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2024年11月21日
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【牛乳の飲めないツンデレ】

2010年04月27日
 先輩と共に中庭で昼食を食べた後、なんとなくだべってると牛乳の話になった。
「…………」
「え、飲めない? まずい? ……だから、かぁ」
 先輩の小さな体をあますとこなく見たのが気に入らなかったのか、ほっぺを引っ張られた。
「いてて……でもさ先輩、牛乳を飲まないからそんな小さいんじゃないか?」
「…………」
「え、小さくない? いやいやいや、小さいって。それは否定したらダメだろ、事実なんだから」
 先輩は気に入らないことがあると、すぐ俺のほっぺを引っ張るので困る。ほら、今も。
「先輩、俺にも痛覚があるんだからほっぺを引っ張るのはやめた方がいいぞ」
「…………」
「なに、うるさい? 知ったことか? ……ダメだぞ、人に酷いことなんかしちゃ」
 痛みは自身が体験しなければ理解できない。俺は先輩のほっぺを軽く引っ張った。
「…………」
 先輩は涙目で俺をじっと見た。……いかん、この目で見られると全部許したくなってしまう。
 しかし、先輩自身が理解してくれるまで、この手を離すわけには!
「…………」
「……やめろクソ虫、って言った?」
 先輩は涙目のままコクコク頷いた。俺は最高の笑顔で先輩のほっぺを思い切り引っ張った。
 俺より年上の人が全力で泣き出した。
「うわっ、見てアレ。別府くん、子供泣かしてるよ」
「別府マジサイテー」
 中庭にいる他の生徒たちが微妙に聞こえる声でヒソヒソと話を始めた。
「ち、違うぞ皆の集! この人は一見子供だけど、実は俺より年上なんだ!」
 しかし、評判が地の底まで落ちた俺の言葉を信用する者は誰もおらず、皆口々に俺の悪口を言いながら校舎に戻って行った。
「う、ううう……なんでこんなことに……」
 膝をついてうな垂れていると、肩を軽く叩かれた。顔を上げると、先輩のにこやかな笑顔があった。
「……嘘泣き?」
 笑顔でコクコク頷く先輩の頭に、俺はチョップするのだった。

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