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2024年11月24日
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【寝ぼけて階段から落ちたタカシ】

2010年03月21日
 朝は眠いので半分寝たまま階段下りてたら、足を踏み外して落ちた。
「いたたたた……だがそれ以上に眠いので寝る。ぐぅぐぅ」
 尻が非常に痛むが、その痛みをおしてまで寝る俺はかっこいいなあとか思ってたら、ドアが開く音がした。
「まったく、なんであたしが毎日毎日こんな奴起こさないといけない……うっきゃあああ!」
 てっきりいつものようにかなみが入ってきたのだと思ったが、うっきゃあから想像するに、猿が入ってきたのだろう。猿なら挨拶せねばなるまい。
「おはよう猿。英語で言うとグッド猿」
「し、死んで……あ、あれ、生きてる? 猿?」
「家に侵入してきた者は猿ではなく、かなみだった。これほど残念な朝を迎えるのは久しぶりだと言えるだろう」
「なんか分かんないけどムカつくわねッ!」
 朝からアイアンクローを喰らって大変痛むが、目は覚めた。
「よく考えると猿が家にやってくる事なんてないよな。おはよう、かなみ。ところで、手を離さないと後3秒ほどで俺の頭がはじける予感」
「はいはい。で、何やってたの?」
 手を離してもらい、頭をさすってる俺にかなみが呆れた様子で問いかけた。
「寝ぼけてて、階段落ちた。いわば池田屋の階段落ち」
「どこが池田屋の階段落ちよ。第一、池田屋とか知ってるの?」
「無論だ。池や田を商っている店の総称を池田屋と言い、そこで階段から落ち田んぼに転がり落ちて坊ちゃんこんにち……すいません本当は知りません」
 言ってる最中にかなみに睨まれ、すごく怖かったので素直に謝る。
「はぁ……アンタっていっつも適当ね」
「いやあ、照れることしきり」
「褒めてないッ!」
「じゃあ褒めて。褒めないと朝飯作らないぞ」
「朝ごはん作ってやってるの、あたし!」
「知ってる」
「あーもーあーもぉ! ちょっとアンタそこに座りなさい!」
「はい」
 なんか知らんが怒ってるので、逆らわずに廊下に座る。寒い。
「いい? 世の中には礼儀って言葉があってね」
「お腹空いた。かなみ、ごはん」
「…………」
「かなみ? 俺は腹が減りましたよ?」
「あたしは腹が立ってるの!」
「腹が立つ? それはつまり太ったという意味だな。そう言われればちょっと腹のあたりにぷにぷに感が」
 少しだけぷにっとした腹をつついたら20回くらい殴られた。
「かなみちゃんは太ってない。はい、繰り返して」
「か、かなみ様は太ってなどいません。それどころかスーパーモデルも羨むほどのぷろぽうしおんで御座います」
「えー、ホントにー? もー、タカシったらお世辞ばっかりー♪」
「嘘に決まってんだろ、ばーか。もうちっと乳を膨らませてからそういう寝言を言え」
 いらんこと言ったらまた殴られた。
「何か言うことあるでしょ?」
「本当はかなみくらいの貧乳が好きです」
「そっ、そういうことじゃなくて、謝れって言ってんの! ……いや、ちょっと嬉しいケドさ」
 あさっての方向を見ながら、かなみは照れくさそうに自分の頬を指でかいた。
「まぁかなみの乳はともかく、腹が減ったので飯を所望する。今すぐ飯を作らないと泣くぞ!」
「なんでそんな偉そうなくせに情けないのよ……」
「いいからご飯。かなみの飯を食わないと一日が始まった気がしないのだ」
「……はぁ。まったくもう、しょうがない奴ね。作って……あああああ!」
「うるさい」
「じ、時間! 今すぐ出ないと遅刻する!」
 首をめぐらし時計を見ると、なかなか愉快な時間を指していた。
「なるほどこいつぁヤクイな。ところでかなみ、ご飯」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! ほら、行くわよ!」
「え、でもご飯がご飯食べてないご飯」
「ご飯ご飯うるさいッ! 早くッ!」
「でも俺はお腹が空いてまして、ご飯を食いたいという感情が」
「それ以上ご飯って言ったら殴る」
「す、すいません」
 かなみに手を引っ張られ、腹を鳴らしながら半泣きで学校へ駆けて行く哀れな俺でした。

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