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2024年11月21日
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【瑠璃葉 なでなで】

2012年05月23日
 例えどれほど嫌われようと、主君のために動く。それが、それこそが従者の勤め!
「でも俺は従者じゃなくてただの兄なので、嫌われるのは辛いです」ムニー
「に、にぃひゃま、ほっへひっはははひへふははひ」
 妹の瑠璃葉のほっぺをなんとなく引っ張ったら、涙目になっていた。
「俺の可愛い可愛い瑠璃葉を泣かせる奴は誰だ! たたっ斬ってやる!」ヒシッ
「にぃさまです! ……そ、それより、にぃさま。……あ、あの、抱っこは、その」
「ああ可愛い」ナデナデ
「はぅ……」
 瑠璃葉は困ったような顔をして、俺を見つめた。
「ち、違います。はぅではないです。にぃさま、瑠璃葉をなでないでください。瑠璃葉はもう大人ですから、なでられても嬉しくないのです」
「瑠璃葉、君は一つ思い違いをしている」
「え?」
「確かに兄は瑠璃葉を喜ばせるために頭をなでている。だが、それ以上に、兄は瑠璃葉をなでるのが大好きなのだッ!」
「に、にぃさま……」
 引かれると思いきや、なんか嬉しそうにしてませんか、瑠璃葉さん。
「はっ! ……そ、そんなの知らないです。なでないで、と瑠璃葉は言ってるのです」
「嫌です」
 はぅーって顔をされた。
「うぅ……にぃさまいじわるです」ウルウル
「げばー」
「吐血!? なんでですか、にぃさま!?」
「涙目の瑠璃葉があまりに可愛くてね。その衝撃が物理的に兄を貫き、結果口から血が溢れたんだ」
「普通の人はそんなことなりません! にぃさまが明らかに人外です……」
「瑠璃葉を守るためなら、人であることを捨てても後悔はない!」
「にぃさま……♪ あ、や、ち、違います。うっとりなんてしてません。そもそも、守られる必要なんてないです」
「必要とか必要ないとかじゃない。ただ俺が瑠璃葉を守りたいだけなんだ」
「はぅぅ! ……か、かっこよすぎです、にぃさま」
「マジか!? 襲われることなんてないのだけど、適当ぶっこいてよかった!」
「にぃさま……」
 瑠璃葉の目がジト目と呼ばれるアレな感じになっている。
「ああ、うん。よしよし」ナデナデ
「なでなでしてくださいなんて目してません、にぃさま!」
「俺の勘は今日も外れているね」ナデナデ
「そうです。にぃさまは勘が悪いです」
「いやはや」フニフニ
「あ、あの、にぃさま? なでなでがほっぺふにふにへ移行してますよ?」
「いかん、ばれた。しれっとやれば大丈夫と思ってたのに」フニフニ
「どう考えてもばれますよぉ……」
 と口では言っているものの、瑠璃葉はやめさせようとはしなかった。なんだかんだ言って優しい妹め。
「うぅー……」
 しかし、困った顔だったので、いい加減やめてあげる。
「あっ……。い、いえ、違います。やっとやめてもらえて嬉しいんです」
「何も聞いてませんが」
「にぃさまはすぐご自分に都合よく考えるので、教えているんです」
「なるほど。賢い妹だ」ナデナデ
「にぃさまはすぐに瑠璃葉をなでなでします……」
「愛と情が兄を突き動かすんだ」
「る、瑠璃葉にはそんなのないです。だからなでなでしないでください」
「同時に、愛と勇気だけが友達なんだ」
「どういうわけか、にぃさまがあんぱんまんに!?」
 イチイチ大げさに驚いてくれて、瑠璃葉は優しいなあと思った。

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