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2024年11月24日
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【忙しくて全くツンデレに連絡しなかったら】

2010年04月17日
 春休みはなんだか妙に忙しくて、気がついたら新学期でした。新しいクラスだにゃーと思いながら教室に入ったら、なじみの顔ぶれ。そういや今年は繰り上げで、クラス替えなかったな。
 適当な席に座ってぼーっとしてると、一番馴染みのある顔が教室に入ってきた。なんだか冴えない顔で教室内をきょろきょろしてるなと思ったら、目があった。なんかすっごい笑顔になったあと、顔をぷるぷる振って真顔にした。で、なんかこっち来た。
「どういうことだよっ!」
「うわあっ」
 ずばーんと机を叩かれ、びっくりした。
「なんでずーっと連絡しないんだよっ! 新手のいじめかよ!」
 馴染みのある顔NO.1こと梓は、俺に噛み付かんばかりの勢いでまくしたてた。
「ああ、ちょっと待って。びっくりして心臓が止まってるので」
「タカシが死んだ!? ど、どしたらいいの!? ひっひっふー?」
「それはラマーズ法であり、それでは俺が妊娠していることになってしまうので却下」
「え、えと……じゃあじゃあ、どしたらいいの?」
「こういう時は人工呼吸で蘇生するのがベターではないかと」
「そっ、それだよ! ないすな案だよ! ……でも、それって溺れてる人にするんじゃないの?」
「そうなんだけど、適当言ってちゅーしたかったんだ」
「…………。タカシのばかぁっ!」
「いやいや、ボクっ娘のアレ加減には敵いません」
「アレ加減ってなんだよ!」
 ボクっ娘が怒った。
「そ、そんなのはどうでもいーの! なんで春休みの間、ずーっと連絡してこないんだよ!」
「忙しくて」
「忙しくてもちょこっと連絡する暇くらいあるだろ!」
「ハトの餌を切らしてて」
「今時連絡手段が伝書鳩のみの人なんていないっ!」
「なんだとコンチクショウ!? 分かった、お前がそう言うなら今から残りの人生の全てをかけ、連絡手段がハトのみの人を探してやる! 覚えてやがれ!」
「なんで怒ってるの!?」
「や、なんか目の前の人が怒ってたので、こっちも怒ることで中和できるかなと思ったんだ。できた?」
「できないっ! とにかく、授業終わったら待ってろよな! 一人で帰ったらボク怒るからね!」
「分かった、分身して帰る」
「普通に待ってるの!」
「はい」
 それだけ言って、梓は離れていった。なんかいっぱい怒られたなーと思ってたら、チャイムが鳴って先生が入ってきた。体育館へ行けと命令された。
 今日は初日なので、入学式だけですぐ終わった。分身の術を試したがもう一人俺が現れる気配がなかったので大人しく教室にいると、友人らと挨拶を交わした梓がこちらにやってきた。
「あ、待ってたね。偉い偉い♪」
 頭にやってきた手を素早くかわす。
「なでなでをよけるなよっ!」
「折り紙の要領で折り畳まれるのかと思ったんだ」
「どれだけボク怪力なんだよっ! ……もー、いいから帰ろ?」
「任せろ、得意だ」
「なんで普通に言えないんだろ……?」
 不思議そうな梓と一緒に学校を出る。
「でさ。何がそんな忙しかったの? ……ボクをずーっと無視するくらい忙しいことって、なに?」
「なんか恨まれてやしませんか」
 じとーっとした目つきで見られていると、そんな気がしてならない。
「気のせいだよっ」
「なんだそうか。いやよかったよかったうわははは!」
「気のせいじゃないよっ! 超恨んでるよっ! 春休みはいっぱいいっぱいタカシと遊ぼうって計画がおじゃんだよ! おじゃる丸だよ!」
 何の憂いもない笑いをしたら即意見を翻された。
「色々思うところはありますが、とりあえず。おじゃる丸ではないと思います」
「うっ、うるさいっ! れーせーに否定すんな、ばかっ!」
「あと、俺と遊びたかったのですか」
「う……な、なんだよ。ボクがタカシと遊びたいって思ったらダメなのかよ!」
「ダメではないです。いやね、春休みはバイトしてたんだけど、なんか人手が足りなかったらしく連日入る羽目になり、他の事をする余裕が全くなかったんだ。ごめんな、梓」
「……もーいーよ。あ、てことはさ、いっぱいお金あるってこと?」
「全額寄付したからないんだ」
「タカシが偽善者に成り果てた!?」
「ボクっ娘の台詞が悪意に満ち満ちている」
「だ、だって、そんなのするキャラじゃないじゃんか。あ、なんかすっごく悪いことしちゃって、その罪滅ぼしのために寄付したの?」
「ああ、実は梓の銀行口座の金を全額盗っちゃってな。あまりの罪悪感に耐え切れず、その金を全部寄付した」
「ボクだけが大損してる!?」
「ものすごく感謝されて気持ちよかった」
「タカシ悪魔だよ、悪魔超人だよ!」
「しかし、悪魔超人になる覚悟はなかったので妄想だけでやめておいた。そんな俺は偉いか?」
「……まー半分くらいはそうだと思ってたけど、ちこっとだけ信じちゃったよ。タカシって変なスキル持ってるから」
「ああ、嘘妖怪説明スキルな。就職に役立ちそうだ」
「全然全くちっとも役立たないっ! ……とにかくさ、バイト終わったんだよね? これからは暇なんだよね?」
「うん」
「……へへー」
 なんかニヤニヤしながら梓が寄ってきた。同じ距離だけ梓から離れる。
「離れるなっ!」
「だって、あのままの場所にいたら梓のあまりの可愛さに思わず手を握ってしまい、そうしたら『痴漢。慰謝料100万。明日までに現金で』ってお前に言われるから」
「ボクはそんな悪人じゃないっ! ……て、ていうかさ、可愛いとかゆーなよ」
 怒りながらも、梓は顔を赤くしながらうにゃうにゃ言った。
「ぶさいく」
「ぐーぱんち!」
 ぐーぱんちは大変痛いです。
「お前の望む通り言ったのにこの仕打ち。神はいないのか!」
「誰も悪口言えとはいってない!」
「すいません。平常運転で可愛いです」
「うっ! ……も、もー。タカシって、すぐそーゆーこと言うよね」
 満更でもない表情で、梓は俺の腕を指でうにうにした。
「貧乳ってだけで俺内部で計測される点数が+50されるからな」
「……タカシって、すぐそーゆーこと言うよね」
 先ほどと同じ台詞だが、温度差が尋常ではない。
「機嫌も直ったようだし、今からどこか遊びに行くか」
「ちっとも直ってない! ……な、直ってないけど、行く」
 俺の制服の裾をちょこんと掴み、上目遣いでこっちを見ながら梓はおずおずと言った。
「ははーん。さてはこの生物、俺を萌え殺す気だな?」
「何の話だよっ! ていうか、いきものってゆーなっ!」
 もぎゃもぎゃ言ってる梓と一緒に遊びに行きました。

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