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2024年11月22日
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妹「猫薬?」 兄「猫薬」 中編
2012年03月24日
──通学路──
兄「ああ今日も眠い」ナデナデ
妹「右に同じく。お兄ちゃん、顔を舐めまわして眠気を取って」
兄「それはいい提案だ」
妹友「てめぇら自重という言葉を覚えろ」
兄友「……お、おはよう、みんな」
兄「ああ、おは……っ」
妹友「あ、兄友さん、そっ、それっ!」
妹「ふしゃー」
兄「ああ今日も眠い」ナデナデ
妹「右に同じく。お兄ちゃん、顔を舐めまわして眠気を取って」
兄「それはいい提案だ」
妹友「てめぇら自重という言葉を覚えろ」
兄友「……お、おはよう、みんな」
兄「ああ、おは……っ」
妹友「あ、兄友さん、そっ、それっ!」
妹「ふしゃー」
兄友「ああ、いや、うん。その、なんというか……はは。私にも生えたよ、ネコミミとやらが」ピコピコ
兄「良し。良し。良し」ナデナデ
兄友「えっ、あっ、あ、はは……な、なでられてるね///」
妹友「ど、どういうことなんですか、兄友さんっ!」
妹「ふしゃー」
兄友「何、どういうことも何も、昨日兄くんから聞いた現象が私にも起こっただけだ。起きると私の掌に猫薬が握られていたんだ」
妹友「……まあいいです、100歩譲ってそうだとしましょう。でも、だからってどうしてそれを飲んじゃうんですか?」
兄友「そ、それは……」チラッ
兄「良し良し良し良し」ナデナデ
兄友「じっ、純粋なる興味だよ、妹友くん。人に獣の耳が生えるという奇跡を、身を持って体験できるまたとない機会だったのでね?」
妹友「信憑性が欠片も感じられません」
兄友「何を言うのだね、妹友くんは。私が嘘をついているとでも」
兄「ああ妹のネコミミもいいがクールビューティーな兄友のネコミミもいいなあ」ナデナデ
兄友「……う、嘘をついているとでも言うのかい?///」ピーン
妹友「……猫は嬉しいとしっぽが立つといいます。偶然でしょうが、兄友さんのしっぽも立ってますね?」
兄友「ぐ、偶然だとも。生えたてなので、まだ上手に扱えないだけさ」ピーン
兄「そうだ、ノドの下もなでてみよう」
兄友「あっ、兄くんっ!? そ、そんなところを……ああ、あああ///」
妹友「これはひどい」
妹「ふしゃー」
兄「堪能した」
兄友「はぁ……はぁ……///」
妹友「うわ、エロッ」
兄友「ど、どこがだ! ただ執拗になでられただけだ!」
妹友「頬を上気させ、髪はほつれ、タイも乱れている。ここだけ見たら完全に事後ですよ」
兄友「じっ、事後!? な、何を言っているのだ、妹友くんは。た、ただ、その、なんだ。兄くんに可愛がられただけだ。……か、可愛がられた///」
妹「ふしゃー」
妹友「はいそこ、自分で言っておいて照れない。妹ちゃんもいい加減理性を取り戻して」
妹「ちくしょう、アドバンテージを奪われたか。こうなったらやりにくいぜ。もっと猫力が必要か」
兄「それにしても、ネコミミの女の子が二人もいて幸せだ」ナデナデ
兄友「ああ、またなでなでと……ああ、あああ///」
妹「ふにゃー。たまらん」
兄「ダブルなでなで。どう?」
妹友「日本が銃社会じゃなくて助かりましたね」
──校門前──
兄「じゃあ後でな、二人とも」
妹「くそぅ、猫力をたくわえねば。……なんだ、猫力って」
妹友「ええ、またお昼に。それと兄友さん、くれぐれも早まらないように」
兄友「ななっ、何を早まるというのだね妹友くん? わ、私が何かしでかすとでも?」
妹友「その新しい武器は、おにーさんには効果抜群ですから。……抜け駆けはナシですよ? 妹ちゃんが悲しみますから」
妹「泣くぜ」
兄「ほう、鳴くのか。やってみて」
妹「にゃあにゃあ」
兄「これは可愛い」ナデナデ
妹「しめしめ」
妹友「おにーさんは会話に入って来ないでください」
兄友「心配などせずとも、別に私は何もする気なんてないよ。兄くんはただの友人だ。そうだろう?」
兄「時折性的な目で見てはいるが、基本的にはそうだな」
兄友「せっ、性!? う、わ、私をだぞ!? な、何を言っているのだ兄くんは!?///」
兄「偶然にも今そんな目で見てる。なんかえろいんだよな、兄友は」
兄友「う、うぅ……あ、あまりそんな目で見ないでくれたまえ。私にも、一応羞恥心というものがあるのだよ///」ピシピシ
兄「ああしっぽでイヤイヤされた。これはたまらない」ナデナデ
兄友「……うぅ///」
妹友「舌の根が乾く前に抜け駆けされてるよ、妹ちゃん」
妹「しょうがない。脱ぐか」
兄「脱ぐな」ペシッ
妹「にゃー」
──二年教室──
兄友「普通に教室に来たけど……そうだね、そりゃざわつくよ」
兄「割と普通に接していたが、ネコミミ生えてるものな。俺は全く問題ないというか嬉しい話なんだが、一般人は面食らうよな」
兄友「うぅ……やはり、皆が見ているよ。少し、恥ずかしいね」
兄「大丈夫だ、兄友。そんな表情も、そそる」
兄友「なんの慰めにもなっていないことに気づいてるかな?」
兄「それにしてもネコミミの兄友は可愛いなあ。一日中顔を舐めていたいなあ」
兄友「えええっ!?」
兄「あ、なんか心の声が漏れた気がする。……まあ、気のせいか」
兄友「そっ、そそそそうだとも。わ、私は何も聞かなかったよ?///」
兄「そうか、それは良かった。ところで提案なんだが、一日中顔を舐めてもいいか?」
兄友「……人が必死で聞き逃したというのに、どうして改めて聞いてしまうのだい、兄くん?///」
兄「照れ怒る兄友は可愛いなあ」
教師「はーい、授業をはじめま……ひっ、職員室で話題のネコミミ生徒が増えてる!? 呪い!?」
兄「20歳以上の女性が感染すると死にます」
教師「助けてぇ!」
兄友「しれっと嘘を教えるものではないよ、兄くん」
──1年教室──
妹友「それにしても兄友さんにもネコミミが生えるなんて……どうなってるのかしら」
妹「ちくしょう、人のチャームポイントをパクリやがって。許せねえ。にゃあにゃあ言ってりゃ可愛いとでも思ってんのか」
妹友「兄友さんはにゃあなんて言ってないわよ?」
妹「そういえば私しか言ってなかった。まあここにはお兄ちゃんいないし、バレても問題ない」
妹友「本当に妹ちゃんは……」
妹「かわいかろう? だが許せ妹友、私には百合属性はないのだ。妄想は許すから適当に自分を慰めてろ」
妹友「ダヴァイ(来い)」
妹「しゅっしゅっ」
教師「はい、授業を始め……なんで教室で猫耳少女がボクシングやってんだ」
──中庭──
妹「あ゛~~~~~……」ダレーン
妹友「だらけすぎよ、妹ちゃん」
妹「お兄ちゃんがいないのに張り切っても……この気配は! お兄ちゃんが来た!」ピコーン
兄「そう、お兄ちゃんが来ました。お待たせ、二人とも」ナデナデ
妹「ああ数時間ぶりのなでなではたまらない。ああもう一生お兄ちゃんになでられてえ。なでられ奴隷になりてえ」スリスリ
妹友「……? どうしたんですか、兄友さん?」
兄友「……いや、その」
兄「兄友に生えたネコミミを見に、休み時間ごとに代わる代わる見物人がやってきてね。疲れているようだ」
兄友「それも一因だが、私が疲弊している真の原因は、その見物人を追い払うため、兄くんが私に負ぶさり、ずっと私のネコミミに頬ずりしていたからだ」
妹友「ほう」
妹「ほう」
兄「これはいけない」
兄友「確かに効果はあった。兄くんが頬ずりをすると、皆どこかへ行ってくれた。だが、だが……う、うぅ///」
妹友「そろそろ肉片になりましょうか、おにーさん」
妹「ええいもうここで構わん、私に種を注げお兄ちゃん」
兄「それぞれ違う意味で怖い」
兄友「兄くんの息遣いが私のすぐ真上から聞こえる。兄くんの体温、そして心音が背中越しに届く。だが、何より一番感じ取れたのは、兄くんの柔らかな頬の感触だ。ネコミミから伝わるその感触、そして時折触れる兄くんの唇に、私は、……わ、私は///」
兄「いかん、一番ヤバイのはコイツか」
妹友「妹ちゃん、なんか予想以上に強敵みたいよ」
妹「ちくしょう、変態レベルが高すぎるぜ」
兄友「はっ! ……うん? どうしたんだい、みんな。もう昼だ、早く食べないとチャイムが鳴ってしまうよ?」
兄「そ、そうだな。みんな、早く食べよう」
妹友「そうですね。おにーさんへの糾弾はいつでもできますし」
兄「助けてくれ妹よ」
妹「よし。じゃあ服を脱ぐので少し待ってて」
兄「やっぱり助けなくていいや」
妹「無念」
妹「今日はお弁当持ってきたよ、お兄ちゃん。偉い?」
兄「偉い」ナデナデ
妹「ほふぅ」
兄友「…………」チラチラ
妹友「……兄友さんもなでられたいんですか?」
兄友「なっ、何を言っているんだ妹友くんはっ!? そっ、そんなわけないだろう? は、ははは、はははは」
兄「なでなでコンボが発生した」ナデナデ
兄友「……こ、コンボとやらが発生したのならば仕方がないな。うん、仕方がない///」ニコニコ
妹「ちくしょう、文句の一つも言ってやりたいが依然お兄ちゃんのなでなでが続いてるから思考が制限される。ふにゃあ」
兄「two hit nadenade!」
妹友「巻き舌をやめろ」
兄「怒られた」クニクニ
兄友「あ、あの、兄くん? そ、その、ネコミミをくりくりするのは、そ、その、やめてくれないかな? そ、その、私にも都合というものが……うんッ///」
兄「これはえろい」
妹「新技か。私にも活かせそうだ。覚える必要があるな」
兄友「う、うぅ……あまり酷いことをするものではないよ、兄くん///」ペタリ
兄「なんて破壊力だ」ナデナデ
兄友「ううう……///」
妹「うんっ。……違うな。うんっ? ……ええい、どうすればあれほど艶のある声を出せる。兄友さん、教えてください」ペコリ
兄友「えっ、ええっ!? そ、そんなことを言われても……うぅ。あ、兄くん、助けてくれないか?」
兄「いや、俺もあの技は妹に伝授してほしいと思ってる。頼む、教えてやってくれ」ペコリ
兄友「えええっ!? わ、技とかじゃないのに……」
妹友「あーそぼろ美味え」
兄「結局教えてくれなかった。兄友はずるいね」
妹「ね」
兄友「うう……ずるいとかじゃないのに……」
妹友「茶番は終わったようですね」
兄「酷いな。今日はツッコミもなかったし」
妹友「さすがに三人相手に立ち回れる技術は持ってないもので」
兄友「わ、私も数に入っているのか!?」
妹友「この時間に関してなら、一番の強敵でしたよ」
兄友「うう……これでも常識人を自負しているつもりだったのだが……」
兄「ネコミミ生やしておいて常識も何もないだろ」ナデナデ
兄友「こ、これは、その……兄くんはひどいな」プゥ
兄「頬を膨らませるだと。そんなスキルまで隠し持っていたか」ナデナデナデ
妹「くそぅ、くそぅ。妬ましい、兄友さんが妬ましいぞ」
兄友「あ、あの、兄くん? ちょ、ちょっとなでなでが激しいような……あッ! こ、こら、ミミをくりくりするのはやめたまえと……んッ///」
妹友「あー茶が美味ぇ」
兄「堪能した」
妹「腹ン中が嫉妬でパンパンだぜ」
兄友「はぁ……はぁ……あ、兄くん。ミミをくりくりするのはやめてくれと、あれほど言ったのに……」
妹友「やっと終わりましたか。もうあまり時間が残ってませんよ」
兄「しまった、ネコミミ無双に夢中になるあまりに。仕方ない、急いで食おう」
妹「そうだね。じゃあお兄ちゃん、あーん」
兄「いや、今日は箸を持ってきて……あれ? 妹、俺の箸は?」
妹「昨日のあーんが楽しかったので、故意に忘れてきた。はい、あーん」
兄「えぇー」
兄友「あの、差し出がましいようだが、予備の箸なら私が持っているのだが……」
妹「ちっ」
兄「こら、舌打ちなどするものではない。もっとネコミミ娘らしく可愛く行動するように」
妹「そうだね、お兄ちゃん。舌打ちなんてしてごめんなさい、兄友さん。にゃー」
兄友「い、いや、別に私は構わないが……」
妹友「ネコミミを品性の基準に持ってくるのは、ちょっと理解が届かないわね」
妹「どうだ、お兄ちゃん。ネコミミらしかった?」
兄「うむ、語尾が素晴らしかったぞ」ナデナデ
妹「ほふー」
兄友「ところで、箸の件はどうなったのかな? 渡してもいいし、兄くんが望むなら、そ、その、昨日のように、その、だな。……あ、あーんをしても///」
兄「折角の提案だが、箸を貸してもらえるとありがたい」
兄友「そ、そうだね。当然そちらを選ぶに決まっているよ。はは。ははは」ションボリ
妹友「見て妹ちゃん、兄友さんのしっぽがだらんと垂れてるわ。悲しいみたいね」
妹「しっぽを完全に使いこなしている。ちくしょう、ネコミミでは勝ってるが、しっぽはリードを奪われてやがる。もっと精進が必要だぜ」
妹友「基準が分からないわ」
兄友「ほら、兄くん。箸だ、使ってくれ」
兄「ああ。ありがとう、兄友」
兄友「いやいや。こういう時のために持ってきたんだ、気にせず使ってくれると、こちらこそ嬉しいよ」
兄友(…………)
兄友(兄くんの使用済み箸。……な、なんて貴重なものが手に入るんだ!)
妹「お兄ちゃん、使い終わったらちゃんと洗って返さないとダメだよ?」
兄「ああ、そう言えばそうだな。教えてくれてありがとう、妹」
兄友「えええっ!? えっ、あっ、やっ、そ、そんな必要はないよ? ほ、ほら、友達だろう? わ、私は全く気にしないよ?」
兄「いや、友達だろうがなんだろうがケジメは大事だ。ちゃんと洗わせてもらう。まあ、本来ならこんなことは自分で気づかないとダメなんだけどな。はっはっは」
兄友「そ、そうかい。……はぁ」
妹友「すごいわ、妹ちゃん」
妹「これが妹の底力だー」
兄「何か目に見えない所で諍いがあったような気がしたが、気のせいだ」
兄「げぷ。さて、飯も食い終わったし、そろそろ教室に戻るか」
兄友「そうだね。それじゃ行こう、兄くん」
妹「もうちょっとだけ一緒にいたいと願うことは罪なのか、お兄ちゃん」シュルリ
兄「いや、まだ少しだけ時間があるから構わないが、どうしてしっぽを俺の腕に巻き付けるのだい、妹よ」
妹「未練が私のしっぽを突き動かすの」
兄「なるほど。ならその未練、解きほぐしてくれよう」ムギュー
妹「! よもやなでなでではなく、抱っこが来ようとは。これだからお兄ちゃんは最高だ」スリスリ
妹友「おいそこの実の兄妹、TPOって分かるか?」
兄友(抱っこ。……いいなあ)
──校庭──
兄「そう言えば5時間目は体育だった。飯を食ってすぐにランニングと、教師の体罰は留まることを知らない」
教師「せめてそういうことは教師のいないところで言え」
兄「悔し紛れに吐瀉でもしてやりたいところだ」
教師「だから、そういうことを淡々と言うなッ! 怖ぇよ!」
級友A「おい、兄。ちょっとこっち来い」
兄「呼ばれた」
教師「あー怖かった」
級友A「おー来た来た。ほら、今日は女子が高飛びしてるぞ」
兄「本当だ。お、兄友もいる」
級友A「向こうも気づいたみたいだな。……恥ずかしそうに手ぇ振ってるな」
兄「くそぅ、負けるか。こっちも振ってやる!」
級友A「何の対抗意識だ! ああ兄友さんが他の子に何か言われてる。……ああチクショウ。いいなあ」
兄「ネコミミが? 野郎に生えても楽しくないと思うが、価値観はそれぞれだ、個人で楽しむ分にはいいと思うぞ」
級友A「違えよッ!」
兄友「うぅ……兄くんめ。ちょっと手を振ったら必死に振り返したりして。……頑張るしかないじゃないか」
級友A「おおおっ!? おい見たか兄! すげぇぞ兄友さん! あんな軽々とバーを超えて……しかも、あんな綺麗に……」
兄「しっぽがいいなあ」
兄友「……ふぅ、なんとか成功したか。……よかった」
兄友「結局、他の生徒は皆失敗し、私ともう一人だけが成功したか」
兄友「バーが一段階上がる。……そういえば、彼女は陸上部だったな。負けて当然。……だが」
兄友(兄くんが見ている。……無様なマネだけはできそうにないね)
兄友「……私の番か。……さて、と」
兄友「…………」トボトボ
兄「よう」
兄友「……ああ、兄くんか。何か用かい? 生憎と、私はマットの片付けを任されているんだ。用がなければ邪魔しないでくれるかな?」
兄「暇なんで手伝いに来た」
兄友「……それは、折角だが、断らせてもらうよ。次の授業まで時間もないし、私を手伝っていたら兄くんの着替える時間がなくなってしまうよ?」
兄「暇なんで手伝いに来た」
兄友「…………。……はぁ、強情だね、兄くんは。仕方ない、そこまで言うなら手伝ってもいいよ」
兄「そうか。よかった」
兄友「…………」ズルズル
兄「…………」ズルズル
兄友「……どうして、何も言わないんだい?」ズルズル
兄「マットを引っ張るので精一杯なんだ」ズルズル
兄友「……嘘ばっかり。女子一人でも動かせる重さだよ、これは」ズルズル
兄「女子より筋力が劣ってるなんて、みんなには黙っておいてくれよ」ズルズル
兄友「……ふふ、ははは。ははははっ」
兄「そうそう。女の子はそうやって笑ってるのが一番可愛い」ズルズル
兄友「きっ、君は、本当に……ああ、うん。そうだな、私も一応女だからな」
兄「しかも、ネコミミ少女だからな。ちょお可愛い」ズルズル
兄友「そうかい? もしその言葉が本当なら、私はとても嬉しく思うよ」
兄「嘘なんか言わないよ。……よし、どうにか体育倉庫に運べたな。ああ疲れた」
兄友「お疲れ様。ごめんよ、後半は君一人に任せてしまったようだね」
兄「いいさ」ナデナデ
兄友「……兄くん」
兄「手がマットで汚れたので兄友の頭で掃除してるんだからねっ」ナデナデ
兄友「兄くん、嬉しくないよ……」
兄「ツンデレは世界共通だと思ったが。うーん。ええと、それじゃ、ネコミミに触りたくてたまらなかったんだ?」ナデナデ
兄友「私に聞かれても困るよ」
兄「それもそうだな。うーんうーんうーん」ナデナデ
兄友「……大丈夫だよ、兄くん。私はもう元気だよ?」
兄「なんだそ……い、いや、俺は兄友のネコミミを触りたくて仕方がないからなでただけだぞ?」
兄友「……♪」シュルリ
兄「ええと。兄友のしっぽが俺の腕に巻き付いているのだが」
兄友「あ、あれ? お、おかしいな、そんなつもりはないのに……」シュルシュルリ
兄「巻きつく一方だ」
兄友「あ、あれ? ち、違うんだよ兄くん? 私は外そうとしているんだよ?」シュルシュルシュル
兄「……まあいい。時間もないし、このまま戻るか」
兄友「ふぇええ!? そ、そんな、恥ずかしいじゃないか!」
兄「ネコミミなんて恥ずかしいモノを生やしておいて、今更恥ずかしいも何もないだろ」
兄友「そんな風に思っていたのかい!? な、なんのために私は……」
兄「いや、恥ずかしいけど超可愛いよね。個人的な意見でいいなら大好きです」
兄友「……それなら、まあ、いいよ。でも、それなら恥ずかしいモノなんて言わないでほしいね」プゥ
兄「またか。またその頬を膨らませる技か。いったい俺を惑わせてどうするつもりだ」ナデナデ
兄友「べ、別にそんなつもりはないよ! た、ただちょっと、不満が顔に出てしまっただけで、そ、その……う、うぅ///」
兄「ああ兄友の顔を一日中舐めてえ」ナデナデ
兄友「まだそれを言うのかい!?」
──1年教室──
妹「! この感じ……兄友さんか!」
教師「妹さん、授業中に突然立たないでください」
妹「ちくしょう、お兄ちゃんを篭絡しているな。ああもう1年早く生まれていればこんなことには。だが年下だからこそ妹として甘やかされているのもまた事実」
妹友「おいそこのネコミミニュータイプ黙って座れ」
妹「きゅりりーん」
妹友「光るな」
──2年教室──
兄「今日も終わった終わった。さてと、かえ」
兄友「あ、兄くん。いま帰りかい? 偶然だね、私も今日は生徒会がないから帰れるんだ。そ、その、よかったら一緒に帰らないかい?」
兄「腰を浮かしかけたその瞬間、兄友が素早い動きで俺の机の前までやってきて早口にまくし立てた。突然のことに頭が真っ白になる」
兄友「ものすごく冷静に説明してるのは、私の気のせいかな? ……それで、どうだい? その、無理にとは言わないが」ピコピコ
兄「そして冷静になった。ネコミミが可愛いから帰ろう」ナデナデ
妹「今日も妹が登場……くそぅ、予感は的中か。お兄ちゃんのなでなでが兄友さんに」
妹友「ものすごいだらしない顔でニヘニヘしてるわね、兄友さん」
妹「憎い、兄友さんが憎いぞ。嫉妬の炎で焦げそうだ」
兄「あ、二人とも来たのか」
妹「お兄ちゃん、どういうことなのか可愛い妹に説明を」
兄「よしよし」ナデナデ
妹「ふにゃぷー」
妹友「簡単すぎない、妹ちゃん?」
兄「妹友もなでていい?」
妹友「絶対に嫌です」
兄「絶対か。まあ既にネコミミハーレムだし、いいか」
妹友「いつか刺されますよ、おにーさん」
兄「嫌だな。よし、それじゃみんなで帰ろう」
妹友「あ、本当になでないんですか」
兄「嫌がってる奴を無理になでてもしょうがないないだろ」
妹友「……そですか」
兄「?」
妹友「ほら、何をぼーっとしてるんですか。帰りますよ、おにーさん。ほらほら、兄友さんも妹ちゃんも、正気に戻って」
兄友「な、何を言っているんだ、妹友くんは。私は元より正気だ」
妹「さっきのふにゃぷーで十分に萌えただろうか。もっと甘ったるい声の方が良かったか?」
兄「……? まあいい、帰るか」
──通学路──
兄「今日は大所帯になったな」
妹「いつもは私と妹友だけだからね。そこに新参ネコミミが混じってるからね」
兄友「……もしかしなくとも、私のことを指しているのかな?」ピコピコ
兄「そうだろうね」ナデナデ
兄友「……あの、兄くん。何かにつけて私をなでるのは、その、どうなのかな? い、いや誤解してほしくないんだが、嫌ということではないんだよ? た、ただその、人の目というものがだね?」ピーン
妹友「しっぽを立てておきながらあの台詞。どう思う、妹ちゃん?」
妹「私もなでられてえ」
妹友「私の親友はおにーさんが絡むとダメだ」
妹友「それにしても、妹ちゃんも兄友さんも奇特ですね。なんでこんなのがいいんですか?」
兄「本人を前にこんなのとは酷い話だ」
兄友「わっ、私は別に兄くんのことなんて何とも思ってないぞ!? た、ただの友達であって、そ、その、なんだ?」
兄「仮にそうだとしても、断言されると泣きそうになるよね」
兄友「ああいや違うんだよ兄くん!? 本当はそうじゃなくて、いやだがしかし……ああ、どうすればいいのだい!?」
妹「私はお兄ちゃんが大好きだよ?」ピコピコ
兄「なんて嬉しいことを。妹がいてくれてよかった」ナデナデ
兄友「ああ、あああ……こ、こんなハズじゃ……」
妹「にやり」
兄友「あ、兄くん、違うのだよ? 私は決して君を嫌ってなどいない、いやそれどころか、そ……その、だから、なんだ!? ん!?」
兄「兄友は何を焦っているのだ」
兄友「あ、焦る!? わ、私のどこが焦っているというのだ!?」
兄「よく分からんが落ち着け」ナデナデ
兄友「あ、うぅ……///」
妹「ちくしょう、私もあんな感じで優しくなでられてえ。どうすればいい」
兄「あんな感じというのがよく分からないが、お前はお前らしくあればいいのではないだろうか」ナデナデ
妹「まあなでられるならなんでもいいや。うへへ」
妹友「……本当、何がいいんだか」
妹「ん? お兄ちゃんを共有財産にしろと言った奴が何を言っているのか」
妹友「ああ、あれはそういう意味じゃなくて、男手が必要な時に借りやすいからそういう風に言ったの」
兄「隠し腕」ナデナデ
兄友「あ、兄くん、別に隠してもなんでもないように思えるのだけれど?」
妹友「……それだけよ」
妹「……まあいいケド。私としては好都合だし。ただ、まあ、親友だからな」
妹友「何の話だか」
妹「遠慮とか訳の分からないことを言うならぶっとばすって話だ」
妹友「……何のことかさっぱりよ」
兄「いかん、兄友を執拗になでていたら興奮してきた」
兄友「あああ兄くん!? な、何を言っているのだい君は!?///」
妹「ちくしょう私も混ぜろ。どさくさに紛れて挿入しやがれお兄ちゃん」
妹友「……はぁ。おいてめぇらいい加減にしないと存在が法で規制されるぞ」
──妹友宅──
妹友「……ふう。疲れた」
妹友「妹ちゃんだけでも驚いたのに、まさか兄友さんまでねぇ」
妹友「……ネコミミ、ね。私のガラじゃないわね」
妹友「……でも、もし私にも生えたら、おにーさんは……」
妹友「…………」
妹友「! べ、別に私は、あんな人のことなんて、全然……」
妹友「……何言ってんだろ、私。今日は早めに寝よ」
妹友「……寝たら何も考えなくてすむもんね」
???『…………』
妹友『……? なんで私を……?』
???『願いを……』
妹友「……ん、ん~っ。……ん? ……なるほど」
兄「良し。良し。良し」ナデナデ
兄友「えっ、あっ、あ、はは……な、なでられてるね///」
妹友「ど、どういうことなんですか、兄友さんっ!」
妹「ふしゃー」
兄友「何、どういうことも何も、昨日兄くんから聞いた現象が私にも起こっただけだ。起きると私の掌に猫薬が握られていたんだ」
妹友「……まあいいです、100歩譲ってそうだとしましょう。でも、だからってどうしてそれを飲んじゃうんですか?」
兄友「そ、それは……」チラッ
兄「良し良し良し良し」ナデナデ
兄友「じっ、純粋なる興味だよ、妹友くん。人に獣の耳が生えるという奇跡を、身を持って体験できるまたとない機会だったのでね?」
妹友「信憑性が欠片も感じられません」
兄友「何を言うのだね、妹友くんは。私が嘘をついているとでも」
兄「ああ妹のネコミミもいいがクールビューティーな兄友のネコミミもいいなあ」ナデナデ
兄友「……う、嘘をついているとでも言うのかい?///」ピーン
妹友「……猫は嬉しいとしっぽが立つといいます。偶然でしょうが、兄友さんのしっぽも立ってますね?」
兄友「ぐ、偶然だとも。生えたてなので、まだ上手に扱えないだけさ」ピーン
兄「そうだ、ノドの下もなでてみよう」
兄友「あっ、兄くんっ!? そ、そんなところを……ああ、あああ///」
妹友「これはひどい」
妹「ふしゃー」
兄「堪能した」
兄友「はぁ……はぁ……///」
妹友「うわ、エロッ」
兄友「ど、どこがだ! ただ執拗になでられただけだ!」
妹友「頬を上気させ、髪はほつれ、タイも乱れている。ここだけ見たら完全に事後ですよ」
兄友「じっ、事後!? な、何を言っているのだ、妹友くんは。た、ただ、その、なんだ。兄くんに可愛がられただけだ。……か、可愛がられた///」
妹「ふしゃー」
妹友「はいそこ、自分で言っておいて照れない。妹ちゃんもいい加減理性を取り戻して」
妹「ちくしょう、アドバンテージを奪われたか。こうなったらやりにくいぜ。もっと猫力が必要か」
兄「それにしても、ネコミミの女の子が二人もいて幸せだ」ナデナデ
兄友「ああ、またなでなでと……ああ、あああ///」
妹「ふにゃー。たまらん」
兄「ダブルなでなで。どう?」
妹友「日本が銃社会じゃなくて助かりましたね」
──校門前──
兄「じゃあ後でな、二人とも」
妹「くそぅ、猫力をたくわえねば。……なんだ、猫力って」
妹友「ええ、またお昼に。それと兄友さん、くれぐれも早まらないように」
兄友「ななっ、何を早まるというのだね妹友くん? わ、私が何かしでかすとでも?」
妹友「その新しい武器は、おにーさんには効果抜群ですから。……抜け駆けはナシですよ? 妹ちゃんが悲しみますから」
妹「泣くぜ」
兄「ほう、鳴くのか。やってみて」
妹「にゃあにゃあ」
兄「これは可愛い」ナデナデ
妹「しめしめ」
妹友「おにーさんは会話に入って来ないでください」
兄友「心配などせずとも、別に私は何もする気なんてないよ。兄くんはただの友人だ。そうだろう?」
兄「時折性的な目で見てはいるが、基本的にはそうだな」
兄友「せっ、性!? う、わ、私をだぞ!? な、何を言っているのだ兄くんは!?///」
兄「偶然にも今そんな目で見てる。なんかえろいんだよな、兄友は」
兄友「う、うぅ……あ、あまりそんな目で見ないでくれたまえ。私にも、一応羞恥心というものがあるのだよ///」ピシピシ
兄「ああしっぽでイヤイヤされた。これはたまらない」ナデナデ
兄友「……うぅ///」
妹友「舌の根が乾く前に抜け駆けされてるよ、妹ちゃん」
妹「しょうがない。脱ぐか」
兄「脱ぐな」ペシッ
妹「にゃー」
──二年教室──
兄友「普通に教室に来たけど……そうだね、そりゃざわつくよ」
兄「割と普通に接していたが、ネコミミ生えてるものな。俺は全く問題ないというか嬉しい話なんだが、一般人は面食らうよな」
兄友「うぅ……やはり、皆が見ているよ。少し、恥ずかしいね」
兄「大丈夫だ、兄友。そんな表情も、そそる」
兄友「なんの慰めにもなっていないことに気づいてるかな?」
兄「それにしてもネコミミの兄友は可愛いなあ。一日中顔を舐めていたいなあ」
兄友「えええっ!?」
兄「あ、なんか心の声が漏れた気がする。……まあ、気のせいか」
兄友「そっ、そそそそうだとも。わ、私は何も聞かなかったよ?///」
兄「そうか、それは良かった。ところで提案なんだが、一日中顔を舐めてもいいか?」
兄友「……人が必死で聞き逃したというのに、どうして改めて聞いてしまうのだい、兄くん?///」
兄「照れ怒る兄友は可愛いなあ」
教師「はーい、授業をはじめま……ひっ、職員室で話題のネコミミ生徒が増えてる!? 呪い!?」
兄「20歳以上の女性が感染すると死にます」
教師「助けてぇ!」
兄友「しれっと嘘を教えるものではないよ、兄くん」
──1年教室──
妹友「それにしても兄友さんにもネコミミが生えるなんて……どうなってるのかしら」
妹「ちくしょう、人のチャームポイントをパクリやがって。許せねえ。にゃあにゃあ言ってりゃ可愛いとでも思ってんのか」
妹友「兄友さんはにゃあなんて言ってないわよ?」
妹「そういえば私しか言ってなかった。まあここにはお兄ちゃんいないし、バレても問題ない」
妹友「本当に妹ちゃんは……」
妹「かわいかろう? だが許せ妹友、私には百合属性はないのだ。妄想は許すから適当に自分を慰めてろ」
妹友「ダヴァイ(来い)」
妹「しゅっしゅっ」
教師「はい、授業を始め……なんで教室で猫耳少女がボクシングやってんだ」
──中庭──
妹「あ゛~~~~~……」ダレーン
妹友「だらけすぎよ、妹ちゃん」
妹「お兄ちゃんがいないのに張り切っても……この気配は! お兄ちゃんが来た!」ピコーン
兄「そう、お兄ちゃんが来ました。お待たせ、二人とも」ナデナデ
妹「ああ数時間ぶりのなでなではたまらない。ああもう一生お兄ちゃんになでられてえ。なでられ奴隷になりてえ」スリスリ
妹友「……? どうしたんですか、兄友さん?」
兄友「……いや、その」
兄「兄友に生えたネコミミを見に、休み時間ごとに代わる代わる見物人がやってきてね。疲れているようだ」
兄友「それも一因だが、私が疲弊している真の原因は、その見物人を追い払うため、兄くんが私に負ぶさり、ずっと私のネコミミに頬ずりしていたからだ」
妹友「ほう」
妹「ほう」
兄「これはいけない」
兄友「確かに効果はあった。兄くんが頬ずりをすると、皆どこかへ行ってくれた。だが、だが……う、うぅ///」
妹友「そろそろ肉片になりましょうか、おにーさん」
妹「ええいもうここで構わん、私に種を注げお兄ちゃん」
兄「それぞれ違う意味で怖い」
兄友「兄くんの息遣いが私のすぐ真上から聞こえる。兄くんの体温、そして心音が背中越しに届く。だが、何より一番感じ取れたのは、兄くんの柔らかな頬の感触だ。ネコミミから伝わるその感触、そして時折触れる兄くんの唇に、私は、……わ、私は///」
兄「いかん、一番ヤバイのはコイツか」
妹友「妹ちゃん、なんか予想以上に強敵みたいよ」
妹「ちくしょう、変態レベルが高すぎるぜ」
兄友「はっ! ……うん? どうしたんだい、みんな。もう昼だ、早く食べないとチャイムが鳴ってしまうよ?」
兄「そ、そうだな。みんな、早く食べよう」
妹友「そうですね。おにーさんへの糾弾はいつでもできますし」
兄「助けてくれ妹よ」
妹「よし。じゃあ服を脱ぐので少し待ってて」
兄「やっぱり助けなくていいや」
妹「無念」
妹「今日はお弁当持ってきたよ、お兄ちゃん。偉い?」
兄「偉い」ナデナデ
妹「ほふぅ」
兄友「…………」チラチラ
妹友「……兄友さんもなでられたいんですか?」
兄友「なっ、何を言っているんだ妹友くんはっ!? そっ、そんなわけないだろう? は、ははは、はははは」
兄「なでなでコンボが発生した」ナデナデ
兄友「……こ、コンボとやらが発生したのならば仕方がないな。うん、仕方がない///」ニコニコ
妹「ちくしょう、文句の一つも言ってやりたいが依然お兄ちゃんのなでなでが続いてるから思考が制限される。ふにゃあ」
兄「two hit nadenade!」
妹友「巻き舌をやめろ」
兄「怒られた」クニクニ
兄友「あ、あの、兄くん? そ、その、ネコミミをくりくりするのは、そ、その、やめてくれないかな? そ、その、私にも都合というものが……うんッ///」
兄「これはえろい」
妹「新技か。私にも活かせそうだ。覚える必要があるな」
兄友「う、うぅ……あまり酷いことをするものではないよ、兄くん///」ペタリ
兄「なんて破壊力だ」ナデナデ
兄友「ううう……///」
妹「うんっ。……違うな。うんっ? ……ええい、どうすればあれほど艶のある声を出せる。兄友さん、教えてください」ペコリ
兄友「えっ、ええっ!? そ、そんなことを言われても……うぅ。あ、兄くん、助けてくれないか?」
兄「いや、俺もあの技は妹に伝授してほしいと思ってる。頼む、教えてやってくれ」ペコリ
兄友「えええっ!? わ、技とかじゃないのに……」
妹友「あーそぼろ美味え」
兄「結局教えてくれなかった。兄友はずるいね」
妹「ね」
兄友「うう……ずるいとかじゃないのに……」
妹友「茶番は終わったようですね」
兄「酷いな。今日はツッコミもなかったし」
妹友「さすがに三人相手に立ち回れる技術は持ってないもので」
兄友「わ、私も数に入っているのか!?」
妹友「この時間に関してなら、一番の強敵でしたよ」
兄友「うう……これでも常識人を自負しているつもりだったのだが……」
兄「ネコミミ生やしておいて常識も何もないだろ」ナデナデ
兄友「こ、これは、その……兄くんはひどいな」プゥ
兄「頬を膨らませるだと。そんなスキルまで隠し持っていたか」ナデナデナデ
妹「くそぅ、くそぅ。妬ましい、兄友さんが妬ましいぞ」
兄友「あ、あの、兄くん? ちょ、ちょっとなでなでが激しいような……あッ! こ、こら、ミミをくりくりするのはやめたまえと……んッ///」
妹友「あー茶が美味ぇ」
兄「堪能した」
妹「腹ン中が嫉妬でパンパンだぜ」
兄友「はぁ……はぁ……あ、兄くん。ミミをくりくりするのはやめてくれと、あれほど言ったのに……」
妹友「やっと終わりましたか。もうあまり時間が残ってませんよ」
兄「しまった、ネコミミ無双に夢中になるあまりに。仕方ない、急いで食おう」
妹「そうだね。じゃあお兄ちゃん、あーん」
兄「いや、今日は箸を持ってきて……あれ? 妹、俺の箸は?」
妹「昨日のあーんが楽しかったので、故意に忘れてきた。はい、あーん」
兄「えぇー」
兄友「あの、差し出がましいようだが、予備の箸なら私が持っているのだが……」
妹「ちっ」
兄「こら、舌打ちなどするものではない。もっとネコミミ娘らしく可愛く行動するように」
妹「そうだね、お兄ちゃん。舌打ちなんてしてごめんなさい、兄友さん。にゃー」
兄友「い、いや、別に私は構わないが……」
妹友「ネコミミを品性の基準に持ってくるのは、ちょっと理解が届かないわね」
妹「どうだ、お兄ちゃん。ネコミミらしかった?」
兄「うむ、語尾が素晴らしかったぞ」ナデナデ
妹「ほふー」
兄友「ところで、箸の件はどうなったのかな? 渡してもいいし、兄くんが望むなら、そ、その、昨日のように、その、だな。……あ、あーんをしても///」
兄「折角の提案だが、箸を貸してもらえるとありがたい」
兄友「そ、そうだね。当然そちらを選ぶに決まっているよ。はは。ははは」ションボリ
妹友「見て妹ちゃん、兄友さんのしっぽがだらんと垂れてるわ。悲しいみたいね」
妹「しっぽを完全に使いこなしている。ちくしょう、ネコミミでは勝ってるが、しっぽはリードを奪われてやがる。もっと精進が必要だぜ」
妹友「基準が分からないわ」
兄友「ほら、兄くん。箸だ、使ってくれ」
兄「ああ。ありがとう、兄友」
兄友「いやいや。こういう時のために持ってきたんだ、気にせず使ってくれると、こちらこそ嬉しいよ」
兄友(…………)
兄友(兄くんの使用済み箸。……な、なんて貴重なものが手に入るんだ!)
妹「お兄ちゃん、使い終わったらちゃんと洗って返さないとダメだよ?」
兄「ああ、そう言えばそうだな。教えてくれてありがとう、妹」
兄友「えええっ!? えっ、あっ、やっ、そ、そんな必要はないよ? ほ、ほら、友達だろう? わ、私は全く気にしないよ?」
兄「いや、友達だろうがなんだろうがケジメは大事だ。ちゃんと洗わせてもらう。まあ、本来ならこんなことは自分で気づかないとダメなんだけどな。はっはっは」
兄友「そ、そうかい。……はぁ」
妹友「すごいわ、妹ちゃん」
妹「これが妹の底力だー」
兄「何か目に見えない所で諍いがあったような気がしたが、気のせいだ」
兄「げぷ。さて、飯も食い終わったし、そろそろ教室に戻るか」
兄友「そうだね。それじゃ行こう、兄くん」
妹「もうちょっとだけ一緒にいたいと願うことは罪なのか、お兄ちゃん」シュルリ
兄「いや、まだ少しだけ時間があるから構わないが、どうしてしっぽを俺の腕に巻き付けるのだい、妹よ」
妹「未練が私のしっぽを突き動かすの」
兄「なるほど。ならその未練、解きほぐしてくれよう」ムギュー
妹「! よもやなでなでではなく、抱っこが来ようとは。これだからお兄ちゃんは最高だ」スリスリ
妹友「おいそこの実の兄妹、TPOって分かるか?」
兄友(抱っこ。……いいなあ)
──校庭──
兄「そう言えば5時間目は体育だった。飯を食ってすぐにランニングと、教師の体罰は留まることを知らない」
教師「せめてそういうことは教師のいないところで言え」
兄「悔し紛れに吐瀉でもしてやりたいところだ」
教師「だから、そういうことを淡々と言うなッ! 怖ぇよ!」
級友A「おい、兄。ちょっとこっち来い」
兄「呼ばれた」
教師「あー怖かった」
級友A「おー来た来た。ほら、今日は女子が高飛びしてるぞ」
兄「本当だ。お、兄友もいる」
級友A「向こうも気づいたみたいだな。……恥ずかしそうに手ぇ振ってるな」
兄「くそぅ、負けるか。こっちも振ってやる!」
級友A「何の対抗意識だ! ああ兄友さんが他の子に何か言われてる。……ああチクショウ。いいなあ」
兄「ネコミミが? 野郎に生えても楽しくないと思うが、価値観はそれぞれだ、個人で楽しむ分にはいいと思うぞ」
級友A「違えよッ!」
兄友「うぅ……兄くんめ。ちょっと手を振ったら必死に振り返したりして。……頑張るしかないじゃないか」
級友A「おおおっ!? おい見たか兄! すげぇぞ兄友さん! あんな軽々とバーを超えて……しかも、あんな綺麗に……」
兄「しっぽがいいなあ」
兄友「……ふぅ、なんとか成功したか。……よかった」
兄友「結局、他の生徒は皆失敗し、私ともう一人だけが成功したか」
兄友「バーが一段階上がる。……そういえば、彼女は陸上部だったな。負けて当然。……だが」
兄友(兄くんが見ている。……無様なマネだけはできそうにないね)
兄友「……私の番か。……さて、と」
兄友「…………」トボトボ
兄「よう」
兄友「……ああ、兄くんか。何か用かい? 生憎と、私はマットの片付けを任されているんだ。用がなければ邪魔しないでくれるかな?」
兄「暇なんで手伝いに来た」
兄友「……それは、折角だが、断らせてもらうよ。次の授業まで時間もないし、私を手伝っていたら兄くんの着替える時間がなくなってしまうよ?」
兄「暇なんで手伝いに来た」
兄友「…………。……はぁ、強情だね、兄くんは。仕方ない、そこまで言うなら手伝ってもいいよ」
兄「そうか。よかった」
兄友「…………」ズルズル
兄「…………」ズルズル
兄友「……どうして、何も言わないんだい?」ズルズル
兄「マットを引っ張るので精一杯なんだ」ズルズル
兄友「……嘘ばっかり。女子一人でも動かせる重さだよ、これは」ズルズル
兄「女子より筋力が劣ってるなんて、みんなには黙っておいてくれよ」ズルズル
兄友「……ふふ、ははは。ははははっ」
兄「そうそう。女の子はそうやって笑ってるのが一番可愛い」ズルズル
兄友「きっ、君は、本当に……ああ、うん。そうだな、私も一応女だからな」
兄「しかも、ネコミミ少女だからな。ちょお可愛い」ズルズル
兄友「そうかい? もしその言葉が本当なら、私はとても嬉しく思うよ」
兄「嘘なんか言わないよ。……よし、どうにか体育倉庫に運べたな。ああ疲れた」
兄友「お疲れ様。ごめんよ、後半は君一人に任せてしまったようだね」
兄「いいさ」ナデナデ
兄友「……兄くん」
兄「手がマットで汚れたので兄友の頭で掃除してるんだからねっ」ナデナデ
兄友「兄くん、嬉しくないよ……」
兄「ツンデレは世界共通だと思ったが。うーん。ええと、それじゃ、ネコミミに触りたくてたまらなかったんだ?」ナデナデ
兄友「私に聞かれても困るよ」
兄「それもそうだな。うーんうーんうーん」ナデナデ
兄友「……大丈夫だよ、兄くん。私はもう元気だよ?」
兄「なんだそ……い、いや、俺は兄友のネコミミを触りたくて仕方がないからなでただけだぞ?」
兄友「……♪」シュルリ
兄「ええと。兄友のしっぽが俺の腕に巻き付いているのだが」
兄友「あ、あれ? お、おかしいな、そんなつもりはないのに……」シュルシュルリ
兄「巻きつく一方だ」
兄友「あ、あれ? ち、違うんだよ兄くん? 私は外そうとしているんだよ?」シュルシュルシュル
兄「……まあいい。時間もないし、このまま戻るか」
兄友「ふぇええ!? そ、そんな、恥ずかしいじゃないか!」
兄「ネコミミなんて恥ずかしいモノを生やしておいて、今更恥ずかしいも何もないだろ」
兄友「そんな風に思っていたのかい!? な、なんのために私は……」
兄「いや、恥ずかしいけど超可愛いよね。個人的な意見でいいなら大好きです」
兄友「……それなら、まあ、いいよ。でも、それなら恥ずかしいモノなんて言わないでほしいね」プゥ
兄「またか。またその頬を膨らませる技か。いったい俺を惑わせてどうするつもりだ」ナデナデ
兄友「べ、別にそんなつもりはないよ! た、ただちょっと、不満が顔に出てしまっただけで、そ、その……う、うぅ///」
兄「ああ兄友の顔を一日中舐めてえ」ナデナデ
兄友「まだそれを言うのかい!?」
──1年教室──
妹「! この感じ……兄友さんか!」
教師「妹さん、授業中に突然立たないでください」
妹「ちくしょう、お兄ちゃんを篭絡しているな。ああもう1年早く生まれていればこんなことには。だが年下だからこそ妹として甘やかされているのもまた事実」
妹友「おいそこのネコミミニュータイプ黙って座れ」
妹「きゅりりーん」
妹友「光るな」
──2年教室──
兄「今日も終わった終わった。さてと、かえ」
兄友「あ、兄くん。いま帰りかい? 偶然だね、私も今日は生徒会がないから帰れるんだ。そ、その、よかったら一緒に帰らないかい?」
兄「腰を浮かしかけたその瞬間、兄友が素早い動きで俺の机の前までやってきて早口にまくし立てた。突然のことに頭が真っ白になる」
兄友「ものすごく冷静に説明してるのは、私の気のせいかな? ……それで、どうだい? その、無理にとは言わないが」ピコピコ
兄「そして冷静になった。ネコミミが可愛いから帰ろう」ナデナデ
妹「今日も妹が登場……くそぅ、予感は的中か。お兄ちゃんのなでなでが兄友さんに」
妹友「ものすごいだらしない顔でニヘニヘしてるわね、兄友さん」
妹「憎い、兄友さんが憎いぞ。嫉妬の炎で焦げそうだ」
兄「あ、二人とも来たのか」
妹「お兄ちゃん、どういうことなのか可愛い妹に説明を」
兄「よしよし」ナデナデ
妹「ふにゃぷー」
妹友「簡単すぎない、妹ちゃん?」
兄「妹友もなでていい?」
妹友「絶対に嫌です」
兄「絶対か。まあ既にネコミミハーレムだし、いいか」
妹友「いつか刺されますよ、おにーさん」
兄「嫌だな。よし、それじゃみんなで帰ろう」
妹友「あ、本当になでないんですか」
兄「嫌がってる奴を無理になでてもしょうがないないだろ」
妹友「……そですか」
兄「?」
妹友「ほら、何をぼーっとしてるんですか。帰りますよ、おにーさん。ほらほら、兄友さんも妹ちゃんも、正気に戻って」
兄友「な、何を言っているんだ、妹友くんは。私は元より正気だ」
妹「さっきのふにゃぷーで十分に萌えただろうか。もっと甘ったるい声の方が良かったか?」
兄「……? まあいい、帰るか」
──通学路──
兄「今日は大所帯になったな」
妹「いつもは私と妹友だけだからね。そこに新参ネコミミが混じってるからね」
兄友「……もしかしなくとも、私のことを指しているのかな?」ピコピコ
兄「そうだろうね」ナデナデ
兄友「……あの、兄くん。何かにつけて私をなでるのは、その、どうなのかな? い、いや誤解してほしくないんだが、嫌ということではないんだよ? た、ただその、人の目というものがだね?」ピーン
妹友「しっぽを立てておきながらあの台詞。どう思う、妹ちゃん?」
妹「私もなでられてえ」
妹友「私の親友はおにーさんが絡むとダメだ」
妹友「それにしても、妹ちゃんも兄友さんも奇特ですね。なんでこんなのがいいんですか?」
兄「本人を前にこんなのとは酷い話だ」
兄友「わっ、私は別に兄くんのことなんて何とも思ってないぞ!? た、ただの友達であって、そ、その、なんだ?」
兄「仮にそうだとしても、断言されると泣きそうになるよね」
兄友「ああいや違うんだよ兄くん!? 本当はそうじゃなくて、いやだがしかし……ああ、どうすればいいのだい!?」
妹「私はお兄ちゃんが大好きだよ?」ピコピコ
兄「なんて嬉しいことを。妹がいてくれてよかった」ナデナデ
兄友「ああ、あああ……こ、こんなハズじゃ……」
妹「にやり」
兄友「あ、兄くん、違うのだよ? 私は決して君を嫌ってなどいない、いやそれどころか、そ……その、だから、なんだ!? ん!?」
兄「兄友は何を焦っているのだ」
兄友「あ、焦る!? わ、私のどこが焦っているというのだ!?」
兄「よく分からんが落ち着け」ナデナデ
兄友「あ、うぅ……///」
妹「ちくしょう、私もあんな感じで優しくなでられてえ。どうすればいい」
兄「あんな感じというのがよく分からないが、お前はお前らしくあればいいのではないだろうか」ナデナデ
妹「まあなでられるならなんでもいいや。うへへ」
妹友「……本当、何がいいんだか」
妹「ん? お兄ちゃんを共有財産にしろと言った奴が何を言っているのか」
妹友「ああ、あれはそういう意味じゃなくて、男手が必要な時に借りやすいからそういう風に言ったの」
兄「隠し腕」ナデナデ
兄友「あ、兄くん、別に隠してもなんでもないように思えるのだけれど?」
妹友「……それだけよ」
妹「……まあいいケド。私としては好都合だし。ただ、まあ、親友だからな」
妹友「何の話だか」
妹「遠慮とか訳の分からないことを言うならぶっとばすって話だ」
妹友「……何のことかさっぱりよ」
兄「いかん、兄友を執拗になでていたら興奮してきた」
兄友「あああ兄くん!? な、何を言っているのだい君は!?///」
妹「ちくしょう私も混ぜろ。どさくさに紛れて挿入しやがれお兄ちゃん」
妹友「……はぁ。おいてめぇらいい加減にしないと存在が法で規制されるぞ」
──妹友宅──
妹友「……ふう。疲れた」
妹友「妹ちゃんだけでも驚いたのに、まさか兄友さんまでねぇ」
妹友「……ネコミミ、ね。私のガラじゃないわね」
妹友「……でも、もし私にも生えたら、おにーさんは……」
妹友「…………」
妹友「! べ、別に私は、あんな人のことなんて、全然……」
妹友「……何言ってんだろ、私。今日は早めに寝よ」
妹友「……寝たら何も考えなくてすむもんね」
???『…………』
妹友『……? なんで私を……?』
???『願いを……』
妹友「……ん、ん~っ。……ん? ……なるほど」
PR
Comment
無題
兄友かわいい!!!