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2024年11月23日
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【ツンデレと男がベストカップルに選ばれたら】
2010年05月14日
「かなみー、ちょっと貸して欲しいものがあるんだけど」
「嫌。アンタに貸す位ならドブに捨てる」
「えっと、シャーペンとノートと国語の教科書貸して」
「人の話聞きなさいよ! それに、それって全部じゃない! どうしたのよ?」
「遅刻しそうであまりに慌ててたのか、鞄持ってくるの忘れた」
「……はぁ、相変わらず馬鹿ね」
かなみに罵倒され傷ついていると、二、三人の男女がカメラを持って教室に入ってきた。そして壇上に上がった。
「別府タカシさん、椎水かなみさん、いますかー?」
なんか呼ばれてるので行く。
「なんだ? 内容次第によっては犯す」
「いきなり脅すな! で、なに?」
俺の脅迫に怯えてる眼鏡な女生徒は、おずおずと切り出した。
「じ……実は我が校で先日行われたアンケートで、別府さんと椎水さんがベストカップルに選ばれまして、その、表彰に……」
「だとさ、かなみ」
「なんでアンタ相手なのよ。ものすごい迷惑」
「だとさ、メガネちゃん」
「メガネちゃん……? と、とにかく、これを受け取ってください」
メガネがよく似合う女生徒からノートの束を渡される。
「では、皆さん拍手をお願いします」
教室に無責任な拍手が舞い起こった。
「それでは、私たちはこれで」
何枚か写真を撮って、メガネちゃんたちは出て行った。
「すごいじゃない、かなみ!」
「相手がこいつじゃなけりゃ、もっと嬉しかったんだけどね」
寄ってきた女生徒に、かなみは俺の顔を指しながら嫌そうに言った。
「やるなぁ、タカシ」
「ああ、とても嬉しい」
寄ってきた男子生徒に満面の笑顔でそう言うと、周囲から冷やかしの声があがった。
「あ、アンタなにを……!」
「本当のことを言って何が悪い?」
かなみは、何か言いたげにもごもごと口を動かした。
「これでノートはかなみの世話にならずに済む。あとは、シャーペンと教科書貸してもらえれば」
「……借りなくて済むから嬉しいってこと?」
「無論だ。まぁ、ベストカップルも悪くないがな」
周囲からため息が漏れた。
「……ったく、アンタは。で、それ使うの?」
「ノート持ってきてないからな。ちょうどいい」
「……えっと、全部貸すから、それちょうだい」
「え、いや、あの」
俺が何か言う前に、かなみはノートを奪ってしまった。
「はい。教科書はあたしも使うから貸せないけど、これでいいでしょ?」
自分の机に取って帰り、ノートとシャーペンを渡される。
「まぁいいんだが……そんなに景品のノートが欲しかったのか?」
「べっ、別にこんなの欲しくないけど、その、……ええと、かっ、描かれてるキャラが可愛かったから!」
よく覚えてないが、特にキャラクターは描かれていなかったような。
「いっ、いいから! ほら、みんなも戻る!」
首をひねっていると、かなみは手を叩いて皆を元の位置に戻した。いまいち納得できなかったが、とりあえず目的の品は手に入ったからまぁいいか。
その夜。かなみは鞄からベストカップルの賞品であるノートの束を取り出していた。
「アイツとベストカップル、だって……へへ、嘘みたい」
かなみはお日様のような笑顔でノートを見つめた。
「でも、タカシの奴平気でこれ使おうとしてたな……アイツにとって、ベストカップルなんてどうでもいいのかな……」
自分の考えに、かなみは落ち込んでしまう。
「……そうだね、どうでもいいんだろうね。そういう奴だし」
軽く息をついて、かなみはベッドに寝転んだ。
飾らない人。いつだって自分に正直な人。そういう人だからこそ、好きになったのだ。周りの目を気にしてしまう自分にとって、タカシはいつだって眩しく見える。
「……ま、いっか。ベストカップルも悪くない、って言ってたし。今はまだ、それでいいや」
いつか”悪くない”が”嬉しい”となる日を夢見て、かなみは目を閉じた。
「嫌。アンタに貸す位ならドブに捨てる」
「えっと、シャーペンとノートと国語の教科書貸して」
「人の話聞きなさいよ! それに、それって全部じゃない! どうしたのよ?」
「遅刻しそうであまりに慌ててたのか、鞄持ってくるの忘れた」
「……はぁ、相変わらず馬鹿ね」
かなみに罵倒され傷ついていると、二、三人の男女がカメラを持って教室に入ってきた。そして壇上に上がった。
「別府タカシさん、椎水かなみさん、いますかー?」
なんか呼ばれてるので行く。
「なんだ? 内容次第によっては犯す」
「いきなり脅すな! で、なに?」
俺の脅迫に怯えてる眼鏡な女生徒は、おずおずと切り出した。
「じ……実は我が校で先日行われたアンケートで、別府さんと椎水さんがベストカップルに選ばれまして、その、表彰に……」
「だとさ、かなみ」
「なんでアンタ相手なのよ。ものすごい迷惑」
「だとさ、メガネちゃん」
「メガネちゃん……? と、とにかく、これを受け取ってください」
メガネがよく似合う女生徒からノートの束を渡される。
「では、皆さん拍手をお願いします」
教室に無責任な拍手が舞い起こった。
「それでは、私たちはこれで」
何枚か写真を撮って、メガネちゃんたちは出て行った。
「すごいじゃない、かなみ!」
「相手がこいつじゃなけりゃ、もっと嬉しかったんだけどね」
寄ってきた女生徒に、かなみは俺の顔を指しながら嫌そうに言った。
「やるなぁ、タカシ」
「ああ、とても嬉しい」
寄ってきた男子生徒に満面の笑顔でそう言うと、周囲から冷やかしの声があがった。
「あ、アンタなにを……!」
「本当のことを言って何が悪い?」
かなみは、何か言いたげにもごもごと口を動かした。
「これでノートはかなみの世話にならずに済む。あとは、シャーペンと教科書貸してもらえれば」
「……借りなくて済むから嬉しいってこと?」
「無論だ。まぁ、ベストカップルも悪くないがな」
周囲からため息が漏れた。
「……ったく、アンタは。で、それ使うの?」
「ノート持ってきてないからな。ちょうどいい」
「……えっと、全部貸すから、それちょうだい」
「え、いや、あの」
俺が何か言う前に、かなみはノートを奪ってしまった。
「はい。教科書はあたしも使うから貸せないけど、これでいいでしょ?」
自分の机に取って帰り、ノートとシャーペンを渡される。
「まぁいいんだが……そんなに景品のノートが欲しかったのか?」
「べっ、別にこんなの欲しくないけど、その、……ええと、かっ、描かれてるキャラが可愛かったから!」
よく覚えてないが、特にキャラクターは描かれていなかったような。
「いっ、いいから! ほら、みんなも戻る!」
首をひねっていると、かなみは手を叩いて皆を元の位置に戻した。いまいち納得できなかったが、とりあえず目的の品は手に入ったからまぁいいか。
その夜。かなみは鞄からベストカップルの賞品であるノートの束を取り出していた。
「アイツとベストカップル、だって……へへ、嘘みたい」
かなみはお日様のような笑顔でノートを見つめた。
「でも、タカシの奴平気でこれ使おうとしてたな……アイツにとって、ベストカップルなんてどうでもいいのかな……」
自分の考えに、かなみは落ち込んでしまう。
「……そうだね、どうでもいいんだろうね。そういう奴だし」
軽く息をついて、かなみはベッドに寝転んだ。
飾らない人。いつだって自分に正直な人。そういう人だからこそ、好きになったのだ。周りの目を気にしてしまう自分にとって、タカシはいつだって眩しく見える。
「……ま、いっか。ベストカップルも悪くない、って言ってたし。今はまだ、それでいいや」
いつか”悪くない”が”嬉しい”となる日を夢見て、かなみは目を閉じた。
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