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2024年11月24日
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【ポテチ食べるツンデレ】

2010年03月06日
 昼休みの教室。飯も食ったのでげふーを堪能してると、かなみがポテチを食べてるのに気づいた。
「弁当に加え揚げ芋まで食うとは、冬に備え虎視眈々と肉を溜め込んでますね」
「いきなりヤなこと言うわね……」
 とても迷惑そうな顔で、かなみは俺を見た。
「そこで、少しでもその肉を軽減せしめんと立ち上がる俺であった。てなわけで一枚おくれ」
「なに、欲しいの? そうね……」
 かなみは思案顔でしばらく黙った後、何か思い立ったように顔を輝かせた。
「じゃ、三回まわってワンって言って?」
 素直にまわってワンと鳴く。
「鳴いた。くれ」
「……何の照れもなくされると、つまんないわね」
「ぐうう、よもやかなみにワンと鳴かされるとは。悔しさのあまり血尿が出そうだ」
「明らかに棒読みよっ! それに、悔しくても血尿は出ないっ!」
「間違えた、胆石が出来そうだった」
「アンタは中年のおっさんか!」
「高校生です」
「知ってるわよっ! ……はぁ」
 心底疲れたような息を吐かれた。
「もーいい。あげるから話しかけてこないで。アンタと話してると、頭痛くなってくる」
 くれるというので、ポテチの袋を頂く。
「こら、なにも全部あげるなんて言ってないでしょ!」
「…………」
「ちょっと、なに無視してんのよ。寄越しなさいって言ってるの!」
「…………」
「ね、ねぇ。……あれ、ひょっとして、怒ってる?」
「…………」
「あ、アンタが悪いのよ? 年頃の女の子捕まえて肉を溜め込んでるとか言うから……」
「…………」
「そ、そりゃあたしもちょっと悪かったけどさ。アンタと話してると頭痛くなるとか言っちゃったし。でも、でもさ、それもアンタが……」
「…………」
「……た、タカシ? あの、あたし……」
 困ったような、悲しそうな顔をして、かなみはスカートの裾をぎゅっと掴んだ。
「タイム。大丈夫か?」
「え、あ、……え? タイム?」
「かなみと喋ってはいけないゲームの中断を知らせる言葉です」
「……はぁぁ? なに、アンタあたしが言ったこと律儀に守ってたの?」
「守ってたの。守ってロリポップ」
「……この人騒がせな! ややこしいのよ! なによ、怒ってたんだと思ったじゃないの!」
 かなみは目の端を拭いながら俺にまくし立てた。
「……あの、ひょっとして泣いてる?」
「なっ、泣いてない、泣いてないわよ! なんだってあたしがアンタに無視されただけで泣かなきゃいけないのよ!」
「だよな。強い子良い子のかなみが、そんなので泣くわきゃないわな」
「……なによ、あたしだって泣く時くらいあるわよ」(ぼそり)
「具体例を出すと俺に無視された時と答えそうになった俺だったが、折角小声で言っていたのでここは聞こえないフリをするのが無難であろうと判断した」
「メチャメチャ言ってるじゃないのっ! この馬鹿この馬鹿この馬鹿!」
 かなみは真っ赤な顔で俺の首をぎうぎう絞めるので苦しい。
「ぐげげ、泡が出る出るぶくぶくぶく」
「このカニ! カニがっ!」
「はふー、食堂めっちゃ混んでたー……うわわっ、かなみちゃんが別府くんをカニに!?」
 食堂から戻ってきた女生徒が、トンチキな叫びを教室中に響かせました。

「よう、カニ。宿題やったか?」
「やっ、カニ。次の数学やだねー」
「ねーカニ、あたし次当てられるからここ教えてー」
 響かせた成果は上々なようで、俺のあだ名がカニになりました。
「恨むぜ、かなみ……」
 隣の席のかなみにぼそぼそと囁く。
「あ、あたしは悪くないわよ? アンタが泡出すのが悪いのよ」
「誰だって首絞められたら泡出すだろっ」
「首絞められた経験ないから分かんないわよっ」
「俺はお前にしょっちゅう締められてんだよっ! とても苦しい上カニなんてあだ名がつくのでやめてくださいっ!」
 ヒートアップのあまり、イスから立ち上がる。
「アンタが余計なことしなけりゃ、あたしもやんないわよっ!」
 かなみも熱が篭もったのか、俺と同じようにイスから立ち上がる。
「そこの二人、授業中」
「知ってるわよっ!」
「右に同じだっ!」
 歯を輝かせて教師にサムズアップする。
「お前ら、後で職員室来い」

 二人揃って怒られた。
「指の角度が悪かったのか……?」
「脳のデキが悪いのよ」
「ああ、かなみの」
「なんであたしなのよっ! アンタのが悪いに決まってんでしょうがっ!」
「俺の指の角度が?」
「脳だって言ってるでしょうがっ! アンタの脳みそ、カニ味噌なんじゃないの!?」
「調べた事ないから確証はないが、違うと思う」
「なんで真面目に答えてんのよっ! ……あーもーアンタと話してると疲れる」
「んじゃ、話しかけるのやめようか?」
「……やーらしい笑み。そーゆートコ嫌い」
「こりゃ失礼。じゃ、今日の色々なことについてのお詫びに、パフェでも奢るわ」
「そーゆートコは好き」
「なんとも打算的ですなぁ」
「……まぁ、パフェ自体が目的じゃないんだけど」(ぼそり)
「では、一体何が目的なのですか?」
「なんでアンタはそんなに耳がいいのよっ!」
 真っ赤な顔で首を絞められ、またカニになった。

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