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2024年11月22日
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【エビフライが大好物なツンデレ】
2010年03月28日
「えびふりゃー!」
「…………」
「えびふりゃー!」
「…………」
「えびあうっ!」
エビフライを掲げ、嬉しそうにりゃーりゃー言う梓の頭を軽く叩く。
「うるさい」
「うう……タカシにもエビフライの素晴らしさを伝えてあげてたのに、暴力を振るうなんて酷いよ」
「暴力って……お前なぁ」
「聞いた? 別府くん、梓ちゃんに激しい暴力を振るってるってさ」
「暴力……ああ、SMね。別府くんにとっては空気と同じくらい親しいんでしょうね。やっぱり変態ね」
耳聡く梓の言葉を聞いたクラスメイトたちが、いつものように情報を曲解して俺を蔑む。
「こらっ、梓! SMなんて10年早いぞっ! そういうことは大きくなってからしなさい!」
「ボク、タカシと同い年なんだけど……」
さりげなく梓を叱って落ちた地位を上げようとしたら、至極真っ当な事を言われたので困る。
「とにかく。エビフライを食べる時は静かに食べなさい」
「はーい。むぐむぐ」
むぐむぐ言いながら俺の弁当箱からエビフライを取る梓。……食った!?
「あああああ! “俺のエビフライ食ってもいいよ”なんて言ってないのに食った!」
「タカシ、ご飯を食べる時は静かに食べようね?」
「すいません」
優しくたしなめられたので、謝る。
「いやいやいや、そうじゃなくて! なんで俺のエビフライ食うんだよ、えびふりゃー!」
「ふふん、世界中のえびふりゃーはボクのだよ! 特にタカシのえびふりゃーは全部ボクの!」
「なんたる傲慢、なんたる独善! 許せない、許せるはずがない! 俺もえびふりゃー好きなんだ、返せ!」
「ぱくぱくぱく!」
「返せと言ってるそばから残ったえびふりゃーが全て梓の口に!?」
「もぐもぐ……げふー。あはっ、満足だよ。明日もお弁当にえびふりゃー入れてくるように。これ、めーれーだから」
「……ふふ、梓は“食い物の恨み骨髄に徹する”という格言を知らないようだな……」
近くの級友が「なんか混じってる」とか言ってるけど無視。
「た、タカシ、どしたの? なんか目が血走ってるけど……」
どしたの、なんて言いながら椅子から腰を浮かせ、逃げる素振りを見せる梓。
「逃がすか、えびふりゃー光線!」
「タカシが子供でも恥ずかしくて言えないようなことを平然と言いながら追いかけてくるよぉ!」
俺を馬鹿にしながら梓は廊下へ飛び出した。慌てて追いかける。
「はぁ……まったく、あの馬鹿。後でボクっ娘の刑だ」
梓に撒かれてしまい、気落ちしながら教室に戻る。
「…………」
すると、俺の席に小さな人影を見つけた。あれ、先輩か? 一体何を……って、
「先輩! なに俺の弁当食ってんだよ!」
「……?」
「いや、不思議そうな顔しないで。それ俺の弁当」
先輩はコクコクうなずくと、残りを一気に全部食った。
「……先輩、何か俺に恨みでも?」
「…………」
「……自分の分食べただけじゃ足りなくて、俺のを食った、ですか。……ええと、その、畜生」
梓に逃げられた恨みと合わせ、先輩のもちもちほっぺを引っ張る。おお、伸びる伸びる。
「…………」
あぅー、という感じの顔で俺を見る先輩。
「いや、あぅーは俺の方。……はぁ、腹減った」
ほっぺを離すと、先輩は訳知り顔で俺のお腹をぽんと叩いた。
「…………」
「……おいしかった、ですか。あはははは。先輩、人の神経逆なでるの上手だね」
そう言うと、先輩は偉そうに胸を張った。いや、褒めてない。
悔しいので先輩のぺた胸をまさぐると、目聡くその様子を見ていたクラスメイトに囲まれ、こんな時だけ発揮されるチームワークでぐるぐる巻きにされ、ロッカーに押し込まれた。その時間なんと30秒。
「……俺が何をしたというのだ」
「うわっ、ロッカーが喋った! 七不思議なのカナ?」
戻ってきた梓が俺の独り言を聞いて驚いていた。
「…………」
「えびふりゃー!」
「…………」
「えびあうっ!」
エビフライを掲げ、嬉しそうにりゃーりゃー言う梓の頭を軽く叩く。
「うるさい」
「うう……タカシにもエビフライの素晴らしさを伝えてあげてたのに、暴力を振るうなんて酷いよ」
「暴力って……お前なぁ」
「聞いた? 別府くん、梓ちゃんに激しい暴力を振るってるってさ」
「暴力……ああ、SMね。別府くんにとっては空気と同じくらい親しいんでしょうね。やっぱり変態ね」
耳聡く梓の言葉を聞いたクラスメイトたちが、いつものように情報を曲解して俺を蔑む。
「こらっ、梓! SMなんて10年早いぞっ! そういうことは大きくなってからしなさい!」
「ボク、タカシと同い年なんだけど……」
さりげなく梓を叱って落ちた地位を上げようとしたら、至極真っ当な事を言われたので困る。
「とにかく。エビフライを食べる時は静かに食べなさい」
「はーい。むぐむぐ」
むぐむぐ言いながら俺の弁当箱からエビフライを取る梓。……食った!?
「あああああ! “俺のエビフライ食ってもいいよ”なんて言ってないのに食った!」
「タカシ、ご飯を食べる時は静かに食べようね?」
「すいません」
優しくたしなめられたので、謝る。
「いやいやいや、そうじゃなくて! なんで俺のエビフライ食うんだよ、えびふりゃー!」
「ふふん、世界中のえびふりゃーはボクのだよ! 特にタカシのえびふりゃーは全部ボクの!」
「なんたる傲慢、なんたる独善! 許せない、許せるはずがない! 俺もえびふりゃー好きなんだ、返せ!」
「ぱくぱくぱく!」
「返せと言ってるそばから残ったえびふりゃーが全て梓の口に!?」
「もぐもぐ……げふー。あはっ、満足だよ。明日もお弁当にえびふりゃー入れてくるように。これ、めーれーだから」
「……ふふ、梓は“食い物の恨み骨髄に徹する”という格言を知らないようだな……」
近くの級友が「なんか混じってる」とか言ってるけど無視。
「た、タカシ、どしたの? なんか目が血走ってるけど……」
どしたの、なんて言いながら椅子から腰を浮かせ、逃げる素振りを見せる梓。
「逃がすか、えびふりゃー光線!」
「タカシが子供でも恥ずかしくて言えないようなことを平然と言いながら追いかけてくるよぉ!」
俺を馬鹿にしながら梓は廊下へ飛び出した。慌てて追いかける。
「はぁ……まったく、あの馬鹿。後でボクっ娘の刑だ」
梓に撒かれてしまい、気落ちしながら教室に戻る。
「…………」
すると、俺の席に小さな人影を見つけた。あれ、先輩か? 一体何を……って、
「先輩! なに俺の弁当食ってんだよ!」
「……?」
「いや、不思議そうな顔しないで。それ俺の弁当」
先輩はコクコクうなずくと、残りを一気に全部食った。
「……先輩、何か俺に恨みでも?」
「…………」
「……自分の分食べただけじゃ足りなくて、俺のを食った、ですか。……ええと、その、畜生」
梓に逃げられた恨みと合わせ、先輩のもちもちほっぺを引っ張る。おお、伸びる伸びる。
「…………」
あぅー、という感じの顔で俺を見る先輩。
「いや、あぅーは俺の方。……はぁ、腹減った」
ほっぺを離すと、先輩は訳知り顔で俺のお腹をぽんと叩いた。
「…………」
「……おいしかった、ですか。あはははは。先輩、人の神経逆なでるの上手だね」
そう言うと、先輩は偉そうに胸を張った。いや、褒めてない。
悔しいので先輩のぺた胸をまさぐると、目聡くその様子を見ていたクラスメイトに囲まれ、こんな時だけ発揮されるチームワークでぐるぐる巻きにされ、ロッカーに押し込まれた。その時間なんと30秒。
「……俺が何をしたというのだ」
「うわっ、ロッカーが喋った! 七不思議なのカナ?」
戻ってきた梓が俺の独り言を聞いて驚いていた。
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