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2024年11月21日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉5】

2010年03月25日
 朝飯食って、出すもん出して、お姉ちゃんと妹のカナがテレビの運勢チェックに夢中になってる間にそ~っと家を出る。
 うむ、たまには一人で登校するのもいいもんだ。
 なんて思ってたら、ものすごい衝撃が後頭部を直撃した。すごく痛い。
「はーっ、はーっ、兄貴、あたし置いてくのはともかく、姉ちゃん置いてくなよ!」
 カナが肩を上下させながら俺に怒鳴っていた。たぶん、手に持ってる鞄で殴られたんだろう。
「いや、その、気づかなくて」
「んなわけあるかッ!」
「ううううう~、タカくん酷い~」
 カナに怒られてると、お姉ちゃんがひどく頼りない足つきで走ってきた。
「やあお姉ちゃん、ご機嫌いかが?」
「タカくんに追いてかれたから悲しい~。めそめそ」
 お姉ちゃんが口でめそめそ言いながら泣きまねした。
「いや、これも全てはお姉ちゃんを鍛えるため。獅子は子を千仭の谷に落とすと言うし、俺もそれに倣ってみた」
「お姉ちゃんはタカくんのお姉ちゃんだから、子じゃないよ?」
「じゃあカナを落とそう」
「なんでよッ!」
 マンホールの蓋を開けようとしたら、頭を蹴られて地面とランデブー。
「いててて……まったく、カナは乱暴だな。嫁の貰い手がなくなるぞ」
「余計なお世話よ。それに、こう見えてもあたし結構もてるのよ?」
「…………」
「何よその目は! 信じてないわね?」
「……まぁ、最近はロリコンが増えてるしなぁ」
「誰がつるぺたかッ!」
 腹を貫く勢いでボディーブローが炸裂する。朝から吐きそう。
「カナちゃんは本当にもてるんだよ。大変だね、タカくん」
「大変って、何が?」
「ね、姉ちゃん! 何言ってんの!」
 なぜか慌てているカナが、お姉ちゃんの口を塞いだ。
「むーっ、むーっ」
「あ、あはははは、変な姉ちゃんだね」
 それならカナも大概変だが、それを言うとまた殴られるので黙っておく。
「けど、カナがなぁ……なんか、寂しいな」
「なにが?」
 お姉ちゃんを解放したカナが不思議そうに問い返した。
「いや、彼氏とかできたら、お前とこうやって一緒に登校したりするのも出来なくなるんだなって。それが、なんか寂しいなって」
「……大丈夫だって。あたし結構もてるけど、本当に好きな人には振り向いてもらえないし」
「何ッ! い、いるのか! 誰だ! 俺の知ってる奴か!?」
 カナの両肩に手を置き激しく揺さぶると、カナは目をさ迷わせた。
「え、え~と、その、……一応、知ってることになる、かな?」
「どんな奴だ! 変な奴だとお兄さん許さんぞ!」
「え、えっと、変だし馬鹿だけど、本当はすっごく優しくて、……その、ずっと一緒にいたいと思える人……かな」
 カナは俺を見つめながら、頬を染めて言った。
 変で馬鹿、だけど本当は優しくて一緒にいたいと思えるような奴……誰だ?
「渡辺か?」
「校長先生じゃないの! 違うわよ!」
「う~ん……となると」
「い、いいじゃない別にそんなの! 関係ないでしょ!」
「あるに決まってるだろ。大事な妹を任せるんだから、ちゃんと俺のお眼鏡に適う奴でないと」
「……そ、そう。……それなら、多分大丈夫だよ」
「えっ、それってどういう……」
「ほっ、ほら、いいから早く学校行こ! 遅れるよ!」
 カナは顔を赤くしたまま足早に学校へ駆けて行った。
「……どういうこと、お姉ちゃん?」
「お姉ちゃんをほっとくタカくんなんて、知らないもん。お姉ちゃんも行く!」
 お姉ちゃんにも置いてかれた俺は、首を傾げながらも学校へ向かうのだった。

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