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2024年11月25日
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【文化祭で周りから二人の関係をからかわれて、必死になって否定するボクっ娘】
2010年05月27日
文化祭当日。どうにか二人羽織も成功し、打ち上げパーティとなった。
「二人羽織よかったよ~! すごい面白かった!」
「え、えへへ、そっかなぁ?」
「うんうん、二人の息ピッタリって感じ! やっぱアレ? 普段から一緒にいるから二人羽織も楽勝?」
「い、いつも一緒になんていないよぉ!」
「何言ってんのよ。ずーっと一緒だったじゃないの。休み時間も昼休みも放課後も」
「そ、それは二人羽織の練習するため、しかたなくだよぉ!」
「そんなこと言って、実際のとこどうなの、別府君?」
「ん?」
机の上に置かれた料理を食うのに必死で、何も聞いてなかった。
「そ、そんな口一杯に頬張らなくても誰も取らないわよ……えっと、梓と別府君の関係の話よ」
「むぐむぐ……関係も何も、見たままだ」
「それって……もう二人は恋人ってこと?」
「ち、違うよぉ! ボクはこんないじわるなタカシのことなんて、嫌いだよぉ!」
「俺は結構好きだけどな、梓のこと」
「ふぇ……」
周囲から黄色い声が上がる。
「ぼ、ボクは嫌いだからね! ホントだからね! 嘘じゃないからね!」
梓は真っ赤な顔でまくしたてて、教室を出て行ってしまった。
「ちょ……梓出て行っちゃったよ? 追わなくていいの?」
「腹減った。食い終わるまで待っててもらおう」
再び机に向かって飯に箸を伸ばしていると、その手をむんずと捕まれた。
「い・い・か・ら、追いかけなさい!」
教室から追い出された。鍵までかけられた。
「二人で戻ってきたら、入れてあげるからね~♪」
なんて勝手な奴らだろう。俺はしかたなく梓の行きそうな場所へ足を向けた。
女子更衣室……怒られた。女子便所……悲鳴上げられた。水泳部更衣室……つるぺたツインテールに絶対死なすって言われた。屋上……いた。
「よお、何ぼーっとして……」
「あ……タカシ」
短い髪を風に遊ばせて、鉄柵にもたれた梓がそこにいた。夕日に照らされたその姿に、少しだけドキリとした。
「……どしたの? ぼーっとして」
「あ……いや、なんでもない。おまえこそ、どうしたんだ?」
「ん……」
そう言って、梓は校庭を見下ろした。釣られて俺も見る。まもなく行われるキャンプファイヤーの準備に、皆おおわらわな様子だ。
「……みんな、忙しそうだね」
「最後の締めだからな。これで祭りも終わり、明日からまたつまらん日常が戻ってくる」
「あははっ、タカシといたらつまらない日常なんてないよ。いっつも滅茶苦茶なことしてるもん」
そんな自覚はないのだが、それで梓が笑ってくれるなら、よしとしよう。
「……なぁ、梓。俺……」
「……ね、踊ろっか?」
「はぁ?」
「だから、踊ろ。キャンプファイヤーの練習」
そう言って、梓は俺の手を取った。
「お、おい」
「こうして、はい、ターン。くるっと回って、はい、ターン」
「わっ、たっ、とっ、はっ……」
梓に言われるがまま、不器用な踊りをする。
「へたっぴ」
「うるさい。こういうのは苦手なんだ」
「……だから去年、踊らなかったの?」
「ああ。……ひょっとして、踊りたかったのか?」
「……さあね。今こうして踊ってるんだから、そんなのどうでもいいよ」
俺の手を中心に、梓がくるりと回る。そして、ぎゅっと俺に抱きついた。
「お、おい」
「……嫌い、っていうのは嘘。……けど、まだ好きじゃないよ」
顔を俺の胸に押し付け、梓がささやく。
「今は、それでいいさ」
「……そっか」
日が落ちるまでの短い間、俺と梓は何も喋らず、そっと抱き合ってた。
教室に戻ると、みんなキャンプファイヤーに出かけたのだろう、誰もいなくなっていた。
「誰もいないね」
「腹減った」
机の上の料理を手づかみで食う。
「あー、もう手で食べない! お箸使いなよ、もう……」
梓は俺の手を自分のハンカチで拭き、箸を渡した。
「梓も食え。腹減ったろ?」
「ボクは二人羽織の時、ケーキをたくさん食べたから平気だよ」
そう言いながら、梓は見るとはなしに俺を見ていた。
「むぐむぐ……なんだ?」
「ぽろぽろこぼしてるよ。ホントにもう、大きな子供なんだから」
どこか嬉しそうに、梓は俺の口元をハンカチで拭った。
誰が子供だコンチクショウ、と思いながら梓を見る。梓も、俺を見ていた。目と目が合った。
誰もいない教室。静かな空間。ふたりきり。ボクっ娘。
そんなキーワードが頭をめぐる。いかん、どうしたことか梓がやけに可愛く見えてきた。
そっ、と梓のほおに触れる。まるで火に触れたように熱い。自分の心音がやけにうるさい。
「た……タカシ、ボク……ボク、ね、ホントは……」
そっと、梓の唇に……
「たっだいまー! ……あー! 梓に別府くん、やっぱそういう関係ー!?」
クラスメイトが勢いよくドアを開け、教室になだれ込んできた。
「ち、ちち違う違う違う! ボクはタカシなんて大っ嫌いだよぉ!」
……まぁ、ゆっくりやるさ。
真っ赤な顔で抗弁する梓を見ながら、そう思った。
「二人羽織よかったよ~! すごい面白かった!」
「え、えへへ、そっかなぁ?」
「うんうん、二人の息ピッタリって感じ! やっぱアレ? 普段から一緒にいるから二人羽織も楽勝?」
「い、いつも一緒になんていないよぉ!」
「何言ってんのよ。ずーっと一緒だったじゃないの。休み時間も昼休みも放課後も」
「そ、それは二人羽織の練習するため、しかたなくだよぉ!」
「そんなこと言って、実際のとこどうなの、別府君?」
「ん?」
机の上に置かれた料理を食うのに必死で、何も聞いてなかった。
「そ、そんな口一杯に頬張らなくても誰も取らないわよ……えっと、梓と別府君の関係の話よ」
「むぐむぐ……関係も何も、見たままだ」
「それって……もう二人は恋人ってこと?」
「ち、違うよぉ! ボクはこんないじわるなタカシのことなんて、嫌いだよぉ!」
「俺は結構好きだけどな、梓のこと」
「ふぇ……」
周囲から黄色い声が上がる。
「ぼ、ボクは嫌いだからね! ホントだからね! 嘘じゃないからね!」
梓は真っ赤な顔でまくしたてて、教室を出て行ってしまった。
「ちょ……梓出て行っちゃったよ? 追わなくていいの?」
「腹減った。食い終わるまで待っててもらおう」
再び机に向かって飯に箸を伸ばしていると、その手をむんずと捕まれた。
「い・い・か・ら、追いかけなさい!」
教室から追い出された。鍵までかけられた。
「二人で戻ってきたら、入れてあげるからね~♪」
なんて勝手な奴らだろう。俺はしかたなく梓の行きそうな場所へ足を向けた。
女子更衣室……怒られた。女子便所……悲鳴上げられた。水泳部更衣室……つるぺたツインテールに絶対死なすって言われた。屋上……いた。
「よお、何ぼーっとして……」
「あ……タカシ」
短い髪を風に遊ばせて、鉄柵にもたれた梓がそこにいた。夕日に照らされたその姿に、少しだけドキリとした。
「……どしたの? ぼーっとして」
「あ……いや、なんでもない。おまえこそ、どうしたんだ?」
「ん……」
そう言って、梓は校庭を見下ろした。釣られて俺も見る。まもなく行われるキャンプファイヤーの準備に、皆おおわらわな様子だ。
「……みんな、忙しそうだね」
「最後の締めだからな。これで祭りも終わり、明日からまたつまらん日常が戻ってくる」
「あははっ、タカシといたらつまらない日常なんてないよ。いっつも滅茶苦茶なことしてるもん」
そんな自覚はないのだが、それで梓が笑ってくれるなら、よしとしよう。
「……なぁ、梓。俺……」
「……ね、踊ろっか?」
「はぁ?」
「だから、踊ろ。キャンプファイヤーの練習」
そう言って、梓は俺の手を取った。
「お、おい」
「こうして、はい、ターン。くるっと回って、はい、ターン」
「わっ、たっ、とっ、はっ……」
梓に言われるがまま、不器用な踊りをする。
「へたっぴ」
「うるさい。こういうのは苦手なんだ」
「……だから去年、踊らなかったの?」
「ああ。……ひょっとして、踊りたかったのか?」
「……さあね。今こうして踊ってるんだから、そんなのどうでもいいよ」
俺の手を中心に、梓がくるりと回る。そして、ぎゅっと俺に抱きついた。
「お、おい」
「……嫌い、っていうのは嘘。……けど、まだ好きじゃないよ」
顔を俺の胸に押し付け、梓がささやく。
「今は、それでいいさ」
「……そっか」
日が落ちるまでの短い間、俺と梓は何も喋らず、そっと抱き合ってた。
教室に戻ると、みんなキャンプファイヤーに出かけたのだろう、誰もいなくなっていた。
「誰もいないね」
「腹減った」
机の上の料理を手づかみで食う。
「あー、もう手で食べない! お箸使いなよ、もう……」
梓は俺の手を自分のハンカチで拭き、箸を渡した。
「梓も食え。腹減ったろ?」
「ボクは二人羽織の時、ケーキをたくさん食べたから平気だよ」
そう言いながら、梓は見るとはなしに俺を見ていた。
「むぐむぐ……なんだ?」
「ぽろぽろこぼしてるよ。ホントにもう、大きな子供なんだから」
どこか嬉しそうに、梓は俺の口元をハンカチで拭った。
誰が子供だコンチクショウ、と思いながら梓を見る。梓も、俺を見ていた。目と目が合った。
誰もいない教室。静かな空間。ふたりきり。ボクっ娘。
そんなキーワードが頭をめぐる。いかん、どうしたことか梓がやけに可愛く見えてきた。
そっ、と梓のほおに触れる。まるで火に触れたように熱い。自分の心音がやけにうるさい。
「た……タカシ、ボク……ボク、ね、ホントは……」
そっと、梓の唇に……
「たっだいまー! ……あー! 梓に別府くん、やっぱそういう関係ー!?」
クラスメイトが勢いよくドアを開け、教室になだれ込んできた。
「ち、ちち違う違う違う! ボクはタカシなんて大っ嫌いだよぉ!」
……まぁ、ゆっくりやるさ。
真っ赤な顔で抗弁する梓を見ながら、そう思った。
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