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2024年11月23日
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【ハナ 楽器】

2010年01月25日
 恋人のハナと一緒にテレビ見てたら、『どんな楽器を持ってたら一番かっこいいか』というものをやっていた。
「ハナは俺が何を持ってたらかっこいいと思う?」
「な、なんでもかっこいいです……」
 ハナは顔を赤らめながら俺の手をそっと握った。それはとても嬉しいが、話が終わってしまうのでもうちょっと掘り進める。
「じゃあ、俺がどこにでも大太鼓を持ち歩いててもかっこいいか?」
「力持ちで素敵です」
 むぅ。結構厄介だな。
「ええと、じゃあアレだ、テルミン。手をかざすだけでふぉわんふぉわん鳴るぞ? 宇宙人っぽくてダメだろう」
「未来ちっくでかっこよすぎです」
「ぬぅ。……じゃあ、いっそトライアングルとかどうだ? チーンって、辛気臭いぞ?」
「三角形なのでそこにピラミッドパワーが発生し、周囲の人々を次々と健康にするのでかっこいいです」
 楽器関係なくなってきた。そしてそれはかっこいいのか。
「ダメだ、こいつ俺を褒めてばっかだ」
「だ、だって、彰人くんには褒めるところしかないから、仕方ないんです……」
「む。……え、ええい、あまり人を喜ばせるな!」
「や、やー! おでこやー!」
 普段は前髪で覆われているハナのおでこを全開にしてやる符長彰人ですこんにちは。
「む。どうして挨拶になるのだろう」
「い、いーからおでこー!」
「うん? ああ、今日もとても可愛いおでこですよ」
「手ぇ離してくださいー!」
 半泣きになっているので手を離してやる。ハナは素早く俺から離れると、急いで前髪を下ろした。
「うー……彰人くんはいじわるです。普段の彰人くんは大好きですが、私の前髪を上げようとする彰人くんは嫌いです」
「俺はどんなハナでも好きだがな!」
「ず、ずるいです! 本当は私もどんな彰人くんでも好きです! 腐乱死体でも平気です!」
「ハナの愛情が重すぎる」
「あ。思い出しました、死体ごっこしましょう、死体ごっこ」
 そう言うと、ハナは床にごろんと転がった。お腹を上にして寝そべり、こちらの様子をうかがっている。遊んで欲しくて待ってる犬みたい。
「説明しよう! 死体ごっことは俺考案の遊びで、休みの日に二人集まったら部屋で死体の如くごろりと転がるだけの何が面白いんだかっていう遊びである!」
「彰人くんが何もない場所に向かって説明を。……介護、頑張ります」
「頑張らなくていいです」
 ハナに軽くチョップしてから、ハナの近くにごろりと転がる。すると、死体であるはずのハナがもそもそこちらに寄ってきたので、頭を押さえてこれ以上近寄れなくする。
「うー。……彰人くんいじわるです。そっちにいけません」
「しっ、死体が喋ったあああああ!?」
「喋る系なのでしょうがないです」
 そんな系統の死体見たことない、と思ってたら手がお留守になっていたのか、俺の防御をかいくぐり、ハナは俺のお腹にあごを乗せた。
「ふー。……侵略成功、です」
 褒めて欲しそうな顔でこちらをじーっと見ているので、頭をなでてやる。
「んー」
 ハナは目を細ませて、気持ちよさそうに俺になでられている。
「ほふー。……このまま極楽浄土に行きそうです」
「死体が成仏を開始した」
「彰人くんがゴーストスイーパーに」
 お互いなんだこりゃっていう感じの会話を繰り広げてしまう。でも、この空気は、嫌いじゃない。
「……えへ」
 ハナもそう感じたのだろうか、俺を見つめて小さく笑った。
「……いかん。眠まってきた」
「一緒に寝るが吉、と出ました」
「ハナが占者に」
「ごごごごごー」
 戦車違いだ、と思いながら、ごごごご言いながら人の身体の上に乗ってきて、嬉しそうに笑ってる恋人をずっと見てた。

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