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2024年11月24日
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【男が他の女の子に告白されているのを目撃してしまうツンデレ】
2010年04月29日
放課後、かなみが家に帰ろうと中庭を通りがかると、遠目に見知った顔を見つけた。
「あっ、タカシだ。あの馬鹿、また余計なことしたんじゃないでしょ……」
かなみの動きが止まった。タカシともう一人、女生徒がいた。
その女生徒は、彼に何事か必死で訴えかけているいるようだった。
「……告白?」
その女生徒はかなみも知っている子だった。同性であるかなみから見ても愛らしく、誰からも好感をもたれる素直な性格の少女だった。
そんな少女が、タカシに告白している。
「……罰ゲーム、よね、きっと。……タカシ、変な奴だから、もてないし」
自分に言い聞かせるように、かなみは小さく呟いた。しかし、自身が嘘と思っている言葉をどうして信じられようか。
タカシは確かに変だが、面白くて優しいと女生徒の間で密かに人気があった。
「……け、けど、どうせ無理よね。アイツ、なんだかんだ言ってあたしのこと好きみたいだし」
それは、ほのかな自信。タカシは普段馬鹿ばかりしているが、辛い時、悲しい時、いつも側にいてくれる。
大丈夫、きっと大丈夫。かなみは、ただその言葉を唱え続けていた。
「あっ……!」
タカシが何事か言うと、少女が彼に抱きついた。そしてタカシの手が、少女の肩に優しく置かれた。
タカシが、告白を、受け入れた……?
「嘘……」
茫然自失なまま、かなみはその場を離れた。
気がつくと、かなみは自室にいた。どうやってここまで来たのか、まるで覚えていない。
「……へ、平気よ。あんな奴に恋人ができたぐらいで、なんであたしが……」
枕に顔を押し付け、かなみは泣いた。
翌日。かなみは腫れぼったい目をそのままに学校へ向かった。
結局、一晩中泣いてしまった。涙が枯れてしまうのではないかと思うほど泣いてしまった。
そして、自分がこれほどタカシを慕っているとは思ってもいなかった。
失って初めて気づくと言うけど、遅すぎるよね……。
「おっはよー、かなみ。下ばっか見て、財布でも落としたか?」
場違いなほど明るい声に、かなみは顔を上げた。そこに、さっきまで思っていた人の顔があった。
「タカシ……」
「うわ、ひでー顔だな。……どした? なんかあったのか?」
辛い時、こうして側にいてくれる。それが今は、なにより辛い。
「……なんでもない」
「……そか。言えるようになったら、言ってくれな。聞くことしか出来ねーけど」
わははと殊更明るく笑う彼に、励ましてくれてるんだと感じる。
「……よかったね、タカシ。……可愛い彼女ができて」
だから、頑張らなくちゃ。
「……まさか、昨日のアレ、見てた?」
かなみは小さく頷いた。それを見て、タカシは気まずそうに頭をかいた。
「……よかったじゃない。あの子、いい子だよ。タカシにはもったいないくらいの」
だから、祝福してあげなくちゃ。
「これであたしもアンタの世話役を降りられるわね。あーあ、しんどかった~」
だから、笑わなくちゃ。……笑わなくちゃ、いけないのに。
「……それは困るな」
「……え?」
「告白されたけど、断っちゃったから、世話してくれないと困る」
「な……なんで? なんで断ったの?」
「ん……と、その、まぁなんつーか、……色々だよ、色々!」
タカシはかなみの顔を何か言いたげに見つめた後、後ろを向いてしまった。
……そっか、断ったんだ。
「……もったいないわね。あんないい子、金輪際アンタなんかに寄ってきてくれないわよ?」
「いーの。つーわけで、もうちっと俺の世話役頼むな。かなみがいてくれないと、色々困るんだよ」
「ふ……ふんっ! アンタみたいな変な奴の世話できるのなんて、あたしくらいだからね。……しょうがないから、面倒見てあげる」
お互いに顔を背けたまま、かなみは言葉とは裏腹に笑っていた。
「あっ、タカシだ。あの馬鹿、また余計なことしたんじゃないでしょ……」
かなみの動きが止まった。タカシともう一人、女生徒がいた。
その女生徒は、彼に何事か必死で訴えかけているいるようだった。
「……告白?」
その女生徒はかなみも知っている子だった。同性であるかなみから見ても愛らしく、誰からも好感をもたれる素直な性格の少女だった。
そんな少女が、タカシに告白している。
「……罰ゲーム、よね、きっと。……タカシ、変な奴だから、もてないし」
自分に言い聞かせるように、かなみは小さく呟いた。しかし、自身が嘘と思っている言葉をどうして信じられようか。
タカシは確かに変だが、面白くて優しいと女生徒の間で密かに人気があった。
「……け、けど、どうせ無理よね。アイツ、なんだかんだ言ってあたしのこと好きみたいだし」
それは、ほのかな自信。タカシは普段馬鹿ばかりしているが、辛い時、悲しい時、いつも側にいてくれる。
大丈夫、きっと大丈夫。かなみは、ただその言葉を唱え続けていた。
「あっ……!」
タカシが何事か言うと、少女が彼に抱きついた。そしてタカシの手が、少女の肩に優しく置かれた。
タカシが、告白を、受け入れた……?
「嘘……」
茫然自失なまま、かなみはその場を離れた。
気がつくと、かなみは自室にいた。どうやってここまで来たのか、まるで覚えていない。
「……へ、平気よ。あんな奴に恋人ができたぐらいで、なんであたしが……」
枕に顔を押し付け、かなみは泣いた。
翌日。かなみは腫れぼったい目をそのままに学校へ向かった。
結局、一晩中泣いてしまった。涙が枯れてしまうのではないかと思うほど泣いてしまった。
そして、自分がこれほどタカシを慕っているとは思ってもいなかった。
失って初めて気づくと言うけど、遅すぎるよね……。
「おっはよー、かなみ。下ばっか見て、財布でも落としたか?」
場違いなほど明るい声に、かなみは顔を上げた。そこに、さっきまで思っていた人の顔があった。
「タカシ……」
「うわ、ひでー顔だな。……どした? なんかあったのか?」
辛い時、こうして側にいてくれる。それが今は、なにより辛い。
「……なんでもない」
「……そか。言えるようになったら、言ってくれな。聞くことしか出来ねーけど」
わははと殊更明るく笑う彼に、励ましてくれてるんだと感じる。
「……よかったね、タカシ。……可愛い彼女ができて」
だから、頑張らなくちゃ。
「……まさか、昨日のアレ、見てた?」
かなみは小さく頷いた。それを見て、タカシは気まずそうに頭をかいた。
「……よかったじゃない。あの子、いい子だよ。タカシにはもったいないくらいの」
だから、祝福してあげなくちゃ。
「これであたしもアンタの世話役を降りられるわね。あーあ、しんどかった~」
だから、笑わなくちゃ。……笑わなくちゃ、いけないのに。
「……それは困るな」
「……え?」
「告白されたけど、断っちゃったから、世話してくれないと困る」
「な……なんで? なんで断ったの?」
「ん……と、その、まぁなんつーか、……色々だよ、色々!」
タカシはかなみの顔を何か言いたげに見つめた後、後ろを向いてしまった。
……そっか、断ったんだ。
「……もったいないわね。あんないい子、金輪際アンタなんかに寄ってきてくれないわよ?」
「いーの。つーわけで、もうちっと俺の世話役頼むな。かなみがいてくれないと、色々困るんだよ」
「ふ……ふんっ! アンタみたいな変な奴の世話できるのなんて、あたしくらいだからね。……しょうがないから、面倒見てあげる」
お互いに顔を背けたまま、かなみは言葉とは裏腹に笑っていた。
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