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2024年11月21日
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【ツンデレと進級の話をしたら】
2014年03月11日
「3月といえば、卒業のシーズンですね」
「む? まあ、そうじゃな」
学校帰り、通り道の公園でたい焼きを(俺の金で)買ってベンチでもっちゃもっちゃ食ってるまつりに切り出す。
「まだわらわたちは卒業という歳ではないが、貴様はちゃんと進級できるのかえ? もっとも、わらわ的には落第してもらった方が嬉しいがの」モキュモキュ
「そうなんだ。まあ、まつりは小さいから一つ年下の奴らと一緒の教室でもそんな違和感ないから大丈夫だろ」
「ぬ? 貴様の話じゃろ?」
「え、まつりの一ヶ月後の話じゃ?」
「……え? わらわ、落第なの?」
「はい」
まつりが綺麗に凍った。それでもたい焼きは落とさないのは、偉いのか食い意地が張ってるのか。
「……えええええっ!? なんでなんでなんで!? わらわ学業優秀じゃよ? 内申もいいよ? ……あっ、貴様、自分が落第なのをわらわと勘違いしとるのじゃろッ! ええい、そうじゃと言えッ!」
「いいえ」
「なんでそこでいいえとか意地悪なこと言うのじゃー……」ウルウル
まつりが半泣きになった。今日も可愛い。
「ううー……なんでなのじゃー……あっ、ひょっとして担任に袖の下とか渡さないとダメなのかや? でも大谷先生はそういうの嫌いそうじゃし……」ブツブツ
そうかと思えば何か呟きながら考えたりもしたりと、目まぐるしく変わる表情に頬がゆるむのを禁じ得ない。
「……む? なにわらわを見てニヤニヤしとるかや? 今日も気持ち悪いのじゃ」
「ニコニコしてると言ってください。人聞きの悪い」
「人が落第しそうになって困ってる様を見て笑ってるような悪人は、等しくニヤニヤというおとまのぺなのじゃっ!」
「オノマトペです」ナデナデ
「……そ、そうとも言うのじゃ。……じゃ、じゃって外来語は苦手じゃもんっ!」
「無理して使わなくても」
「うぅー。たまにはそーゆうのも使いたくなるお年ごろなのじゃよ」
「うわ超かわいい。あとでさらって三日三晩犯しまくって孕ませよーっと」(うわ超かわいい。あとで妊娠させよーっと)
「怖すぎるっ!?」
「ああ失敬失敬、言ったことと思ってることが逆だった」
「ほぼ一緒じゃったぞ!?」
「いや、言うつもりの台詞はほら、オブラートだかビブラートに包まれてるおり、震える」ビビビビビ
「オブラートじゃ! ええい、貴様が余計なことを言ったせいで着信したみたいになってるのじゃ!」
「モノマネします。西野カナ」ビビビビビ
「うるさいのじゃ!」
「いやはや。まあなんだ、大丈夫。俺は、俺だけは、まつりが後輩になってもこれまで通り馬鹿にするから安心してくれよ」ナデナデ
「途中まで感動しそうになったが後半で一転、いつも通り貴様の悪辣さが出てきおったのじゃたわけーっ! ふえーんっ!」
「ああ泣かしてしまった。これは良心がうずく。ただ、俺に良心とやらがあるのかはなはだ疑問ですね。まだ良心回路があるキカイダーの方が持ってる信憑性が高そうだ。ただ、ハカイダーよりは良心があるように思えるのですが、その辺りまつりはどうお考えでしょうか?」
「キカイダーの話に行きすぎじゃっ! わらわを慰める方向へ行けっ!」
「それもそうだな。よしよし」ナデナデ
「明らかに子供相手の慰め方なのじゃ……」ズーン
「とにかく、元気を出せ。大丈夫、全部嘘だ」
「そうは言っても……ぬ?」
「嘘」
「なにが?」
「落第関連の話」
「…………」
「エイプリールフール!」ジャーン
「何がじゃーんじゃーっ! まだじゃ、一ヶ月早いわっ!」
「俺の持ちネタなんです」イヤハヤ
「あほーっ! 今日もあほーっ!」ポカスカ
「わはは。まつりは俺と違って品行方正五里霧中なんだから落第なんかするわけないだろ」ナデナデ
「ううーっ。びっくりしたのじゃ。ドキドキしたのじゃ。どうしようどうしようかと思ったのに、この阿呆は……。あと、五里霧中ではないのじゃ」
「いや、ほら、よく俺に惑わされてあわあわしてるので割合ぴったりかと」
「超うるさいのじゃ! そもそも貴様がわらわを騙したりしなければドキドキあわあわしなかったのに……ああもう、不愉快なのじゃ! たい焼きも冷えちゃったのじゃ!」
食いかけのたい焼きをぐいっと差し出された。
「めろんちょ」ベロリ
「あああああ!?」
そこで、ちょうど歯形のある箇所を舐めたら奇声をあげられた。そりゃそうだ。
「何をするかや!?」
「めろんちょ」
「意味分からんのじゃ! ああ……わらわの、わらわのたい焼きが、妖怪液に汚染されちゃったのじゃ……」ズーン
「妖怪液じゃなくて、唾液です」
「うるさいのじゃ! ああもう、こんなの絶対に食べられなくなっちゃったのじゃ! 新しいのを要求するのじゃ!」
「へーへー」
「返事は一回なのじゃ! ……それじゃ、次は何にするかの?」
「抹茶は? お前今日選ぶ時に抹茶とそのカスタードと死ぬほど悩んでたじゃん」
「ぬ。……よく見とるのぉ。貴様、わらわのすとーかーかや?」
「していいの? やったぁ!」(天まで届け、とばかりの快哉を叫びつつ)
「ちっ、違う違う違うっ! 許可などしとらんっ! じゃから、わらわをすとーきんぐしてはならんのじゃっ!」
「ちっ。許可が出たなら堂々とまつりの後をつけてさらって三日三晩」
「それはもういいのじゃーっ!!」
半泣きだったのでこの話題はやめることにする。流石に下衆すぎるか。自重しよう。
「んじゃお詫びをかねて買いに行くか」
「ん!」
はい、とたい焼きを手渡された。
「なんでしょうか」
「もう食べられなくなっちゃったから、貴様にやるのじゃ」
「えー」
「えー、とはなんじゃ、えー、とは。わらわのほどこしじゃぞ? 喜ばぬか!」
「だって、妖怪液に汚染されてるんだもん」
「貴様の唾液じゃッ!」
「言われみればそうだった。よし、まつりの目の前でこのたい焼きを舐めて間接キスを堪能しよう」
「かんせ……あーっ! い、言われてみれば! か、返すのじゃ!」アワアワ
「妖怪液に汚染されてますが、大丈夫ですか」
「ぐ」
「というか、既に俺がめろんちょした後ですし、間接キス後なのですが。つまり、もしこれを返してまつりが食したとしたら、間接間接キスですな。お、わけが分からん。はっはっは」
「うううーっ。もうそれ食べちゃダメなのじゃ!」
「嫌です」モグモグモグ
「あああーっ!!」
「うーん。うまい。生地は冷えてるが、それでもこのカスタードが」モグモグ
「……そ、その、わらわの味は?」ドキドキ
「人肉を食った経験がないのでちょっと」
「別にわらわの肉が入っとるわけじゃないわいっ! ほ、ほら、わらわが口をつけた箇所があるじゃろ? なんか甘かったり幸せになったりせぬか? の? の?」
「全然」モグモグ
「……貴様と言うやつはーっ!」
「はい」
「もーっ! 本当にーっ! もーっ!」ポカスカ
「痛い痛い」
「うぐぐーっ! 罰なのじゃ、抹茶とあんこを買うのじゃ!」
「あ、それはダメ。そんな食ったら晩飯入らねーだろ」
「うぐぐぐぐーっ! もーっ! わらわのこの『もーっ』て感じはどうしたらいいのじゃーっ!」ポカスカ
「痛い痛い」
ぽかすか叩かれ続ける俺だった。
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【ツンデレに手の冷えを訴えたら】
2012年10月14日
なんだか最近急に冷え込んできたので、おててが冷たいよ。
「そこで、貴様に俺様の手を温める権利を与えよう」
「なんの罰ゲームなのじゃ……?」
のっけから泣きそうな顔をするまつりだった。
「いや、ほら、寒いから」
「知らんのじゃ。ほれ、燐寸(マッチ)をやるから燃えて全身火だるまになって温まって死ぬがよい」
「お、大魔王みたいな言い方が気に入った。よし、燃やせ」
「それじゃわらわが悪い人になっちゃって捕まっちゃうから嫌なのじゃ! 自分で燃えて死んじゃうがいいのじゃ」
「自殺は趣味じゃないのでいいです。なので、妥協案として俺の手を握って温めてはくれまいか」
「くれないのじゃ」
「股の間に挟んで温めるのでもいいから」
「もっと嫌なのじゃ!」
なんか半泣きで嫌がられた。そこまで嫌がらなくてもいいのに。
「贅沢だなあ。じゃ、温めてくれるなら、代わりに今日はエッチしないでいいから」
「は、ってなんなのじゃ、はって! そんなことされたことないのじゃ! 今日も人聞きが悪いのじゃ!」
まつりはふがーって怒った。鼻の穴が開いてる。ふがー。
「どうどう。落ち着け」(なでなで)
「あぅ……き、気安くなでるでない、愚か者」
なでられ血流がよくでもなったのか、まつりはほんのり頬を染めながらそう言った。
「ああっ、まつりの頭をなでるだなんて、緊張してどうにかなっちゃいそうだよ!」(なでなで)
「気安くなければなでてよいという話ではないっ!」
女の子との会話は難しい。
「ところで、手の摩擦によりもう暖かくなってしまった現在、俺はどうすればいいんでしょうか」(なでなで)
「そりゃ幸いじゃ。金輪際わらわに近づかなればもっと幸いじゃ。あとなでるでない」
「はい!」(なでなで)
「満面の笑みで嘘をついちゃダメなのじゃー!」
「だって、手を繋いでくれないというのだから、なでなでで我慢するしかないじゃあないですか」(なでなで)
「どっちも我慢せい!」
「はい!」(なでなで ぎゅっ)
「なでながらわらわの手をぎゅっと!? また笑顔で嘘をついたのじゃ!」
なんかびっくりしてるまつりだった。けどまあ、振り解かれなかったのでそのまま手を繋いでました。
「そこで、貴様に俺様の手を温める権利を与えよう」
「なんの罰ゲームなのじゃ……?」
のっけから泣きそうな顔をするまつりだった。
「いや、ほら、寒いから」
「知らんのじゃ。ほれ、燐寸(マッチ)をやるから燃えて全身火だるまになって温まって死ぬがよい」
「お、大魔王みたいな言い方が気に入った。よし、燃やせ」
「それじゃわらわが悪い人になっちゃって捕まっちゃうから嫌なのじゃ! 自分で燃えて死んじゃうがいいのじゃ」
「自殺は趣味じゃないのでいいです。なので、妥協案として俺の手を握って温めてはくれまいか」
「くれないのじゃ」
「股の間に挟んで温めるのでもいいから」
「もっと嫌なのじゃ!」
なんか半泣きで嫌がられた。そこまで嫌がらなくてもいいのに。
「贅沢だなあ。じゃ、温めてくれるなら、代わりに今日はエッチしないでいいから」
「は、ってなんなのじゃ、はって! そんなことされたことないのじゃ! 今日も人聞きが悪いのじゃ!」
まつりはふがーって怒った。鼻の穴が開いてる。ふがー。
「どうどう。落ち着け」(なでなで)
「あぅ……き、気安くなでるでない、愚か者」
なでられ血流がよくでもなったのか、まつりはほんのり頬を染めながらそう言った。
「ああっ、まつりの頭をなでるだなんて、緊張してどうにかなっちゃいそうだよ!」(なでなで)
「気安くなければなでてよいという話ではないっ!」
女の子との会話は難しい。
「ところで、手の摩擦によりもう暖かくなってしまった現在、俺はどうすればいいんでしょうか」(なでなで)
「そりゃ幸いじゃ。金輪際わらわに近づかなればもっと幸いじゃ。あとなでるでない」
「はい!」(なでなで)
「満面の笑みで嘘をついちゃダメなのじゃー!」
「だって、手を繋いでくれないというのだから、なでなでで我慢するしかないじゃあないですか」(なでなで)
「どっちも我慢せい!」
「はい!」(なでなで ぎゅっ)
「なでながらわらわの手をぎゅっと!? また笑顔で嘘をついたのじゃ!」
なんかびっくりしてるまつりだった。けどまあ、振り解かれなかったのでそのまま手を繋いでました。
【ツンデレと一緒にプールへ行ったら】
2012年08月12日
近頃は暑いのでプール等に行って身体を冷やしたい所存。
「勝手に行くがよい、愚か者。わらわに言う必要などなかろう、愚か者。早う死ね、愚か者」
といったことをまつりに言ったら、上記のようなことを言われた。
「なるほど、つまり今のを意訳すれば、『わらわも一緒に連れて行って欲しいですじゃ、ぬし様♪』と言った感じになるのだな」
「ならぬわっ! なんでわらわが貴様如きに『はにゃーん、ぬし様ぁ♪』などと甘ったるく言わねばならぬのだっ!」
「はにゃーんとは言ってません」
「うっ、うるさいのじゃ!」
「こないだ貸したCCさくらのDVD観てるの?」
「うるさいのじゃあ!」
なんか真っ赤な顔した人に怒られた。
「まあいいや。そういうわけで、一人で行っても仕方ないし、一緒に行かないか? 今ならおごってあげる予感」
「おごりでも何でも行かぬと言っておろうがっ! どうして貴様はわらわの話を聞かんかや!?」
「意図的に聞き流して、自分が持って行きたい方向へコントロールしようとしているからじゃないか?」
「今日も貴様なんて大嫌いなのじゃあうわーんっ!」
などとぐすぐす泣かれたものの、どうにか泣き止ましてプールへ来ましたプール。
「ううう……今日も貴様は酷いのじゃあ……」
「まあそう悲しむな。ほら、プールに入れば幼女が見放題だぞ?」(なでなで)
「そんなの貴様みたいな変態しか喜ばんのじゃっ! わらわは女性なのでちっとも嬉しくないのじゃ! 頭をなでるでないっ!」
「いいや、なでるね!」(なでなでなで)
「今日もこやつはわらわの話をきかんのじゃあ……」
なんか悲しそうだったので、なでり力をあげてなでてみた。
「……ぬ?」
「ん」(なでなで)
「……ぬー」(こくこく)
なんか分からんが納得したようなので善し。受付で金を払っていざプールへ。
「もう来ちゃったから仕方ないけど、次からはナシじゃからの!? 誘われても来ぬからの!」
「じゃあ次から誘わないでいきなり拉致するよ」
「昼日中から犯罪予告されちゃったのじゃあ……」
悲しそうなまつりの背中をばいばいと見送り、自分は男子更衣室へ。もーこれがまるで楽しくないので情景は割愛、表に出てまつりを待つ。
「さて、まつりはどんな格好か……さらし&ふんどしか?」
「いつの時代じゃ、愚か者」
「おお、その声はまつりか。……ふむ」
「な、なんじゃ。……じ、じろじろ見るでない、愚か者!」
急遽誘われたからであろう、まつりはその未成熟な身体を紺色の悪魔、即ちスク水に包んでいた。以前俺が純然たる厚意のみで縫いつけた『まつり』と書かれた胸元の白い名前欄が眩しい。
「う、うぅー……わらわだって、わらわだって分かってればもうちょっとマシな水着を選んだのじゃ。突然言われたからこんなのしか用意できなかったのじゃ。全部貴様のせいなのじゃ!」
「超馬鹿みたいで可愛いですね」
「やっぱ馬鹿にされたのじゃうわーん!」
「褒めたのに」
よしよしと頭をなでて慰める。
「ぐすぐす……ちっとも褒めてなかったのじゃ。超馬鹿って言ったのじゃ。そも、この馬鹿みたいの要素の塊である名前欄は、貴様が勝手に強固に縫い付けたから取れぬのじゃ。死んじゃえばいいのじゃ」
「わっはっは。なんかぐにゃぐにゃ言ってるが、やっぱスク水は貧乳が映えるなあ」
「どーせぺたんこなのじゃっ!」
「何を怒っているか。大変似合ってて、可愛いですよ?」
「うっ……うるさいのじゃっ! 貴様なんかに褒められてもちっとも嬉しくなんてないのじゃっ!」
「へーへー」(なでなで)
「……う、嬉しくなんてないのじゃよ?」
なんか俺の顔が急にニヤけだしたが、それは別にまつりがこちらにちょこちょこっと寄ってきて、俺の水着をちょこんとつまんだのとは関係ないハズ。
「と、とまれ、折角プールに来たのだ、泳ごうではないか」
「そ、そじゃな! 極々稀に良いことを言うのう!」
二人で何かを誤魔化すようにわははと笑う。うむ、善し。
「じゃ、じゃあの、じゃあの、まずはどのプールにするかの?」
「んー、そだな。まつりはどこ行きたい?」
「んと……あれ! あれがよいのじゃ!」
まつりが指差す先に、ウォータースライダーがあった。
「ほう、まるで人の腸を模したかのような管の中に入りたいと言うのだな? 擬似的なアレになりたいのか?」
まつりが嫌そうな顔をした。
「……今日も貴様は人を不愉快にさせる達人じゃの」
「いやあ、照れることしきり」
「わざとじゃろうが、一応言っておくのじゃ。褒めてないのじゃっ!」
「いやはや。じゃ、行くか」
「あんなこと言ったうえで行くのかや……?」
「嫌なら別のとこでもいいが」
「……まあいいのじゃ。どーせどこ行っても最初に嫌なことを言うに決まってるのじゃ、一緒なのじゃ。ほれ、わらわたちも並ぶぞよ?」
ウォータースライダーに並ぶ人たちを見ながら、まつりはきゅっと俺の手を握った。
「ほうあひゃ」
「なっ、なんじゃっ!?」
「いや、その、て、手が」
「……だ、だって、いっぱい並んでるから、手繋がないとわらわと貴様が一緒って係の人が分からなくなっちゃうのじゃ! そ、それだけなのじゃ!」
「まつりの手って小さいな」
「感想はいらんのじゃよ!?」
なんで泣きそうになってんだ。
「い、いーから並ぶのじゃ!」
ぐいぐい引っ張られ、ウォータースライダーの列の最後尾に並ぶ。俺達の番まで数分かかりそうだ。
「う、うぅー……そも、貴様の手が大きすぎるだけなのじゃ。わらわが小さいんじゃないのじゃ」
「標準的だと思いますが」
「うるさいのじゃ!」
数分なんてまつりといたらあっという間なので、あれよあれよという間に俺たちの番になった。
「な、なんじゃとお!?」
で、先にまつりを滑らそうと思って順を譲り、なにか係の人と喋ってると思ったら、まつりが頓狂な声をあげた。
「……え、あ、うー……ち、違……わない、のじゃ」
チラチラとこちらを見たかと思ったら、かぼそい声でぼそぼそと何か言ってた。あと、やけに顔が赤い。
「…………」
その赤い顔のまま、まつりが来い来いと手招きする。手招かれたからには招かれざるを得ないので、のこのこそちらに行ったら係員の人に座らされた。そしてその俺の膝の上にまつりがちょこんとぉぉぉぉぉ!?
「な、何がこの地球上で行われているのか説明せよ! 配点:5点!」
「き、今日はいっぱい人がいるから効率性を重視した結果なのじゃ! べ、別に恋人はこーゆー感じで滑るんじゃないじゃっ!」
「な、なるほど」
「ほ、ホントなのじゃよ? 恋人同士ならこーして後ろから抱っこして滑った方がよいなんて言われてないのじゃよ?」
「そ、そうか。まあ恋人じゃないからなあ」
「むー……」
なんかまつりの機嫌が悪くなった。
どうしようかと思っていたら、係員がいいから早く行けと言うので、まつりの尻の感触を味わいつつ、つるりと管の中に入る。
「ぬっひゃああああああ!」
するとまつりが超うるさい。
「腸だけに、なんちて。うひゃひゃ」
「何を言っとるのじゃああああ!? も、もっとわらわをぎゅーってするのじゃあ!」
「これは素敵な提案だ」
そんなわけで、滑りながらもまつりをぎゅーっと抱きしめる。すると。
「あ」
「ふにゃあああ!?」
手が滑って胸元に手が移動したりしちゃったりなんかしちゃったりして。
「な、な、な、なにをするのじゃあ!?」
「……ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!」(もみもみ)
「にゃっ、ふにゃっ、ふにゃあっ!?」
ぺたんこかと思いきや、もみもみしてみるとしっかりともみもみできる不思議素材。女の子って不思議ぶくぶくぶく。
「……ぷはあっ。き、き、貴様、わ、わらわのおっぱいを、も、も、もーっ!?」
「……ぷはっ。 あ、別に急激に失神してあぶくを吹いたのではなく、スライダーが終わってプールに落着しただけです」
「何の話なのじゃっ!?」
「まあまあ、文句その他は後で後で。ここにいたら後続のプール滑ラーに蹴られるぞ。ちなみにラー油とは関係ない模様」
「ぬ、ぬぅ……」
渋々、といった感有り有りだったが、とりあえずプールから出て、袖にある椅子に腰掛ける。
「やー、楽しかったな」
「ちっともなのじゃ! 貴様、なんでわらわのおっぱいをもみもみしたかや!?」
「いやいや、そんなぺたんこなのに揉んだりなんてできるわけねーじゃん」
「ヘーゼンと嘘をついちゃダメなのじゃっ! もみもみしたのじゃ、されたのじゃっ!」
「いやあ、スライダーが怖くてしがみついちゃったから、その拍子に触っちゃったのかもしれないね。てへ、ごめりんこ☆」
「絶対嘘なのじゃっ! はっきりと『ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!』って聞こえたのじゃ! あと、その謝罪だと絶対に許さんのじゃ!」
「しまった、こんなところで俺の嘘をつかない紳士性が露見した。このままではまつりが俺の紳士っぷりに惚れてしまう」
「何を無理やり自分を褒めてるかや!? それにさっき嘘ついてたのじゃ! ……じゃ、じゃから、……ほ、惚れたりなんてしてないのじゃよ?」
それは当然なのだが、どうしてもじもじしている。
「と、とにかく! わらわのおっぱいをもみもみしたことをちゃんと謝るのじゃ! ごめんなさいって言うのじゃ!」
「つまり、謝れば乳を揉み放題なんだな。なんと好都合な!」
「そんな放題ないのじゃっ! わらわのおっぱいに触っちゃ駄目なのじゃ!」
「まあ、当然だわな。ごめんな、まつり。抱っこしたらあんまりにもまつりの身体が柔らかくて、ムラムラしちゃって、つい揉んじゃったんだ」
「う……そ、そんなこと言われても、許さんものは許さんのじゃ!」
「うん、許してくれとは言わない。だけど、これだけは言わせてくれ。許してくれ」
「ええーっ!?」
まつりがびっくりした。
「あと、もっかい揉みたい。一回謝れば一もみもみだよな、確か」
「無茶苦茶言ってるのじゃよ、貴様!? 気づいてるかの!? そしてそんな単位ないのじゃ!」
「んじゃまつりが許してくれたうえに後で一もみもみさせてくれるらしいし、そろそろ泳ごうか。競争でもするか?」
「許してない、ちっとも許してないし、一もみもみも許可してないのじゃよ!?」
なんかあわあわしながらも、律儀についてくるまつりは偉いなあと思った。
「勝手に行くがよい、愚か者。わらわに言う必要などなかろう、愚か者。早う死ね、愚か者」
といったことをまつりに言ったら、上記のようなことを言われた。
「なるほど、つまり今のを意訳すれば、『わらわも一緒に連れて行って欲しいですじゃ、ぬし様♪』と言った感じになるのだな」
「ならぬわっ! なんでわらわが貴様如きに『はにゃーん、ぬし様ぁ♪』などと甘ったるく言わねばならぬのだっ!」
「はにゃーんとは言ってません」
「うっ、うるさいのじゃ!」
「こないだ貸したCCさくらのDVD観てるの?」
「うるさいのじゃあ!」
なんか真っ赤な顔した人に怒られた。
「まあいいや。そういうわけで、一人で行っても仕方ないし、一緒に行かないか? 今ならおごってあげる予感」
「おごりでも何でも行かぬと言っておろうがっ! どうして貴様はわらわの話を聞かんかや!?」
「意図的に聞き流して、自分が持って行きたい方向へコントロールしようとしているからじゃないか?」
「今日も貴様なんて大嫌いなのじゃあうわーんっ!」
などとぐすぐす泣かれたものの、どうにか泣き止ましてプールへ来ましたプール。
「ううう……今日も貴様は酷いのじゃあ……」
「まあそう悲しむな。ほら、プールに入れば幼女が見放題だぞ?」(なでなで)
「そんなの貴様みたいな変態しか喜ばんのじゃっ! わらわは女性なのでちっとも嬉しくないのじゃ! 頭をなでるでないっ!」
「いいや、なでるね!」(なでなでなで)
「今日もこやつはわらわの話をきかんのじゃあ……」
なんか悲しそうだったので、なでり力をあげてなでてみた。
「……ぬ?」
「ん」(なでなで)
「……ぬー」(こくこく)
なんか分からんが納得したようなので善し。受付で金を払っていざプールへ。
「もう来ちゃったから仕方ないけど、次からはナシじゃからの!? 誘われても来ぬからの!」
「じゃあ次から誘わないでいきなり拉致するよ」
「昼日中から犯罪予告されちゃったのじゃあ……」
悲しそうなまつりの背中をばいばいと見送り、自分は男子更衣室へ。もーこれがまるで楽しくないので情景は割愛、表に出てまつりを待つ。
「さて、まつりはどんな格好か……さらし&ふんどしか?」
「いつの時代じゃ、愚か者」
「おお、その声はまつりか。……ふむ」
「な、なんじゃ。……じ、じろじろ見るでない、愚か者!」
急遽誘われたからであろう、まつりはその未成熟な身体を紺色の悪魔、即ちスク水に包んでいた。以前俺が純然たる厚意のみで縫いつけた『まつり』と書かれた胸元の白い名前欄が眩しい。
「う、うぅー……わらわだって、わらわだって分かってればもうちょっとマシな水着を選んだのじゃ。突然言われたからこんなのしか用意できなかったのじゃ。全部貴様のせいなのじゃ!」
「超馬鹿みたいで可愛いですね」
「やっぱ馬鹿にされたのじゃうわーん!」
「褒めたのに」
よしよしと頭をなでて慰める。
「ぐすぐす……ちっとも褒めてなかったのじゃ。超馬鹿って言ったのじゃ。そも、この馬鹿みたいの要素の塊である名前欄は、貴様が勝手に強固に縫い付けたから取れぬのじゃ。死んじゃえばいいのじゃ」
「わっはっは。なんかぐにゃぐにゃ言ってるが、やっぱスク水は貧乳が映えるなあ」
「どーせぺたんこなのじゃっ!」
「何を怒っているか。大変似合ってて、可愛いですよ?」
「うっ……うるさいのじゃっ! 貴様なんかに褒められてもちっとも嬉しくなんてないのじゃっ!」
「へーへー」(なでなで)
「……う、嬉しくなんてないのじゃよ?」
なんか俺の顔が急にニヤけだしたが、それは別にまつりがこちらにちょこちょこっと寄ってきて、俺の水着をちょこんとつまんだのとは関係ないハズ。
「と、とまれ、折角プールに来たのだ、泳ごうではないか」
「そ、そじゃな! 極々稀に良いことを言うのう!」
二人で何かを誤魔化すようにわははと笑う。うむ、善し。
「じゃ、じゃあの、じゃあの、まずはどのプールにするかの?」
「んー、そだな。まつりはどこ行きたい?」
「んと……あれ! あれがよいのじゃ!」
まつりが指差す先に、ウォータースライダーがあった。
「ほう、まるで人の腸を模したかのような管の中に入りたいと言うのだな? 擬似的なアレになりたいのか?」
まつりが嫌そうな顔をした。
「……今日も貴様は人を不愉快にさせる達人じゃの」
「いやあ、照れることしきり」
「わざとじゃろうが、一応言っておくのじゃ。褒めてないのじゃっ!」
「いやはや。じゃ、行くか」
「あんなこと言ったうえで行くのかや……?」
「嫌なら別のとこでもいいが」
「……まあいいのじゃ。どーせどこ行っても最初に嫌なことを言うに決まってるのじゃ、一緒なのじゃ。ほれ、わらわたちも並ぶぞよ?」
ウォータースライダーに並ぶ人たちを見ながら、まつりはきゅっと俺の手を握った。
「ほうあひゃ」
「なっ、なんじゃっ!?」
「いや、その、て、手が」
「……だ、だって、いっぱい並んでるから、手繋がないとわらわと貴様が一緒って係の人が分からなくなっちゃうのじゃ! そ、それだけなのじゃ!」
「まつりの手って小さいな」
「感想はいらんのじゃよ!?」
なんで泣きそうになってんだ。
「い、いーから並ぶのじゃ!」
ぐいぐい引っ張られ、ウォータースライダーの列の最後尾に並ぶ。俺達の番まで数分かかりそうだ。
「う、うぅー……そも、貴様の手が大きすぎるだけなのじゃ。わらわが小さいんじゃないのじゃ」
「標準的だと思いますが」
「うるさいのじゃ!」
数分なんてまつりといたらあっという間なので、あれよあれよという間に俺たちの番になった。
「な、なんじゃとお!?」
で、先にまつりを滑らそうと思って順を譲り、なにか係の人と喋ってると思ったら、まつりが頓狂な声をあげた。
「……え、あ、うー……ち、違……わない、のじゃ」
チラチラとこちらを見たかと思ったら、かぼそい声でぼそぼそと何か言ってた。あと、やけに顔が赤い。
「…………」
その赤い顔のまま、まつりが来い来いと手招きする。手招かれたからには招かれざるを得ないので、のこのこそちらに行ったら係員の人に座らされた。そしてその俺の膝の上にまつりがちょこんとぉぉぉぉぉ!?
「な、何がこの地球上で行われているのか説明せよ! 配点:5点!」
「き、今日はいっぱい人がいるから効率性を重視した結果なのじゃ! べ、別に恋人はこーゆー感じで滑るんじゃないじゃっ!」
「な、なるほど」
「ほ、ホントなのじゃよ? 恋人同士ならこーして後ろから抱っこして滑った方がよいなんて言われてないのじゃよ?」
「そ、そうか。まあ恋人じゃないからなあ」
「むー……」
なんかまつりの機嫌が悪くなった。
どうしようかと思っていたら、係員がいいから早く行けと言うので、まつりの尻の感触を味わいつつ、つるりと管の中に入る。
「ぬっひゃああああああ!」
するとまつりが超うるさい。
「腸だけに、なんちて。うひゃひゃ」
「何を言っとるのじゃああああ!? も、もっとわらわをぎゅーってするのじゃあ!」
「これは素敵な提案だ」
そんなわけで、滑りながらもまつりをぎゅーっと抱きしめる。すると。
「あ」
「ふにゃあああ!?」
手が滑って胸元に手が移動したりしちゃったりなんかしちゃったりして。
「な、な、な、なにをするのじゃあ!?」
「……ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!」(もみもみ)
「にゃっ、ふにゃっ、ふにゃあっ!?」
ぺたんこかと思いきや、もみもみしてみるとしっかりともみもみできる不思議素材。女の子って不思議ぶくぶくぶく。
「……ぷはあっ。き、き、貴様、わ、わらわのおっぱいを、も、も、もーっ!?」
「……ぷはっ。 あ、別に急激に失神してあぶくを吹いたのではなく、スライダーが終わってプールに落着しただけです」
「何の話なのじゃっ!?」
「まあまあ、文句その他は後で後で。ここにいたら後続のプール滑ラーに蹴られるぞ。ちなみにラー油とは関係ない模様」
「ぬ、ぬぅ……」
渋々、といった感有り有りだったが、とりあえずプールから出て、袖にある椅子に腰掛ける。
「やー、楽しかったな」
「ちっともなのじゃ! 貴様、なんでわらわのおっぱいをもみもみしたかや!?」
「いやいや、そんなぺたんこなのに揉んだりなんてできるわけねーじゃん」
「ヘーゼンと嘘をついちゃダメなのじゃっ! もみもみしたのじゃ、されたのじゃっ!」
「いやあ、スライダーが怖くてしがみついちゃったから、その拍子に触っちゃったのかもしれないね。てへ、ごめりんこ☆」
「絶対嘘なのじゃっ! はっきりと『ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!』って聞こえたのじゃ! あと、その謝罪だと絶対に許さんのじゃ!」
「しまった、こんなところで俺の嘘をつかない紳士性が露見した。このままではまつりが俺の紳士っぷりに惚れてしまう」
「何を無理やり自分を褒めてるかや!? それにさっき嘘ついてたのじゃ! ……じゃ、じゃから、……ほ、惚れたりなんてしてないのじゃよ?」
それは当然なのだが、どうしてもじもじしている。
「と、とにかく! わらわのおっぱいをもみもみしたことをちゃんと謝るのじゃ! ごめんなさいって言うのじゃ!」
「つまり、謝れば乳を揉み放題なんだな。なんと好都合な!」
「そんな放題ないのじゃっ! わらわのおっぱいに触っちゃ駄目なのじゃ!」
「まあ、当然だわな。ごめんな、まつり。抱っこしたらあんまりにもまつりの身体が柔らかくて、ムラムラしちゃって、つい揉んじゃったんだ」
「う……そ、そんなこと言われても、許さんものは許さんのじゃ!」
「うん、許してくれとは言わない。だけど、これだけは言わせてくれ。許してくれ」
「ええーっ!?」
まつりがびっくりした。
「あと、もっかい揉みたい。一回謝れば一もみもみだよな、確か」
「無茶苦茶言ってるのじゃよ、貴様!? 気づいてるかの!? そしてそんな単位ないのじゃ!」
「んじゃまつりが許してくれたうえに後で一もみもみさせてくれるらしいし、そろそろ泳ごうか。競争でもするか?」
「許してない、ちっとも許してないし、一もみもみも許可してないのじゃよ!?」
なんかあわあわしながらも、律儀についてくるまつりは偉いなあと思った。
【ツンデレの頭にキノコを植えたら】
2012年06月04日
近頃の湿度ときたら菌類しか喜ばねえぜと思うくらいなので、まつりの頭にそーっとなめこを植えたらばれた。
「なんでわらわにキノコを植えるかや!?」
頭に乗ったなめこをそのままに、まつりがわななく。
「いや、これから梅雨まっしぐらだし、丁度いいかなと思って。んふんふ」
「まるで丁度よくないのじゃ! わらわは人間なのじゃ! こんなキノコ植えられてはかなわんのじゃ!」
「いや、まつりは人間じゃなくて猫だ」(断言)
「勝手に断言されてはとっても困るのじゃっ! わらわは人なのじゃ! 猫要素なぞどこにあろうと言うのじゃ?」
「頭になめこがのってるところ」
「それは猫要素ではないし、そもこれは貴様が植えたのじゃっ!」
「頭にキノコって馬鹿みてえだな」
「だから、貴様が、植えたのじゃッ!」
なんか半泣きになってて可哀想になったので、なめこを取ってやった。
「あっ、取れた! えへへっ、やったのじゃ、やったのじゃ♪」
嬉しそうだったので、また植えた。
「なんでなのなのじゃーっ!!?」
愕然としていたが、気を取り直すとまつりは自分でなめこを取ろうとした。
「あいたた! 痛い、取ろうとしたら痛いのじゃ! どやったら取れるのじゃ?」
「大丈夫、無理に引き抜けば取れる。ただ、我が家に伝わる秘術で脳と直結してるので、ちょっと脳も一緒にアレになるけど、まあ大丈夫だろ」
「どこに大丈夫な要素があるのじゃ!? 貴様他人事じゃと思って適当じゃろ!?」
「ばか、俺はいつだってまつりのことを大事に思ってるんだぞ?」
「……ぬ、ぬし様……ってえ、そもこれは貴様が植えたんじゃろうがっ!」
「大事に思ってはいるが、同時に殺意も抱いているがために怒った悲劇と言えよう」
「わらわ殺されるの!?」
「いや、一日や二日ではそう成長しないから大丈夫さ。ただ、時が経つにつれキノコが成長し、脳……あ、いや、大丈夫大丈夫」
「脳!!? 死ぬ、絶対にわらわ死んじゃう!」
「『わらわトんじゃう!』って淫らに言って」
「言うわけないのじゃ!」
「なんか語感が似てたし、どさくさに紛れれば大丈夫と思ったんだが、無理だった」
「びっくりするくらい阿呆じゃな、貴様」
「いや全く。はっはっは。んじゃ俺はこれで」
「んむっ。……ってえ! 帰ってはダメなのじゃ!」
颯爽と去ろうとしたら、すごい勢いで引き止められた。
「別れがたいのは分かるが、いつかはお互いの家に帰らなければならないだろう? 聞き分けてくれよ」
「なんでわらわが貴様を大好きってなってるかや!? いーからわらわのキノコを取るのじゃ!」
「脳ごとね。俺のゴリラパワーを魅せる時が来たか」
「キノコだけ! キノコだけを取るのじゃ! のっとごりらぱわー!」
「ちぇ」
しょうがないので、普通にキノコを取る。
「ふぅ、助かったのじゃ……ん? なんじゃ、そのキノコについとる小さいクリップは」
「このクリップでキノコとまつりの髪を繋ぎました」
「……秘術とかは?」
「いや、そんなの無理だし」
「騙したかや!? どーしてわらわを騙すかや!」
「そう怒るな。ほら見ろ、超魔術。おっきくなっちゃった」
「それ古いし大きくなるの耳なのにキノコが出てきちゃ訳が分からないのじゃ!」
「ところで猫もキノコ食えるの? まつり、試しに食ってみて」
「だから、わらわは人なのじゃあ!」
「ほう。では試してみよう」(ノドの下さわさわ)
「え、ええと……ご、ごろごろ?」
「よく分からんな。よし、明日ネコミミを持ってくるのでそれを一日中装着しておくように。それで判定しよう」
「それ貴様がわらわの痴態を見たいだけじゃろうがっ! 絶対につけんのじゃ!」
「じゃあ今日つけて」
懐に常備してあるネコミミをまつりの頭に素早く装着する。
「あっ、何するのじゃ!」
「……うむ! やっぱ可愛い!」(なでなで)
「……ま、まあ、あまり怒るのも大人気ないので、今回はよしとしてやるのじゃ」
なんかうにゃうにゃ口の中で言ってたが、なでさせてくれたので、いいや。
「なんでわらわにキノコを植えるかや!?」
頭に乗ったなめこをそのままに、まつりがわななく。
「いや、これから梅雨まっしぐらだし、丁度いいかなと思って。んふんふ」
「まるで丁度よくないのじゃ! わらわは人間なのじゃ! こんなキノコ植えられてはかなわんのじゃ!」
「いや、まつりは人間じゃなくて猫だ」(断言)
「勝手に断言されてはとっても困るのじゃっ! わらわは人なのじゃ! 猫要素なぞどこにあろうと言うのじゃ?」
「頭になめこがのってるところ」
「それは猫要素ではないし、そもこれは貴様が植えたのじゃっ!」
「頭にキノコって馬鹿みてえだな」
「だから、貴様が、植えたのじゃッ!」
なんか半泣きになってて可哀想になったので、なめこを取ってやった。
「あっ、取れた! えへへっ、やったのじゃ、やったのじゃ♪」
嬉しそうだったので、また植えた。
「なんでなのなのじゃーっ!!?」
愕然としていたが、気を取り直すとまつりは自分でなめこを取ろうとした。
「あいたた! 痛い、取ろうとしたら痛いのじゃ! どやったら取れるのじゃ?」
「大丈夫、無理に引き抜けば取れる。ただ、我が家に伝わる秘術で脳と直結してるので、ちょっと脳も一緒にアレになるけど、まあ大丈夫だろ」
「どこに大丈夫な要素があるのじゃ!? 貴様他人事じゃと思って適当じゃろ!?」
「ばか、俺はいつだってまつりのことを大事に思ってるんだぞ?」
「……ぬ、ぬし様……ってえ、そもこれは貴様が植えたんじゃろうがっ!」
「大事に思ってはいるが、同時に殺意も抱いているがために怒った悲劇と言えよう」
「わらわ殺されるの!?」
「いや、一日や二日ではそう成長しないから大丈夫さ。ただ、時が経つにつれキノコが成長し、脳……あ、いや、大丈夫大丈夫」
「脳!!? 死ぬ、絶対にわらわ死んじゃう!」
「『わらわトんじゃう!』って淫らに言って」
「言うわけないのじゃ!」
「なんか語感が似てたし、どさくさに紛れれば大丈夫と思ったんだが、無理だった」
「びっくりするくらい阿呆じゃな、貴様」
「いや全く。はっはっは。んじゃ俺はこれで」
「んむっ。……ってえ! 帰ってはダメなのじゃ!」
颯爽と去ろうとしたら、すごい勢いで引き止められた。
「別れがたいのは分かるが、いつかはお互いの家に帰らなければならないだろう? 聞き分けてくれよ」
「なんでわらわが貴様を大好きってなってるかや!? いーからわらわのキノコを取るのじゃ!」
「脳ごとね。俺のゴリラパワーを魅せる時が来たか」
「キノコだけ! キノコだけを取るのじゃ! のっとごりらぱわー!」
「ちぇ」
しょうがないので、普通にキノコを取る。
「ふぅ、助かったのじゃ……ん? なんじゃ、そのキノコについとる小さいクリップは」
「このクリップでキノコとまつりの髪を繋ぎました」
「……秘術とかは?」
「いや、そんなの無理だし」
「騙したかや!? どーしてわらわを騙すかや!」
「そう怒るな。ほら見ろ、超魔術。おっきくなっちゃった」
「それ古いし大きくなるの耳なのにキノコが出てきちゃ訳が分からないのじゃ!」
「ところで猫もキノコ食えるの? まつり、試しに食ってみて」
「だから、わらわは人なのじゃあ!」
「ほう。では試してみよう」(ノドの下さわさわ)
「え、ええと……ご、ごろごろ?」
「よく分からんな。よし、明日ネコミミを持ってくるのでそれを一日中装着しておくように。それで判定しよう」
「それ貴様がわらわの痴態を見たいだけじゃろうがっ! 絶対につけんのじゃ!」
「じゃあ今日つけて」
懐に常備してあるネコミミをまつりの頭に素早く装着する。
「あっ、何するのじゃ!」
「……うむ! やっぱ可愛い!」(なでなで)
「……ま、まあ、あまり怒るのも大人気ないので、今回はよしとしてやるのじゃ」
なんかうにゃうにゃ口の中で言ってたが、なでさせてくれたので、いいや。
【ぼっちツンデレにただ一人優しい男】
2012年03月29日
教室でぼーっとしてると、まつりが息を切らせながら教室に入ってきた。その瞬間、彼女の目が驚愕で見開かれた。
「人が必死で走ってきたというのに、どうして誰もいないのじゃ! ……って、うわ、変なのがいるのじゃ。これはいない方がよかったのじゃ」
「よかった、まつりにも教室の隅にいる名状しがたい何かが見えてたのか。俺だけかと思って一人でSAN値減らしてたよ」
「えええええっ!? えっ、えっ? なっ、何かおるのかえっ!?」
軽い冗談だったのだけれど、まつりは俺の腕にしがみつくと、ガタガタ震えながら先程俺が言った教室の隅を凝視しだした。もちろんそこに何かがいるはずもないのだけれど。
「こっ、これっ! 嘘じゃろ、嘘じゃよな? の?」
「そうだな、そうだといいな……」(なでなで)
「なんで優しい目でわらわの頭をなでるかや!? ……え、わらわ死ぬの?」
「うん」
まつりが震源地となってしまったので、そろそろ嘘だと告げてあげる。
「やっぱりなのじゃー! わらわは分かってたけど! 分かってたけど! もーそういう嘘は言っちゃダメなのじゃ!」
「嫌です」
「断ったらダメなのじゃっ! むぅぅ……と、ところで、どうして貴様の他に誰もいないのじゃ?」
「空気感染する致死性の病気が爆発的に流行って、みんな死んだんだ」
「もーちょっとバレにくい嘘をつくのじゃ!」
「お化けはバレにくい嘘だったのか?」
「そ……それは、その、あれじゃよ。きっ、貴様に付き合ってやったのじゃ! じゃからこれ以上その話題を続けるのは禁止なのじゃっ!」
痛いところを付かれたのか、まつりは顔を真っ赤にしながらそう怒鳴った。
「へーへー。まあ実際のところは分からん。俺も登校したらご覧の状態だったもので」
「ぬー……一体どうしたのかのう?」
「俺が思うに、世界はもう俺とまつりを残して絶滅してしまったのではないだろうか」
まつりが「何言ってんだコイツ」という顔をしたので、ほっぺを引っ張ってやる。
「あぅーっ! 何も言っとらんのにーっ!」
「目が口ほどに物を言ってたからな」
「ううう……あんまりなのじゃ……」
手を離してやると、まつりは悲しそうにほっぺをさすさすした。可哀想になったので俺もさすさすしてあげる。
「ぐしゅぐしゅ……触るでない、おろかものぉ……」
「姫さまお体に触りますぞグヘヘヘ、なんちて」
「死ねばいいのじゃ」
俺への好感度を犠牲に、まつりが元気になった。大きな代償だった。
「じゃあ次の案。まつりはクラスメイト全員に蛇蝎の如く嫌われており、教師も含め全員でボイコットをしたから誰もいないのではないか」
「酷過ぎる案なのじゃあ! それなら貴様が嫌われている方がまだ現実味があるのじゃ!」
「ばか、確かに俺は女生徒からは酷く嫌われているが、一部の男子生徒からはセクハラヒーローと崇められているのだぞ?」
「知らんっ! ああそうそう、セクハラばかりしておる貴様がどうして停学にならないのか、その理由に尾ひれがつき、最近この学校の新たな七不思議になったらしいぞ」
「非常に不名誉だ」
「そんなことはないのじゃ。そ、それより、さっきの話なのじゃ。わ、わらわ、別に嫌われておらんよな?」
「ん、ああ。俺は大好きですよ?」(なでなで)
「きっ、貴様のことはどうでもいいんじゃっ!」
何やら顔を真っ赤にして怒鳴ってきました。そんな怒らなくていいのに。
「……そ、そじゃなくて、わらわが級友に嫌われている、という話じゃ。嘘じゃよな? の?」
「ああ、級友だけでなく教師にまで嫌われるという徹底っぷりだ」
「そこは嘘じゃなくていいのじゃようわーんっ!!!」
「ああ泣かしてしまった今日も泣くまつりは可愛いがとりあえず泣き止ませよう。ほーらアメちゃんだよー」
「思い切り子供扱いなのじゃっ! もっとしっかり泣き止まして欲しいのじゃ!」
「じゃ、いらない?」
「……ま、まあ、一応貰っとくのじゃ」
アメの力で半分泣き止んだ。やはり子供だ。
「ころころ……ぐしゅ。そ、それで、なんでわらわは嫌われておるのじゃ? わらわ、何かした?」
「分からん。だが、俺は……俺だけは、ずっとまつりの味方だ」
「……ぬ、ぬし様……」
がしっとまつりの手を握り、目を見つめる。うるむ瞳が小さく揺れ、やがてゆっくりと閉じられ──
「というタイミングでよもやのチャイム。そして教室に戻ってくる生徒たち」
「……? へ? ……ぬわああっ!?」
ようやっと気づいたのか、まつりはものすごい勢いで俺から離れ、周囲をきょろきょろ見た。
「……あ、あれ? ぼいこっとは? なんでみんな普通にしてるかや?」
「なんでも何も、俺が言ったの全部嘘だから」
「えええええーっ!?」
「さっきの時間は移動教室だったからいなかっただけ。そう黒板に書いてたけど、お前の席に鞄がなかったので、急ぎ黒板の文字を消し、今回の作戦を実行したのです」
「え、じゃあ、本当はみんなわらわのこと嫌ってないのかえ?」
「当たり前だろ。俺ぐらいだよ、お前のことを死ぬほど嫌っていて、調教でもして好き勝手しようとしているのは」
「ついさっきわらわの味方だよって優しく微笑んだ者の台詞じゃないのじゃあっ! わらわのときめきを返せっ!」
「まっちぽんぷ おいしいです」
「やっぱり貴様なんて大っ嫌いなのじゃーっ!」
軽い(重い?)冗談で涙目になり、俺をぽかぽか叩くまつりは可愛いなあ。
「人が必死で走ってきたというのに、どうして誰もいないのじゃ! ……って、うわ、変なのがいるのじゃ。これはいない方がよかったのじゃ」
「よかった、まつりにも教室の隅にいる名状しがたい何かが見えてたのか。俺だけかと思って一人でSAN値減らしてたよ」
「えええええっ!? えっ、えっ? なっ、何かおるのかえっ!?」
軽い冗談だったのだけれど、まつりは俺の腕にしがみつくと、ガタガタ震えながら先程俺が言った教室の隅を凝視しだした。もちろんそこに何かがいるはずもないのだけれど。
「こっ、これっ! 嘘じゃろ、嘘じゃよな? の?」
「そうだな、そうだといいな……」(なでなで)
「なんで優しい目でわらわの頭をなでるかや!? ……え、わらわ死ぬの?」
「うん」
まつりが震源地となってしまったので、そろそろ嘘だと告げてあげる。
「やっぱりなのじゃー! わらわは分かってたけど! 分かってたけど! もーそういう嘘は言っちゃダメなのじゃ!」
「嫌です」
「断ったらダメなのじゃっ! むぅぅ……と、ところで、どうして貴様の他に誰もいないのじゃ?」
「空気感染する致死性の病気が爆発的に流行って、みんな死んだんだ」
「もーちょっとバレにくい嘘をつくのじゃ!」
「お化けはバレにくい嘘だったのか?」
「そ……それは、その、あれじゃよ。きっ、貴様に付き合ってやったのじゃ! じゃからこれ以上その話題を続けるのは禁止なのじゃっ!」
痛いところを付かれたのか、まつりは顔を真っ赤にしながらそう怒鳴った。
「へーへー。まあ実際のところは分からん。俺も登校したらご覧の状態だったもので」
「ぬー……一体どうしたのかのう?」
「俺が思うに、世界はもう俺とまつりを残して絶滅してしまったのではないだろうか」
まつりが「何言ってんだコイツ」という顔をしたので、ほっぺを引っ張ってやる。
「あぅーっ! 何も言っとらんのにーっ!」
「目が口ほどに物を言ってたからな」
「ううう……あんまりなのじゃ……」
手を離してやると、まつりは悲しそうにほっぺをさすさすした。可哀想になったので俺もさすさすしてあげる。
「ぐしゅぐしゅ……触るでない、おろかものぉ……」
「姫さまお体に触りますぞグヘヘヘ、なんちて」
「死ねばいいのじゃ」
俺への好感度を犠牲に、まつりが元気になった。大きな代償だった。
「じゃあ次の案。まつりはクラスメイト全員に蛇蝎の如く嫌われており、教師も含め全員でボイコットをしたから誰もいないのではないか」
「酷過ぎる案なのじゃあ! それなら貴様が嫌われている方がまだ現実味があるのじゃ!」
「ばか、確かに俺は女生徒からは酷く嫌われているが、一部の男子生徒からはセクハラヒーローと崇められているのだぞ?」
「知らんっ! ああそうそう、セクハラばかりしておる貴様がどうして停学にならないのか、その理由に尾ひれがつき、最近この学校の新たな七不思議になったらしいぞ」
「非常に不名誉だ」
「そんなことはないのじゃ。そ、それより、さっきの話なのじゃ。わ、わらわ、別に嫌われておらんよな?」
「ん、ああ。俺は大好きですよ?」(なでなで)
「きっ、貴様のことはどうでもいいんじゃっ!」
何やら顔を真っ赤にして怒鳴ってきました。そんな怒らなくていいのに。
「……そ、そじゃなくて、わらわが級友に嫌われている、という話じゃ。嘘じゃよな? の?」
「ああ、級友だけでなく教師にまで嫌われるという徹底っぷりだ」
「そこは嘘じゃなくていいのじゃようわーんっ!!!」
「ああ泣かしてしまった今日も泣くまつりは可愛いがとりあえず泣き止ませよう。ほーらアメちゃんだよー」
「思い切り子供扱いなのじゃっ! もっとしっかり泣き止まして欲しいのじゃ!」
「じゃ、いらない?」
「……ま、まあ、一応貰っとくのじゃ」
アメの力で半分泣き止んだ。やはり子供だ。
「ころころ……ぐしゅ。そ、それで、なんでわらわは嫌われておるのじゃ? わらわ、何かした?」
「分からん。だが、俺は……俺だけは、ずっとまつりの味方だ」
「……ぬ、ぬし様……」
がしっとまつりの手を握り、目を見つめる。うるむ瞳が小さく揺れ、やがてゆっくりと閉じられ──
「というタイミングでよもやのチャイム。そして教室に戻ってくる生徒たち」
「……? へ? ……ぬわああっ!?」
ようやっと気づいたのか、まつりはものすごい勢いで俺から離れ、周囲をきょろきょろ見た。
「……あ、あれ? ぼいこっとは? なんでみんな普通にしてるかや?」
「なんでも何も、俺が言ったの全部嘘だから」
「えええええーっ!?」
「さっきの時間は移動教室だったからいなかっただけ。そう黒板に書いてたけど、お前の席に鞄がなかったので、急ぎ黒板の文字を消し、今回の作戦を実行したのです」
「え、じゃあ、本当はみんなわらわのこと嫌ってないのかえ?」
「当たり前だろ。俺ぐらいだよ、お前のことを死ぬほど嫌っていて、調教でもして好き勝手しようとしているのは」
「ついさっきわらわの味方だよって優しく微笑んだ者の台詞じゃないのじゃあっ! わらわのときめきを返せっ!」
「まっちぽんぷ おいしいです」
「やっぱり貴様なんて大っ嫌いなのじゃーっ!」
軽い(重い?)冗談で涙目になり、俺をぽかぽか叩くまつりは可愛いなあ。