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2024年11月21日
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少女「抱っこをご所望です、おにーさん」 男「困った」前編
2012年04月22日
少女「困らなくていいです。黙って抱っこ、これがかっこいいのですよ、おにーさん」
男「いや、幸か不幸か俺はかっこよくないので抱っこしません」
少女「私は目がおかしいのでおにーさんがかっこよく見えます。だから抱っこしてください」
男「くそぅ、この娘はちっともくじけやしねえ。しょうがない、おいで」
少女「執念の勝利です! えやっ」ポフリ
男「はいよしよし」ナデナデ
少女「なでなでまで! これは嬉しいサプライズですよ、おにーさん! ナイスガッツ!」
男「はいはい」ナデナデ
男「いや、幸か不幸か俺はかっこよくないので抱っこしません」
少女「私は目がおかしいのでおにーさんがかっこよく見えます。だから抱っこしてください」
男「くそぅ、この娘はちっともくじけやしねえ。しょうがない、おいで」
少女「執念の勝利です! えやっ」ポフリ
男「はいよしよし」ナデナデ
少女「なでなでまで! これは嬉しいサプライズですよ、おにーさん! ナイスガッツ!」
男「はいはい」ナデナデ
少女「はふぅ。おにーさんのなでなでは格別ですね。一生なでられていたいです」
男「そんなことはないと思うのだけど」
少女「いいえいいえいいえ! そんなことなはないことはないのです!」
男「ややこしい」ナデナデ
少女「はふぅ」
少女「つまりですね、おにーさん。おにーさんになでられると、天にも昇る気持ち、ということなのです。あ、この天にも昇るとは、比喩表現なのでそこを勘違いされると困ります」
男「そんな注釈はいりません」
少女「じゃあどんどん勘違いしたらいいじゃないですか!」
男「怒りのツボが分からん」
少女「女の子は怒りっぽいんです。カルシウムが足りないんです。骨を食べたいです、わんわん」
男「犬なの?」
少女「可愛い女の子です」
男「なるほど」ナデナデ
少女「ふにゃー」
男「猫だったか」
少女「可愛いので間違うのも仕方ないかもしれませんが、人です」
男「怪しいものだ」ナデナデ
少女「ふにゃー」
少女「それよりおにーさん、そろそろ私にちゅーをしてはいかがですか?」
男「意味が分かりません」
少女「ですから、ちゅっちゅぺろぺろしてはどうですか、と言ってるんです。どうでしょうか?」
男「繰り返すが、意味が分かりません。あと、何やらパワーアップしているような」
少女「女の子は無敵なんです!」
男「困ったなあ」
少女「大丈夫ですよ、おにーさん。もちろん初めてですよ!」
男「そんな心配はしてねえ」
少女「私が誰にでもキスするようなはしたない女性と御思いですか! 不愉快です!」
男「んなことは思ってねえ」
少女「謝罪の意も込めてちゅーしてください、おにーさん!」
男「これはひどい策略だ」
少女「ちゅー! おにーさん、ちゅー!」
男「ねずみですか?」
少女「どこをどう見たらねずみに見えるんですか! 人ですよ! おにーさんを大好きな人です!」
男「それよりお嬢さん、そろそろ自分の部屋に戻ってはいかがでしょうか」
少女「おにーさんがちゅーしてくれたら帰ります」
男「はぁ……分かったよ。はい、ちゅー」
少女「はやややや!? ……って、ほっぺじゃないですか! 口にです! もう、ぶべーってくらいどぎついのをご所望です!」
男「中学生にそんなのしたら捕まりませんか?」
少女「親公認ですから大丈夫です!」
母「その通りよ、娘」コッソリ
男「ドアの隙間から……いつから見てた」
母「最初から! えろいぞ息子!」(満面の笑みでサムズアップ)
男「俺はアンタの息子じゃない。お前の母親だろ、なんとか言ってくれ少女」
少女「見てて母様、見事におにーさんを篭絡してみてます!」
男「この家にまともな奴はいないのか」
少女「じゃあおにーさん、改めてちゅーしてください。それとも、親子丼をご所望ですか?」
母「初めてでそれを推薦するとは……ナイスガッツ、娘!」(サムズアップ)
少女「貴方の娘だもの」(サムズアップ)
男「あの。一応、確認したいのですが」
少女「はい! なんでも聞いていいですよ、おにーさん? ただ、一回質問に答えるごとになでなでしてもらいます!」
男「……まあ、それくらいならいいか。ええと、俺は家庭教師、なんだよね?」
少女「という体で、さらいました!」
男「だよね。なんか街歩いてたら黒い服着た人がいっぱい来て俺をワゴンに連れ込んだもの、明らかに犯罪に巻き込まれたと思ったよ」
母「私の手引き。手引き」クイクイ
男「はいはい」ナデナデ
母「うへへぇ」
少女「あー! 母様ずるい! 私も! おにーさん、私もなでなで!」
男「はいはい」ナデナデ
少女「はふぅ」
男「で、だ。なんで俺を誘拐までして家庭教師にするの? 言っておくが、俺の通ってる学校は正直自慢できるような代物じゃないぞ? 家庭教師を頼むならちゃんとしたところに頼んだほうがいいと思うのだけど」
少女「あれは、今から一ヶ月前のことでした……」
男「あ、なんか語り入った」
少女「色々あって、いま、おにーさんが私を抱っこしています。最高に幸せです」スリスリ
男「省略が過ぎる。もうちょっと具体的にお願いします」
少女「おにーさんのたくましい腕が、私を包み込んでいます。大きな手のひらが私の背中をさするたび、私の心は」
男「いや、その具体性はいらない」
少女「おにーさんのいけず……」
男「おたくの娘さんはちょっと頭悪いですね」
母「学力はすごいザマスよ?」
男「母親も頭悪かったか」
男「じゃなくて、一ヶ月前に何があったか聞きたいのだけど」
少女「そこまで言うなら仕方ありません。特別に教えてあげます。だからなでなでしてください」
男「……まあいいか」ナデナデ
少女「はにゃー。次、ちゅー」
男「いや、いいです」
少女「おにーさんのいけず……。まあ、なでなでしてもらったし、いいです。今回は我慢します。今回だけです。次はないですよ、おにーさん?」
男「帰ろうかな」
少女「分かりました、素早く説明しますっ! ええとですね、一ヶ月前、私は一人で学校から帰っていました。……偉いですか?」
男「いや、普通だろう」
少女「えええっ!? お供も一人もナシで、しかも、徒歩ですよ!? こんな偉業を成したのに、褒めないんですか!? おにーさんの鬼!」
母「そうよ! 男さんの鬼! 悪魔! 三段腹!」
男「別に太ってねえ。で、続きは?」
少女「私のトーク力におにーさんはメロメロですよ、母様!」
母「やるわね、娘! このまま喋りの力をつけて、将来はひな壇で頑張るのよ!」
少女「折角の激励ですが、私は芸人になるつもりはないです……」ションボリ
母「私も娘が芸人なんかになられたら悲しいわ……」ションボリ
男「帰りてえ」
少女「安心して、母様! 私、将来は、おにーさんのお嫁さんの予定ですから!」ドヤッ
母「まあ! じゃあ私は二号さんね!」ドヤッ
男「こっち見んな」
少女「……母様、殺し文句なのに、おにーさんはちっとも嬉しそうじゃないです」
母「解せぬ」
男「なるほど、母子揃って頭悪いのか。可哀想だな」
少女「こほん。冗談はここまでです」
母「ええっ!?」
男「お前の肉親が真顔でええって言ってるけど、いいのか」
少女「……一ヶ月前、私は一人で学校から帰っていました」
男「無視か。いい選択だ」
母「くすん」
少女「いつもは車で優雅極まりなく帰っていたのですが、たまには庶民の気持ちを味わうのもいいと思い、徒歩で帰宅してみました」
母「帝王学ね! レッツラーン庶民!」
男「頭悪くても金持ちになれるんだな」
少女「……しかし、ここでとあるトラブルが。あ。……とある黒髪少女の揉め事(トラブル)が」チラチラ
男「言い直すな。こっち見るな。期待するな。揉め事と書いてトラブルと読ませるな」
母「れーるがん!」キラキラ
男「あの笑顔が腹立つ」
少女「暴走自転車が歩道を暴走しており、私はそれに巻き込まれて思わずこけてしまいました」
母「※犯人はあとで黒服が秘密裏に処分しておきました」
男「あれ? この家ヤバいの? ヤのつく職業?」
少女「そこへ颯爽と現れたのが……誰あろう、おにーさんです!」
母「ひゅーひゅー! かっこいいぞ、男さん!」パァン
男「囃し立てるな。クラッカーを鳴らすな。至近距離で俺に向けるな」
少女「紙くずまみれでも素敵です、おにーさん!」
男「いや、嬉しくない」
母「いいえ! よく見なさい、娘! こんな紙くずまみれの男なんて、どこがかっこいいの!」
少女「はっ……! 確かに。みすぼらしいばかりで、ちっともかっこよくないです! 恋心で眼が曇ってたわ。ありがとう、母様!」
母「分かってくれて嬉しいわ、娘!」
男「何も悪いことしてないのに、どうしてここまで悪し様に言われなければならないのか」
少女「大丈夫! 紙くずはみすぼらしいですけど、おにーさんは素敵です!」
母「ちぃっ! 騙しきれなかったか! あわよくば娘の恋心をなくし男さんをもらおうと思ったのに!」
男「早く帰りたい」
少女「母様は後で詰問するとして、私はこけて膝を擦りむいてしまいました」
母「ドジっ子萌え、ね! 萌えるぞ我が子!」スリスリ
少女「ひゃああ」
男「…………」
少女「……母様。おにーさん、ちっとも喜んでないみたいです」
母「百合属性はないのかしら。……否! もっとドギツイ絡みをすれば、開花するかも! 覚悟はいい、娘?」
男「おいそこ、客の前で親子で絡むな」
少女「いや、私はおにーさんが好きなんでそういうのはちょっと」
母「普通に断られた!? 冗談なのになんだかちょっとヘコむわね……」
少女「閑話休題、そこに現れたおにーさん! おにーさんは私に優しく語りかけます」
母「なんつった!? なんつった!?」
男「母親の合いの手がウザすぎる」
少女「『あー……大丈夫か?』……って。きゃーきゃーきゃー!」ジタバタ
母「きゃーきゃーきゃー! 何がきゃーか分からないけどきゃーきゃー!」ジタバタ
男「そこの二人、暴れるのは百歩譲っていいとしても、せめて俺から離れてくれ。手や足が思い切り顔に当たって痛いのだが」
少女「おにーさん、クール……!」
母「ラジカセで喋るくらいクールね、男さん……!」
男「少女はともかく、母の方は明らかに馬鹿にしてるだろ」
母「?」
男「女じゃなかったら殴ってる」
少女「折角おにーさんが声をかけてくれたのに、異性に慣れていない私は、怖くてうつむいてしまいました」
母「それでなくても怖いのに、基本的に無表情だからね、男さん!」ツンツン
男「言うな。気にしてるんだ。頬を押すな」
少女「母様ずるいです! 私もふにふにしたいです! と、というわけで、えいえいっ」ツンツン
男「……はぁ。満足いただけましたでしょうか、お嬢様」
母「まあまあね」
男「お前じゃねえ」
母「なんと」
少女「…………」ソーッ
男「はいそこ、なに顔を近づけてるか」
少女「はうあっ!? ち、違うんですよ!? ほっぺ、ほっぺですから! ほっぺにちゅーしようとしただけですから!」
母「つまり母たる私に男さんの口を残してくれたのね! 娘の心遣いに感謝し、いざ覚悟、男さん!」
男「いや違うだろ」
少女「いくら母様でも、おにーさんだけは譲れません!」
母「まあ! あんなに気弱で私に歯向かうなんて考えられなかった娘が……子供の成長って嬉しいものね、男さん?」
男「俺も扶養されてる身なんで、分かりません」
少女「今日からはおにーさんは私が養ってあげますねっ♪」
母「超☆ヒモ宣言、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
男「つっこみが追いつかねえ」
少女「はや、またしても脱線してしまいました。どこまで話しましたっけ?」
母「男さんが娘を穴奴隷にしたところまでね」
少女「ああそこまででしたか。……あっ、穴!?」
男「そこ、しれっと娘に嘘をつくな。あと、つくとしても、もうちょっとマシな嘘にしろ。中学生にする嘘じゃねえ」
少女「……? おにーさん、あなどれい、って何ですか?」クイクイ
男「ほらみろ、どういうわけか俺に被害が来た。助けてください」
母「あのね、娘。穴奴隷っていうのは娘の穴という穴に」
男「待て。短い付き合いだが、全部言いそうな気がしてならない」
母「見事な慧眼ね、男さん。その通りよッ!」(サムズアップ)
男「なるほど、やっぱコイツ馬鹿だ。ええとな、少女。それはまだお前が知らなくていいことだから、気にしないでくれるとありがたい」
少女「はぁ……。よく分かりませんが、おにーさんがそう言うなら気にしませんっ!」
男「よし。偉いぞ」ナデナデ
少女「よく分かりませんが、なでなでしてもらって大喜びです! うにゃにゃ!」
母「うにゃにゃ(笑)」
少女「お、おにーさん、母様がいじめます……」(半泣き)
男「よしよし、泣かない泣かない。そこ、娘をいじめるな」ナデナデ
母「いや、あんまりにも可愛くて。男さんも分かるっしょ?」
男「……まあ、否定はしませんが」
少女「お、おにーさんがいじめたいと言うなら、我慢します。泣きません」(半泣き)
男「もう半分泣いてるじゃねえか! あーもう、嘘だよ。いじめないよ」ナデナデ
少女「きゅー……」
母「きゅー(笑)」
少女「お、おにーさぁぁぁぁん……」(半泣き)
男「ああもう、ああもう」
男「それで、話の続きは?」ナデナデ
少女「おにーさんになでてもらい、折れた気持ちを立て直しました。……偉いですか? 好きになりましたか?」
男「前者は肯定、後者は否定」
少女「母様、おにーさんが私を蛇蝎の如く忌み嫌います」(半泣き)
母「男さんは私の熟れた肉体が目当てだからしょうがないわよ」
男「違うッ! つーか色々間違ってる! 順番に正していこう。まず、俺は別に少女を嫌ってなどいない。次に、俺は母さんを狙ってなどいない。最後に、母さんは熟れてない。なんだそのロリ体型。本当に人の親か」
母「ほほほ。よく姉と間違われますわ」
少女「おにーさんは、おっぱいが大きい方がいいですか?」
男「いいえッ! ……いや、今はそんな話などどうでもよくて」
母「とんでもない反応速度だったわね」ヒソヒソ
少女「おにーさんはおっぱい小さいのが好きなんですね。……よかったです」ヒソヒソ
男「すげぇ、一向に話が進まねえ」
母「聞こえないフリしてるわね……思ったよりタフな精神してるわね」
少女「そんなところも素敵です……」キラキラ
男「なんでもいいのか」フニフニ
少女「ひゃああ。お、おにーさん、ほっぺふにふにしないでください」
男「む。母さん、この娘さん可愛いですね」
母「こっちも年甲斐もなく可愛いと噂よ? やってみ?」
男「…………」(不承不承つんつんと)
母「ヒャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
男「怖え! それも尋常じゃなく怖え!」
少女「お、おにーさん、母様に悪魔が、悪魔が!」ガタガタ
男「ほらみろ、あまりの恐怖に少女が震えてるじゃねえか!」
母「嗜虐心をそそるわね! 性別と血の繋がりがなければどうかしてるわ!」
男「本当にどうかしてる。こんなのが親で可哀想だな」ナデナデ
少女「はぅぅ。で、でも、おにーさんになでてもらえるので、プラスマイナスぜろです」ガタガタ
男「まだ震えてるじゃねえか。よしよし」ナデナデ
少女「はぅ。はぅぅ。……はふぅ。落ち着きました。ありがとーございます、おにーさん」ペコリン
母「私のナイスアシストを褒めてはどう?」
男「はい偉い偉い」ナデナデ
母「片手間ね!」キラキラ
男「喜ぶな」
少女「おにーさんのなでなでにより落ち着きを取り戻した私は、話を続けます」
男「やっと本筋に戻った」
母「混ぜっ返す? 得意よ?」
男「頼むから口を挟むな」
少女「こほん。……んと、どこまで話しましたっけ?」(小首をこてりと)
男「うん、可愛い」ナデナデ
少女「はやや。ち、違います、違いますが……嬉しいと感じてる私が確かにいます!」
母「じーっ」キラキラ
男「いや、そっちには別に何もするつもりないですよ」
母「ちいいっ! ダメだダメだ、やはりロリコンはダメだ! というか、私だって結構ロリ体型なのに! もっと私をちやほやしなさいよ!」
男「人を勝手にロリコン呼ばわりするな」
少女「おにーさんは、ロリコンさんなのですか?」
男「い、いいえ、違います」
母「一瞬の躊躇を見逃す母ではない! この男……確実に、ロリコンね! 自室には緊縛された小学生や中学生が両手の指ほどいるに違いないわ!」
男「いねぇよ。どんな大悪党だと思われてんですか。というか、仮にロリコンだとしても、犯罪をおかす度胸なんてないですよ」
少女「そうです! おにーさんは優しい人なので、犯罪なんて絶対にしません!」
男「あ、そういや今日信号無視した」
少女「お、おにーさぁん……」(半泣き)
男「はいよしよし」ナデナデ
母「犯罪をおかすだなんて……人として恥ずかしいわ!」キラキラ
男「また嬉々として……はいはい、すいませんね」
母「いいえ、許せないわね! 警察に通報されたくなかったら、私を褒め称え、あとついでに私もなでなさい!」
男「代わりに娘をなでることで許してもらえないでしょうか」ナデナデ
少女「はぅ、はぅぅ」
母「……うん! 面白いから可!」
少女「面白い!? 私は見世物じゃありません、母様!」
男「そうだな」フニフニ
少女「ひゃああ。ほ、ほっぺふにふにしないでください」
男「……いや、見てて楽しいから見世物かも」
少女「がーん!」
男「それで、話の続きだが」
少女「……つーん、です。いじわるなおにーさんなんて知りません。つんつーん、です」
男「少女に嫌われたショックで母親の方に走りそうだ」
母「お、私の出番か。よし、どんなプレイする? 母乳プレイ? ただ、出ないからまず孕まして頂戴な」
少女「!!? だ、だ、だ、ダメですッ! 私の、おにーさんは私のですっ! 母様にだって譲りませんッ!」ギューッ
男「冗談だ、冗談。つーかなんで歓迎ムードなんだ母親。あと、プレイの内容が酷すぎます」
母「いや、義母モノのエロゲってやったことないから、適当な想像で言ってみたもので。で、どう? 合ってる?」
男「知りません。というか、そういうのするんですね……」
母「部下が優秀すぎて、基本的に暇なの!」
男「どんな役職に就いてるか知りませんが、そのうち更迭させられそうですね」
母「戦々恐々の日々ね!」キラキラ
男「なんで嬉しそうなんですか。……で、いつまでしがみついてるんだ」
少女「え、えへへぇ……バレちゃいました。で、でも、もうちょっとだけ、いいですか? それとも、くっつかれたら嫌ですか?」
男「ああ、嫌だね」
少女「……わ、分かりました、離れます」(半泣き)
男「だから、冗談だっての! すぐ泣きそうになるなッ!」ナデナデ
少女「ぐしゅぐしゅ……おにーさんのいじわるっぷりは凄まじいです。鬼だっておにーさんのいじわるにかかれば泣いちゃいます。泣いた赤鬼です。ぐしゅ」
男「いや、その名作絵本は俺とは関係ないと思うのだけど」ナデナデ
少女「そのうち泣いた少女という絵本が出版されます。買ってください。ぐしゅ」
男「買わねーよ」ナデナデ
少女「鬼のいじわるおにーさんです」スリスリ
男「なんか俺が絵本の主役みたいになってるな」
少女「絵本カップルですね。素敵です」
男「どうかと思うが。……で、そっちはそっちで何やってんですか?」
母「え? ああ、さっきのアンタらの会話でちょっと思いついてね。ケータイで部下に指示出してたトコ」
男「……まさかとは思うが、マジで出版しようとか思ってませんよね?」
母「大丈夫! 原作者としてマージンもこのくらいあげるから!」
男「断言していいが、ぜってー売れねーからやめといた方がいいです」
母「それはどうかしらね?」
少女「おにーさん、なでなでが止まってます。断固抗議します」
男「ああはいはい」ナデナデ
少女「はぅぅ」
少女「はふ……。少しだけ満足しました。ので、お話を続けてあげます。でも、あとでもっかいなでてください。抱っこもしてください」
男「分かった、分かったから」
少女「えへへ。元気いっぱいです! んと、おにーさんが私に大丈夫か、と問いかけたところで話はすとっぴんぐしてます」
母「誰のせいよ!」
男「主にアンタのせいだな」
母「特技はセクハラと話の腰を折る、です!」
男「はいはい」
少女「おにーさんに声をかけられた私は、怖くてうつむいてじっとするしかできませんでした。足を怪我しているので、走って逃げることもできません。このままさらわれてしまうかも、という疑念が脳裏によぎります」
母「こんな可愛い娘をさらおうだなんて……この鬼! 悪魔! むっつり! ロリコン!」
男「言いがかりだ」
少女「その時、おにーさんが私の手をとり、どこかへ連れて行こうとしました」
母「やっぱり! 薄い本の展開ね! 待ってました!」
男「待つな。お前の娘だろうが」
少女「嫌でしたが、私の力では抵抗することもできず、ふらふらとついていくしかできませんでした……」
母「ヒャッハー! D・V・D! あそーれD・V・D!」
男「見ろ少女、あれがお前の母親だ」
少女「でぃーぶいでぃー♪ でぃーぶいでぃー♪」
男「ノリノリとは」
少女「……ところでおにーさん、なんで母様はでぃーぶいでぃーって言ってるんですか?」
男「分からないで言ってたのか?」
少女「なんだか楽しそうでしたので。……ダメだったですか?」
男「いや、むしろ安心した」ナデナデ
少女「よく分かりませんが、なでなでしてもらって嬉しいです!」ニコニコ
母「説明しよう! あのね娘、DVDってのは」
男「説明するな」ズビシ
母「あいたっ。ちぇー」
少女「うふふ。おにーさんにつれて行かれた先に、大きなショッピングモールがありました。そこでおにーさんは、私にそこで待ってろ、とベンチを指さしました」
男「あー……」(なんとなく思い出してきた様子)
少女「仕方なく、私はベンチに腰掛けました。膝はズキンズキン痛みます。周りは知らない人でいっぱい。痛くて怖くて、私はまたうつむいていました」
少女「喧騒から逃れるようにうつむいたまましばらくじっとしていると、声をかけられました」
男「よし。思い出した。だから話はもう終わりに」
母「面白そうだからぜひ続きを、娘!」
少女「了解です、母様」
男「あああああ」
少女「顔を上げると、おにーさんがそこにいました。そして、『ちょっと痛いだろうけど我慢してくれ』と言いながら、私の膝を濡れたハンカチで軽く払いました」
母「ほう、ほう!」
少女「ハンカチの冷たさと怪我の痛みに、私は身を固くしてしまいます。その様子を見たおにーさんは、『痛いか? 痛いよな。ごめんな、もうちょっとだから我慢してくれ』と言いながら、ぽんぽんと私の膝を優しくハンカチで拭いてくれました」
母「ひゅーひゅー! 男さん、おっとこまえー!」
男「ふふふ。そうだろうそうだろう。じゃあもういい加減話は終わりに」
少女「そうして膝の汚れを落とすと、次におにーさんは薬局で買ったらしき真新しい絆創膏を私の膝にぺたりと貼りました。そして、『……えっと、どうする? 親御さん呼ぶか?』と、恐る恐る、だけど優しく尋ねてくださったのです」
母「ムッハー!!! 不器用萌え!」
男「きめぇ。俺きめぇ」
少女「私が首を横に振ると、『そ、そっか。……じゃ、じゃあその、もう大丈夫だよな? そ、それじゃ』と言い残し、おにーさんは颯爽と去って行きました」
母「COOL! COOLよ、男さん!」
男「颯爽というかそそくさというか、その、本当勘弁してください」
少女「その時のおにーさんは、私がお金持ちの子だということなんて知りません。なのに、おにーさんは助けてくれました。しかも、何の見返りも求めてません。自分の名前すら名乗っていないのです」
母「クールにも程があるわね! 逆に怪しいわ!」
少女「学校でもどこでも、私はこの家の子ということで、誰からもチヤホヤされていました。……もっとも、それは私という個人ではなく、この家の子、という肩書きを見ていたのでしょう」
母「うんうん。思春期特有のはしかのようなものね! そんなところも可愛いわ、娘!」
少女「そんな肩書きではなく、私そのものを見て、しかも手厚く看護してくれ、あまつさえ何の見返りも求めない。……そりゃ一発で好きになりますよ!」
男「え、なんで怒ってるの?」
少女「だってこちとらそういう経験ぜろですから! なのにあんな優しくされたら、そりゃコロっといきますよ! 悪いですか!? う、う!?」
男「いや、その、普通女の子が困ってたら助けるだろ? そりゃ最近は通報される恐れもあるが、でも……なあ?」
少女「そ、そーゆーわけで、母様に頼んでおにーさんを探してもらい、現在おにーさんは家庭教師という名目でここに拉致されたわけなんです。説明終わりです。終わったのでなでてください。抱っこもお願いします」
男「経緯は理解したので了解」ナデナデギュー
少女「ふわあ。夢心地です」
母「そして拉致から二週間が過ぎたからこんなに仲がいいのね!」
少女「説明おつー!」
男「……いや、まあいいや。そうなんです」
少女「じゃあ、今から拉致当日の話を脳内プレイバックでお届けしますか? それとも、も一度なでなでしますか?」
男「あー、じゃあ、プレイバックで」
少女「なでなでですね!」
男「いや、プレイバックの方で」
少女「な、なでなでですね!」
男「いや、だから」
少女「な、なでなでですよね、おにーさん?」(涙目)
男「ああもう、ああもう」ナデナデ
少女「押しに弱いおにーさん、素敵です♪」
少女「なでられてご満悦です。はふー」
男「そいつぁよかった」
母「私もご満悦になりたいなー?」
男「夫にしてもらえ」
母「未亡人なのー! してもらいたくてもいないのー!」ジタバタ
男「はいはい」ナデナデ
母「うひはー!」
少女「母様がきもいです」
男「しっ! みんな知ってるけど、黙っておくのが大人だよ」
少女「分かりました。心の中だけで思っておきます」
母「子の気遣いが、なんだか悲しいわ……」
少女「さて。それでは話は2週間前に遡ります。皆さん、準備はよろしいか? よろしいですね。では、ごー」
~2週間前~
男「さて。いきなり変な連中に拉致されたわけなんだが……なんだこの豪邸は」
男「(目の前に広がるは、俺の家が丸ごとすっぽり入ってしまいそうなほど大きなリビングだった。壁には見たことのある絵画が飾られており、さらに暖炉や西洋甲冑まである。床はふかふかの絨毯が敷き詰められており、俺がいま座っているソファは全身を優しく優しく包み込んでいる。そして極めつけは天井からぶら下がる金持ちの象徴、シャンデリアだ)」
男「(そこまでされたら嫌味に感じるのだろうが、どういうわけかその全てが見事なまでに調和されており、圧倒されるものの嫌悪感は感じない。ただの成金ではないってことなのだろうか)」
男「(などと感心していると、ドアの隙間から誰か覗いてることに気づいた。あ、こっち来た)」
少女「……え、えっと。あの」
男「あー。ええと、これはどういうことなのか説明してもらいたいのだけど」
少女「……う、うあ」ジワーッ
男「涙ッ!? ええなんで何も酷いことなんて言ってないのにいやしかし泣いている以上言ったのだろうごめんなさい!」
少女「…………」プルプル
男「否定!? 許してくれないの!? ああこんな金持ちに恨みを買われる覚えはないのになあ。今日で俺の人生も終わりか。つまらない人生だったなあ」
少女「……!? !!」ブンブン
男「そこまで激しく首を横に振らなくても、分かったって。ただ、できることなら、あまり痛くない方法でお願いしたい」
少女「ち、違う、違います……。あ、あの、私のこと、覚えてますか?」
男「へ? ……いや、ごめん。覚えてない」
少女「ふぇ……」ジワーッ
男「ああいやごめんよく思い出しますから泣かないで!」
少女「は、はい。ぐすぐす。泣きません。我慢します」
男「(こんな子、知り合いにいたかなあ……? というか、そもそも異性に知り合いなんていないような。じゃあ、一体どこで……?)」
少女「(おにーさんだ。あの時助けてくれたおにーさんが、いま、目の前に……!)」
男「(う。なんか知らんが見てる。めっちゃこっち見てる)」
少女「(……な、なんか、ドキドキしてきました。ど、どうしよう!?)」
男「(そして突然顔が赤くなってきた。なに? 興奮? 今から俺を痛めつけることを想像しての興奮か? この娘……まだ若いのに、レベルが高い!)」
男「……って、アレ? なんか、見覚えが……」
少女「!!」
男「……いや、うーん」
少女「ひ、ひんと、ひんとです。ひんとでぴんとです。……えいっ」
男「(突然その場に倒れた。何?)」
少女「う、うーんうーん。い、痛いです」
男「(そして、膝を抱えての台詞。……膝?)」
男「……ああっ!」
少女「お、思い出してくれましたか!」
男「おまえ、あの時のパンツ覗き魔!」
少女「……私は転校生ではないです。ついでに言うと、性別も間違ってます。本来なら主人公と転校生と通学路でぶつかり、その際にパンツを見られ、そしてその転校生が教卓の前で主人公に言う台詞です」
男「100点の解法ありがとう。じゃなくて、この前こけた子か。あれから膝はどうだ?」
少女「は、はい、おかげさまで、ばっちしです。犯人も闇に葬られましたし、言うことなしです」
男「(闇……?) そ、そうか、それならよかったんだ。女の子だもんな、傷が残ったりしたら可哀想だもんな」
少女「お、おんなのこ……///」
男「え、……男なのか? ということは、最近流行の男の娘? ……いや、いける!」
少女「違います。いかないでください」
男「はい」
少女「そ、その節は、お世話になりました。心より深くお礼申し上げます」フカブカオジギ
男「あ、こりゃどうも」フカブカオジギ
少女「そ、それでですね、お、おにーさん」
男「ひゃい!」
少女「ふぇっ!?」
男「あ、や、失礼。こんな可愛い子にお兄さんなんて呼ばれて気が動転した。気に障ったのなら謝る」
少女「か、かわいい……///」
男「(それにしても、何が目的で俺なんかを拉致したのだろう。お礼を言うため? わざわざ? ……なわけないよなあ。……ま、まさか)」
男「(イチャモンをつけて尻の毛までむしりとるつもりか? そこまでやってのシャンデリアなのか? 俺はこの先生きのこるのか!?)」
少女「は、はぅぅ……///」
男「(って、顔を赤くしてうつむいてはぅはぅ言ってるような子がそんなことするわきゃねーか)」
男「あ、いや失礼。話を続けてくれ」
少女「あ、は、はい。……すぅー、はぁー。……え、えっとですね、……えっと、えっと」
男「?」
少女「……あ、あぅぅ」ジワーッ
男「また涙ッ!? 一体全体どういうことか分からない俺だがとりあえず泣き止んでくださいっ!」ナデナデ
少女「は、はぐ、ぐす。……は、はい、泣き止みました。……なでてくださってありがとうございます」
男「え? ……あ、や! そ、その、突然だったので。ごめんな、触ったりして」
少女「い、いいえ、いいえ! ……お、おにーさんだったら、別に、その……」
男「いやいや。どこの誰とも知れない奴を特別扱いするのはよくないぞ」
少女「…………」
男「?」
少女「……うん。おにーさん、私の家庭教師になってくださいませんか?」
男「はい?」
~現在~
少女「とまあ、そんなこんなでおにーさんは私の家庭教師となり、色々あってらぶらぶなのです」
母「手を出したのね! 中学生相手に……いやらしいっ!」
男「待てそこの親子。出してねえぞ、俺は」
少女「なでなでされて、抱っこされました」
母「出してるじゃない! いやらしい……っ!」
男「え、それも手出すに含まれるの? じゃあ、はい、出しました。ごめんなさい」
少女「これはもう、結婚するしかないです! 玉の輿ですね、おにーさん?」
男「展開が早すぎる」
母「初夜は親子丼ねッ!?」
男「頼むから待ってくれ」
少女「それが嫌なら抱っこしてください。なでなでもです」
男「はぁ、まあ抱っこもなでなでも好きだからいいですけど」ナデナデギュー
少女「はぅぅ」
母「手を出した! 母は見たわよ! 家政婦も見たわよ! あとミタも見たわよ! あと何が見る!?」
男「知らん。見なくていいから。あとこの屋敷にいるのは家政婦じゃなくてメイドだ」
メイド「呼んだっスか?」ヒョコ
男「呼んでません」
メイド「性処理スか?」
男「呼んでねぇっつってるだろ」
少女「わ、私がするんですか?」ガタガタ
男「違う。震えるな」
母「じゃあ私ね!」キラキラ
男「断じて違う。目を輝かせるな」
メイド「じゃあやっぱ私の仕事っスね」
男「突然出てきて場を混ぜっ返すな」ギリギリ
メイド「ふぐわああ! あ、アイアンクローは痛いっス!」
母「私の特技を奪うとは……やるわね、メイド!」
少女「楽しそうで羨ましいです……」
メイド「だ、だけどギブだけは絶対にしないっス! 負けてなるものかっス!」
男「あ、このメイドめんどくせえ」
────
男「そんなこんなでやっと本編だ」
少女「今までが導入だったんですか? 長すぎません?」
男「どっかの誰かが特技を使いまくるせいでね」ジロリ
母「私のことねッ!」キラキラ
男「ダメだ、この大人は悪びれる、という言葉を知らないらしい」
メイド「知ってるうえでの行動だと思うっス」
母「流石はうちで雇っているメイド……思考レベルが高いわね!」
メイド「お褒めに預かり恐縮っス!」
男「なんかめんどくさいのが増えた気がする」
少女「それでおにーさん、本編って何をするんですか?」クイクイ
男「基本的には俺と少女とのイチャコラの話の予定です」
少女「い、いちゃこら……///」
母「親の目の前でメタ話にかこつけてイチャイチャと……許せないことだわ! 混ぜなさい!」
男「熟女趣味はないので、ちょっと」
メイド「褐色巨乳メイドなんかはどうっスか?」ボインッ
男「男なんでおっぱいには憧れますが、それもちょっと」
少女「こ、黒髪ぱっつんの中学生なんかは、ど、どうですか……?」クイクイ
男「あ、大好物です」ナデナデ
少女「あ、あぅぅ……///」(自分で言って照れちゃった様子)
母・メイド「「ぶーぶー。ひいきひいきー」」
男「そりゃあ、ねえ?」ナデナデ
少女「じ、次期当主として、ひいきされるのには慣れないといけないのです。あと、抱っこもしてほしいです」
男「はい」ギュー
少女「天にも昇るとはこのことです! 昇天しそうです!」
男「え、幽霊なの?」
少女「お化けじゃないです。お化けは怖いです」
男「そうだな。お化けは怖いな」ナデナデ
少女「です」
────
男「そんなある日のこと」
男「今日は朝から天気がよかったので花見でもしたいな、となんとはなしに朝食の場で言ってみた」
男「すると昼には庭に花見の準備ができていた。出来たメイドもいたものだ」
男「庭……にわにわにわにわとりがにわ」
少女「お、おにーさんが、おにーさんが!」ガタガタ
母「下がって、娘! 男さんはもう私たちの知ってる男さんじゃないの!」
メイド「ううう……せめて、せめて私の手で成仏させてあげるっス!」チャキ
男「早口言葉を言っただけだ。だからその手の無骨に黒光りする日本では所持が許されていない銃器を下ろしてください」
母「騙されちゃいけないわ! そうやって油断させるのが奴らの常套手段よ!」
男「誰だ、奴らって」
少女「それじゃおにーさん、突発的花見大会の始まりです」
男「ああ、そだな。庭に桜があるってのはいいな」ナデナデ
少女「です」
母「あれ? もっとやんないの? 遊んでよ娘ー」
メイド「もう聞いてないようっスよ」
少女「じゃじゃーん」
男「おお、お重」
少女「私が作りました。……と言いたいところですが、メイドさんにほとんど作ってもらいました。私はちょこっとしか手伝ってません。……不器用なこの手が憎いです」
男「手伝おうとする意思が尊いの。まだちっこいんだし、頑張ればグングン上達するさ」ナデナデ
少女「……♪」スリスリ
母「親の目の前で口説いてるわね」
メイド「見上げた根性っス!」
男「別に口説いてはいません」
少女「困ります。口説いてください」
男「えー……」
少女「今ならどんな落とし文句でも落ちる保証付きです」
男「んー……じゃあ、月が綺麗ですね?」
少女「みーとぅー」ギュー
男「落ちた」
少女「というか、既に落ちていますので、何を言われようが変化ないです」
男「なるほど」ナデナデ
少女「んふー」
母「はいはい、イチャイチャするのもいいけど、そろそろご飯にするわよ。いい加減お腹空いて死にそうだわ」
メイド「準備は既に整ってるっス! 有能なメイドと褒めてもいいっスよ?」
男「このメイドさんは有能でおっぱいが大きくて素敵だなあ」
メイド「そ、そんな褒めても何も出ないっスよ……もー! 男さんは! もー!」バンバン
男「痛い痛い。背中を叩くな」
少女「…………」ムニムニ
男「いや、小さい方が好きですから。難しい顔して自分の胸触らなくても大丈夫かと」
少女「じゃあ全く問題無いです」
メイド「私とのことは遊びだったっスね……しくしく」
男「始まってもいません」
母「したの!? シたのね!? この益荒男!」
男「してねぇ」
少女「おにーさん、おにーさん。私の隣に座ってください」ポフポフ
男「ん、了解」
母「ちっ、びくともしないわね。つまんないの」
メイド「はいはい、それじゃご飯にするっスよ。一番上の段がおかずの層っス。煮物や玉子焼き、天ぷらなどがひしめいてるっス!」
メイド「そして二段目がご飯の層っス。ちらし寿司とおにぎりが半分ずつあるっスから、好きな方を食べて欲しいっス!」
メイド「とどめの三段目がデザートの層っス! まんじゅうをいっぱい作ったので、食後にゆっくり食べて欲しいっス!」
男「いや、本当に有能なメイドさんだ。よくもまあ短時間でこれだけ作ったものだ。すごいすごい」
メイド「そ、そんな、私の仕事っスから……そ、そんな真面目に褒める必要ないっスよぉ///」
母「今日もフラグ建設お疲れ様ね!」
男「物理的に説得してえ」
少女「(……今日からお料理も勉強しよう)」
メイド「さあさあ、遠慮せずに食べるっス! 奥様も、ささ」
母「笹!? 誰がパンダだってのよ!」
メイド「ひぃ!? だ、誰もそんなこと言ってないっス!」
男「まだ飲んでもいないのに絡んでるのか。メイドさんも災難だなあ」
メイド「見てないで助けるっスよぉ!」
男「そうしたいのは山々なんだが、少女が俺の膝の上に乗っており、動けないんだ」
少女「気がつくと移動してました。助けられず、申し訳ない気持ちでいっぱいです」チョコン
メイド「なら一刻も早く下りるっスよぉ!」
少女「おにーさんに後ろから抱っこされてると、幸せで幸せで動けなくなっちゃうんです」
男「なら仕方ないな」
メイド「仕方なくないっス! へるぷみーっス!」
母「特に竹やぶがいいわよ!」
少女「おにーさん、おにーさん。まずはおにぎりなんてどうですか?」
男「お、いいな。いただくよ」
少女「んしょ……あの、これ、私が握ったおにぎりです。……食べていただけますか?」
男「もちろん! 怪獣モチロンさパパ!」
少女「はい?」
男「じゃあ、いただきます」
少女「え、あ、はい。……え?」
男「はぐはぐ」
少女「どきどき」
男「はぐはぐ……ごくん。ん、おいしい」
少女「ほっ……。どきどきしました。おいしいと聞いて安心しました。……それが嘘でなければ、ですけど」
男「というか、おにぎりをまずくするなんて逆に難しいだろ。塩つけて握るだけだろ?」
少女「これだから素人さんは困りものです。その絶妙な塩加減が、そしてなにより上手に握ることが、どれだけ難しいか……」
男「あ、じゃあこれは練習のたまものか」
少女「……ま、まあ、私は天才さんなので、練習など必要ないのですが」
メイド「うっぷ。お嬢様の失敗作を食べ過ぎて、思わずげっぷが出ちゃったっス。失礼したっス」
少女「……母様、ごー」
母「おっす! オラ、母! いっちょ(性的な絡みを)やってみっか!」
メイド「ひぃぃぃぃ!!?」
男「酷くない?」
少女「当然の罰です」
男「でも、まあ、頑張ったんだな。偉い偉い」ナデナデ
少女「…………///」
母「……いけない、冗談なのになんか燃えてきた。百合もアリかも!」
メイド「ナシっス、全力でナシっス!」
男「んじゃ、次は少女が食べる番だな」
少女「私はいいです。おにーさんが食べてください」
男「俺はさっき食ったからいーの。少女も食え食え」
少女「……じゃあ、その。……食べさせてください」
男「えっ」
少女「おにーさんに食べさせてもらうと、おにーさん菌がついておいしさ栄養度共に1.5倍にあっぷします」
男「菌とか言うとマイナスのイメージがありませんか? というかそもそもそんな菌存在しないような」
少女「とにかく、おにーさんに手ずから食べさせてもらいたいんです。仲良しな感じで食べたいのです」
男「……な、なるほど、分かった。んじゃ、何がいい?」
少女「なんでもいいです。おにーさんに食べさせてもらう、ただその一点のみが重要なのです」
男「ええい、恥ずかしいことをしれっと。じゃあこの玉子焼きでいいな?」
少女「はい、問題ありません。じゃあ一度それを咥えてください」
男「嫌な予感しかしないので断ります」
少女「大丈夫、よいことしか起こりません。それを私が食べ、そのついでにおにーさんにちゅーするだけです」
男「俺の予感が的中だ」
少女「大丈夫、ちゃんと舌も入れます。がんばります」
男「頑張らなくていい」
メイド「男さんはヘタレっスね」
母「むしろちんこの上に玉子焼きを乗せるくらいのことはしてほしいわね」グビグビ
男「そこの酔っぱらい、娘の教育上よくないので存在しないでください」
母「あそこの婿養子に死ねって言われたあ! うえええん! メイドちゃん、慰めて!」
メイド「ああはいはい、泣かない泣かないっス」ナデナデ
男「まだ結婚してねえ」
少女「私が今13歳だから……あと3年の我慢ですよ、おにーさん」
男「えっ」
少女「それまでは、私の瑞々しい肢体を堪能していてください。婚約者の特権です」
男「え、あれ、婚約したっけ?」
少女「この家におにーさんを呼んだ時点でしてます。私内部で」
男「それは一般的にしてない、と言います」ナデナデ
少女「むう」
男「そんなことはないと思うのだけど」
少女「いいえいいえいいえ! そんなことなはないことはないのです!」
男「ややこしい」ナデナデ
少女「はふぅ」
少女「つまりですね、おにーさん。おにーさんになでられると、天にも昇る気持ち、ということなのです。あ、この天にも昇るとは、比喩表現なのでそこを勘違いされると困ります」
男「そんな注釈はいりません」
少女「じゃあどんどん勘違いしたらいいじゃないですか!」
男「怒りのツボが分からん」
少女「女の子は怒りっぽいんです。カルシウムが足りないんです。骨を食べたいです、わんわん」
男「犬なの?」
少女「可愛い女の子です」
男「なるほど」ナデナデ
少女「ふにゃー」
男「猫だったか」
少女「可愛いので間違うのも仕方ないかもしれませんが、人です」
男「怪しいものだ」ナデナデ
少女「ふにゃー」
少女「それよりおにーさん、そろそろ私にちゅーをしてはいかがですか?」
男「意味が分かりません」
少女「ですから、ちゅっちゅぺろぺろしてはどうですか、と言ってるんです。どうでしょうか?」
男「繰り返すが、意味が分かりません。あと、何やらパワーアップしているような」
少女「女の子は無敵なんです!」
男「困ったなあ」
少女「大丈夫ですよ、おにーさん。もちろん初めてですよ!」
男「そんな心配はしてねえ」
少女「私が誰にでもキスするようなはしたない女性と御思いですか! 不愉快です!」
男「んなことは思ってねえ」
少女「謝罪の意も込めてちゅーしてください、おにーさん!」
男「これはひどい策略だ」
少女「ちゅー! おにーさん、ちゅー!」
男「ねずみですか?」
少女「どこをどう見たらねずみに見えるんですか! 人ですよ! おにーさんを大好きな人です!」
男「それよりお嬢さん、そろそろ自分の部屋に戻ってはいかがでしょうか」
少女「おにーさんがちゅーしてくれたら帰ります」
男「はぁ……分かったよ。はい、ちゅー」
少女「はやややや!? ……って、ほっぺじゃないですか! 口にです! もう、ぶべーってくらいどぎついのをご所望です!」
男「中学生にそんなのしたら捕まりませんか?」
少女「親公認ですから大丈夫です!」
母「その通りよ、娘」コッソリ
男「ドアの隙間から……いつから見てた」
母「最初から! えろいぞ息子!」(満面の笑みでサムズアップ)
男「俺はアンタの息子じゃない。お前の母親だろ、なんとか言ってくれ少女」
少女「見てて母様、見事におにーさんを篭絡してみてます!」
男「この家にまともな奴はいないのか」
少女「じゃあおにーさん、改めてちゅーしてください。それとも、親子丼をご所望ですか?」
母「初めてでそれを推薦するとは……ナイスガッツ、娘!」(サムズアップ)
少女「貴方の娘だもの」(サムズアップ)
男「あの。一応、確認したいのですが」
少女「はい! なんでも聞いていいですよ、おにーさん? ただ、一回質問に答えるごとになでなでしてもらいます!」
男「……まあ、それくらいならいいか。ええと、俺は家庭教師、なんだよね?」
少女「という体で、さらいました!」
男「だよね。なんか街歩いてたら黒い服着た人がいっぱい来て俺をワゴンに連れ込んだもの、明らかに犯罪に巻き込まれたと思ったよ」
母「私の手引き。手引き」クイクイ
男「はいはい」ナデナデ
母「うへへぇ」
少女「あー! 母様ずるい! 私も! おにーさん、私もなでなで!」
男「はいはい」ナデナデ
少女「はふぅ」
男「で、だ。なんで俺を誘拐までして家庭教師にするの? 言っておくが、俺の通ってる学校は正直自慢できるような代物じゃないぞ? 家庭教師を頼むならちゃんとしたところに頼んだほうがいいと思うのだけど」
少女「あれは、今から一ヶ月前のことでした……」
男「あ、なんか語り入った」
少女「色々あって、いま、おにーさんが私を抱っこしています。最高に幸せです」スリスリ
男「省略が過ぎる。もうちょっと具体的にお願いします」
少女「おにーさんのたくましい腕が、私を包み込んでいます。大きな手のひらが私の背中をさするたび、私の心は」
男「いや、その具体性はいらない」
少女「おにーさんのいけず……」
男「おたくの娘さんはちょっと頭悪いですね」
母「学力はすごいザマスよ?」
男「母親も頭悪かったか」
男「じゃなくて、一ヶ月前に何があったか聞きたいのだけど」
少女「そこまで言うなら仕方ありません。特別に教えてあげます。だからなでなでしてください」
男「……まあいいか」ナデナデ
少女「はにゃー。次、ちゅー」
男「いや、いいです」
少女「おにーさんのいけず……。まあ、なでなでしてもらったし、いいです。今回は我慢します。今回だけです。次はないですよ、おにーさん?」
男「帰ろうかな」
少女「分かりました、素早く説明しますっ! ええとですね、一ヶ月前、私は一人で学校から帰っていました。……偉いですか?」
男「いや、普通だろう」
少女「えええっ!? お供も一人もナシで、しかも、徒歩ですよ!? こんな偉業を成したのに、褒めないんですか!? おにーさんの鬼!」
母「そうよ! 男さんの鬼! 悪魔! 三段腹!」
男「別に太ってねえ。で、続きは?」
少女「私のトーク力におにーさんはメロメロですよ、母様!」
母「やるわね、娘! このまま喋りの力をつけて、将来はひな壇で頑張るのよ!」
少女「折角の激励ですが、私は芸人になるつもりはないです……」ションボリ
母「私も娘が芸人なんかになられたら悲しいわ……」ションボリ
男「帰りてえ」
少女「安心して、母様! 私、将来は、おにーさんのお嫁さんの予定ですから!」ドヤッ
母「まあ! じゃあ私は二号さんね!」ドヤッ
男「こっち見んな」
少女「……母様、殺し文句なのに、おにーさんはちっとも嬉しそうじゃないです」
母「解せぬ」
男「なるほど、母子揃って頭悪いのか。可哀想だな」
少女「こほん。冗談はここまでです」
母「ええっ!?」
男「お前の肉親が真顔でええって言ってるけど、いいのか」
少女「……一ヶ月前、私は一人で学校から帰っていました」
男「無視か。いい選択だ」
母「くすん」
少女「いつもは車で優雅極まりなく帰っていたのですが、たまには庶民の気持ちを味わうのもいいと思い、徒歩で帰宅してみました」
母「帝王学ね! レッツラーン庶民!」
男「頭悪くても金持ちになれるんだな」
少女「……しかし、ここでとあるトラブルが。あ。……とある黒髪少女の揉め事(トラブル)が」チラチラ
男「言い直すな。こっち見るな。期待するな。揉め事と書いてトラブルと読ませるな」
母「れーるがん!」キラキラ
男「あの笑顔が腹立つ」
少女「暴走自転車が歩道を暴走しており、私はそれに巻き込まれて思わずこけてしまいました」
母「※犯人はあとで黒服が秘密裏に処分しておきました」
男「あれ? この家ヤバいの? ヤのつく職業?」
少女「そこへ颯爽と現れたのが……誰あろう、おにーさんです!」
母「ひゅーひゅー! かっこいいぞ、男さん!」パァン
男「囃し立てるな。クラッカーを鳴らすな。至近距離で俺に向けるな」
少女「紙くずまみれでも素敵です、おにーさん!」
男「いや、嬉しくない」
母「いいえ! よく見なさい、娘! こんな紙くずまみれの男なんて、どこがかっこいいの!」
少女「はっ……! 確かに。みすぼらしいばかりで、ちっともかっこよくないです! 恋心で眼が曇ってたわ。ありがとう、母様!」
母「分かってくれて嬉しいわ、娘!」
男「何も悪いことしてないのに、どうしてここまで悪し様に言われなければならないのか」
少女「大丈夫! 紙くずはみすぼらしいですけど、おにーさんは素敵です!」
母「ちぃっ! 騙しきれなかったか! あわよくば娘の恋心をなくし男さんをもらおうと思ったのに!」
男「早く帰りたい」
少女「母様は後で詰問するとして、私はこけて膝を擦りむいてしまいました」
母「ドジっ子萌え、ね! 萌えるぞ我が子!」スリスリ
少女「ひゃああ」
男「…………」
少女「……母様。おにーさん、ちっとも喜んでないみたいです」
母「百合属性はないのかしら。……否! もっとドギツイ絡みをすれば、開花するかも! 覚悟はいい、娘?」
男「おいそこ、客の前で親子で絡むな」
少女「いや、私はおにーさんが好きなんでそういうのはちょっと」
母「普通に断られた!? 冗談なのになんだかちょっとヘコむわね……」
少女「閑話休題、そこに現れたおにーさん! おにーさんは私に優しく語りかけます」
母「なんつった!? なんつった!?」
男「母親の合いの手がウザすぎる」
少女「『あー……大丈夫か?』……って。きゃーきゃーきゃー!」ジタバタ
母「きゃーきゃーきゃー! 何がきゃーか分からないけどきゃーきゃー!」ジタバタ
男「そこの二人、暴れるのは百歩譲っていいとしても、せめて俺から離れてくれ。手や足が思い切り顔に当たって痛いのだが」
少女「おにーさん、クール……!」
母「ラジカセで喋るくらいクールね、男さん……!」
男「少女はともかく、母の方は明らかに馬鹿にしてるだろ」
母「?」
男「女じゃなかったら殴ってる」
少女「折角おにーさんが声をかけてくれたのに、異性に慣れていない私は、怖くてうつむいてしまいました」
母「それでなくても怖いのに、基本的に無表情だからね、男さん!」ツンツン
男「言うな。気にしてるんだ。頬を押すな」
少女「母様ずるいです! 私もふにふにしたいです! と、というわけで、えいえいっ」ツンツン
男「……はぁ。満足いただけましたでしょうか、お嬢様」
母「まあまあね」
男「お前じゃねえ」
母「なんと」
少女「…………」ソーッ
男「はいそこ、なに顔を近づけてるか」
少女「はうあっ!? ち、違うんですよ!? ほっぺ、ほっぺですから! ほっぺにちゅーしようとしただけですから!」
母「つまり母たる私に男さんの口を残してくれたのね! 娘の心遣いに感謝し、いざ覚悟、男さん!」
男「いや違うだろ」
少女「いくら母様でも、おにーさんだけは譲れません!」
母「まあ! あんなに気弱で私に歯向かうなんて考えられなかった娘が……子供の成長って嬉しいものね、男さん?」
男「俺も扶養されてる身なんで、分かりません」
少女「今日からはおにーさんは私が養ってあげますねっ♪」
母「超☆ヒモ宣言、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
男「つっこみが追いつかねえ」
少女「はや、またしても脱線してしまいました。どこまで話しましたっけ?」
母「男さんが娘を穴奴隷にしたところまでね」
少女「ああそこまででしたか。……あっ、穴!?」
男「そこ、しれっと娘に嘘をつくな。あと、つくとしても、もうちょっとマシな嘘にしろ。中学生にする嘘じゃねえ」
少女「……? おにーさん、あなどれい、って何ですか?」クイクイ
男「ほらみろ、どういうわけか俺に被害が来た。助けてください」
母「あのね、娘。穴奴隷っていうのは娘の穴という穴に」
男「待て。短い付き合いだが、全部言いそうな気がしてならない」
母「見事な慧眼ね、男さん。その通りよッ!」(サムズアップ)
男「なるほど、やっぱコイツ馬鹿だ。ええとな、少女。それはまだお前が知らなくていいことだから、気にしないでくれるとありがたい」
少女「はぁ……。よく分かりませんが、おにーさんがそう言うなら気にしませんっ!」
男「よし。偉いぞ」ナデナデ
少女「よく分かりませんが、なでなでしてもらって大喜びです! うにゃにゃ!」
母「うにゃにゃ(笑)」
少女「お、おにーさん、母様がいじめます……」(半泣き)
男「よしよし、泣かない泣かない。そこ、娘をいじめるな」ナデナデ
母「いや、あんまりにも可愛くて。男さんも分かるっしょ?」
男「……まあ、否定はしませんが」
少女「お、おにーさんがいじめたいと言うなら、我慢します。泣きません」(半泣き)
男「もう半分泣いてるじゃねえか! あーもう、嘘だよ。いじめないよ」ナデナデ
少女「きゅー……」
母「きゅー(笑)」
少女「お、おにーさぁぁぁぁん……」(半泣き)
男「ああもう、ああもう」
男「それで、話の続きは?」ナデナデ
少女「おにーさんになでてもらい、折れた気持ちを立て直しました。……偉いですか? 好きになりましたか?」
男「前者は肯定、後者は否定」
少女「母様、おにーさんが私を蛇蝎の如く忌み嫌います」(半泣き)
母「男さんは私の熟れた肉体が目当てだからしょうがないわよ」
男「違うッ! つーか色々間違ってる! 順番に正していこう。まず、俺は別に少女を嫌ってなどいない。次に、俺は母さんを狙ってなどいない。最後に、母さんは熟れてない。なんだそのロリ体型。本当に人の親か」
母「ほほほ。よく姉と間違われますわ」
少女「おにーさんは、おっぱいが大きい方がいいですか?」
男「いいえッ! ……いや、今はそんな話などどうでもよくて」
母「とんでもない反応速度だったわね」ヒソヒソ
少女「おにーさんはおっぱい小さいのが好きなんですね。……よかったです」ヒソヒソ
男「すげぇ、一向に話が進まねえ」
母「聞こえないフリしてるわね……思ったよりタフな精神してるわね」
少女「そんなところも素敵です……」キラキラ
男「なんでもいいのか」フニフニ
少女「ひゃああ。お、おにーさん、ほっぺふにふにしないでください」
男「む。母さん、この娘さん可愛いですね」
母「こっちも年甲斐もなく可愛いと噂よ? やってみ?」
男「…………」(不承不承つんつんと)
母「ヒャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
男「怖え! それも尋常じゃなく怖え!」
少女「お、おにーさん、母様に悪魔が、悪魔が!」ガタガタ
男「ほらみろ、あまりの恐怖に少女が震えてるじゃねえか!」
母「嗜虐心をそそるわね! 性別と血の繋がりがなければどうかしてるわ!」
男「本当にどうかしてる。こんなのが親で可哀想だな」ナデナデ
少女「はぅぅ。で、でも、おにーさんになでてもらえるので、プラスマイナスぜろです」ガタガタ
男「まだ震えてるじゃねえか。よしよし」ナデナデ
少女「はぅ。はぅぅ。……はふぅ。落ち着きました。ありがとーございます、おにーさん」ペコリン
母「私のナイスアシストを褒めてはどう?」
男「はい偉い偉い」ナデナデ
母「片手間ね!」キラキラ
男「喜ぶな」
少女「おにーさんのなでなでにより落ち着きを取り戻した私は、話を続けます」
男「やっと本筋に戻った」
母「混ぜっ返す? 得意よ?」
男「頼むから口を挟むな」
少女「こほん。……んと、どこまで話しましたっけ?」(小首をこてりと)
男「うん、可愛い」ナデナデ
少女「はやや。ち、違います、違いますが……嬉しいと感じてる私が確かにいます!」
母「じーっ」キラキラ
男「いや、そっちには別に何もするつもりないですよ」
母「ちいいっ! ダメだダメだ、やはりロリコンはダメだ! というか、私だって結構ロリ体型なのに! もっと私をちやほやしなさいよ!」
男「人を勝手にロリコン呼ばわりするな」
少女「おにーさんは、ロリコンさんなのですか?」
男「い、いいえ、違います」
母「一瞬の躊躇を見逃す母ではない! この男……確実に、ロリコンね! 自室には緊縛された小学生や中学生が両手の指ほどいるに違いないわ!」
男「いねぇよ。どんな大悪党だと思われてんですか。というか、仮にロリコンだとしても、犯罪をおかす度胸なんてないですよ」
少女「そうです! おにーさんは優しい人なので、犯罪なんて絶対にしません!」
男「あ、そういや今日信号無視した」
少女「お、おにーさぁん……」(半泣き)
男「はいよしよし」ナデナデ
母「犯罪をおかすだなんて……人として恥ずかしいわ!」キラキラ
男「また嬉々として……はいはい、すいませんね」
母「いいえ、許せないわね! 警察に通報されたくなかったら、私を褒め称え、あとついでに私もなでなさい!」
男「代わりに娘をなでることで許してもらえないでしょうか」ナデナデ
少女「はぅ、はぅぅ」
母「……うん! 面白いから可!」
少女「面白い!? 私は見世物じゃありません、母様!」
男「そうだな」フニフニ
少女「ひゃああ。ほ、ほっぺふにふにしないでください」
男「……いや、見てて楽しいから見世物かも」
少女「がーん!」
男「それで、話の続きだが」
少女「……つーん、です。いじわるなおにーさんなんて知りません。つんつーん、です」
男「少女に嫌われたショックで母親の方に走りそうだ」
母「お、私の出番か。よし、どんなプレイする? 母乳プレイ? ただ、出ないからまず孕まして頂戴な」
少女「!!? だ、だ、だ、ダメですッ! 私の、おにーさんは私のですっ! 母様にだって譲りませんッ!」ギューッ
男「冗談だ、冗談。つーかなんで歓迎ムードなんだ母親。あと、プレイの内容が酷すぎます」
母「いや、義母モノのエロゲってやったことないから、適当な想像で言ってみたもので。で、どう? 合ってる?」
男「知りません。というか、そういうのするんですね……」
母「部下が優秀すぎて、基本的に暇なの!」
男「どんな役職に就いてるか知りませんが、そのうち更迭させられそうですね」
母「戦々恐々の日々ね!」キラキラ
男「なんで嬉しそうなんですか。……で、いつまでしがみついてるんだ」
少女「え、えへへぇ……バレちゃいました。で、でも、もうちょっとだけ、いいですか? それとも、くっつかれたら嫌ですか?」
男「ああ、嫌だね」
少女「……わ、分かりました、離れます」(半泣き)
男「だから、冗談だっての! すぐ泣きそうになるなッ!」ナデナデ
少女「ぐしゅぐしゅ……おにーさんのいじわるっぷりは凄まじいです。鬼だっておにーさんのいじわるにかかれば泣いちゃいます。泣いた赤鬼です。ぐしゅ」
男「いや、その名作絵本は俺とは関係ないと思うのだけど」ナデナデ
少女「そのうち泣いた少女という絵本が出版されます。買ってください。ぐしゅ」
男「買わねーよ」ナデナデ
少女「鬼のいじわるおにーさんです」スリスリ
男「なんか俺が絵本の主役みたいになってるな」
少女「絵本カップルですね。素敵です」
男「どうかと思うが。……で、そっちはそっちで何やってんですか?」
母「え? ああ、さっきのアンタらの会話でちょっと思いついてね。ケータイで部下に指示出してたトコ」
男「……まさかとは思うが、マジで出版しようとか思ってませんよね?」
母「大丈夫! 原作者としてマージンもこのくらいあげるから!」
男「断言していいが、ぜってー売れねーからやめといた方がいいです」
母「それはどうかしらね?」
少女「おにーさん、なでなでが止まってます。断固抗議します」
男「ああはいはい」ナデナデ
少女「はぅぅ」
少女「はふ……。少しだけ満足しました。ので、お話を続けてあげます。でも、あとでもっかいなでてください。抱っこもしてください」
男「分かった、分かったから」
少女「えへへ。元気いっぱいです! んと、おにーさんが私に大丈夫か、と問いかけたところで話はすとっぴんぐしてます」
母「誰のせいよ!」
男「主にアンタのせいだな」
母「特技はセクハラと話の腰を折る、です!」
男「はいはい」
少女「おにーさんに声をかけられた私は、怖くてうつむいてじっとするしかできませんでした。足を怪我しているので、走って逃げることもできません。このままさらわれてしまうかも、という疑念が脳裏によぎります」
母「こんな可愛い娘をさらおうだなんて……この鬼! 悪魔! むっつり! ロリコン!」
男「言いがかりだ」
少女「その時、おにーさんが私の手をとり、どこかへ連れて行こうとしました」
母「やっぱり! 薄い本の展開ね! 待ってました!」
男「待つな。お前の娘だろうが」
少女「嫌でしたが、私の力では抵抗することもできず、ふらふらとついていくしかできませんでした……」
母「ヒャッハー! D・V・D! あそーれD・V・D!」
男「見ろ少女、あれがお前の母親だ」
少女「でぃーぶいでぃー♪ でぃーぶいでぃー♪」
男「ノリノリとは」
少女「……ところでおにーさん、なんで母様はでぃーぶいでぃーって言ってるんですか?」
男「分からないで言ってたのか?」
少女「なんだか楽しそうでしたので。……ダメだったですか?」
男「いや、むしろ安心した」ナデナデ
少女「よく分かりませんが、なでなでしてもらって嬉しいです!」ニコニコ
母「説明しよう! あのね娘、DVDってのは」
男「説明するな」ズビシ
母「あいたっ。ちぇー」
少女「うふふ。おにーさんにつれて行かれた先に、大きなショッピングモールがありました。そこでおにーさんは、私にそこで待ってろ、とベンチを指さしました」
男「あー……」(なんとなく思い出してきた様子)
少女「仕方なく、私はベンチに腰掛けました。膝はズキンズキン痛みます。周りは知らない人でいっぱい。痛くて怖くて、私はまたうつむいていました」
少女「喧騒から逃れるようにうつむいたまましばらくじっとしていると、声をかけられました」
男「よし。思い出した。だから話はもう終わりに」
母「面白そうだからぜひ続きを、娘!」
少女「了解です、母様」
男「あああああ」
少女「顔を上げると、おにーさんがそこにいました。そして、『ちょっと痛いだろうけど我慢してくれ』と言いながら、私の膝を濡れたハンカチで軽く払いました」
母「ほう、ほう!」
少女「ハンカチの冷たさと怪我の痛みに、私は身を固くしてしまいます。その様子を見たおにーさんは、『痛いか? 痛いよな。ごめんな、もうちょっとだから我慢してくれ』と言いながら、ぽんぽんと私の膝を優しくハンカチで拭いてくれました」
母「ひゅーひゅー! 男さん、おっとこまえー!」
男「ふふふ。そうだろうそうだろう。じゃあもういい加減話は終わりに」
少女「そうして膝の汚れを落とすと、次におにーさんは薬局で買ったらしき真新しい絆創膏を私の膝にぺたりと貼りました。そして、『……えっと、どうする? 親御さん呼ぶか?』と、恐る恐る、だけど優しく尋ねてくださったのです」
母「ムッハー!!! 不器用萌え!」
男「きめぇ。俺きめぇ」
少女「私が首を横に振ると、『そ、そっか。……じゃ、じゃあその、もう大丈夫だよな? そ、それじゃ』と言い残し、おにーさんは颯爽と去って行きました」
母「COOL! COOLよ、男さん!」
男「颯爽というかそそくさというか、その、本当勘弁してください」
少女「その時のおにーさんは、私がお金持ちの子だということなんて知りません。なのに、おにーさんは助けてくれました。しかも、何の見返りも求めてません。自分の名前すら名乗っていないのです」
母「クールにも程があるわね! 逆に怪しいわ!」
少女「学校でもどこでも、私はこの家の子ということで、誰からもチヤホヤされていました。……もっとも、それは私という個人ではなく、この家の子、という肩書きを見ていたのでしょう」
母「うんうん。思春期特有のはしかのようなものね! そんなところも可愛いわ、娘!」
少女「そんな肩書きではなく、私そのものを見て、しかも手厚く看護してくれ、あまつさえ何の見返りも求めない。……そりゃ一発で好きになりますよ!」
男「え、なんで怒ってるの?」
少女「だってこちとらそういう経験ぜろですから! なのにあんな優しくされたら、そりゃコロっといきますよ! 悪いですか!? う、う!?」
男「いや、その、普通女の子が困ってたら助けるだろ? そりゃ最近は通報される恐れもあるが、でも……なあ?」
少女「そ、そーゆーわけで、母様に頼んでおにーさんを探してもらい、現在おにーさんは家庭教師という名目でここに拉致されたわけなんです。説明終わりです。終わったのでなでてください。抱っこもお願いします」
男「経緯は理解したので了解」ナデナデギュー
少女「ふわあ。夢心地です」
母「そして拉致から二週間が過ぎたからこんなに仲がいいのね!」
少女「説明おつー!」
男「……いや、まあいいや。そうなんです」
少女「じゃあ、今から拉致当日の話を脳内プレイバックでお届けしますか? それとも、も一度なでなでしますか?」
男「あー、じゃあ、プレイバックで」
少女「なでなでですね!」
男「いや、プレイバックの方で」
少女「な、なでなでですね!」
男「いや、だから」
少女「な、なでなでですよね、おにーさん?」(涙目)
男「ああもう、ああもう」ナデナデ
少女「押しに弱いおにーさん、素敵です♪」
少女「なでられてご満悦です。はふー」
男「そいつぁよかった」
母「私もご満悦になりたいなー?」
男「夫にしてもらえ」
母「未亡人なのー! してもらいたくてもいないのー!」ジタバタ
男「はいはい」ナデナデ
母「うひはー!」
少女「母様がきもいです」
男「しっ! みんな知ってるけど、黙っておくのが大人だよ」
少女「分かりました。心の中だけで思っておきます」
母「子の気遣いが、なんだか悲しいわ……」
少女「さて。それでは話は2週間前に遡ります。皆さん、準備はよろしいか? よろしいですね。では、ごー」
~2週間前~
男「さて。いきなり変な連中に拉致されたわけなんだが……なんだこの豪邸は」
男「(目の前に広がるは、俺の家が丸ごとすっぽり入ってしまいそうなほど大きなリビングだった。壁には見たことのある絵画が飾られており、さらに暖炉や西洋甲冑まである。床はふかふかの絨毯が敷き詰められており、俺がいま座っているソファは全身を優しく優しく包み込んでいる。そして極めつけは天井からぶら下がる金持ちの象徴、シャンデリアだ)」
男「(そこまでされたら嫌味に感じるのだろうが、どういうわけかその全てが見事なまでに調和されており、圧倒されるものの嫌悪感は感じない。ただの成金ではないってことなのだろうか)」
男「(などと感心していると、ドアの隙間から誰か覗いてることに気づいた。あ、こっち来た)」
少女「……え、えっと。あの」
男「あー。ええと、これはどういうことなのか説明してもらいたいのだけど」
少女「……う、うあ」ジワーッ
男「涙ッ!? ええなんで何も酷いことなんて言ってないのにいやしかし泣いている以上言ったのだろうごめんなさい!」
少女「…………」プルプル
男「否定!? 許してくれないの!? ああこんな金持ちに恨みを買われる覚えはないのになあ。今日で俺の人生も終わりか。つまらない人生だったなあ」
少女「……!? !!」ブンブン
男「そこまで激しく首を横に振らなくても、分かったって。ただ、できることなら、あまり痛くない方法でお願いしたい」
少女「ち、違う、違います……。あ、あの、私のこと、覚えてますか?」
男「へ? ……いや、ごめん。覚えてない」
少女「ふぇ……」ジワーッ
男「ああいやごめんよく思い出しますから泣かないで!」
少女「は、はい。ぐすぐす。泣きません。我慢します」
男「(こんな子、知り合いにいたかなあ……? というか、そもそも異性に知り合いなんていないような。じゃあ、一体どこで……?)」
少女「(おにーさんだ。あの時助けてくれたおにーさんが、いま、目の前に……!)」
男「(う。なんか知らんが見てる。めっちゃこっち見てる)」
少女「(……な、なんか、ドキドキしてきました。ど、どうしよう!?)」
男「(そして突然顔が赤くなってきた。なに? 興奮? 今から俺を痛めつけることを想像しての興奮か? この娘……まだ若いのに、レベルが高い!)」
男「……って、アレ? なんか、見覚えが……」
少女「!!」
男「……いや、うーん」
少女「ひ、ひんと、ひんとです。ひんとでぴんとです。……えいっ」
男「(突然その場に倒れた。何?)」
少女「う、うーんうーん。い、痛いです」
男「(そして、膝を抱えての台詞。……膝?)」
男「……ああっ!」
少女「お、思い出してくれましたか!」
男「おまえ、あの時のパンツ覗き魔!」
少女「……私は転校生ではないです。ついでに言うと、性別も間違ってます。本来なら主人公と転校生と通学路でぶつかり、その際にパンツを見られ、そしてその転校生が教卓の前で主人公に言う台詞です」
男「100点の解法ありがとう。じゃなくて、この前こけた子か。あれから膝はどうだ?」
少女「は、はい、おかげさまで、ばっちしです。犯人も闇に葬られましたし、言うことなしです」
男「(闇……?) そ、そうか、それならよかったんだ。女の子だもんな、傷が残ったりしたら可哀想だもんな」
少女「お、おんなのこ……///」
男「え、……男なのか? ということは、最近流行の男の娘? ……いや、いける!」
少女「違います。いかないでください」
男「はい」
少女「そ、その節は、お世話になりました。心より深くお礼申し上げます」フカブカオジギ
男「あ、こりゃどうも」フカブカオジギ
少女「そ、それでですね、お、おにーさん」
男「ひゃい!」
少女「ふぇっ!?」
男「あ、や、失礼。こんな可愛い子にお兄さんなんて呼ばれて気が動転した。気に障ったのなら謝る」
少女「か、かわいい……///」
男「(それにしても、何が目的で俺なんかを拉致したのだろう。お礼を言うため? わざわざ? ……なわけないよなあ。……ま、まさか)」
男「(イチャモンをつけて尻の毛までむしりとるつもりか? そこまでやってのシャンデリアなのか? 俺はこの先生きのこるのか!?)」
少女「は、はぅぅ……///」
男「(って、顔を赤くしてうつむいてはぅはぅ言ってるような子がそんなことするわきゃねーか)」
男「あ、いや失礼。話を続けてくれ」
少女「あ、は、はい。……すぅー、はぁー。……え、えっとですね、……えっと、えっと」
男「?」
少女「……あ、あぅぅ」ジワーッ
男「また涙ッ!? 一体全体どういうことか分からない俺だがとりあえず泣き止んでくださいっ!」ナデナデ
少女「は、はぐ、ぐす。……は、はい、泣き止みました。……なでてくださってありがとうございます」
男「え? ……あ、や! そ、その、突然だったので。ごめんな、触ったりして」
少女「い、いいえ、いいえ! ……お、おにーさんだったら、別に、その……」
男「いやいや。どこの誰とも知れない奴を特別扱いするのはよくないぞ」
少女「…………」
男「?」
少女「……うん。おにーさん、私の家庭教師になってくださいませんか?」
男「はい?」
~現在~
少女「とまあ、そんなこんなでおにーさんは私の家庭教師となり、色々あってらぶらぶなのです」
母「手を出したのね! 中学生相手に……いやらしいっ!」
男「待てそこの親子。出してねえぞ、俺は」
少女「なでなでされて、抱っこされました」
母「出してるじゃない! いやらしい……っ!」
男「え、それも手出すに含まれるの? じゃあ、はい、出しました。ごめんなさい」
少女「これはもう、結婚するしかないです! 玉の輿ですね、おにーさん?」
男「展開が早すぎる」
母「初夜は親子丼ねッ!?」
男「頼むから待ってくれ」
少女「それが嫌なら抱っこしてください。なでなでもです」
男「はぁ、まあ抱っこもなでなでも好きだからいいですけど」ナデナデギュー
少女「はぅぅ」
母「手を出した! 母は見たわよ! 家政婦も見たわよ! あとミタも見たわよ! あと何が見る!?」
男「知らん。見なくていいから。あとこの屋敷にいるのは家政婦じゃなくてメイドだ」
メイド「呼んだっスか?」ヒョコ
男「呼んでません」
メイド「性処理スか?」
男「呼んでねぇっつってるだろ」
少女「わ、私がするんですか?」ガタガタ
男「違う。震えるな」
母「じゃあ私ね!」キラキラ
男「断じて違う。目を輝かせるな」
メイド「じゃあやっぱ私の仕事っスね」
男「突然出てきて場を混ぜっ返すな」ギリギリ
メイド「ふぐわああ! あ、アイアンクローは痛いっス!」
母「私の特技を奪うとは……やるわね、メイド!」
少女「楽しそうで羨ましいです……」
メイド「だ、だけどギブだけは絶対にしないっス! 負けてなるものかっス!」
男「あ、このメイドめんどくせえ」
────
男「そんなこんなでやっと本編だ」
少女「今までが導入だったんですか? 長すぎません?」
男「どっかの誰かが特技を使いまくるせいでね」ジロリ
母「私のことねッ!」キラキラ
男「ダメだ、この大人は悪びれる、という言葉を知らないらしい」
メイド「知ってるうえでの行動だと思うっス」
母「流石はうちで雇っているメイド……思考レベルが高いわね!」
メイド「お褒めに預かり恐縮っス!」
男「なんかめんどくさいのが増えた気がする」
少女「それでおにーさん、本編って何をするんですか?」クイクイ
男「基本的には俺と少女とのイチャコラの話の予定です」
少女「い、いちゃこら……///」
母「親の目の前でメタ話にかこつけてイチャイチャと……許せないことだわ! 混ぜなさい!」
男「熟女趣味はないので、ちょっと」
メイド「褐色巨乳メイドなんかはどうっスか?」ボインッ
男「男なんでおっぱいには憧れますが、それもちょっと」
少女「こ、黒髪ぱっつんの中学生なんかは、ど、どうですか……?」クイクイ
男「あ、大好物です」ナデナデ
少女「あ、あぅぅ……///」(自分で言って照れちゃった様子)
母・メイド「「ぶーぶー。ひいきひいきー」」
男「そりゃあ、ねえ?」ナデナデ
少女「じ、次期当主として、ひいきされるのには慣れないといけないのです。あと、抱っこもしてほしいです」
男「はい」ギュー
少女「天にも昇るとはこのことです! 昇天しそうです!」
男「え、幽霊なの?」
少女「お化けじゃないです。お化けは怖いです」
男「そうだな。お化けは怖いな」ナデナデ
少女「です」
────
男「そんなある日のこと」
男「今日は朝から天気がよかったので花見でもしたいな、となんとはなしに朝食の場で言ってみた」
男「すると昼には庭に花見の準備ができていた。出来たメイドもいたものだ」
男「庭……にわにわにわにわとりがにわ」
少女「お、おにーさんが、おにーさんが!」ガタガタ
母「下がって、娘! 男さんはもう私たちの知ってる男さんじゃないの!」
メイド「ううう……せめて、せめて私の手で成仏させてあげるっス!」チャキ
男「早口言葉を言っただけだ。だからその手の無骨に黒光りする日本では所持が許されていない銃器を下ろしてください」
母「騙されちゃいけないわ! そうやって油断させるのが奴らの常套手段よ!」
男「誰だ、奴らって」
少女「それじゃおにーさん、突発的花見大会の始まりです」
男「ああ、そだな。庭に桜があるってのはいいな」ナデナデ
少女「です」
母「あれ? もっとやんないの? 遊んでよ娘ー」
メイド「もう聞いてないようっスよ」
少女「じゃじゃーん」
男「おお、お重」
少女「私が作りました。……と言いたいところですが、メイドさんにほとんど作ってもらいました。私はちょこっとしか手伝ってません。……不器用なこの手が憎いです」
男「手伝おうとする意思が尊いの。まだちっこいんだし、頑張ればグングン上達するさ」ナデナデ
少女「……♪」スリスリ
母「親の目の前で口説いてるわね」
メイド「見上げた根性っス!」
男「別に口説いてはいません」
少女「困ります。口説いてください」
男「えー……」
少女「今ならどんな落とし文句でも落ちる保証付きです」
男「んー……じゃあ、月が綺麗ですね?」
少女「みーとぅー」ギュー
男「落ちた」
少女「というか、既に落ちていますので、何を言われようが変化ないです」
男「なるほど」ナデナデ
少女「んふー」
母「はいはい、イチャイチャするのもいいけど、そろそろご飯にするわよ。いい加減お腹空いて死にそうだわ」
メイド「準備は既に整ってるっス! 有能なメイドと褒めてもいいっスよ?」
男「このメイドさんは有能でおっぱいが大きくて素敵だなあ」
メイド「そ、そんな褒めても何も出ないっスよ……もー! 男さんは! もー!」バンバン
男「痛い痛い。背中を叩くな」
少女「…………」ムニムニ
男「いや、小さい方が好きですから。難しい顔して自分の胸触らなくても大丈夫かと」
少女「じゃあ全く問題無いです」
メイド「私とのことは遊びだったっスね……しくしく」
男「始まってもいません」
母「したの!? シたのね!? この益荒男!」
男「してねぇ」
少女「おにーさん、おにーさん。私の隣に座ってください」ポフポフ
男「ん、了解」
母「ちっ、びくともしないわね。つまんないの」
メイド「はいはい、それじゃご飯にするっスよ。一番上の段がおかずの層っス。煮物や玉子焼き、天ぷらなどがひしめいてるっス!」
メイド「そして二段目がご飯の層っス。ちらし寿司とおにぎりが半分ずつあるっスから、好きな方を食べて欲しいっス!」
メイド「とどめの三段目がデザートの層っス! まんじゅうをいっぱい作ったので、食後にゆっくり食べて欲しいっス!」
男「いや、本当に有能なメイドさんだ。よくもまあ短時間でこれだけ作ったものだ。すごいすごい」
メイド「そ、そんな、私の仕事っスから……そ、そんな真面目に褒める必要ないっスよぉ///」
母「今日もフラグ建設お疲れ様ね!」
男「物理的に説得してえ」
少女「(……今日からお料理も勉強しよう)」
メイド「さあさあ、遠慮せずに食べるっス! 奥様も、ささ」
母「笹!? 誰がパンダだってのよ!」
メイド「ひぃ!? だ、誰もそんなこと言ってないっス!」
男「まだ飲んでもいないのに絡んでるのか。メイドさんも災難だなあ」
メイド「見てないで助けるっスよぉ!」
男「そうしたいのは山々なんだが、少女が俺の膝の上に乗っており、動けないんだ」
少女「気がつくと移動してました。助けられず、申し訳ない気持ちでいっぱいです」チョコン
メイド「なら一刻も早く下りるっスよぉ!」
少女「おにーさんに後ろから抱っこされてると、幸せで幸せで動けなくなっちゃうんです」
男「なら仕方ないな」
メイド「仕方なくないっス! へるぷみーっス!」
母「特に竹やぶがいいわよ!」
少女「おにーさん、おにーさん。まずはおにぎりなんてどうですか?」
男「お、いいな。いただくよ」
少女「んしょ……あの、これ、私が握ったおにぎりです。……食べていただけますか?」
男「もちろん! 怪獣モチロンさパパ!」
少女「はい?」
男「じゃあ、いただきます」
少女「え、あ、はい。……え?」
男「はぐはぐ」
少女「どきどき」
男「はぐはぐ……ごくん。ん、おいしい」
少女「ほっ……。どきどきしました。おいしいと聞いて安心しました。……それが嘘でなければ、ですけど」
男「というか、おにぎりをまずくするなんて逆に難しいだろ。塩つけて握るだけだろ?」
少女「これだから素人さんは困りものです。その絶妙な塩加減が、そしてなにより上手に握ることが、どれだけ難しいか……」
男「あ、じゃあこれは練習のたまものか」
少女「……ま、まあ、私は天才さんなので、練習など必要ないのですが」
メイド「うっぷ。お嬢様の失敗作を食べ過ぎて、思わずげっぷが出ちゃったっス。失礼したっス」
少女「……母様、ごー」
母「おっす! オラ、母! いっちょ(性的な絡みを)やってみっか!」
メイド「ひぃぃぃぃ!!?」
男「酷くない?」
少女「当然の罰です」
男「でも、まあ、頑張ったんだな。偉い偉い」ナデナデ
少女「…………///」
母「……いけない、冗談なのになんか燃えてきた。百合もアリかも!」
メイド「ナシっス、全力でナシっス!」
男「んじゃ、次は少女が食べる番だな」
少女「私はいいです。おにーさんが食べてください」
男「俺はさっき食ったからいーの。少女も食え食え」
少女「……じゃあ、その。……食べさせてください」
男「えっ」
少女「おにーさんに食べさせてもらうと、おにーさん菌がついておいしさ栄養度共に1.5倍にあっぷします」
男「菌とか言うとマイナスのイメージがありませんか? というかそもそもそんな菌存在しないような」
少女「とにかく、おにーさんに手ずから食べさせてもらいたいんです。仲良しな感じで食べたいのです」
男「……な、なるほど、分かった。んじゃ、何がいい?」
少女「なんでもいいです。おにーさんに食べさせてもらう、ただその一点のみが重要なのです」
男「ええい、恥ずかしいことをしれっと。じゃあこの玉子焼きでいいな?」
少女「はい、問題ありません。じゃあ一度それを咥えてください」
男「嫌な予感しかしないので断ります」
少女「大丈夫、よいことしか起こりません。それを私が食べ、そのついでにおにーさんにちゅーするだけです」
男「俺の予感が的中だ」
少女「大丈夫、ちゃんと舌も入れます。がんばります」
男「頑張らなくていい」
メイド「男さんはヘタレっスね」
母「むしろちんこの上に玉子焼きを乗せるくらいのことはしてほしいわね」グビグビ
男「そこの酔っぱらい、娘の教育上よくないので存在しないでください」
母「あそこの婿養子に死ねって言われたあ! うえええん! メイドちゃん、慰めて!」
メイド「ああはいはい、泣かない泣かないっス」ナデナデ
男「まだ結婚してねえ」
少女「私が今13歳だから……あと3年の我慢ですよ、おにーさん」
男「えっ」
少女「それまでは、私の瑞々しい肢体を堪能していてください。婚約者の特権です」
男「え、あれ、婚約したっけ?」
少女「この家におにーさんを呼んだ時点でしてます。私内部で」
男「それは一般的にしてない、と言います」ナデナデ
少女「むう」
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