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2024年11月24日
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【ツンデレが怪我をしたら】
2010年03月07日
まつりと一緒にぽてぽて帰ってる最中、タイヤキ屋の前を通りかかった。
「これタカシ、わらわは小腹が空いた。そこのタイヤキを所望するのじゃ、献上せい」
わがままな姫さんがわがままを言う。普通に買ってやるのもなんだし、何より偉そうなのが気に食わない。……よし、ちょっとイタズラしよう。
「タイヤキは盗み食いするのが市井のルールだ」
「なんと! 下々は物騒じゃのう……仕方ない、やってみるのじゃ」
すんなり信じられた。まさか信じるとは思わなかったが、よく考えるとまつりは一般常識が通用しないお姫様な世界に住んでるので、信じるよね。
なんて思ってる間に、まつりはタイヤキ屋の前に移動してた。慌てて後を追う。
「これ、そこな店主。タイヤキを4つ献上せい」
「4つね。……はい、520円ね」
「うむ、ご苦労」
まつりが袋を受け取り、金を払わずに背を向けた。それを見て、俺は大きく息を吸い込んだ。
「うわあああ! まつりがタイヤキ盗んだあああ!」
「な、なんじゃとお!?」
俺の叫びを聞きつけ、街のみんながわらわらとまつりを囲みました。
「まったく! 貴様は! 余計なことばかり! するのう!」
姫ぱぅわー+俺の謝罪により騒ぎを鎮火させ、その後ちゃんと金を払ってタイヤキを手に入れた。公園に着いたのでここで食うのかと思ったが、まつりは俺の頬を引っ張るのに夢中なようで。
「盗み食いを食い止めた正義の人のほっぺを引っ張るのは、悪ですよ?」
「正義の人は嘘などつかんのじゃっ!」
それもそうだ。それはともかくいい加減頬が痛いので、適当に謝って頬を引っ張るのをやめてもらう。
「まったく……それにしても、街中でタックル喰らうとは思いもせなんだわい」
まつりを取り押さえる際、タックルしてた人がいたので、そのことを言ってるのだろう。
「貴重な体験できてよかったね」
「ちっともよくわいわいっ! ほれ見ろ、わらわの玉のような肌に傷が出来てしもうたのじゃ!」
まつりは髪をかきあげ、おでこをさらした。確かに、ちょっと血が染みていた。
「ありゃ、痛そうだな」
「痛いわいっ! どうにかせい!」
「そうだな……2つあるけど、どっちがいい?」
「……一応、両方言ってみい」
「一つはそれどころじゃなくなる方法、もう一つは痛みすら感じなくなる方法」
「もっと普通の手段を取れっ!」
ちょっと泣きそうになってるので、普通にすることにする。
「じゃ、そこのベンチで待ってろ。あ、タイヤキ先に食っててもいいぞ」
「あっ、タカシ!」
まつりを待たせ、水道を探しに行く。ほどなくして見つけた水道でハンカチを濡らし、ベンチに戻る。
「お待たへー。……ん、まだ食ってなかったのか?」
まつりは膝にタイヤキの袋を乗せたまま、ぼーっとしていた。
「……ふ、ふん。そんなもの、わらわの勝手じゃろう」
「ま、そだけど。んじゃ、ちっとしみるかもしんねーけど、我慢しろ。もしくは、苦痛を快楽に変えろ。……いかん、それではまつりがMに! どうしよう!?」
「うるさい」
怒られたので、それ以上は何も言わずハンカチをまつりのおでこに軽く当てる。
「にゃっ!」
「猫だ」
「猫じゃないわい! 冷たさにびっくりして、声が出ただけじゃ!」
怪しいものだと思いながら、再びちょんちょんとハンカチをおでこに当てる。
「にゃっ、にゃう……」
「やっぱ猫だ」
「だから、猫じゃないわい!」
まったく信じずに、再びちょんちょんと。
「にゅ……の、のう? どうじゃ?」
「血が止まらない。このままじゃヤバイかも」
「にゃんじゃとーっ!?」
「という夢を見そうな今日この頃」
ほっぺを引っ張られて痛い痛い。
「おぬしはいじわるじゃ。もっと優しくせい」
「へーへー」
まつりのおでこをハンカチで少し優しく触る。
「にゃう! ……の、のう、もっと優しく触ってたもれ。まだ痛くて敵わんのじゃ」
「む、エロいぞまつり。略して悶絶わななきまつり」
「略すどころか変な言葉がついてるぞよ!?」
「なんか、エロい祭りみたいで素敵だよね」
「どこが素敵なのじゃ! ちっとも素敵じゃないのじゃ!」
「なんだと!? 貴様、エロ祭りを馬鹿にするか! 謝れ、エロ祭りを心待ちにしてる皆さんに謝れ!」
「な、なんでわらわがそんなものに謝らねばならんのじゃ! 謝らん、わらわは謝らんぞ!」
「…………」(まつりのおでこをハンカチでぐりぐりぐり)
「痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、エロ祭りだーい好き♪」
「へ……変態だーっ!」
「おぬしが言わせたんじゃろうがっ! おのれ……一生恨んでやるのじゃ」
「とりあえずまつりをいじめられたので、満足した俺は再びまつりの傷を治すことにした」
「誰に言ってるのじゃ……にゃっ、いたっ、……うう、もっと優しくしてほしいのじゃ」
汚れや血を落とし、キレイになったところで絆創膏をぺしーんと張る。
「にゃっ! もっと優しく張るのじゃ!」
「へーへー。ともかく、これでよし。ブッチャーに憧れてるのは知ってるけど、これからはヘッドバット自重するんだぞ?」
「タックルされて転んでできた傷じゃと言っとるじゃろうがっ! あんな悪役レスラーに憧れてなどおらんっ!」
「んなっ……き、貴様、ブッチャーを馬鹿にするか!? 謝れ、ブッチャーに謝れ!」
「あ、謝らん、今度こそ謝らんのじゃ! わらわは暴力に屈服せんのじゃ!」
「…………」(絆創膏の上から指でぐりぐりぐり)
「にゃううっ、痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、ブッチャーだーい好き♪」
簡単に屈服した。
「ううう……おでこ痛い……」
まつりは半泣きでおでこを押さえた。このお姫様、弱い。
「だからあれほどヘッドバットするなと言ったのに……」
「しておらんっ! おぬしがわらわのおでこをぐりぐりしたからじゃっ! よくもわらわを傷物にしおって……責任を取れ、責任をっ!」
「ええっ、こんな猫を嫁にするの!? 猫人間との生活に戦々恐々な秋の夕暮れ!」
「誰が猫かーっ! そも、貴様なぞのところに嫁ぐわけなかろうっ!」
「俺に嫁げと言うのか? まったく、姫さんは平気な顔して無茶を言う」
「んなこと言ってないのじゃーッ! ……ぜはーぜはー……」
いっぱい『!』を使ったので、呼吸が乱れた模様。
「まぁ責任の話は後にまわしてうやむやにするとして、とりあえずタイヤキ食おう」
「うやむやにするとはどういう了見……むぐっ」
話を打ち切るように、まつりの口にタイヤキを詰める。
「……ぷはっ。いきなり何するのじゃ!」
「早く食わないと冷めちゃうぞ? 冷めると美味しくなくなる予感」
「ぬ……おぬしなんぞに言われんでも、分かっておるわ!」
そう言って、まつりはタイヤキを口にした。それを横からぼーっと眺める。
「……な、なんじゃ?」
「ん、別に。美味そうに食うなーって思って」
「ぬ……じ、じろじろ見るでない、馬鹿者」
まつりはちょっと恥ずかしそうに頬を染め、タイヤキにかじりついた。それを再びぼーっと眺める。
「……だ、だから、見るでない。食いにくいではないか」
「なんか、お前が食ってるの見てたら小腹が空いた」
「……欲しいのかえ?」
「いや、そういうわけじゃ。お前が食ってる横で恨めしそうにじーっと見てるだけだから、気にするな」
「気になるに決まってるじゃろうがっ!」
「ちなみに、心の中はお前への恨み言でいっぱいです」
「知りたくもない情報じゃっ! ああもう分かったのじゃ、特別にあげるのじゃ! じゃから、恨み言なんて思わないで欲しいのじゃ!」
ふるふる震えながら、まつりは半泣きで俺に食いかけのタイヤキを渡した。
「サンキュ。よもや食いかけの方をくれるとは思いもしなかったぞ」
「? ……あーっ! だ、ダメなのじゃ、それでは、か……間接きっすになるのじゃ! 嫌じゃ、嫌なのじゃ! こっちの新品と交換するのじゃ!」
「別にいいけど、交換の手間賃として直接俺にキスしてください」
「それじゃ悪化してるのじゃ! ううう……なんで貴様なんぞと間接キスをせねばならんのじゃ……」
「むちゅー」
「とか言ってる間にわらわの食いかけの所にちゅーを!? う、うう……最悪なのじゃ」
「まつり、顔赤いぞ」
「ぬな!? こ、これは、そ、その……突発性の風邪じゃっ!」
「…………」
「な、なんじゃ? 疑っておるのかえ? わ、わらわは高貴なる身分じゃから、突発的に風邪をひくのじゃ!」
「…………」
「ほ、ホントじゃぞ? 嘘じゃないぞ?」
「……嘘だったら絶交」(ぼそり)
「嘘! うーそなーのじゃー! タカシを騙すために嘘をついたのじゃー! はっはー、騙されおって、馬鹿な奴なのじゃー!」
「……はぁ。なんつーか、面白いっつーか、馬鹿っつーか」
「な、なんじゃ……わらわは馬鹿じゃないわい!」
「……あーもー可愛いなあ! もう!」
なんかもう愛情が漏れちゃったので、まつりの頭をなでなでする。
「ふにゃっ!? き、貴様、わらわの頭をなでなでするとは、万死に値するぞ!」
「なでなでなで」
「ば、万死に値する……」
「なでなで、なでなで」
「……そ、その、……にゃう」
10分ほどなでてたら、大人しくなった。
「あー……大丈夫か?」
「……にゃふー」(満足げ)
「……大丈夫そうだな。冷めちゃったと思うけど、タイヤキ食うか?」
「……にゅふー」(満足げ)
なんか変な生き物に進化してる。
「ほら、食べろ」
「……にょふー」(満足げ)
まつりの口元にタイヤキを持っていくが、にゃふにょふ言うばかりでちっとも口にしない。
しょうがないので一人で全部食べたら、後で大変叱られた。
「全部食ったじゃと!? ぐぬう……許せんのじゃ! 一生恨むのじゃ、タカシ!」
「困ったねもぐもぐ」
「口ではそう言いながらちっとも思ってないのが丸分かりじゃ! なぜなら、困ったと言ってるその口でタイヤキを食ってるからであり、つまりそれはわらわのタイヤキなので返せばかーっ!」
ぐるぐるぱんちをしてくるまつりの頭を押さえながら食いきりました。
「にゃうう……わらわのタイヤキ……」
「そうしょげるな。そのうちいいことあるさ」
「おぬしのせいでしょげておるのじゃ、ばかーっ!」
慰めたのに怒られた。
「これタカシ、わらわは小腹が空いた。そこのタイヤキを所望するのじゃ、献上せい」
わがままな姫さんがわがままを言う。普通に買ってやるのもなんだし、何より偉そうなのが気に食わない。……よし、ちょっとイタズラしよう。
「タイヤキは盗み食いするのが市井のルールだ」
「なんと! 下々は物騒じゃのう……仕方ない、やってみるのじゃ」
すんなり信じられた。まさか信じるとは思わなかったが、よく考えるとまつりは一般常識が通用しないお姫様な世界に住んでるので、信じるよね。
なんて思ってる間に、まつりはタイヤキ屋の前に移動してた。慌てて後を追う。
「これ、そこな店主。タイヤキを4つ献上せい」
「4つね。……はい、520円ね」
「うむ、ご苦労」
まつりが袋を受け取り、金を払わずに背を向けた。それを見て、俺は大きく息を吸い込んだ。
「うわあああ! まつりがタイヤキ盗んだあああ!」
「な、なんじゃとお!?」
俺の叫びを聞きつけ、街のみんながわらわらとまつりを囲みました。
「まったく! 貴様は! 余計なことばかり! するのう!」
姫ぱぅわー+俺の謝罪により騒ぎを鎮火させ、その後ちゃんと金を払ってタイヤキを手に入れた。公園に着いたのでここで食うのかと思ったが、まつりは俺の頬を引っ張るのに夢中なようで。
「盗み食いを食い止めた正義の人のほっぺを引っ張るのは、悪ですよ?」
「正義の人は嘘などつかんのじゃっ!」
それもそうだ。それはともかくいい加減頬が痛いので、適当に謝って頬を引っ張るのをやめてもらう。
「まったく……それにしても、街中でタックル喰らうとは思いもせなんだわい」
まつりを取り押さえる際、タックルしてた人がいたので、そのことを言ってるのだろう。
「貴重な体験できてよかったね」
「ちっともよくわいわいっ! ほれ見ろ、わらわの玉のような肌に傷が出来てしもうたのじゃ!」
まつりは髪をかきあげ、おでこをさらした。確かに、ちょっと血が染みていた。
「ありゃ、痛そうだな」
「痛いわいっ! どうにかせい!」
「そうだな……2つあるけど、どっちがいい?」
「……一応、両方言ってみい」
「一つはそれどころじゃなくなる方法、もう一つは痛みすら感じなくなる方法」
「もっと普通の手段を取れっ!」
ちょっと泣きそうになってるので、普通にすることにする。
「じゃ、そこのベンチで待ってろ。あ、タイヤキ先に食っててもいいぞ」
「あっ、タカシ!」
まつりを待たせ、水道を探しに行く。ほどなくして見つけた水道でハンカチを濡らし、ベンチに戻る。
「お待たへー。……ん、まだ食ってなかったのか?」
まつりは膝にタイヤキの袋を乗せたまま、ぼーっとしていた。
「……ふ、ふん。そんなもの、わらわの勝手じゃろう」
「ま、そだけど。んじゃ、ちっとしみるかもしんねーけど、我慢しろ。もしくは、苦痛を快楽に変えろ。……いかん、それではまつりがMに! どうしよう!?」
「うるさい」
怒られたので、それ以上は何も言わずハンカチをまつりのおでこに軽く当てる。
「にゃっ!」
「猫だ」
「猫じゃないわい! 冷たさにびっくりして、声が出ただけじゃ!」
怪しいものだと思いながら、再びちょんちょんとハンカチをおでこに当てる。
「にゃっ、にゃう……」
「やっぱ猫だ」
「だから、猫じゃないわい!」
まったく信じずに、再びちょんちょんと。
「にゅ……の、のう? どうじゃ?」
「血が止まらない。このままじゃヤバイかも」
「にゃんじゃとーっ!?」
「という夢を見そうな今日この頃」
ほっぺを引っ張られて痛い痛い。
「おぬしはいじわるじゃ。もっと優しくせい」
「へーへー」
まつりのおでこをハンカチで少し優しく触る。
「にゃう! ……の、のう、もっと優しく触ってたもれ。まだ痛くて敵わんのじゃ」
「む、エロいぞまつり。略して悶絶わななきまつり」
「略すどころか変な言葉がついてるぞよ!?」
「なんか、エロい祭りみたいで素敵だよね」
「どこが素敵なのじゃ! ちっとも素敵じゃないのじゃ!」
「なんだと!? 貴様、エロ祭りを馬鹿にするか! 謝れ、エロ祭りを心待ちにしてる皆さんに謝れ!」
「な、なんでわらわがそんなものに謝らねばならんのじゃ! 謝らん、わらわは謝らんぞ!」
「…………」(まつりのおでこをハンカチでぐりぐりぐり)
「痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、エロ祭りだーい好き♪」
「へ……変態だーっ!」
「おぬしが言わせたんじゃろうがっ! おのれ……一生恨んでやるのじゃ」
「とりあえずまつりをいじめられたので、満足した俺は再びまつりの傷を治すことにした」
「誰に言ってるのじゃ……にゃっ、いたっ、……うう、もっと優しくしてほしいのじゃ」
汚れや血を落とし、キレイになったところで絆創膏をぺしーんと張る。
「にゃっ! もっと優しく張るのじゃ!」
「へーへー。ともかく、これでよし。ブッチャーに憧れてるのは知ってるけど、これからはヘッドバット自重するんだぞ?」
「タックルされて転んでできた傷じゃと言っとるじゃろうがっ! あんな悪役レスラーに憧れてなどおらんっ!」
「んなっ……き、貴様、ブッチャーを馬鹿にするか!? 謝れ、ブッチャーに謝れ!」
「あ、謝らん、今度こそ謝らんのじゃ! わらわは暴力に屈服せんのじゃ!」
「…………」(絆創膏の上から指でぐりぐりぐり)
「にゃううっ、痛い痛い痛いのじゃ! 謝る、謝るから許してたもれ! わらわ、ブッチャーだーい好き♪」
簡単に屈服した。
「ううう……おでこ痛い……」
まつりは半泣きでおでこを押さえた。このお姫様、弱い。
「だからあれほどヘッドバットするなと言ったのに……」
「しておらんっ! おぬしがわらわのおでこをぐりぐりしたからじゃっ! よくもわらわを傷物にしおって……責任を取れ、責任をっ!」
「ええっ、こんな猫を嫁にするの!? 猫人間との生活に戦々恐々な秋の夕暮れ!」
「誰が猫かーっ! そも、貴様なぞのところに嫁ぐわけなかろうっ!」
「俺に嫁げと言うのか? まったく、姫さんは平気な顔して無茶を言う」
「んなこと言ってないのじゃーッ! ……ぜはーぜはー……」
いっぱい『!』を使ったので、呼吸が乱れた模様。
「まぁ責任の話は後にまわしてうやむやにするとして、とりあえずタイヤキ食おう」
「うやむやにするとはどういう了見……むぐっ」
話を打ち切るように、まつりの口にタイヤキを詰める。
「……ぷはっ。いきなり何するのじゃ!」
「早く食わないと冷めちゃうぞ? 冷めると美味しくなくなる予感」
「ぬ……おぬしなんぞに言われんでも、分かっておるわ!」
そう言って、まつりはタイヤキを口にした。それを横からぼーっと眺める。
「……な、なんじゃ?」
「ん、別に。美味そうに食うなーって思って」
「ぬ……じ、じろじろ見るでない、馬鹿者」
まつりはちょっと恥ずかしそうに頬を染め、タイヤキにかじりついた。それを再びぼーっと眺める。
「……だ、だから、見るでない。食いにくいではないか」
「なんか、お前が食ってるの見てたら小腹が空いた」
「……欲しいのかえ?」
「いや、そういうわけじゃ。お前が食ってる横で恨めしそうにじーっと見てるだけだから、気にするな」
「気になるに決まってるじゃろうがっ!」
「ちなみに、心の中はお前への恨み言でいっぱいです」
「知りたくもない情報じゃっ! ああもう分かったのじゃ、特別にあげるのじゃ! じゃから、恨み言なんて思わないで欲しいのじゃ!」
ふるふる震えながら、まつりは半泣きで俺に食いかけのタイヤキを渡した。
「サンキュ。よもや食いかけの方をくれるとは思いもしなかったぞ」
「? ……あーっ! だ、ダメなのじゃ、それでは、か……間接きっすになるのじゃ! 嫌じゃ、嫌なのじゃ! こっちの新品と交換するのじゃ!」
「別にいいけど、交換の手間賃として直接俺にキスしてください」
「それじゃ悪化してるのじゃ! ううう……なんで貴様なんぞと間接キスをせねばならんのじゃ……」
「むちゅー」
「とか言ってる間にわらわの食いかけの所にちゅーを!? う、うう……最悪なのじゃ」
「まつり、顔赤いぞ」
「ぬな!? こ、これは、そ、その……突発性の風邪じゃっ!」
「…………」
「な、なんじゃ? 疑っておるのかえ? わ、わらわは高貴なる身分じゃから、突発的に風邪をひくのじゃ!」
「…………」
「ほ、ホントじゃぞ? 嘘じゃないぞ?」
「……嘘だったら絶交」(ぼそり)
「嘘! うーそなーのじゃー! タカシを騙すために嘘をついたのじゃー! はっはー、騙されおって、馬鹿な奴なのじゃー!」
「……はぁ。なんつーか、面白いっつーか、馬鹿っつーか」
「な、なんじゃ……わらわは馬鹿じゃないわい!」
「……あーもー可愛いなあ! もう!」
なんかもう愛情が漏れちゃったので、まつりの頭をなでなでする。
「ふにゃっ!? き、貴様、わらわの頭をなでなでするとは、万死に値するぞ!」
「なでなでなで」
「ば、万死に値する……」
「なでなで、なでなで」
「……そ、その、……にゃう」
10分ほどなでてたら、大人しくなった。
「あー……大丈夫か?」
「……にゃふー」(満足げ)
「……大丈夫そうだな。冷めちゃったと思うけど、タイヤキ食うか?」
「……にゅふー」(満足げ)
なんか変な生き物に進化してる。
「ほら、食べろ」
「……にょふー」(満足げ)
まつりの口元にタイヤキを持っていくが、にゃふにょふ言うばかりでちっとも口にしない。
しょうがないので一人で全部食べたら、後で大変叱られた。
「全部食ったじゃと!? ぐぬう……許せんのじゃ! 一生恨むのじゃ、タカシ!」
「困ったねもぐもぐ」
「口ではそう言いながらちっとも思ってないのが丸分かりじゃ! なぜなら、困ったと言ってるその口でタイヤキを食ってるからであり、つまりそれはわらわのタイヤキなので返せばかーっ!」
ぐるぐるぱんちをしてくるまつりの頭を押さえながら食いきりました。
「にゃうう……わらわのタイヤキ……」
「そうしょげるな。そのうちいいことあるさ」
「おぬしのせいでしょげておるのじゃ、ばかーっ!」
慰めたのに怒られた。
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