にあんな性質があったなんて、びっくりだよ」


男「だが、むしろ好都合! 開きかけてる扉をガンガン開きましょうね!」

幼馴染「ヤだっ! あんなコントロールできない状態ご免被るよっ! 自分でもちょっと怖かったもん!」

男「ばか、俺が一番怖いに決まってるだろ。正直殺されるかと思ったぞ」

幼馴染「だったら開けようとするなっ!」

男「自分の命と浪漫を天秤にかけたら、そりゃ浪漫に傾くだろう、男なら!」

幼馴染「無駄にかっこいいよぉ……」

男「あと、こんな性質が暴走したら何かあった時に危ないから今のうちにコントロールできるようにしよう、っていう言い訳をいま思いついた」

幼馴染「全部言っちゃってる! なんだか何もかも台無しだよ!」

男「じゃあ手始めに……」

幼馴染「な、何するの? こ、怖いことはダメだよ?」ブルブル


幼馴染「へへー♪ ふへ、ふへへー♪」ギュー

男「ちょおご機嫌ですね」

幼馴染「ふぇっ!? そっ、そそそんなことないよっ! 試練だよ、しれん! えっと、み、みずからのおにをせいぎょするために仕方なくやってるんだもん!」ムギュー

男「満面の笑みで俺に抱きついていて見えるのは、俺の目の錯覚なのだろうか」

幼馴染「そ、そうだもん。錯覚だもん。そもそも、男が言い出したことなんだよ?」

男「『ヤンデレ化をコントロールする第一歩として、まずは俺を好きになること』……自分で言っておいてなんだが、よく受け入れたな」

幼馴染「しっ、仕方ないもん! この性質は危ないから、制御しなきゃだし。……だ、だから、しょーがなく男を好きになってあげるもん! そのための行動だもん!」

男「しょうがなく、なぁ」ナデナデ

幼馴染「はひゃー♪ ……な、なんだよ、その目は」

男「何も」

幼馴染「うぅー……何もって顔じゃないよ! ほ、本当にしょがなくだもん! まだ好きじゃないもん!」

男「はいはい」ナデナデ

幼馴染「ものすっごく信じてないしぃ……ほ、本当なんだからね! あっ、そだ、明日お休みだし、デートしよ、デート!」

男「デートなんて戯言ほざいておいて、まだ好きじゃないと?」

幼馴染「じゃないの!」


男「わーったよ。じゃあ、俺を好きになるためにデートするか」

幼馴染「やったー♪ どこ行こっか、どこ行こっか? あっ、そだ! あのねあのね、お弁当作るから一緒に食べようね♪」ムギュー

男「なんかもうヤンデレとか関係なく可愛く見えてきた俺は頭がおかしいのだろうか」

幼馴染「かっ、かわ……/// も、もーっ! 男は別に私のこと好きになる必要ないのに、……も、もーっ!///」ポカポカ

男「ぶべらはべら」

幼馴染「ま、まったく男は。誰にでもそーゆーこと言うんだから」

男「言うか、アホ。そんな軽くねーよ」

幼馴染「……あ、あぅぅ///」

男「照れるな。こっちの方が恥ずかしくなってくる」

幼馴染「ん、んなもん無理だよ! 恥ずかしーよ! ていうか男も耳まで真っ赤だよ!」

男「いやはや、慣れないマネはするものではないですね」


幼馴染「う、うぅー……と、とにかく! 恥ずかしがってる時間がもったないよ! 気分を変えるよ!」

男「されには同意」

幼馴染「明日はデートしてー、あっ、学校でもお弁当一緒に食べようね♪ それから学校帰りには買い食いしたりー。……えへへ。やりたいこと、いーっぱいあるよ」

男「なんかもうヤンデレとか全然関係ない気がするが、楽しそうだしまあいいや」

幼馴染「全ては制御するためなのーっ! 関係あるの! あと、もっかい抱っこ!」

男「はいはい」ムギュー

幼馴染「えへへー♪ 今日も明日も明後日も、好きになるためにずっと、ずーっと一緒にいてもらうからね、男?」

男「もう十分好きだろ」

幼馴染「まだなの! もっともっともっと好きになるの! あと……その、お、男にも私を好きになってもらうの!」

男「大丈夫。最後の条件は既に達成済みだ」

幼馴染「へっ?」


おわり
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