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2024年11月22日
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【頭が痛いボクっ娘】

2010年02月26日
 いつものようにボクっ娘をいじめようと梓の席へ行くと、なんだか顔色が悪い。
「梓、どした? なんか調子が悪そうだぞ?」
「ん……? うん、なんだか頭が痛くて……」
 いつもの無駄な元気もなりを潜め、梓は辛そうに額を押さえていた。
「何やってんだよ」
「う~……ボクが悪いんじゃないもん」
「そうじゃなくて」
 俺は無理やり梓を立たせた。
「ひゃっ!? た、タカシ?」
「調子悪いんだったら無理して授業なんか受けんな。ほれ、保健室行くぞ」
 梓に肩を貸し、ざわつく教室を出る。
「……タカシ、なんか優しい」
「俺はいつだって優しいさ」
「……嘘。いっつもボクのこといじめてるくせに」
「いーから病人は黙ってろ。ほれ、保健室着いたぞ」
 中に入る。運が悪いことに、養護教諭は席を外しているようだ。
 梓をベッドにそっと寝かせ、戸棚を漁り頭痛薬を探す。
「ねぇなぁ……クソッ」
「あ、あのねタカシ、ボク薬飲まなくても大丈夫だよ。寝てたらすぐ治るから」
「……そうか?」
 ベッドの側の椅子に座り、梓を見る。教室で見たときより多少顔色はよくなっているように見えた。
「ごめんな、役立たずで」
「あははっ、気にしないでよ。……タカシ、もういいよ。授業出ないと」
「たまにゃサボるのも良いさ」
「あははっ、そういうのは普段真面目に授業に出てる人のセリフだよ」
「うっせ」
 軽く梓のほっぺを引っ張る。
「う~、やっぱタカシはいじわるだ……」
「ほら、もう寝ろ。起きてちゃ治るもんも治らねえよ」
「ん……ねぇ、タカシ」
「ん?」
「その……ね? その……寝るまででいいから、……手、握っててくれる?」
 顔を半分布団で隠し、恥ずかしそうに梓は言った。
「今日は随分と甘えん坊だな」
 梓の頭を優しくなでる。梓は気持ちよさそうな、恥ずかしそうな微妙な表情を見せた。
「……だ、だって、病気の時って不安になるし……今日はタカシ優しいし、してくれるかな、って……」
「……今日だけだぞ?」
 そっと梓の手を握る。彼女の手は小さく、そして柔らかかった。
「……えへへへっ♪ タカシの手、あったかーい」
「ほら、寝るまでいてやるからもう寝ろ」
 梓の幸せそうな顔を見るのが照れくさくて、そっぽを向きながら言った。
「うん。お休み、タカシ」
「お休み、梓。いい夢を」
 空いた手で梓の頭をなでると、梓は安心したように目をつむった。
 程なくして、小さな寝息が聞こえてきたのを確認し席を立つ。
 しかし、手はしっかりと握られたままだった。手を外そうとしても、がっちり梓の指が俺の指をホールドしていて外れそうにない。
「……まぁいっか」
 再び椅子に座り、俺はくぅくぅと寝息を立てる梓の顔を見ていた。

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