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2024年11月22日
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【ツンデレとみかんを食べたら】
2013年12月30日
寒い。もう何もしたくない。こうしてコタツに入っていたい。永遠に。
「そう。永久に俺はここにいるのだ……」ブツブツ
「うるさい。さっきから何ブツブツ言ってるのよ。あと夏もコタツ入ってたら熱中症で死ぬわよ」
人がいい感じに超(すーぱー)☆コタツ引きこもり宣言をしていると、そのコタツの持ち主が冷たい声で俺を現実に引き戻す。
「だが冷たいのは声だけで、足は割合温かい。何故ならコタツに足を突っ込んでいるから」サワサワ
「あっこら、触るな馬鹿!」
「触ってません! 言いがかりだ! これが痴漢冤罪か! 皆さん、これが冤罪です、よく見ててください!」サワサワ
「だから、触ってるでしょ! せめて冤罪って言ってる最中は触るのやめなさい馬鹿!」ゲシッ
「あうちっ」
蹴られたので足を触るのを中止。ちなみに足で足を触ってました。
「だけど本当は手でしっかりと触りたかった。ふとももとか。勇気が出ない俺をどうか許してくれ」
「うるさい、変態。はぁ、なんで暇だからってこんなの呼んじゃったかなー……」
ウンザリした顔で、コタツの主であるところのかなみが卓上に手を伸ばした。なんとなく、みかんの入った器をかなみから遠ざける。
「…………」
「…………」
かなみの顔がゆっくりこちらを向く。視線が絡み合い、火花が散る。戦の合図だ。
「ちょっと。それこっちによこしなさいよ」
「分かった。では、輸送費としてみかんを5個いただきます」
「それじゃ全部なくなっちゃうじゃない! いいからよこせ、馬鹿!」
「みかん亡者ですね。痛っ、痛いっ!? すいません全部献上しますから!」
コタツの中でいっぱい蹴られたので全面降伏、器ごとみかんを差し出す。
「最初からそうしろ、馬鹿」
かなみはみかんの皮をむくと、実を口に入れた。
「ん~♪ やっぱみかんはおいしいわね♪」
「俺も食っていい?」
「ダメ」
「丸ごと口に入れて実だけ器用にプププと吐き出し、かなみの口に直接入れる奇芸を見せるから」
「キモいっ! 妖怪かっ! ああもう、分かったわよ。アンタのバカ話も食べてる間は聞かなくて済むし」
「やったね」
手渡されたみかんをむく。かなみは白い筋も全部取ってるが、俺はそんなの気にせずそのままひょいぱく。おいしい。
「わ、筋取らないで食べた」
「んー、別に気にならないし、食物繊維が豊富と聞くし」
「んー……じゃさ、これだけ食べられる?」
そう言って、かなみは自分のみかんから取った筋を手に取り、俺に渡した。
「…………。まあ、食えなくはないが、決して楽しいものではないな」モグモグ
「わ、ホントに食べた! 変な奴~!」
「失敬な。別に好んで食べているわけではないぞ?」
と認識を正しているのに、かなみの奴は既に次の白い筋を取りにかかっている。
「ほらほら、おかわりよ?」
「聞け。俺の話を聞け」
「ほら、あーん?」
「ちくしょう」
可愛い女の子にあーんと言われると、口を開けてしまう。悲しい男の習性を知り尽くしたかなみの策にしてやられ、再び食物繊維を摂取する羽目に。
「あははっ、また食べた」
「もういいからな。いらないからな。おいしいものじゃないからな」
「分かってるって」ムキムキ
「いいや、分かってないね! 何故なら既に次の白い筋を取りにかかっているから!」
「気のせいよ。……よし、むけた。はい、あーん?」
「ちくしょう。ちくしょう」
また食べさせられる。おいしくない。甘みがほしい。
「むぐむぐ……。ちっとも楽しくないのに口を開けてしまうのは俺が馬鹿だからか」
「そうよ、ばーかばーか。あははっ」
ケラケラ笑って、かなみは顔をコタツの天板に頭を乗せた。頬が重みでむにょりとゆがむ。かわいい。
「はぁ。あー……うー。あーもう、本当にコイツといると……」
「うん?」
「なんでもなーいっ。このこのー」ゲシゲシ
「痛い痛い」
コタツの中で軽く足を蹴られた。文句のひとつでも言ってやろうと思ったが、ケラケラと楽しそうに笑ってるのでまあいいや。
それに、今はかなみのツインテールで遊ぶほうが先決だ。かなみの髪を一房軽く掴み、毛先を軽く触る。
「うー。何すんのよー」
「体毛を触ってます」
「たいもーとか言うな、ばか」
「む、そりゃそうだ。頭毛を触ってます」
「あたまげ……」
嫌そうな顔をされた。
「かなみのあたまげは綺麗だな」
「褒められてるけどちっとも嬉しくない……」ムーッ
「女性はあたまげを褒められると喜ばれると聞きましたが」
「馬鹿には無理な芸当よ」
「なんと。なら仕方ない、諦めよう」ナデナデ
「うー。勝手に人の頭をなでるなー」
「嫌なら自爆して俺もろとも死ぬのだな」ナデナデ
「無茶言うなーこのーやめろーばかー」ニコニコ
「わはは」ナデナデ
俺にされるがままなのにニコニコしてるかなみは可愛いなあ、とか思いながらしばらくなでてました。
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ちなみかと驚いたら
やっぱりかなみだった