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2024年11月24日
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【納豆嫌いなツンデレ】
2010年03月27日
辛い辛い時間をなんとか乗り越え、やっと昼休みになった。ご飯だご飯、待ちかねた!
「なんで寄って来るのよ」
フラフラかなみの席に近づいたら、露骨に嫌がられた。
「光に吸い寄せられがちなんだ」
「ああ、あたしという光り輝かんばかりに美しい人物に引き寄せられたのね。それなら仕方ないわね」
「そんなことはまったくちっとも思ってないのだけど、機嫌良さげに鼻を膨らませているので黙っておこう。あと鼻毛がちろっと出てることも黙っていよう」
俺を神速で殴り倒してから、かなみは教室の奥に行って何かコソコソした後、恥ずかしそうに戻ってきた。
「あ、鼻毛もう出てない」
「イチイチ言うな、馬鹿ッ!」
どさくさに紛れてかなみの隣の席に座り、弁当のフタを開けていただきます。
「…………」
「ちょっと、誰も一緒に食べていいなんて……アンタ、その弁当、なに?」
「そば」
「違うでしょっ! なんで一面納豆なのよ!」
かなみの言うとおり、俺の弁当箱にはご飯と納豆が敷き詰められていた。
「たぶん、昨夜母さんに『納豆ってマズイよね。食べる奴の気が知れないよ。特に目の前でどんぶりで納豆ご飯食べてる奴の気が知れない。具体的に言うと母さんの気が。馬鹿なの?』って言ったのが原因かと」
「……アンタの家って、愉快ね」
愉快と言いながらも、呆れているように見えるのは気のせいなのだろうか。
「うぅむ、どうしたものか……そうだ、ここはかなみを適当に褒めていい気にさせ、飯を奪おう! えーとえーと、かなみ、今日もカワイイね。飯よこせ」
両手をおわんのようにしておかずを分けてもらおうとしたのに、かなみと来たら全然くれない。
「あげるわけないでしょ! 第一、そういう作戦するなら口にしたら台無しでしょうが!」
「じゃあ、聞かなかったということでここは一つ」
「無理に決まってるでしょ! なんでこの子はこんな馬鹿なのよ……」
「馬鹿じゃないもぐもぐ」
「ああっ、アンタなに勝手に人のハンバーグ食べてんのよ!」
「いただきますもぐもぐ」
「そういうこと言ってるんじゃないっ! あげるなんて言ってないでしょ!」
弁当箱を手で覆い隠し、かなみは噛み付くように俺に言った。
「じゃあトレードしよう。俺の納豆ご飯と、かなみのハンバーグ」
「絶対イヤ!」
「じゃあ、俺のでろでろ納豆ご飯と、かなみのつやつやポテト」
「い・や! 大体、あたし納豆嫌いだもん」
「おおっ、納豆嫌い仲間だ。仲間にどうか飯のおこぼれを」
「アンタと仲間なんて、余計にあげたくなくなる理由が増えたわよ」
もうこれ以上関わりあいたくないのか、かなみはこっちを見ないようにしながら飯を一人で突いていた。
「……はぁ。仕方ない、我慢してこれ食うか……」
納豆をかき混ぜ、ずるずるすする。
「うぐぐ、まずいぃぃ……超吐きそう」
あまりのまずさに、ちょい涙目に。
「……な、泣くほどまずいの?」
「まずい。これ食うくらいなら近所のラーメン屋でラーメン食ったほうがマシだ」
「近所のって……そのラーメン屋って、そんなまずいの?」
「すごくおいしい。休みの日とかよく行く」
「んじゃ対比にならないでしょ! そういう時はまずいの出すでしょ、普通!」
「かなみの作る飯食ったほうがマシぐぁっ」
正しく訂正したのに殴られた。
「言われなくても知ってるわよ! ……なによ、あたしだって美味しいの作りたいわよ」
かなみはいじけたように口を尖らし、俺をじとーっと睨んだ。
「あ、いや、その、本どおりに作れば、それなりに食えるのは作れるだろ、普通?」
「……あたしは普通じゃないもん」
いかん、かなみがいじいじいじけ虫に! 大人しくなって撲殺される可能性が大変下がったが、悲しそうなので慰めるべし!
「大丈夫だって! 練習に練習を重ねれば、うまいの作れるって!」
「……じゃあさ、アンタ、作ったの味見してくれる?」
「や、それはご免被りたい」
「…………」
思わず本音がこぼれたら、かなみさんが無言で俺を責めます。
「じ、冗談です、冗談。そ、その、あれだ、照れ隠しとか、そんな部類に属する感情が、ね? 決して毒殺を怯えているわけでは」
「……もういい」
かなみは悲しそうにそれだけ言って、おいしくなさそうにご飯をもそもそ食べた。
「う、うーあーうー、うー」
「……うるさいわね、ご飯は静かに食べなさいよ」
困った。なんとかいつもの暴虐……いやいや、元気なかなみに戻って欲しいのだが……よし、もう一度飯を作ってくれるよう、頼んでみよう。
「俺のために味噌汁を作ってくれ!」
かなみは勢いよく飯粒を噴き出し、俺の顔に愉快な模様をつけた。
「な、な、なんてこと言ってんのよ、この馬鹿!」
何を慌ててるのか皆目検討がつかないが、かなみは顔を真っ赤にしながら俺を箸でたくさん刺した。
「痛い痛い痛い! 今ここに食事用の木材が殺戮用兵器に!」
「この馬鹿この馬鹿この馬鹿!」
「なんかよく分かんないけどごめんなさい俺が悪かったです! 痛い痛い刺さないで!?」
「はぁはぁ……まったく、バカなんだから」
「ううう……なんで刺されたのでせうか?」
「自分の胸に聞きなさいッ!」
分からないから聞いたのに。
「はぁ……痛いし腹減ったし飯はかき混ぜられて納豆まみれだし、もう最悪だ」
「最後のは自分のせいでしょうが! 全くもう……」
かなみはそっと俺の弁当の上にポテトを置いた。
「えっと、これって……?」
「あ、アンタがあんまりにも哀れだからあげるわよ。……なによ、その顔」
「感激してる顔だと覚えていただけると幸いです」
「ポテトなんかで感激してるんじゃないわよ。……今度、弁当作ってきたとき、感激のあまり卒倒しないでよね」
「あ、ああ、努力する。……ん? それって、作ってくれるって事か?」
「アンタがあんまりにも鬱陶しいから、毒殺することにしたの! それだけ! 他意はないの! だから、それ以上聞かないこと! いいわね!?」
再び食事用木材改め俺専用殺戮兵器を俺に向けたので、俺は壊れたロボットみたいにコクコクうなずくのだった。
「なんで寄って来るのよ」
フラフラかなみの席に近づいたら、露骨に嫌がられた。
「光に吸い寄せられがちなんだ」
「ああ、あたしという光り輝かんばかりに美しい人物に引き寄せられたのね。それなら仕方ないわね」
「そんなことはまったくちっとも思ってないのだけど、機嫌良さげに鼻を膨らませているので黙っておこう。あと鼻毛がちろっと出てることも黙っていよう」
俺を神速で殴り倒してから、かなみは教室の奥に行って何かコソコソした後、恥ずかしそうに戻ってきた。
「あ、鼻毛もう出てない」
「イチイチ言うな、馬鹿ッ!」
どさくさに紛れてかなみの隣の席に座り、弁当のフタを開けていただきます。
「…………」
「ちょっと、誰も一緒に食べていいなんて……アンタ、その弁当、なに?」
「そば」
「違うでしょっ! なんで一面納豆なのよ!」
かなみの言うとおり、俺の弁当箱にはご飯と納豆が敷き詰められていた。
「たぶん、昨夜母さんに『納豆ってマズイよね。食べる奴の気が知れないよ。特に目の前でどんぶりで納豆ご飯食べてる奴の気が知れない。具体的に言うと母さんの気が。馬鹿なの?』って言ったのが原因かと」
「……アンタの家って、愉快ね」
愉快と言いながらも、呆れているように見えるのは気のせいなのだろうか。
「うぅむ、どうしたものか……そうだ、ここはかなみを適当に褒めていい気にさせ、飯を奪おう! えーとえーと、かなみ、今日もカワイイね。飯よこせ」
両手をおわんのようにしておかずを分けてもらおうとしたのに、かなみと来たら全然くれない。
「あげるわけないでしょ! 第一、そういう作戦するなら口にしたら台無しでしょうが!」
「じゃあ、聞かなかったということでここは一つ」
「無理に決まってるでしょ! なんでこの子はこんな馬鹿なのよ……」
「馬鹿じゃないもぐもぐ」
「ああっ、アンタなに勝手に人のハンバーグ食べてんのよ!」
「いただきますもぐもぐ」
「そういうこと言ってるんじゃないっ! あげるなんて言ってないでしょ!」
弁当箱を手で覆い隠し、かなみは噛み付くように俺に言った。
「じゃあトレードしよう。俺の納豆ご飯と、かなみのハンバーグ」
「絶対イヤ!」
「じゃあ、俺のでろでろ納豆ご飯と、かなみのつやつやポテト」
「い・や! 大体、あたし納豆嫌いだもん」
「おおっ、納豆嫌い仲間だ。仲間にどうか飯のおこぼれを」
「アンタと仲間なんて、余計にあげたくなくなる理由が増えたわよ」
もうこれ以上関わりあいたくないのか、かなみはこっちを見ないようにしながら飯を一人で突いていた。
「……はぁ。仕方ない、我慢してこれ食うか……」
納豆をかき混ぜ、ずるずるすする。
「うぐぐ、まずいぃぃ……超吐きそう」
あまりのまずさに、ちょい涙目に。
「……な、泣くほどまずいの?」
「まずい。これ食うくらいなら近所のラーメン屋でラーメン食ったほうがマシだ」
「近所のって……そのラーメン屋って、そんなまずいの?」
「すごくおいしい。休みの日とかよく行く」
「んじゃ対比にならないでしょ! そういう時はまずいの出すでしょ、普通!」
「かなみの作る飯食ったほうがマシぐぁっ」
正しく訂正したのに殴られた。
「言われなくても知ってるわよ! ……なによ、あたしだって美味しいの作りたいわよ」
かなみはいじけたように口を尖らし、俺をじとーっと睨んだ。
「あ、いや、その、本どおりに作れば、それなりに食えるのは作れるだろ、普通?」
「……あたしは普通じゃないもん」
いかん、かなみがいじいじいじけ虫に! 大人しくなって撲殺される可能性が大変下がったが、悲しそうなので慰めるべし!
「大丈夫だって! 練習に練習を重ねれば、うまいの作れるって!」
「……じゃあさ、アンタ、作ったの味見してくれる?」
「や、それはご免被りたい」
「…………」
思わず本音がこぼれたら、かなみさんが無言で俺を責めます。
「じ、冗談です、冗談。そ、その、あれだ、照れ隠しとか、そんな部類に属する感情が、ね? 決して毒殺を怯えているわけでは」
「……もういい」
かなみは悲しそうにそれだけ言って、おいしくなさそうにご飯をもそもそ食べた。
「う、うーあーうー、うー」
「……うるさいわね、ご飯は静かに食べなさいよ」
困った。なんとかいつもの暴虐……いやいや、元気なかなみに戻って欲しいのだが……よし、もう一度飯を作ってくれるよう、頼んでみよう。
「俺のために味噌汁を作ってくれ!」
かなみは勢いよく飯粒を噴き出し、俺の顔に愉快な模様をつけた。
「な、な、なんてこと言ってんのよ、この馬鹿!」
何を慌ててるのか皆目検討がつかないが、かなみは顔を真っ赤にしながら俺を箸でたくさん刺した。
「痛い痛い痛い! 今ここに食事用の木材が殺戮用兵器に!」
「この馬鹿この馬鹿この馬鹿!」
「なんかよく分かんないけどごめんなさい俺が悪かったです! 痛い痛い刺さないで!?」
「はぁはぁ……まったく、バカなんだから」
「ううう……なんで刺されたのでせうか?」
「自分の胸に聞きなさいッ!」
分からないから聞いたのに。
「はぁ……痛いし腹減ったし飯はかき混ぜられて納豆まみれだし、もう最悪だ」
「最後のは自分のせいでしょうが! 全くもう……」
かなみはそっと俺の弁当の上にポテトを置いた。
「えっと、これって……?」
「あ、アンタがあんまりにも哀れだからあげるわよ。……なによ、その顔」
「感激してる顔だと覚えていただけると幸いです」
「ポテトなんかで感激してるんじゃないわよ。……今度、弁当作ってきたとき、感激のあまり卒倒しないでよね」
「あ、ああ、努力する。……ん? それって、作ってくれるって事か?」
「アンタがあんまりにも鬱陶しいから、毒殺することにしたの! それだけ! 他意はないの! だから、それ以上聞かないこと! いいわね!?」
再び食事用木材改め俺専用殺戮兵器を俺に向けたので、俺は壊れたロボットみたいにコクコクうなずくのだった。
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