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2024年11月21日
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【布団代えを嫌がるまる】
2011年04月30日
最近暖かいので布団を冬用から春用へと変更してると、がぶりという異音が。
「ていうか痛い痛い尻が痛い! これはもう超自然的現象により尻が爆発粉砕四散したとみてよろしいか!?」
「ふがふがー!」
しかし実際はそのような現象は起こっておらず、うちのまる(元猫で現人。理由不明)が飼い主である俺の尻をがぶがぶ噛んでいるだけだった。
「噛むな。まる、噛むな」
「ふがふがー!」
俺の叱責なんてちっとも聞かずに、いやそれどころかより一層噛む力を強める始末。このままでは俺の尻が本当に爆発粉砕四散しかねない。
「噛むのをやめないと今日の飯抜き」
「ぬが!? ご主人はすぐにあちしのご飯を人質にする! ずるい!」
「お、やめたな。偉いぞ」(なでなで)
「むぬー♪ ……む?」
さっきまで怒っていたはずだが、なでられて一瞬にしてご機嫌になる我が家の猫は頭が悪い。ただ、それに疑問を抱く程度の頭脳はあるようだけど。
「で、なんで俺の尻を噛んだ」
「あ、そう! それ! それなのな! なんであちしの布団をどっかにしまっちゃう! ご主人はしまっちゃうおじさんなのな!?」
「そうなんだ」
「しまわれるのなー!?」
まるはしっぽをパンパンに膨らませながら驚くと、押入れに突っ込んだ。尻を丸出しにしたままガタガタ震えている。
「ていうか何をそんな怯えてるか。そもそも嘘だし」
「ぬ……? 嘘なのな? ご主人はしまっちゃうおじさんじゃないのな?」
「当たり前じゃないか」
まるの元まで行き、不安げなまるの頭をなでながら優しく微笑む。ネコミミがふにふにしてて気持ちいい。
「俺はまだおじさんって歳じゃないから、しまっちゃうお兄さんだな」
「やっぱりしまわれるのなー!」
再び押入れに突っ込み、尻を丸出しにしてガタガタ震えるまる。とても面白いから一生見ていたいけど、一向に話が進まないからそろそろ本当のことを教えてやる。
「嘘、嘘だっての。本当はただの学生だ」
「……本当なのな? 嘘だったら針千本飲むのな?」
「分かった、俺も男だ。嘘だったらちゃんとまるに針千本飲ませる」
「あちしじゃなくてご主人が飲むのな! あちしが飲んだらノドがうべーってなっちゃうのなー!」
「はいはい、分かった分かった」
「分かったならいいのな。あとは、布団を元に戻せば言うことないのな」
「それは、断ります」
「なんでなのなー! やっぱご主人はしまっちゃうおじさん……じゃない、しまっちゃうお兄さんなのな!? 針を千本飲むのな!」
「ちげーよ。暖かくなってきたから、春用の布団にするだけだ。お前も最近寝る時に暑いーって布団をげしげし蹴って、朝に寒いーって震えながら俺にしがみついてるじゃねえか」
「……そだったかにゃ?」
「そだったの。つーわけで、ちょい薄地の布団にするので、今日からは布団を蹴る必要がなくなります」
「むぬー……」
しかし、まるは不満げな表情。一体何が気に食わないというのだろうか。
「……暑くなくても寒くなくても、ご主人にひっついて怒らない?」
「…………」
何を心配しているのかと思ったら、こいつは。
「当然だろ。いくらでもひっつけ。飼い猫の特権だ」
「……なんかおっきくなっちゃったけど、それでもその特権は使えるのな?」
「そういう契約になっております」
「……じゃ、いいのな。言うことないのな。くっついてやるのな! はっはー!」
なんか偉そうなこと言いながら満面の笑みで飛びついてきたので、さらりとかわす。
「ふぎゃっ!?」
後ろを見ると、うちの猫が壁と一体化せんばかりにぺたりとくっついていた。
「……うぐぐ。なんでかわすのな!?」
「不思議だね」
「許しがたいのなー! ふかーっ!」
しっぽを膨らませて怒りながら人の腕をがぶがぶ噛むまるだった。痛い。
「ていうか痛い痛い尻が痛い! これはもう超自然的現象により尻が爆発粉砕四散したとみてよろしいか!?」
「ふがふがー!」
しかし実際はそのような現象は起こっておらず、うちのまる(元猫で現人。理由不明)が飼い主である俺の尻をがぶがぶ噛んでいるだけだった。
「噛むな。まる、噛むな」
「ふがふがー!」
俺の叱責なんてちっとも聞かずに、いやそれどころかより一層噛む力を強める始末。このままでは俺の尻が本当に爆発粉砕四散しかねない。
「噛むのをやめないと今日の飯抜き」
「ぬが!? ご主人はすぐにあちしのご飯を人質にする! ずるい!」
「お、やめたな。偉いぞ」(なでなで)
「むぬー♪ ……む?」
さっきまで怒っていたはずだが、なでられて一瞬にしてご機嫌になる我が家の猫は頭が悪い。ただ、それに疑問を抱く程度の頭脳はあるようだけど。
「で、なんで俺の尻を噛んだ」
「あ、そう! それ! それなのな! なんであちしの布団をどっかにしまっちゃう! ご主人はしまっちゃうおじさんなのな!?」
「そうなんだ」
「しまわれるのなー!?」
まるはしっぽをパンパンに膨らませながら驚くと、押入れに突っ込んだ。尻を丸出しにしたままガタガタ震えている。
「ていうか何をそんな怯えてるか。そもそも嘘だし」
「ぬ……? 嘘なのな? ご主人はしまっちゃうおじさんじゃないのな?」
「当たり前じゃないか」
まるの元まで行き、不安げなまるの頭をなでながら優しく微笑む。ネコミミがふにふにしてて気持ちいい。
「俺はまだおじさんって歳じゃないから、しまっちゃうお兄さんだな」
「やっぱりしまわれるのなー!」
再び押入れに突っ込み、尻を丸出しにしてガタガタ震えるまる。とても面白いから一生見ていたいけど、一向に話が進まないからそろそろ本当のことを教えてやる。
「嘘、嘘だっての。本当はただの学生だ」
「……本当なのな? 嘘だったら針千本飲むのな?」
「分かった、俺も男だ。嘘だったらちゃんとまるに針千本飲ませる」
「あちしじゃなくてご主人が飲むのな! あちしが飲んだらノドがうべーってなっちゃうのなー!」
「はいはい、分かった分かった」
「分かったならいいのな。あとは、布団を元に戻せば言うことないのな」
「それは、断ります」
「なんでなのなー! やっぱご主人はしまっちゃうおじさん……じゃない、しまっちゃうお兄さんなのな!? 針を千本飲むのな!」
「ちげーよ。暖かくなってきたから、春用の布団にするだけだ。お前も最近寝る時に暑いーって布団をげしげし蹴って、朝に寒いーって震えながら俺にしがみついてるじゃねえか」
「……そだったかにゃ?」
「そだったの。つーわけで、ちょい薄地の布団にするので、今日からは布団を蹴る必要がなくなります」
「むぬー……」
しかし、まるは不満げな表情。一体何が気に食わないというのだろうか。
「……暑くなくても寒くなくても、ご主人にひっついて怒らない?」
「…………」
何を心配しているのかと思ったら、こいつは。
「当然だろ。いくらでもひっつけ。飼い猫の特権だ」
「……なんかおっきくなっちゃったけど、それでもその特権は使えるのな?」
「そういう契約になっております」
「……じゃ、いいのな。言うことないのな。くっついてやるのな! はっはー!」
なんか偉そうなこと言いながら満面の笑みで飛びついてきたので、さらりとかわす。
「ふぎゃっ!?」
後ろを見ると、うちの猫が壁と一体化せんばかりにぺたりとくっついていた。
「……うぐぐ。なんでかわすのな!?」
「不思議だね」
「許しがたいのなー! ふかーっ!」
しっぽを膨らませて怒りながら人の腕をがぶがぶ噛むまるだった。痛い。
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【まる 初期案(予想)】
2010年02月21日
ある朝目覚めると、うちの猫、ねねこが寝ていた場所で見知らぬネコミミ美少女が裸で寝てた。
「うちの猫が美少女に! これはよくある生ぬるいラブコメの入り口と見た!」
「ぬー……うるさいのな。黙れご主人」
「あ、はいスイマセン」
叱られた。いや待て、俺が主で飼い猫が君で、なわけで! 飼い猫に叱られるのはおかしい。
「やい猫、起きろ」
「ぬー……うるさいのな。……あ、飯か? 飯なのな?」
少女は起き上がり、眠そうにまぶたをこすった。……くっ、危ない箇所が全部髪の毛で隠されており、是非とも見たい部位が見えない。いや、それより。
「おまいはねねこなのか? それとも勝手に上がりこんだ家出少女なのか? 後者の場合通報すると見せかけエロ展開に持ち込むのでそのつもりで」
「ぬ? よく分からん事を言うご主人な。どこをどー見ても……おおっ、人!」
少女は自分の体を見てびっくりした。気づいてなかったのか。
「ど、どーゆーことなご主人!? あちしのらぶりーな毛はどこへ!?」
「剃った」
「剃毛主義者めっ!」
なんでそんな言葉知ってんだ。
「いや、嘘。剃ってない。つか、マジでねねこなのか?」
「そうな。ご主人の飼い主、ねねこな」
「いやいやいや、おかしい。俺がご主人様。おまいはペット」
「違うのな。あちしが世話されてやってるのな。あちしが飼い主、ご主人は奴隷な」
当然のように言い切り、ねねこは鼻息を漏らした。不遜な奴め。
「まぁいい。ねねこが人になったのか、それとも家出少女なのか、それを今からテストする」
「面倒なのな……ふわぁぁぁ」
少女は大きなアクビをして、自分の体をペロペロ舐めた。
「正解したらササミ」
「あちしに任せるのなっ! 何するのなっ! 早く言うのな!」
ねねこの好物、ササミの名を出した途端に従順になった。……うーん、こういうところは実にねねこ的だが、どうなんだろう。まあいい、始めよう。
「…………」(アイコンタクト開始)
「ぬ? ご主人が熱視線をあちしに送ってるのな。……ああっ!」
よし、理解したな。
「あちしのおっぱいを見てるのな?」
ねねこは腕を組み、得心した様子で指を立てた。
「見てねーっ! ちょうど髪で隠れてるから見えないの! いやそうじゃなくてアイコンタクトしてるんだよっ!」
「ぼいーんぼいーん、なのな」
「人の話を聞けっ! つーかぼいんぼいん言うほどねーだろっ! 洗濯板も羨むほどのド貧乳だろうがっ! いや俺の好みに最適の素敵なボディなのでありがたいですが! サンクス神様!」
「ぬー……なんだかムカつくのな」
「褒めてるよ?」
「そうは思えないのな……」
「気にするな。じゃ、引き続きアイコンタクトするので理解しろ」
「ぬー……」
「…………」(アイコンタクト中)
「ぬ? ぬぬ、ぬー……ご主人、なんだかあちしの胸のあたりがムズムズするのは気のせいなのな?」
「き、気のせいダヨ?」
「……なんか、じーっと見られてる気がするのな」
「ききききき、気のせいに決まってるじゃないか。猫と言い張る奴のおっぱいに欲情するほど堕ちてないよ。いやだなあ。はっはっは」
「ぺろ」(乳首を隠してた髪をひょいと横へ)
「ナイスおっぱい!」
「じーっ」
「あ。……見てないよ?」
「明らかに見てたのな! ナイスおっぱいって言ったのな!」
「自分から見せたくせに……」
「まぁいいのな。見られて減るもんじゃないのな。それより、アイコンタクトの答えを言うのな」
「む、理解したというのか? ふん、自称猫に俺様の崇高な思考が理解できるはずがない。どうせ当てずっぽうだろ?」
「『ナイスおっぱい』な!」
「…………。当たり」
いや最初は違うこと考えてたんだけど、おっぱいの前に思考は全てナイスおっぱいに変換されるのです。
「やったのな! さーさみ、さーさみ!」
喜びのダンスを舞うネコミミ少女を前に、ふと我に返る。
「なぁ、本当の本当にお前はねねこなのか? どっかの家出娘とかじゃないのか? 今なら怒らないからお兄さんに本当の事を言ってみてはどうだろうか」
「ぬ、まだ言うか。あちしはねねこなのな。その証拠に、あちししか知らないご主人の秘密を知ってるのな」
「秘密? はて、清廉潔白、聖人君子を地で行く俺様に秘密なぞあろうはずがない」
「んーと……」
「ぶばー」
少女は四つんばいになって何かを探した。自然、その後ろにいる俺の視界に隠さなくてはならない縦線が晒されるので鼻血が出る。
「……あ、あったのな! ……ん? ご主人、血まみれなのな」
「良いものを見た……良いものを見た!」
「な、泣いてるのな! むせび泣いてるのな! ちょっと怖いのな! まあいいのな。はい、これ」
「ぬ?」
少女に手渡された一冊のノートを見て、血の気が引く。
「なぜ貴様がこれの存在を知っている!」
「ご主人が書き溜めてるエロパロ小説なのなー! うっふーんな描写満載なのなー!」
よし、こいつを殺して俺も死のう。
「どうなのなご主人、これであちしがねねこと証明されたと……はっ、殺気なのな!」
はっとか言いながら机に飛ぶ少女。そして再び晒される縦筋。
「ぶばー」
「ああっ、ご主人がまたしても血まみれに! ……大丈夫なのな?」
「あー、うん。大丈夫」
適度に血が抜けて冷静になったので、改めて考えてみよう。俺の秘密小説の存在を知るものは、この世でたった一匹、この部屋で飼っているねねこだけだ。
「マジでマジにねねこなのか?」
「だから、マジでマジにねねこなのな! 何度も言ってるのな! ご主人頭悪いのな……」
「なんで人になってるの?」
「知らないのな! そんなことより、さーさみ! さーさみ!」
「そんな約束したっけ?」
「超したのな! 約束を破ったらハリセンボンの片割れと結婚するのな!」
「想像を絶する罰ですね」
名前だけは可愛い芸人を思い出し、軽く身震いする。
「それが嫌だったら、早くササミを用意するのな。ごーよんさんにーいち」
「待て、分かったから結婚だけは! すぐ買ってくる!」
「いってらっしゃいなのなー♪」
裸のネコミミ少女に見送られ、サンダルで道を駆ける俺だった。
「うちの猫が美少女に! これはよくある生ぬるいラブコメの入り口と見た!」
「ぬー……うるさいのな。黙れご主人」
「あ、はいスイマセン」
叱られた。いや待て、俺が主で飼い猫が君で、なわけで! 飼い猫に叱られるのはおかしい。
「やい猫、起きろ」
「ぬー……うるさいのな。……あ、飯か? 飯なのな?」
少女は起き上がり、眠そうにまぶたをこすった。……くっ、危ない箇所が全部髪の毛で隠されており、是非とも見たい部位が見えない。いや、それより。
「おまいはねねこなのか? それとも勝手に上がりこんだ家出少女なのか? 後者の場合通報すると見せかけエロ展開に持ち込むのでそのつもりで」
「ぬ? よく分からん事を言うご主人な。どこをどー見ても……おおっ、人!」
少女は自分の体を見てびっくりした。気づいてなかったのか。
「ど、どーゆーことなご主人!? あちしのらぶりーな毛はどこへ!?」
「剃った」
「剃毛主義者めっ!」
なんでそんな言葉知ってんだ。
「いや、嘘。剃ってない。つか、マジでねねこなのか?」
「そうな。ご主人の飼い主、ねねこな」
「いやいやいや、おかしい。俺がご主人様。おまいはペット」
「違うのな。あちしが世話されてやってるのな。あちしが飼い主、ご主人は奴隷な」
当然のように言い切り、ねねこは鼻息を漏らした。不遜な奴め。
「まぁいい。ねねこが人になったのか、それとも家出少女なのか、それを今からテストする」
「面倒なのな……ふわぁぁぁ」
少女は大きなアクビをして、自分の体をペロペロ舐めた。
「正解したらササミ」
「あちしに任せるのなっ! 何するのなっ! 早く言うのな!」
ねねこの好物、ササミの名を出した途端に従順になった。……うーん、こういうところは実にねねこ的だが、どうなんだろう。まあいい、始めよう。
「…………」(アイコンタクト開始)
「ぬ? ご主人が熱視線をあちしに送ってるのな。……ああっ!」
よし、理解したな。
「あちしのおっぱいを見てるのな?」
ねねこは腕を組み、得心した様子で指を立てた。
「見てねーっ! ちょうど髪で隠れてるから見えないの! いやそうじゃなくてアイコンタクトしてるんだよっ!」
「ぼいーんぼいーん、なのな」
「人の話を聞けっ! つーかぼいんぼいん言うほどねーだろっ! 洗濯板も羨むほどのド貧乳だろうがっ! いや俺の好みに最適の素敵なボディなのでありがたいですが! サンクス神様!」
「ぬー……なんだかムカつくのな」
「褒めてるよ?」
「そうは思えないのな……」
「気にするな。じゃ、引き続きアイコンタクトするので理解しろ」
「ぬー……」
「…………」(アイコンタクト中)
「ぬ? ぬぬ、ぬー……ご主人、なんだかあちしの胸のあたりがムズムズするのは気のせいなのな?」
「き、気のせいダヨ?」
「……なんか、じーっと見られてる気がするのな」
「ききききき、気のせいに決まってるじゃないか。猫と言い張る奴のおっぱいに欲情するほど堕ちてないよ。いやだなあ。はっはっは」
「ぺろ」(乳首を隠してた髪をひょいと横へ)
「ナイスおっぱい!」
「じーっ」
「あ。……見てないよ?」
「明らかに見てたのな! ナイスおっぱいって言ったのな!」
「自分から見せたくせに……」
「まぁいいのな。見られて減るもんじゃないのな。それより、アイコンタクトの答えを言うのな」
「む、理解したというのか? ふん、自称猫に俺様の崇高な思考が理解できるはずがない。どうせ当てずっぽうだろ?」
「『ナイスおっぱい』な!」
「…………。当たり」
いや最初は違うこと考えてたんだけど、おっぱいの前に思考は全てナイスおっぱいに変換されるのです。
「やったのな! さーさみ、さーさみ!」
喜びのダンスを舞うネコミミ少女を前に、ふと我に返る。
「なぁ、本当の本当にお前はねねこなのか? どっかの家出娘とかじゃないのか? 今なら怒らないからお兄さんに本当の事を言ってみてはどうだろうか」
「ぬ、まだ言うか。あちしはねねこなのな。その証拠に、あちししか知らないご主人の秘密を知ってるのな」
「秘密? はて、清廉潔白、聖人君子を地で行く俺様に秘密なぞあろうはずがない」
「んーと……」
「ぶばー」
少女は四つんばいになって何かを探した。自然、その後ろにいる俺の視界に隠さなくてはならない縦線が晒されるので鼻血が出る。
「……あ、あったのな! ……ん? ご主人、血まみれなのな」
「良いものを見た……良いものを見た!」
「な、泣いてるのな! むせび泣いてるのな! ちょっと怖いのな! まあいいのな。はい、これ」
「ぬ?」
少女に手渡された一冊のノートを見て、血の気が引く。
「なぜ貴様がこれの存在を知っている!」
「ご主人が書き溜めてるエロパロ小説なのなー! うっふーんな描写満載なのなー!」
よし、こいつを殺して俺も死のう。
「どうなのなご主人、これであちしがねねこと証明されたと……はっ、殺気なのな!」
はっとか言いながら机に飛ぶ少女。そして再び晒される縦筋。
「ぶばー」
「ああっ、ご主人がまたしても血まみれに! ……大丈夫なのな?」
「あー、うん。大丈夫」
適度に血が抜けて冷静になったので、改めて考えてみよう。俺の秘密小説の存在を知るものは、この世でたった一匹、この部屋で飼っているねねこだけだ。
「マジでマジにねねこなのか?」
「だから、マジでマジにねねこなのな! 何度も言ってるのな! ご主人頭悪いのな……」
「なんで人になってるの?」
「知らないのな! そんなことより、さーさみ! さーさみ!」
「そんな約束したっけ?」
「超したのな! 約束を破ったらハリセンボンの片割れと結婚するのな!」
「想像を絶する罰ですね」
名前だけは可愛い芸人を思い出し、軽く身震いする。
「それが嫌だったら、早くササミを用意するのな。ごーよんさんにーいち」
「待て、分かったから結婚だけは! すぐ買ってくる!」
「いってらっしゃいなのなー♪」
裸のネコミミ少女に見送られ、サンダルで道を駆ける俺だった。
【まる 連休最後の日】
2010年02月09日
うちの飼い猫、まるが人になりました。わぁ、びっくり。
「うぬー……」
しかし、生活態度は以前と変わらず猫ペースのままなので基本寝てます。今もなんか苦しそうにまぶたをぴくぴくさせ、寝ながら俺の手に歯形をつけているので痛い。
「ぬー……む? むー……ん。……くぁぁぁぁ」
痛いなあと思ってたらゆっくりまるの目が開いた。数度目を瞬かせた後、大きなアクビを一つ。
「ぬ。おはような、飼い主の人」
「ご主人様と呼べ、駄猫」
「だびょー」
だびょーと言いながら、まるはあぐらをかく俺の膝に座った。
「はふー。ご主人は最近家にいるのな。学校辞めたのな?」
「辞めるか。ただの連休だ」
「なのな。よく分からないけど、家にいるのはいいことなのな。なぜならば、あちしと遊べるから! 喜ぶのなー! はっはー!」
「お前寝てばっかじゃん」
「眠いから仕方ないのな」
やっぱ駄猫だ、コイツ。
「くぁぁ……ぬ。また眠くなったのな」
「寝すぎると頭腐るぞ」
「ご主人は寝すぎたのな? 可哀想な。いーこいーこしてほしいのな?」
「飼い主に向かって失礼だな、キミは」
「にゃはははは。さて、寝るのな。ご主人も一緒に寝るのな」
「俺は宿題しないと。明日からまた学校だし。全然手つけてないし、ちょっとはやっておかないとな」
「え……ずーっとずーっと休みじゃないのな?」
「幸か不幸かまだ毎日が日曜日状態ではないので、明日は学校。休みは今日まで」
「……つまんないのな」
するりと俺から離れ、まるは机の下に潜った。狭そう。
「ぬ……体がおっきくなったのは嬉しいけど、こういう時は不便なのな。ご主人、あちしを小さくすれ」
「分かった。ちょっと斧を取ってくるから待ってろ」
「殺されるのな!」
尻をこちらに向け、まるはガタガタ震えだした。しっぽがくるりと腹側に回ってることから、マジで怖がってるようだ。
「冗談、冗談だ」
「……本当なのな? 嘘ついてないのな?」
「…………。当然じゃないか!」
「その間はなんなのな! あちしは賢いから騙されないのな! きっとあちしを出汁に猫汁を作るつもりなのな! おいしそうなのな! あちしも飲みたい!」
「猫って馬鹿なんだなあ」
「馬鹿にするにゃー!」
まるのしっぽが膨れた。
「はいはい、いーから出た出た。そこにいられると宿題できねーだろうが」
「! ふふん、断るのな。あちしがいる限り、ご主人はずっと宿題ができなくて、学校に行けないのな。そうすれば、ずっとずっとあちしと一緒な。んで、一緒にお昼寝な。幸せなのな」
さも名案だ、といった様子でまるはしっぽを立てた。
「いや、どっちにしろ学校には行くぞ」
「がーん!」
「がーん?」
「……なんでなのな。そんなにあちしが嫌いなのな?」
「いやいや、いやいやいや。好きとか嫌いとかじゃなくて。宿題の出来はともかく、学校に登校するのは決定済みだ」
「いーやーなーのーなー! あちしといるのなー! 一緒に昼寝するのなー!」
まるは子供みたいにじたじたと暴れだした。しかし、体は大人(というには少々つるぺたに過ぎるが)なので、被害は相応に出る。
「こら暴れんな! ああ机が、机があ!」
「にゃ?」
俺が使ってる机は古いものなので、防御力生命力共に低い。ゆえに、まるの攻撃で容易く足が折れたりする。
「……折れたのな」
「折った、だ、阿呆!」
まるの頭にげんこつを落とす。
「ふぎゃっ! 叩いた、叩いたのな! あちしの頭叩いたのな! 動物虐待なのな! けーさつに連絡なのな!」
「罪には罰だ! 悪いことした時に罰与えない方がダメなの! ……ったく、どうしようかな」
「ぬー……あっ、閃きそうなのな! そして閃いたのな! 決してヒラメがいたのではないので注意が必要なのな。あ、ヒラメ食べたいのな」
まるは馬鹿なんだなあ、という思いを込めながらまるの頭をなでなで。
「ぬー♪ ……いやいや、そうじゃないのな。机がないなら、あちしと遊べばいいのな。名案なのな! なでなでするのな?」
「しねぇよ」
「なんでなのなー……」
悲しそうにしっぽをうなだれさせてるまるの横で、小さくため息をつく。
「はぁ……しゃーねえ。明日朝イチで学校行って、そこで宿題すっか」
「ぬーぬー……」
「つーわけで、急遽暇になったご主人様がここにいるが、どうする?」
「……いいのな? ご主人、あちしを嫌いになったんじゃないのな?」
「怒りはしたが、嫌いになんかなってないし、ならない。ほれ、早くしないと気が変わるぞ」
「……抱っこ、してほしいのな」
「ほい。来い」
ぱんと一発手を叩き、あぐらをかいて手招き。
「にゅー……」
まるはおずおずとその上に乗った。
「……で、なでなでしてほしいのな」
「乳を?」
「ご主人えっちなのな! えっちなのはいけないと思うますなのな! なんか、ご主人がむふーむふー言いながら見てたテレビの台詞なのな」
まるとは猫時代からずっと一緒に住んでるので秘密を握られており、色々恥ずかしい。
「おっぱいより、頭をなでなでするのな」
「俺はおっぱいがいい」
「あたまー! 頭なでなでするのなー!」
「わがままな奴め……」
まあいいや。適当にまるの頭をなでる。
「ぬーぬー♪ なでるのな、もっともっとなでるのな、ご主人」
「分かった、火が出るくらいなでる」
「今すぐ離れるのな!」
ものすごい警戒された。
「冗談に決まってるだろーが。ほりほり」
まるのアゴをくりくりと指でかいてやる。
「むぬー♪ ご主人、てくにしゃんなのな。涎出そーなのな」
「出てるっ!」
「ぬ?」
まるの口元から涎がだろーんと出ていた。
「まあ、気にしないのな。それよりなでなでするのな、なでなでするのな」
「気にしろっ! ああもうっ、ほれティッシュティッシュ!」
「ぬー」
まるの口元にティッシュを押し当てぐしぐしすると、迷惑そうな顔をされた。
「ご主人、心が狭いのな……」
「その通り。超狭いので、これ以上まるをなでなでしない」
「がーん!」
「がーん?」
「ご主人はずるいのな! なんか知んないけど、なでなでしてもらえなくなったのな!」
「なんか知らないけど、ではなく、涎をこぼすを是としたのでなでなくなったの」
「むぬー……んじゃ、だれーんってしなかったらなでなでするのな?」
「まあ、やぶさかではない」
「ご主人、すぐ難しい言葉使う……やぶさかってなんなのな! 草むらなのな!?」
「なんで怒ってるんだよ……」
「なでなでしてくんなくなったからなのなー! ふがー!」
ふがー言いながらまるは俺の上でじたじた暴れだした。
「ああもう、落ち着け! 喰らえ、いま必殺の……なでなで!」
「ふにゅふにゅふにゅ……ぬー」
「落ち着いた心地か?」
「心地なー……。なーご主人」
「ん?」
「呼んだだけなのなー♪」
「ははは、こやつめ」
「……なんか知んないけど、髭のおっさんが頭に浮かんだのな。あちし、病気なのな?」
「そうだよ」
「死んじゃうのなー!」
泣き叫ぶまるは可愛いなあ。
「うぬー……」
しかし、生活態度は以前と変わらず猫ペースのままなので基本寝てます。今もなんか苦しそうにまぶたをぴくぴくさせ、寝ながら俺の手に歯形をつけているので痛い。
「ぬー……む? むー……ん。……くぁぁぁぁ」
痛いなあと思ってたらゆっくりまるの目が開いた。数度目を瞬かせた後、大きなアクビを一つ。
「ぬ。おはような、飼い主の人」
「ご主人様と呼べ、駄猫」
「だびょー」
だびょーと言いながら、まるはあぐらをかく俺の膝に座った。
「はふー。ご主人は最近家にいるのな。学校辞めたのな?」
「辞めるか。ただの連休だ」
「なのな。よく分からないけど、家にいるのはいいことなのな。なぜならば、あちしと遊べるから! 喜ぶのなー! はっはー!」
「お前寝てばっかじゃん」
「眠いから仕方ないのな」
やっぱ駄猫だ、コイツ。
「くぁぁ……ぬ。また眠くなったのな」
「寝すぎると頭腐るぞ」
「ご主人は寝すぎたのな? 可哀想な。いーこいーこしてほしいのな?」
「飼い主に向かって失礼だな、キミは」
「にゃはははは。さて、寝るのな。ご主人も一緒に寝るのな」
「俺は宿題しないと。明日からまた学校だし。全然手つけてないし、ちょっとはやっておかないとな」
「え……ずーっとずーっと休みじゃないのな?」
「幸か不幸かまだ毎日が日曜日状態ではないので、明日は学校。休みは今日まで」
「……つまんないのな」
するりと俺から離れ、まるは机の下に潜った。狭そう。
「ぬ……体がおっきくなったのは嬉しいけど、こういう時は不便なのな。ご主人、あちしを小さくすれ」
「分かった。ちょっと斧を取ってくるから待ってろ」
「殺されるのな!」
尻をこちらに向け、まるはガタガタ震えだした。しっぽがくるりと腹側に回ってることから、マジで怖がってるようだ。
「冗談、冗談だ」
「……本当なのな? 嘘ついてないのな?」
「…………。当然じゃないか!」
「その間はなんなのな! あちしは賢いから騙されないのな! きっとあちしを出汁に猫汁を作るつもりなのな! おいしそうなのな! あちしも飲みたい!」
「猫って馬鹿なんだなあ」
「馬鹿にするにゃー!」
まるのしっぽが膨れた。
「はいはい、いーから出た出た。そこにいられると宿題できねーだろうが」
「! ふふん、断るのな。あちしがいる限り、ご主人はずっと宿題ができなくて、学校に行けないのな。そうすれば、ずっとずっとあちしと一緒な。んで、一緒にお昼寝な。幸せなのな」
さも名案だ、といった様子でまるはしっぽを立てた。
「いや、どっちにしろ学校には行くぞ」
「がーん!」
「がーん?」
「……なんでなのな。そんなにあちしが嫌いなのな?」
「いやいや、いやいやいや。好きとか嫌いとかじゃなくて。宿題の出来はともかく、学校に登校するのは決定済みだ」
「いーやーなーのーなー! あちしといるのなー! 一緒に昼寝するのなー!」
まるは子供みたいにじたじたと暴れだした。しかし、体は大人(というには少々つるぺたに過ぎるが)なので、被害は相応に出る。
「こら暴れんな! ああ机が、机があ!」
「にゃ?」
俺が使ってる机は古いものなので、防御力生命力共に低い。ゆえに、まるの攻撃で容易く足が折れたりする。
「……折れたのな」
「折った、だ、阿呆!」
まるの頭にげんこつを落とす。
「ふぎゃっ! 叩いた、叩いたのな! あちしの頭叩いたのな! 動物虐待なのな! けーさつに連絡なのな!」
「罪には罰だ! 悪いことした時に罰与えない方がダメなの! ……ったく、どうしようかな」
「ぬー……あっ、閃きそうなのな! そして閃いたのな! 決してヒラメがいたのではないので注意が必要なのな。あ、ヒラメ食べたいのな」
まるは馬鹿なんだなあ、という思いを込めながらまるの頭をなでなで。
「ぬー♪ ……いやいや、そうじゃないのな。机がないなら、あちしと遊べばいいのな。名案なのな! なでなでするのな?」
「しねぇよ」
「なんでなのなー……」
悲しそうにしっぽをうなだれさせてるまるの横で、小さくため息をつく。
「はぁ……しゃーねえ。明日朝イチで学校行って、そこで宿題すっか」
「ぬーぬー……」
「つーわけで、急遽暇になったご主人様がここにいるが、どうする?」
「……いいのな? ご主人、あちしを嫌いになったんじゃないのな?」
「怒りはしたが、嫌いになんかなってないし、ならない。ほれ、早くしないと気が変わるぞ」
「……抱っこ、してほしいのな」
「ほい。来い」
ぱんと一発手を叩き、あぐらをかいて手招き。
「にゅー……」
まるはおずおずとその上に乗った。
「……で、なでなでしてほしいのな」
「乳を?」
「ご主人えっちなのな! えっちなのはいけないと思うますなのな! なんか、ご主人がむふーむふー言いながら見てたテレビの台詞なのな」
まるとは猫時代からずっと一緒に住んでるので秘密を握られており、色々恥ずかしい。
「おっぱいより、頭をなでなでするのな」
「俺はおっぱいがいい」
「あたまー! 頭なでなでするのなー!」
「わがままな奴め……」
まあいいや。適当にまるの頭をなでる。
「ぬーぬー♪ なでるのな、もっともっとなでるのな、ご主人」
「分かった、火が出るくらいなでる」
「今すぐ離れるのな!」
ものすごい警戒された。
「冗談に決まってるだろーが。ほりほり」
まるのアゴをくりくりと指でかいてやる。
「むぬー♪ ご主人、てくにしゃんなのな。涎出そーなのな」
「出てるっ!」
「ぬ?」
まるの口元から涎がだろーんと出ていた。
「まあ、気にしないのな。それよりなでなでするのな、なでなでするのな」
「気にしろっ! ああもうっ、ほれティッシュティッシュ!」
「ぬー」
まるの口元にティッシュを押し当てぐしぐしすると、迷惑そうな顔をされた。
「ご主人、心が狭いのな……」
「その通り。超狭いので、これ以上まるをなでなでしない」
「がーん!」
「がーん?」
「ご主人はずるいのな! なんか知んないけど、なでなでしてもらえなくなったのな!」
「なんか知らないけど、ではなく、涎をこぼすを是としたのでなでなくなったの」
「むぬー……んじゃ、だれーんってしなかったらなでなでするのな?」
「まあ、やぶさかではない」
「ご主人、すぐ難しい言葉使う……やぶさかってなんなのな! 草むらなのな!?」
「なんで怒ってるんだよ……」
「なでなでしてくんなくなったからなのなー! ふがー!」
ふがー言いながらまるは俺の上でじたじた暴れだした。
「ああもう、落ち着け! 喰らえ、いま必殺の……なでなで!」
「ふにゅふにゅふにゅ……ぬー」
「落ち着いた心地か?」
「心地なー……。なーご主人」
「ん?」
「呼んだだけなのなー♪」
「ははは、こやつめ」
「……なんか知んないけど、髭のおっさんが頭に浮かんだのな。あちし、病気なのな?」
「そうだよ」
「死んじゃうのなー!」
泣き叫ぶまるは可愛いなあ。
【まる ささみ】
2010年02月08日
学校から帰ると、腹を丸出しにして盛大にいびきをかいてる美少女がいた。
「誰!? アレか、冴えない僕の元に異次元から美少女がってアレか! よし来た、据え膳食うぞ!」
「むにゅ、むー……あ、おはような、ご主人」
「あ、うんおはよう」
俺の小芝居を無視し、美少女こと元俺の飼い猫で、現なんか知らんが人間になったまるが欠伸をした。
「くぁぁぁぁ~……。ぬ、ご主人、その袋なんなのな? あちしが入る袋なのな?」
俺の持つ小さなコンビニ袋を見て、まるの目が光った。こんなナリをしてるがやはり元猫、血が騒ぐのだろう。
「これほど小さな袋に収まるにはお前を複数のパーツに分ける必要があるが、まあどうしてもと言うのであればご主人様として協力してやろう。斧どこだっけっか……」
「殺されるのな!」
まるは頭から布団にもぐり、ガタガタ震えだした。
「冗談に決まっとろーが。つか、尻丸出しでスカートまくれてパンツ丸見えだぞ」
店員さんにヒソヒソされながらも買った水色ストライプが非常にまぶしい感じだ。
「ドキドキなのな?」
「うむ、土器土器」
「……なんか、あちしの思ってるドキドキと違う気がするのな」
妙に鋭い奴め。
「ほれ、それよりこの中身を知りたいと思う猫ではないのか?」
「じゃあ、思うのな。なんなのな?」
にゅるりと布団から抜け出し、まるは袋に鼻を近づけ匂いを嗅いだ。
「くんくんくん……ぬー、分からないのな」
「鼻が利かない猫なんて無意味だよな」
「ねこぱんち!」
ねこぱんちられ鼻血出た。
「ぬー……血がいっぱい出たのな。汚いのな」
「お前、俺のこと嫌いだろ」
「ぬ?」
ええい、分からないフリをしおって。
「まぁいいや……ほい、これ買ってきた」
鼻にティッシュを詰めつつ、まるの前に袋から商品を取り出す。
「おー! チョコ! チョコなのな!」
「いや、それは俺の分。お前食うと中毒起こすだろ」
「嫌なのなー! 昔っからご主人が食べてるの見て、おいしそーって思ってたのな! 食べる、食べたいー!」
まるは俺に奪われまいとチョコをしっかと握り、胸に抱きしめた。
「いや、しかしだな……うーん、でも人型になってるし、大丈夫か?」
「なのな! なのなのな!」
「でもなぁ……万が一ってこともあるしなぁ」
「だいじょーぶなのな! ご主人、しんぱいしょーなのな。ご主人はしんぱいしょー。売れるな?」
「売れねぇよ」
「なんでなのなー……」
なんで悲しそうやねん、と思いながら鼻からティッシュを抜く。お、血止まったか。
「冗談はともかく、ダメ」
一瞬のスキをついて、まるからチョコを奪う。
「あ! 取った! あちしのチョコ取った! 返すのな!」
「うべ、痛、痛いっての! お前取るんなら手狙え、手!」
チョコを取り返すべく、まるは俺の顔やら頭やらをべしばし叩いた。
「弱らせて奪うのな」
「狩猟だ!」
「むふー。ほらほら返すのな! 痛いの嫌なのな?」
「痛かろうが何だろうが、お前が病気になるのが一番嫌だからダメ」
「ぬ……」
そう言った途端、まるの攻撃がぴたりと止んだ。俺の隣に座り、労しげな視線で俺を見上げる。
「……ごめんなのな、ご主人。痛かったのな?」
「痛いのも、それはそれで」
「変態なのな! 助けてほしいのな!」
「冗談だっての。むしろ痛くする方が興奮する」
「ご主人、どっからどこまで冗談なのか分からないのな!」
「俺も時々自分で言ってて混乱する」
「ご主人、ダメダメなのな……」
がっかりされた。
「ま、とにかくだ。これはダメだけど、代わりにこれ買ってきた」
袋の中に入ってる、もうひとつのものをまるの前に出す。
「こ……こりは! ささみ! ささみなのな! さささみなのな!」
「さが一個多い」
「さささささみなのなのな?」
「うむ!」
もうちっとも分からなくなったので力強くうなずく。
「ご主人、これ、あちしが食べていいのな? ご主人の分じゃないのな?」
「いいのいいの。ほれ、食え。お前のために買ってきたんだから」
ささみをほぐしてやり、皿の上に出してやる。
「ご主人、食べさせてほしいのな。あーんって口開けたいのな」
「え、いや、猫時代は確かに食べさせたりもしたけど、既に時代は人へと移行しているので、それはちょっと」
「……食べさせて、くんないのな?」
おめめうるうるさせるなんて、どこでそんな超技術身に付けたの、まるさん。
「あげるともっさ!」
ええ、そりゃもう断る理由なんてこの銀河に存在しませんよ。容易く篭絡しましたよ。
「やったのなー♪ ほらほらご主人、あーんってあちしに言うのな♪」
「あー」
「違うのな! ご主人が口開けてもしょうがないのな! あちしが開けるのな! あー!」
「あー」
「あー!」
二人揃って口内を見せ合う。何コレ。
「お前、やっぱ猫だけあって八重歯すげえな。尖りまくりだ」
「あー! あーあー!」
「あーあーうるさい」
「嫌ならあーんって言ってほしいのな! あーあーあー!」
「分かったよ。ほれ、あーん」
「あー♪」
まるの大きく開いた口に、千切ったささみを放り込む。
「もむもむ……おいしい! おいしいのな! 最高なのな! 世界で一番おいしいのな! たぶん」
「それは流石にないと思うが」
「本当なのな! 嘘だと思うならご主人も食べてみるのな。はい、あーん、なのな」
まるはささみを手に取り、にっこり笑って俺に差し出した。
「え、いや、自分で食うからいい」
「あーん、なのな♪」
「……あーん」
ささみを口に入れられる。
「もぐもぐ。んー、普通」
「そんなことないのな。ご主人は頭悪いからそう感じるだけなのな」
何このちっともご主人様を敬わない駄猫。
「ほらほら、いーからあちしに食べさせるのな、あーんやるのな」
「あー」
「だから、ご主人が口開けてもしょうがないのな! あちしに食べさすのな! あー! あー!」
「うるさい。はい、あーん」
「あー♪ もむもむ……やっぱおいしいのな! このおいしさが分からないとは、ご主人の頭は可哀想なのな。いーこいーこしてほしいのな?」
「お前も大概失礼だな……ほれ、あーん」
「あー♪ もむもむ……むふー、おいしいのなー♪」
それからしばらく食べさせてたら、ささみがなくなった。
「ほい、今ので終わり」
「ぬー……足りないのな。ご主人、もっとほしいのな」
「また後日な。食いすぎると太るぞ」
「ぬー。しょうがないから、ご主人の指舐めて我慢するのな」
「ダメです」
「ぺろぺろ……塩味が利いてておいしいのな!」
「人の話を聞け」
俺の話なんて全く聞かずに、まるは人の指を舐めまくった。
「ぺろぺろ……はうー。ぺろぺろ……はうー!」
「はうはううるさい」
「ぺろぺろ……ふぬー! ぺろぺろ……ふぬー!」
別に言い方を変えればいいという話ではない、と思いながら俺の指を舐めては恍惚としているまるの頭を撫でた。
「誰!? アレか、冴えない僕の元に異次元から美少女がってアレか! よし来た、据え膳食うぞ!」
「むにゅ、むー……あ、おはような、ご主人」
「あ、うんおはよう」
俺の小芝居を無視し、美少女こと元俺の飼い猫で、現なんか知らんが人間になったまるが欠伸をした。
「くぁぁぁぁ~……。ぬ、ご主人、その袋なんなのな? あちしが入る袋なのな?」
俺の持つ小さなコンビニ袋を見て、まるの目が光った。こんなナリをしてるがやはり元猫、血が騒ぐのだろう。
「これほど小さな袋に収まるにはお前を複数のパーツに分ける必要があるが、まあどうしてもと言うのであればご主人様として協力してやろう。斧どこだっけっか……」
「殺されるのな!」
まるは頭から布団にもぐり、ガタガタ震えだした。
「冗談に決まっとろーが。つか、尻丸出しでスカートまくれてパンツ丸見えだぞ」
店員さんにヒソヒソされながらも買った水色ストライプが非常にまぶしい感じだ。
「ドキドキなのな?」
「うむ、土器土器」
「……なんか、あちしの思ってるドキドキと違う気がするのな」
妙に鋭い奴め。
「ほれ、それよりこの中身を知りたいと思う猫ではないのか?」
「じゃあ、思うのな。なんなのな?」
にゅるりと布団から抜け出し、まるは袋に鼻を近づけ匂いを嗅いだ。
「くんくんくん……ぬー、分からないのな」
「鼻が利かない猫なんて無意味だよな」
「ねこぱんち!」
ねこぱんちられ鼻血出た。
「ぬー……血がいっぱい出たのな。汚いのな」
「お前、俺のこと嫌いだろ」
「ぬ?」
ええい、分からないフリをしおって。
「まぁいいや……ほい、これ買ってきた」
鼻にティッシュを詰めつつ、まるの前に袋から商品を取り出す。
「おー! チョコ! チョコなのな!」
「いや、それは俺の分。お前食うと中毒起こすだろ」
「嫌なのなー! 昔っからご主人が食べてるの見て、おいしそーって思ってたのな! 食べる、食べたいー!」
まるは俺に奪われまいとチョコをしっかと握り、胸に抱きしめた。
「いや、しかしだな……うーん、でも人型になってるし、大丈夫か?」
「なのな! なのなのな!」
「でもなぁ……万が一ってこともあるしなぁ」
「だいじょーぶなのな! ご主人、しんぱいしょーなのな。ご主人はしんぱいしょー。売れるな?」
「売れねぇよ」
「なんでなのなー……」
なんで悲しそうやねん、と思いながら鼻からティッシュを抜く。お、血止まったか。
「冗談はともかく、ダメ」
一瞬のスキをついて、まるからチョコを奪う。
「あ! 取った! あちしのチョコ取った! 返すのな!」
「うべ、痛、痛いっての! お前取るんなら手狙え、手!」
チョコを取り返すべく、まるは俺の顔やら頭やらをべしばし叩いた。
「弱らせて奪うのな」
「狩猟だ!」
「むふー。ほらほら返すのな! 痛いの嫌なのな?」
「痛かろうが何だろうが、お前が病気になるのが一番嫌だからダメ」
「ぬ……」
そう言った途端、まるの攻撃がぴたりと止んだ。俺の隣に座り、労しげな視線で俺を見上げる。
「……ごめんなのな、ご主人。痛かったのな?」
「痛いのも、それはそれで」
「変態なのな! 助けてほしいのな!」
「冗談だっての。むしろ痛くする方が興奮する」
「ご主人、どっからどこまで冗談なのか分からないのな!」
「俺も時々自分で言ってて混乱する」
「ご主人、ダメダメなのな……」
がっかりされた。
「ま、とにかくだ。これはダメだけど、代わりにこれ買ってきた」
袋の中に入ってる、もうひとつのものをまるの前に出す。
「こ……こりは! ささみ! ささみなのな! さささみなのな!」
「さが一個多い」
「さささささみなのなのな?」
「うむ!」
もうちっとも分からなくなったので力強くうなずく。
「ご主人、これ、あちしが食べていいのな? ご主人の分じゃないのな?」
「いいのいいの。ほれ、食え。お前のために買ってきたんだから」
ささみをほぐしてやり、皿の上に出してやる。
「ご主人、食べさせてほしいのな。あーんって口開けたいのな」
「え、いや、猫時代は確かに食べさせたりもしたけど、既に時代は人へと移行しているので、それはちょっと」
「……食べさせて、くんないのな?」
おめめうるうるさせるなんて、どこでそんな超技術身に付けたの、まるさん。
「あげるともっさ!」
ええ、そりゃもう断る理由なんてこの銀河に存在しませんよ。容易く篭絡しましたよ。
「やったのなー♪ ほらほらご主人、あーんってあちしに言うのな♪」
「あー」
「違うのな! ご主人が口開けてもしょうがないのな! あちしが開けるのな! あー!」
「あー」
「あー!」
二人揃って口内を見せ合う。何コレ。
「お前、やっぱ猫だけあって八重歯すげえな。尖りまくりだ」
「あー! あーあー!」
「あーあーうるさい」
「嫌ならあーんって言ってほしいのな! あーあーあー!」
「分かったよ。ほれ、あーん」
「あー♪」
まるの大きく開いた口に、千切ったささみを放り込む。
「もむもむ……おいしい! おいしいのな! 最高なのな! 世界で一番おいしいのな! たぶん」
「それは流石にないと思うが」
「本当なのな! 嘘だと思うならご主人も食べてみるのな。はい、あーん、なのな」
まるはささみを手に取り、にっこり笑って俺に差し出した。
「え、いや、自分で食うからいい」
「あーん、なのな♪」
「……あーん」
ささみを口に入れられる。
「もぐもぐ。んー、普通」
「そんなことないのな。ご主人は頭悪いからそう感じるだけなのな」
何このちっともご主人様を敬わない駄猫。
「ほらほら、いーからあちしに食べさせるのな、あーんやるのな」
「あー」
「だから、ご主人が口開けてもしょうがないのな! あちしに食べさすのな! あー! あー!」
「うるさい。はい、あーん」
「あー♪ もむもむ……やっぱおいしいのな! このおいしさが分からないとは、ご主人の頭は可哀想なのな。いーこいーこしてほしいのな?」
「お前も大概失礼だな……ほれ、あーん」
「あー♪ もむもむ……むふー、おいしいのなー♪」
それからしばらく食べさせてたら、ささみがなくなった。
「ほい、今ので終わり」
「ぬー……足りないのな。ご主人、もっとほしいのな」
「また後日な。食いすぎると太るぞ」
「ぬー。しょうがないから、ご主人の指舐めて我慢するのな」
「ダメです」
「ぺろぺろ……塩味が利いてておいしいのな!」
「人の話を聞け」
俺の話なんて全く聞かずに、まるは人の指を舐めまくった。
「ぺろぺろ……はうー。ぺろぺろ……はうー!」
「はうはううるさい」
「ぺろぺろ……ふぬー! ぺろぺろ……ふぬー!」
別に言い方を変えればいいという話ではない、と思いながら俺の指を舐めては恍惚としているまるの頭を撫でた。
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