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2024年11月23日
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【かまきりちなみん】

2010年05月30日
「……かぷ」
 昼休み、飯も食い終わり屋上で一人優雅に惰眠を貪っていると変な音が聞こえた。
「あぎあぎあぎあぎ」
 その上、なんか頭を噛まれてるような痛みが……って
「痛い痛い痛い痛い!」
 噛まれてる! ていうか食べられてる!?
 痛みの元を探し、手を頭の上に持っていく。なんか触れた。掴んで目の前に持ってくる。
「……かまきりです。きしゃー」
 見知った顔が、カマキリの格好で、猫のように背中を掴まれてそこにいた。
「いきなり何すんだよ!」
「……メスのカマキリは、オスを食べるといいます。……カマキリちなみも、オスを食べます」
「……なるほど、よく分かった。でも、それ誤解してるぞ」
「……え?」
「単にカマキリは動くものをエサと認識しているだけで、好き好んでオスカマキリを食ってるわけじゃない。実際、自然界ではメスがオスを食うことはあまりないらしいぞ」
「…………」
 聞きかじった知識を披露すると、ちなみは困ったような、少し怒ったような顔で俺を見つめた。
「……そんなこと、言わないでください。……空気、読んでください」
 なんか怒られた。
「……いいんです。カマキリはそうかもしれませんが、カマキリちなみはオスを食べるんです」
 そう言うと、ちなみは俺の両肩に後ろから足をかけ、頭をかじりだした。
「だから、食うな! ったく、オスを食うなら他に誰でもいるだろうに……」
「……カマキリちなみの特徴はもう一つあるんです」
「なんだ? どうせまた変なことだろ?」
「……オスはオスでも、タカシというオスしか食べられないのです」
「…………」
「……食べて、いいですか?」
「……まぁ、痛くない程度なら」
 チャイムが鳴るまで、俺は甘噛みされたり舐められたりした。

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