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2025年02月03日
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【ツンデレが毎日家に入り浸ったら】
2012年08月27日
気がつけば夏休みが残り一週間を切ってる罠。
「スタンド攻撃か何かか?」
「小麦粉か何かだ」
そして今日もちなみが俺の家にいる。
「何の話だ」
「……タカシは今日も私が大好きという噂が立ち込めており非常に気持ち悪いので、一刻も早く死んで欲しいという話?」
「小麦粉関係ねえ。そしてそんな噂は存在しねえ」
「……私が広めたから、存在はしている」
「だから誰も俺に寄ってこなかったのか。非常に迷惑なのでやめてください」
「……いや、それは噂とは関係なく、タカシの人格の問題」
「なるほどそうか。真実は時に死にたくなるな」
ちなみが目をきらきらさせて身を乗り出した。
「わくわくしないでください。別に今すぐ死んだりはしません」
「タカシにはがっかりだ……」
「この娘は人の死を願うのでとても怖いね」
怖いのでちなみのほっぺを両手で挟み込み、むいむいする。むいむいとは、両手でほっぺを挟み込み、うにうにと優しくこねることを指す俺の造語だ。
「んー」
しかし、この刑罰はちなみには罰則にならず、むしろ少し嬉しそうなので残念。
「はい、終わり」
「むいむいが終わってしまった……」
「なんでそんな残念そうやねん」
ぺしーん、とちなみのおでこにツッコミを入れる。
「……痛い」
無表情は崩さず、ちなみは自分のおでこをさすさすさすった。
「はぁー……しかし、過ぎてみれば早いもんだなあ、夏休みってのは」
ごろりとベッドに転がり、天井を眺める。一ヶ月以上休みがあったはずだが、光陰矢の如しとは正にこのことだな。一体何やったっけ。……あれ、ほとんど覚えてねえ。
などと考えていると、何か物体がのそりと俺の上に乗ってきた。
「重い」
「……女の子の重量は羽と同程度、という文献を読んだことがある。なので、重いわけがない。はい論破」
「論破じゃねえ。重いっての。どけ」
ちなみが俺の上に乗ったままむすーっとしていた。
「……重くない」
「頑なな奴め」
「重くないったら重くない」
「いていて」
俺の胸にあごをつけ、微妙にぐりぐりしてきた。なんて地味な攻撃だ。
「分かった、ちなみは重くない。だからぐりぐりするない」
「ん。分かればいい」
そしてどういうことか、そのままぐりぐりからすりすりに移行した。
「……なに」
その様子を見てたら、ちなみが少し恥ずかしそうに頬を染めてこっちを見てきた。
「いや、別に」
「……別に、タカシなんて好きじゃないもん」
「聞いてねえ」
「……誘導尋問だ。卑怯なので死刑」
「一切誘導してねえ。ただの自爆だろ」
「……しょがない。頭なでてくれたら、特別に減刑してやろう」
「そもそも刑罰を受ける覚えはないのだけど」
「……いーからなでろ、ロリコン」
「あっ、はい俺のことですね」
呼ばれたからにはなでざるを得ないので、合法ロリをなでなでする。
「……はふー」
ちなみは気持ちよさそうに吐息を吐いた。毛づくろいされてる猫みてえ。
「あ、思い出した。夏休みはほぼ毎日こんなことやってたから、ほとんど覚えてなかったんだ」
ちなみをなでることが日常に組み込まれていたがために起こった悲劇だろう。悲劇?
「……じゃあ、覚えられるようにこれからも毎日来てやろう。私に感謝し、崇め奉れ。そして将来的には私を教祖とした宗教団体を旗揚げしろ」
「いいえ、結構です」
「左うちわの予定が……」
なんかショック受けてる奴を、今日もなでなでしたり抱っこしたりしました。
「スタンド攻撃か何かか?」
「小麦粉か何かだ」
そして今日もちなみが俺の家にいる。
「何の話だ」
「……タカシは今日も私が大好きという噂が立ち込めており非常に気持ち悪いので、一刻も早く死んで欲しいという話?」
「小麦粉関係ねえ。そしてそんな噂は存在しねえ」
「……私が広めたから、存在はしている」
「だから誰も俺に寄ってこなかったのか。非常に迷惑なのでやめてください」
「……いや、それは噂とは関係なく、タカシの人格の問題」
「なるほどそうか。真実は時に死にたくなるな」
ちなみが目をきらきらさせて身を乗り出した。
「わくわくしないでください。別に今すぐ死んだりはしません」
「タカシにはがっかりだ……」
「この娘は人の死を願うのでとても怖いね」
怖いのでちなみのほっぺを両手で挟み込み、むいむいする。むいむいとは、両手でほっぺを挟み込み、うにうにと優しくこねることを指す俺の造語だ。
「んー」
しかし、この刑罰はちなみには罰則にならず、むしろ少し嬉しそうなので残念。
「はい、終わり」
「むいむいが終わってしまった……」
「なんでそんな残念そうやねん」
ぺしーん、とちなみのおでこにツッコミを入れる。
「……痛い」
無表情は崩さず、ちなみは自分のおでこをさすさすさすった。
「はぁー……しかし、過ぎてみれば早いもんだなあ、夏休みってのは」
ごろりとベッドに転がり、天井を眺める。一ヶ月以上休みがあったはずだが、光陰矢の如しとは正にこのことだな。一体何やったっけ。……あれ、ほとんど覚えてねえ。
などと考えていると、何か物体がのそりと俺の上に乗ってきた。
「重い」
「……女の子の重量は羽と同程度、という文献を読んだことがある。なので、重いわけがない。はい論破」
「論破じゃねえ。重いっての。どけ」
ちなみが俺の上に乗ったままむすーっとしていた。
「……重くない」
「頑なな奴め」
「重くないったら重くない」
「いていて」
俺の胸にあごをつけ、微妙にぐりぐりしてきた。なんて地味な攻撃だ。
「分かった、ちなみは重くない。だからぐりぐりするない」
「ん。分かればいい」
そしてどういうことか、そのままぐりぐりからすりすりに移行した。
「……なに」
その様子を見てたら、ちなみが少し恥ずかしそうに頬を染めてこっちを見てきた。
「いや、別に」
「……別に、タカシなんて好きじゃないもん」
「聞いてねえ」
「……誘導尋問だ。卑怯なので死刑」
「一切誘導してねえ。ただの自爆だろ」
「……しょがない。頭なでてくれたら、特別に減刑してやろう」
「そもそも刑罰を受ける覚えはないのだけど」
「……いーからなでろ、ロリコン」
「あっ、はい俺のことですね」
呼ばれたからにはなでざるを得ないので、合法ロリをなでなでする。
「……はふー」
ちなみは気持ちよさそうに吐息を吐いた。毛づくろいされてる猫みてえ。
「あ、思い出した。夏休みはほぼ毎日こんなことやってたから、ほとんど覚えてなかったんだ」
ちなみをなでることが日常に組み込まれていたがために起こった悲劇だろう。悲劇?
「……じゃあ、覚えられるようにこれからも毎日来てやろう。私に感謝し、崇め奉れ。そして将来的には私を教祖とした宗教団体を旗揚げしろ」
「いいえ、結構です」
「左うちわの予定が……」
なんかショック受けてる奴を、今日もなでなでしたり抱っこしたりしました。
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【ツンデレが女豹だったら】
2012年08月25日
昨今は夏休みなので学校の級友たちと会う機会もめっきりと減り、何かと寂しい。
「とか言いてえ」
「いきなり何を言っているのか。今日もタカシは意味不明だ」
人の頭をぺしぺし叩きながら、ほぼ毎日のように俺の家に入り浸っているちなみが馬鹿にした様子で言う。
「いやね、聞いてくださいよちなみさん。なんか知り合いが毎日俺の家に来るんですよ」
「ほほう。それは実に興味深い」
「なんで来るんでしょうかね?」
「私の勘によると、嫌がらせではないだろうか」
「やっぱりか」
悔しいのでちなみのほっぺをぐにーっと引っ張る。
「ひはひ」
全くの無表情で痛いと言われても、信用ならない。とはいえ、あまり女性の頬を引っ張るのもなんなんで、適当なところで離してあげる。
「……傷物にされた」
「人聞きが悪い」
「膜を貫かれ」
「違う! してない! ほっぺ引っ張っただけ!」
「言葉に誘導された。そういえばまだ処女だった。てへ、しっぱい☆」
「あら可愛い」(なでなで)
「…………」(嬉しい)
「何を普通に喜んでいるか」
「よ、喜んでなどいない。いないが、もう少しなでなでを続けてみると面白くなること請け合い」
「ほう、それは興味深い。では早速やってみよう」(なでなで)
「…………」(嬉しい)
「もういいか?」
「まだ」
「…………」(なでなでしているが、少し疲れてきた)
「…………」(嬉しい)
「そろそろいいか?」
「まだ」
「…………」(頑張ってなでてるが、いい加減疲れた)
「…………」(嬉しい)
「もう十分だろ」
「まだ」
「もう十分!」
「ぶー……」
ぶーたれられたが、なでなでを終える。単純なこととはいえ、数をこなすと結構疲れる。
「で、面白くなることとは一体如何様なことで?」
「タカシの腕が疲れる」
「はぁ」
「おしまい」
「ええっ!?」
「ああ愉快愉快。愉快なのでもっとなでろ」
「いや、ちっとも愉快じゃねえ」
「じゃあ不愉快でもいいからなでろ」
「嫌です」
「…………」
「…………」
「…………」(じわーっ)
「んなことで泣くなッ! ああもう、ああもう!」(なでなでなで)
「な、泣いてない。泣いてないが、そのまま続けるように」
「この娘はすぐに女の武器を使うから厄介だ」(なでなで)
「女豹なので。あと、抱っことかもしろ」
「……何故?」
「女豹なので」
「女豹なら仕方ない」(むぎゅー)
「がおーがおー」(むぎゅー)
そんなわけで、女豹を抱っこしたりなでなでしたりしてました。あと、よく考えると女豹だから抱っこしないといけないとか超意味分からん。
「その辺りどうお考えでしょうか」
「がおがお」(すりすり)
問い質しても、この女豹は人の頬に自分の匂いをなすりつけるのに夢中なようで答えてくれない。残念。
「とか言いてえ」
「いきなり何を言っているのか。今日もタカシは意味不明だ」
人の頭をぺしぺし叩きながら、ほぼ毎日のように俺の家に入り浸っているちなみが馬鹿にした様子で言う。
「いやね、聞いてくださいよちなみさん。なんか知り合いが毎日俺の家に来るんですよ」
「ほほう。それは実に興味深い」
「なんで来るんでしょうかね?」
「私の勘によると、嫌がらせではないだろうか」
「やっぱりか」
悔しいのでちなみのほっぺをぐにーっと引っ張る。
「ひはひ」
全くの無表情で痛いと言われても、信用ならない。とはいえ、あまり女性の頬を引っ張るのもなんなんで、適当なところで離してあげる。
「……傷物にされた」
「人聞きが悪い」
「膜を貫かれ」
「違う! してない! ほっぺ引っ張っただけ!」
「言葉に誘導された。そういえばまだ処女だった。てへ、しっぱい☆」
「あら可愛い」(なでなで)
「…………」(嬉しい)
「何を普通に喜んでいるか」
「よ、喜んでなどいない。いないが、もう少しなでなでを続けてみると面白くなること請け合い」
「ほう、それは興味深い。では早速やってみよう」(なでなで)
「…………」(嬉しい)
「もういいか?」
「まだ」
「…………」(なでなでしているが、少し疲れてきた)
「…………」(嬉しい)
「そろそろいいか?」
「まだ」
「…………」(頑張ってなでてるが、いい加減疲れた)
「…………」(嬉しい)
「もう十分だろ」
「まだ」
「もう十分!」
「ぶー……」
ぶーたれられたが、なでなでを終える。単純なこととはいえ、数をこなすと結構疲れる。
「で、面白くなることとは一体如何様なことで?」
「タカシの腕が疲れる」
「はぁ」
「おしまい」
「ええっ!?」
「ああ愉快愉快。愉快なのでもっとなでろ」
「いや、ちっとも愉快じゃねえ」
「じゃあ不愉快でもいいからなでろ」
「嫌です」
「…………」
「…………」
「…………」(じわーっ)
「んなことで泣くなッ! ああもう、ああもう!」(なでなでなで)
「な、泣いてない。泣いてないが、そのまま続けるように」
「この娘はすぐに女の武器を使うから厄介だ」(なでなで)
「女豹なので。あと、抱っことかもしろ」
「……何故?」
「女豹なので」
「女豹なら仕方ない」(むぎゅー)
「がおーがおー」(むぎゅー)
そんなわけで、女豹を抱っこしたりなでなでしたりしてました。あと、よく考えると女豹だから抱っこしないといけないとか超意味分からん。
「その辺りどうお考えでしょうか」
「がおがお」(すりすり)
問い質しても、この女豹は人の頬に自分の匂いをなすりつけるのに夢中なようで答えてくれない。残念。
【犬子 もうすぐ夏休みが終わる】
2012年08月20日
「もうすぐ夏休みが終わるという噂があるが、嘘だよな?」
「本当だよ?」
折角人が勇気を振り絞って聞いたというのに、目の前の犬っぽいのはなんでもないことのようにあっさりとそうのたまった。
「てめェ、この怠惰な毎日を終わらせるとはどういうつもりだ!?」
「わ、私のせいじゃないよ、符長くん!」
「じゃあ俺のせいだというのか! なんという責任転嫁だ! そんなヤツとはもう結婚してやらん! ぷいっ!」
「無茶苦茶だよぅ……って、えええええっ!? けっ、けっこ!?」
なんか犬子がびっくりしてる顔が面白かったので、指差して笑ったら怒られた。
「人がびっくりしてるのに笑わないの!」
「はい、すいません」
「まったく……じゃないよっ! け、結婚ってどういうこと!?」
「あー、あと二週間くらいしかないのかー。もっと長かったらいいのになー」
「今は夏休みの残りに思いを馳せる時じゃないよっ! 私と符長くんの結婚についてだよ!」
「子供は何人くらいほしい?」
「……さ、三人くらい」
何から顔を真っ赤にさせてぽしょぽしょと言われてしまった。ちらちらとこちらを見ている犬子を相手に、俺は一体どうすればいいのか。
「もちろん冗談なんですがね」
「わ、分かってるよ! ……分かってるけど、分かってたけど、……はぅぅ」
「そう言うと、犬子は自らのイヌミミを抱えてイヤイヤと頭を振った。恥ずかしさが許容量を超えたようだ」
「概ね合ってるけど、イヌミミのくだりだけが間違ってるよっ! これはイヌミミじゃなくて、そーゆー髪形なのっ! マクロスのランカちゃん髪形なのっ!」
何か言ってるが、今日も聞き流す。
「ううう……今日も聞き流されてるよ……」
「で、結婚の話ですが」
「はうっ!? ……つ、続くの?」
「嫌ですか」
「とんでもないことざますよっ!?」
「いや、原型がないくらい口調がおかしい」
「ど、どーでもいいのっ! ……あ、あの、符長くん?」
「うん?」
「符長くんって、そ、その、私のこと、……すっ、好き、なの?」
「ああ、大好きだ」
「~~~~~~!!!」
「おお、これが声にならない声という奴なのだな。初めて見た。写真でも撮ろうか」
「とっ、撮ってもしょーがないよ! そっ、そっ、そっ、それより、さっき!」
「はいはい、落ち着け」
落ち着けぱぅわーを犬子に送るべく、ぽんぽんと優しく犬子の頭を叩く。
「はぅぅ……」
「うむ、落ち着いた。流石は俺の落ち着けぱぅわー」
「はぅはぅ」
「じゃ、また学校で」
「はぅぅ。……はぅ? わーっ! まだまだ、まだ帰っちゃダメだよ符長くん!」
はぅーってなってたのでこれ幸いとバイバイしようとしたら、すごい勢いで腕を掴まれた。悔しいので反対の手で犬子の腕を掴む。
「? えーっと……なにかな、符長くん」
「俺と犬子の間でサークルが完成しました。これにより、俺の好意が犬子の腕を通じ、俺自身へと返ってくる循環機能を発動できます」
「こ、好意……」
また犬子が赤くなった。
「あ、あのね、符長くん。……わ、私もね、符長くんがね、……す、好き、だよ?」
なんだか泣きそうになりながらも、犬子は笑ってそう言った。
「犬は馬鹿みたいに飼い主が好きだからそれも当然だな」
「犬の話!? え、ひょっとしてさっきの私が好きってのも、犬に関してのこと!?」
「何を驚いているのだろう、この犬は」(なでなで)
「犬じゃないのに、犬じゃないのに! 酷いよ符長くん!」
「そう怒るな、犬子。お詫びに今度結婚しよう」
「お詫びにすることじゃないよっ! もーっ! 符長くんのばかっ!」
「わはは」
ぽかぽか叩いてくる犬子の攻撃をかい潜り、なでなでをけしかける俺だった。
「本当だよ?」
折角人が勇気を振り絞って聞いたというのに、目の前の犬っぽいのはなんでもないことのようにあっさりとそうのたまった。
「てめェ、この怠惰な毎日を終わらせるとはどういうつもりだ!?」
「わ、私のせいじゃないよ、符長くん!」
「じゃあ俺のせいだというのか! なんという責任転嫁だ! そんなヤツとはもう結婚してやらん! ぷいっ!」
「無茶苦茶だよぅ……って、えええええっ!? けっ、けっこ!?」
なんか犬子がびっくりしてる顔が面白かったので、指差して笑ったら怒られた。
「人がびっくりしてるのに笑わないの!」
「はい、すいません」
「まったく……じゃないよっ! け、結婚ってどういうこと!?」
「あー、あと二週間くらいしかないのかー。もっと長かったらいいのになー」
「今は夏休みの残りに思いを馳せる時じゃないよっ! 私と符長くんの結婚についてだよ!」
「子供は何人くらいほしい?」
「……さ、三人くらい」
何から顔を真っ赤にさせてぽしょぽしょと言われてしまった。ちらちらとこちらを見ている犬子を相手に、俺は一体どうすればいいのか。
「もちろん冗談なんですがね」
「わ、分かってるよ! ……分かってるけど、分かってたけど、……はぅぅ」
「そう言うと、犬子は自らのイヌミミを抱えてイヤイヤと頭を振った。恥ずかしさが許容量を超えたようだ」
「概ね合ってるけど、イヌミミのくだりだけが間違ってるよっ! これはイヌミミじゃなくて、そーゆー髪形なのっ! マクロスのランカちゃん髪形なのっ!」
何か言ってるが、今日も聞き流す。
「ううう……今日も聞き流されてるよ……」
「で、結婚の話ですが」
「はうっ!? ……つ、続くの?」
「嫌ですか」
「とんでもないことざますよっ!?」
「いや、原型がないくらい口調がおかしい」
「ど、どーでもいいのっ! ……あ、あの、符長くん?」
「うん?」
「符長くんって、そ、その、私のこと、……すっ、好き、なの?」
「ああ、大好きだ」
「~~~~~~!!!」
「おお、これが声にならない声という奴なのだな。初めて見た。写真でも撮ろうか」
「とっ、撮ってもしょーがないよ! そっ、そっ、そっ、それより、さっき!」
「はいはい、落ち着け」
落ち着けぱぅわーを犬子に送るべく、ぽんぽんと優しく犬子の頭を叩く。
「はぅぅ……」
「うむ、落ち着いた。流石は俺の落ち着けぱぅわー」
「はぅはぅ」
「じゃ、また学校で」
「はぅぅ。……はぅ? わーっ! まだまだ、まだ帰っちゃダメだよ符長くん!」
はぅーってなってたのでこれ幸いとバイバイしようとしたら、すごい勢いで腕を掴まれた。悔しいので反対の手で犬子の腕を掴む。
「? えーっと……なにかな、符長くん」
「俺と犬子の間でサークルが完成しました。これにより、俺の好意が犬子の腕を通じ、俺自身へと返ってくる循環機能を発動できます」
「こ、好意……」
また犬子が赤くなった。
「あ、あのね、符長くん。……わ、私もね、符長くんがね、……す、好き、だよ?」
なんだか泣きそうになりながらも、犬子は笑ってそう言った。
「犬は馬鹿みたいに飼い主が好きだからそれも当然だな」
「犬の話!? え、ひょっとしてさっきの私が好きってのも、犬に関してのこと!?」
「何を驚いているのだろう、この犬は」(なでなで)
「犬じゃないのに、犬じゃないのに! 酷いよ符長くん!」
「そう怒るな、犬子。お詫びに今度結婚しよう」
「お詫びにすることじゃないよっ! もーっ! 符長くんのばかっ!」
「わはは」
ぽかぽか叩いてくる犬子の攻撃をかい潜り、なでなでをけしかける俺だった。
妹「なでれ」
2012年08月19日
兄「なんスか突然」
妹「なでれ」
兄「いや、見た通り食事中なので、お断りします」モグモグ
妹「なでれ」
兄「いや、だから」
妹「なでれ」
兄「…………」ナデナデ
妹「んー」
妹「なでれ」
兄「いや、見た通り食事中なので、お断りします」モグモグ
妹「なでれ」
兄「いや、だから」
妹「なでれ」
兄「…………」ナデナデ
妹「んー」
【ツンデレと一緒にプールへ行ったら】
2012年08月12日
近頃は暑いのでプール等に行って身体を冷やしたい所存。
「勝手に行くがよい、愚か者。わらわに言う必要などなかろう、愚か者。早う死ね、愚か者」
といったことをまつりに言ったら、上記のようなことを言われた。
「なるほど、つまり今のを意訳すれば、『わらわも一緒に連れて行って欲しいですじゃ、ぬし様♪』と言った感じになるのだな」
「ならぬわっ! なんでわらわが貴様如きに『はにゃーん、ぬし様ぁ♪』などと甘ったるく言わねばならぬのだっ!」
「はにゃーんとは言ってません」
「うっ、うるさいのじゃ!」
「こないだ貸したCCさくらのDVD観てるの?」
「うるさいのじゃあ!」
なんか真っ赤な顔した人に怒られた。
「まあいいや。そういうわけで、一人で行っても仕方ないし、一緒に行かないか? 今ならおごってあげる予感」
「おごりでも何でも行かぬと言っておろうがっ! どうして貴様はわらわの話を聞かんかや!?」
「意図的に聞き流して、自分が持って行きたい方向へコントロールしようとしているからじゃないか?」
「今日も貴様なんて大嫌いなのじゃあうわーんっ!」
などとぐすぐす泣かれたものの、どうにか泣き止ましてプールへ来ましたプール。
「ううう……今日も貴様は酷いのじゃあ……」
「まあそう悲しむな。ほら、プールに入れば幼女が見放題だぞ?」(なでなで)
「そんなの貴様みたいな変態しか喜ばんのじゃっ! わらわは女性なのでちっとも嬉しくないのじゃ! 頭をなでるでないっ!」
「いいや、なでるね!」(なでなでなで)
「今日もこやつはわらわの話をきかんのじゃあ……」
なんか悲しそうだったので、なでり力をあげてなでてみた。
「……ぬ?」
「ん」(なでなで)
「……ぬー」(こくこく)
なんか分からんが納得したようなので善し。受付で金を払っていざプールへ。
「もう来ちゃったから仕方ないけど、次からはナシじゃからの!? 誘われても来ぬからの!」
「じゃあ次から誘わないでいきなり拉致するよ」
「昼日中から犯罪予告されちゃったのじゃあ……」
悲しそうなまつりの背中をばいばいと見送り、自分は男子更衣室へ。もーこれがまるで楽しくないので情景は割愛、表に出てまつりを待つ。
「さて、まつりはどんな格好か……さらし&ふんどしか?」
「いつの時代じゃ、愚か者」
「おお、その声はまつりか。……ふむ」
「な、なんじゃ。……じ、じろじろ見るでない、愚か者!」
急遽誘われたからであろう、まつりはその未成熟な身体を紺色の悪魔、即ちスク水に包んでいた。以前俺が純然たる厚意のみで縫いつけた『まつり』と書かれた胸元の白い名前欄が眩しい。
「う、うぅー……わらわだって、わらわだって分かってればもうちょっとマシな水着を選んだのじゃ。突然言われたからこんなのしか用意できなかったのじゃ。全部貴様のせいなのじゃ!」
「超馬鹿みたいで可愛いですね」
「やっぱ馬鹿にされたのじゃうわーん!」
「褒めたのに」
よしよしと頭をなでて慰める。
「ぐすぐす……ちっとも褒めてなかったのじゃ。超馬鹿って言ったのじゃ。そも、この馬鹿みたいの要素の塊である名前欄は、貴様が勝手に強固に縫い付けたから取れぬのじゃ。死んじゃえばいいのじゃ」
「わっはっは。なんかぐにゃぐにゃ言ってるが、やっぱスク水は貧乳が映えるなあ」
「どーせぺたんこなのじゃっ!」
「何を怒っているか。大変似合ってて、可愛いですよ?」
「うっ……うるさいのじゃっ! 貴様なんかに褒められてもちっとも嬉しくなんてないのじゃっ!」
「へーへー」(なでなで)
「……う、嬉しくなんてないのじゃよ?」
なんか俺の顔が急にニヤけだしたが、それは別にまつりがこちらにちょこちょこっと寄ってきて、俺の水着をちょこんとつまんだのとは関係ないハズ。
「と、とまれ、折角プールに来たのだ、泳ごうではないか」
「そ、そじゃな! 極々稀に良いことを言うのう!」
二人で何かを誤魔化すようにわははと笑う。うむ、善し。
「じゃ、じゃあの、じゃあの、まずはどのプールにするかの?」
「んー、そだな。まつりはどこ行きたい?」
「んと……あれ! あれがよいのじゃ!」
まつりが指差す先に、ウォータースライダーがあった。
「ほう、まるで人の腸を模したかのような管の中に入りたいと言うのだな? 擬似的なアレになりたいのか?」
まつりが嫌そうな顔をした。
「……今日も貴様は人を不愉快にさせる達人じゃの」
「いやあ、照れることしきり」
「わざとじゃろうが、一応言っておくのじゃ。褒めてないのじゃっ!」
「いやはや。じゃ、行くか」
「あんなこと言ったうえで行くのかや……?」
「嫌なら別のとこでもいいが」
「……まあいいのじゃ。どーせどこ行っても最初に嫌なことを言うに決まってるのじゃ、一緒なのじゃ。ほれ、わらわたちも並ぶぞよ?」
ウォータースライダーに並ぶ人たちを見ながら、まつりはきゅっと俺の手を握った。
「ほうあひゃ」
「なっ、なんじゃっ!?」
「いや、その、て、手が」
「……だ、だって、いっぱい並んでるから、手繋がないとわらわと貴様が一緒って係の人が分からなくなっちゃうのじゃ! そ、それだけなのじゃ!」
「まつりの手って小さいな」
「感想はいらんのじゃよ!?」
なんで泣きそうになってんだ。
「い、いーから並ぶのじゃ!」
ぐいぐい引っ張られ、ウォータースライダーの列の最後尾に並ぶ。俺達の番まで数分かかりそうだ。
「う、うぅー……そも、貴様の手が大きすぎるだけなのじゃ。わらわが小さいんじゃないのじゃ」
「標準的だと思いますが」
「うるさいのじゃ!」
数分なんてまつりといたらあっという間なので、あれよあれよという間に俺たちの番になった。
「な、なんじゃとお!?」
で、先にまつりを滑らそうと思って順を譲り、なにか係の人と喋ってると思ったら、まつりが頓狂な声をあげた。
「……え、あ、うー……ち、違……わない、のじゃ」
チラチラとこちらを見たかと思ったら、かぼそい声でぼそぼそと何か言ってた。あと、やけに顔が赤い。
「…………」
その赤い顔のまま、まつりが来い来いと手招きする。手招かれたからには招かれざるを得ないので、のこのこそちらに行ったら係員の人に座らされた。そしてその俺の膝の上にまつりがちょこんとぉぉぉぉぉ!?
「な、何がこの地球上で行われているのか説明せよ! 配点:5点!」
「き、今日はいっぱい人がいるから効率性を重視した結果なのじゃ! べ、別に恋人はこーゆー感じで滑るんじゃないじゃっ!」
「な、なるほど」
「ほ、ホントなのじゃよ? 恋人同士ならこーして後ろから抱っこして滑った方がよいなんて言われてないのじゃよ?」
「そ、そうか。まあ恋人じゃないからなあ」
「むー……」
なんかまつりの機嫌が悪くなった。
どうしようかと思っていたら、係員がいいから早く行けと言うので、まつりの尻の感触を味わいつつ、つるりと管の中に入る。
「ぬっひゃああああああ!」
するとまつりが超うるさい。
「腸だけに、なんちて。うひゃひゃ」
「何を言っとるのじゃああああ!? も、もっとわらわをぎゅーってするのじゃあ!」
「これは素敵な提案だ」
そんなわけで、滑りながらもまつりをぎゅーっと抱きしめる。すると。
「あ」
「ふにゃあああ!?」
手が滑って胸元に手が移動したりしちゃったりなんかしちゃったりして。
「な、な、な、なにをするのじゃあ!?」
「……ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!」(もみもみ)
「にゃっ、ふにゃっ、ふにゃあっ!?」
ぺたんこかと思いきや、もみもみしてみるとしっかりともみもみできる不思議素材。女の子って不思議ぶくぶくぶく。
「……ぷはあっ。き、き、貴様、わ、わらわのおっぱいを、も、も、もーっ!?」
「……ぷはっ。 あ、別に急激に失神してあぶくを吹いたのではなく、スライダーが終わってプールに落着しただけです」
「何の話なのじゃっ!?」
「まあまあ、文句その他は後で後で。ここにいたら後続のプール滑ラーに蹴られるぞ。ちなみにラー油とは関係ない模様」
「ぬ、ぬぅ……」
渋々、といった感有り有りだったが、とりあえずプールから出て、袖にある椅子に腰掛ける。
「やー、楽しかったな」
「ちっともなのじゃ! 貴様、なんでわらわのおっぱいをもみもみしたかや!?」
「いやいや、そんなぺたんこなのに揉んだりなんてできるわけねーじゃん」
「ヘーゼンと嘘をついちゃダメなのじゃっ! もみもみしたのじゃ、されたのじゃっ!」
「いやあ、スライダーが怖くてしがみついちゃったから、その拍子に触っちゃったのかもしれないね。てへ、ごめりんこ☆」
「絶対嘘なのじゃっ! はっきりと『ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!』って聞こえたのじゃ! あと、その謝罪だと絶対に許さんのじゃ!」
「しまった、こんなところで俺の嘘をつかない紳士性が露見した。このままではまつりが俺の紳士っぷりに惚れてしまう」
「何を無理やり自分を褒めてるかや!? それにさっき嘘ついてたのじゃ! ……じゃ、じゃから、……ほ、惚れたりなんてしてないのじゃよ?」
それは当然なのだが、どうしてもじもじしている。
「と、とにかく! わらわのおっぱいをもみもみしたことをちゃんと謝るのじゃ! ごめんなさいって言うのじゃ!」
「つまり、謝れば乳を揉み放題なんだな。なんと好都合な!」
「そんな放題ないのじゃっ! わらわのおっぱいに触っちゃ駄目なのじゃ!」
「まあ、当然だわな。ごめんな、まつり。抱っこしたらあんまりにもまつりの身体が柔らかくて、ムラムラしちゃって、つい揉んじゃったんだ」
「う……そ、そんなこと言われても、許さんものは許さんのじゃ!」
「うん、許してくれとは言わない。だけど、これだけは言わせてくれ。許してくれ」
「ええーっ!?」
まつりがびっくりした。
「あと、もっかい揉みたい。一回謝れば一もみもみだよな、確か」
「無茶苦茶言ってるのじゃよ、貴様!? 気づいてるかの!? そしてそんな単位ないのじゃ!」
「んじゃまつりが許してくれたうえに後で一もみもみさせてくれるらしいし、そろそろ泳ごうか。競争でもするか?」
「許してない、ちっとも許してないし、一もみもみも許可してないのじゃよ!?」
なんかあわあわしながらも、律儀についてくるまつりは偉いなあと思った。
「勝手に行くがよい、愚か者。わらわに言う必要などなかろう、愚か者。早う死ね、愚か者」
といったことをまつりに言ったら、上記のようなことを言われた。
「なるほど、つまり今のを意訳すれば、『わらわも一緒に連れて行って欲しいですじゃ、ぬし様♪』と言った感じになるのだな」
「ならぬわっ! なんでわらわが貴様如きに『はにゃーん、ぬし様ぁ♪』などと甘ったるく言わねばならぬのだっ!」
「はにゃーんとは言ってません」
「うっ、うるさいのじゃ!」
「こないだ貸したCCさくらのDVD観てるの?」
「うるさいのじゃあ!」
なんか真っ赤な顔した人に怒られた。
「まあいいや。そういうわけで、一人で行っても仕方ないし、一緒に行かないか? 今ならおごってあげる予感」
「おごりでも何でも行かぬと言っておろうがっ! どうして貴様はわらわの話を聞かんかや!?」
「意図的に聞き流して、自分が持って行きたい方向へコントロールしようとしているからじゃないか?」
「今日も貴様なんて大嫌いなのじゃあうわーんっ!」
などとぐすぐす泣かれたものの、どうにか泣き止ましてプールへ来ましたプール。
「ううう……今日も貴様は酷いのじゃあ……」
「まあそう悲しむな。ほら、プールに入れば幼女が見放題だぞ?」(なでなで)
「そんなの貴様みたいな変態しか喜ばんのじゃっ! わらわは女性なのでちっとも嬉しくないのじゃ! 頭をなでるでないっ!」
「いいや、なでるね!」(なでなでなで)
「今日もこやつはわらわの話をきかんのじゃあ……」
なんか悲しそうだったので、なでり力をあげてなでてみた。
「……ぬ?」
「ん」(なでなで)
「……ぬー」(こくこく)
なんか分からんが納得したようなので善し。受付で金を払っていざプールへ。
「もう来ちゃったから仕方ないけど、次からはナシじゃからの!? 誘われても来ぬからの!」
「じゃあ次から誘わないでいきなり拉致するよ」
「昼日中から犯罪予告されちゃったのじゃあ……」
悲しそうなまつりの背中をばいばいと見送り、自分は男子更衣室へ。もーこれがまるで楽しくないので情景は割愛、表に出てまつりを待つ。
「さて、まつりはどんな格好か……さらし&ふんどしか?」
「いつの時代じゃ、愚か者」
「おお、その声はまつりか。……ふむ」
「な、なんじゃ。……じ、じろじろ見るでない、愚か者!」
急遽誘われたからであろう、まつりはその未成熟な身体を紺色の悪魔、即ちスク水に包んでいた。以前俺が純然たる厚意のみで縫いつけた『まつり』と書かれた胸元の白い名前欄が眩しい。
「う、うぅー……わらわだって、わらわだって分かってればもうちょっとマシな水着を選んだのじゃ。突然言われたからこんなのしか用意できなかったのじゃ。全部貴様のせいなのじゃ!」
「超馬鹿みたいで可愛いですね」
「やっぱ馬鹿にされたのじゃうわーん!」
「褒めたのに」
よしよしと頭をなでて慰める。
「ぐすぐす……ちっとも褒めてなかったのじゃ。超馬鹿って言ったのじゃ。そも、この馬鹿みたいの要素の塊である名前欄は、貴様が勝手に強固に縫い付けたから取れぬのじゃ。死んじゃえばいいのじゃ」
「わっはっは。なんかぐにゃぐにゃ言ってるが、やっぱスク水は貧乳が映えるなあ」
「どーせぺたんこなのじゃっ!」
「何を怒っているか。大変似合ってて、可愛いですよ?」
「うっ……うるさいのじゃっ! 貴様なんかに褒められてもちっとも嬉しくなんてないのじゃっ!」
「へーへー」(なでなで)
「……う、嬉しくなんてないのじゃよ?」
なんか俺の顔が急にニヤけだしたが、それは別にまつりがこちらにちょこちょこっと寄ってきて、俺の水着をちょこんとつまんだのとは関係ないハズ。
「と、とまれ、折角プールに来たのだ、泳ごうではないか」
「そ、そじゃな! 極々稀に良いことを言うのう!」
二人で何かを誤魔化すようにわははと笑う。うむ、善し。
「じゃ、じゃあの、じゃあの、まずはどのプールにするかの?」
「んー、そだな。まつりはどこ行きたい?」
「んと……あれ! あれがよいのじゃ!」
まつりが指差す先に、ウォータースライダーがあった。
「ほう、まるで人の腸を模したかのような管の中に入りたいと言うのだな? 擬似的なアレになりたいのか?」
まつりが嫌そうな顔をした。
「……今日も貴様は人を不愉快にさせる達人じゃの」
「いやあ、照れることしきり」
「わざとじゃろうが、一応言っておくのじゃ。褒めてないのじゃっ!」
「いやはや。じゃ、行くか」
「あんなこと言ったうえで行くのかや……?」
「嫌なら別のとこでもいいが」
「……まあいいのじゃ。どーせどこ行っても最初に嫌なことを言うに決まってるのじゃ、一緒なのじゃ。ほれ、わらわたちも並ぶぞよ?」
ウォータースライダーに並ぶ人たちを見ながら、まつりはきゅっと俺の手を握った。
「ほうあひゃ」
「なっ、なんじゃっ!?」
「いや、その、て、手が」
「……だ、だって、いっぱい並んでるから、手繋がないとわらわと貴様が一緒って係の人が分からなくなっちゃうのじゃ! そ、それだけなのじゃ!」
「まつりの手って小さいな」
「感想はいらんのじゃよ!?」
なんで泣きそうになってんだ。
「い、いーから並ぶのじゃ!」
ぐいぐい引っ張られ、ウォータースライダーの列の最後尾に並ぶ。俺達の番まで数分かかりそうだ。
「う、うぅー……そも、貴様の手が大きすぎるだけなのじゃ。わらわが小さいんじゃないのじゃ」
「標準的だと思いますが」
「うるさいのじゃ!」
数分なんてまつりといたらあっという間なので、あれよあれよという間に俺たちの番になった。
「な、なんじゃとお!?」
で、先にまつりを滑らそうと思って順を譲り、なにか係の人と喋ってると思ったら、まつりが頓狂な声をあげた。
「……え、あ、うー……ち、違……わない、のじゃ」
チラチラとこちらを見たかと思ったら、かぼそい声でぼそぼそと何か言ってた。あと、やけに顔が赤い。
「…………」
その赤い顔のまま、まつりが来い来いと手招きする。手招かれたからには招かれざるを得ないので、のこのこそちらに行ったら係員の人に座らされた。そしてその俺の膝の上にまつりがちょこんとぉぉぉぉぉ!?
「な、何がこの地球上で行われているのか説明せよ! 配点:5点!」
「き、今日はいっぱい人がいるから効率性を重視した結果なのじゃ! べ、別に恋人はこーゆー感じで滑るんじゃないじゃっ!」
「な、なるほど」
「ほ、ホントなのじゃよ? 恋人同士ならこーして後ろから抱っこして滑った方がよいなんて言われてないのじゃよ?」
「そ、そうか。まあ恋人じゃないからなあ」
「むー……」
なんかまつりの機嫌が悪くなった。
どうしようかと思っていたら、係員がいいから早く行けと言うので、まつりの尻の感触を味わいつつ、つるりと管の中に入る。
「ぬっひゃああああああ!」
するとまつりが超うるさい。
「腸だけに、なんちて。うひゃひゃ」
「何を言っとるのじゃああああ!? も、もっとわらわをぎゅーってするのじゃあ!」
「これは素敵な提案だ」
そんなわけで、滑りながらもまつりをぎゅーっと抱きしめる。すると。
「あ」
「ふにゃあああ!?」
手が滑って胸元に手が移動したりしちゃったりなんかしちゃったりして。
「な、な、な、なにをするのじゃあ!?」
「……ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!」(もみもみ)
「にゃっ、ふにゃっ、ふにゃあっ!?」
ぺたんこかと思いきや、もみもみしてみるとしっかりともみもみできる不思議素材。女の子って不思議ぶくぶくぶく。
「……ぷはあっ。き、き、貴様、わ、わらわのおっぱいを、も、も、もーっ!?」
「……ぷはっ。 あ、別に急激に失神してあぶくを吹いたのではなく、スライダーが終わってプールに落着しただけです」
「何の話なのじゃっ!?」
「まあまあ、文句その他は後で後で。ここにいたら後続のプール滑ラーに蹴られるぞ。ちなみにラー油とは関係ない模様」
「ぬ、ぬぅ……」
渋々、といった感有り有りだったが、とりあえずプールから出て、袖にある椅子に腰掛ける。
「やー、楽しかったな」
「ちっともなのじゃ! 貴様、なんでわらわのおっぱいをもみもみしたかや!?」
「いやいや、そんなぺたんこなのに揉んだりなんてできるわけねーじゃん」
「ヘーゼンと嘘をついちゃダメなのじゃっ! もみもみしたのじゃ、されたのじゃっ!」
「いやあ、スライダーが怖くてしがみついちゃったから、その拍子に触っちゃったのかもしれないね。てへ、ごめりんこ☆」
「絶対嘘なのじゃっ! はっきりと『ええい、こうなったらドサクサに紛れるぜ!』って聞こえたのじゃ! あと、その謝罪だと絶対に許さんのじゃ!」
「しまった、こんなところで俺の嘘をつかない紳士性が露見した。このままではまつりが俺の紳士っぷりに惚れてしまう」
「何を無理やり自分を褒めてるかや!? それにさっき嘘ついてたのじゃ! ……じゃ、じゃから、……ほ、惚れたりなんてしてないのじゃよ?」
それは当然なのだが、どうしてもじもじしている。
「と、とにかく! わらわのおっぱいをもみもみしたことをちゃんと謝るのじゃ! ごめんなさいって言うのじゃ!」
「つまり、謝れば乳を揉み放題なんだな。なんと好都合な!」
「そんな放題ないのじゃっ! わらわのおっぱいに触っちゃ駄目なのじゃ!」
「まあ、当然だわな。ごめんな、まつり。抱っこしたらあんまりにもまつりの身体が柔らかくて、ムラムラしちゃって、つい揉んじゃったんだ」
「う……そ、そんなこと言われても、許さんものは許さんのじゃ!」
「うん、許してくれとは言わない。だけど、これだけは言わせてくれ。許してくれ」
「ええーっ!?」
まつりがびっくりした。
「あと、もっかい揉みたい。一回謝れば一もみもみだよな、確か」
「無茶苦茶言ってるのじゃよ、貴様!? 気づいてるかの!? そしてそんな単位ないのじゃ!」
「んじゃまつりが許してくれたうえに後で一もみもみさせてくれるらしいし、そろそろ泳ごうか。競争でもするか?」
「許してない、ちっとも許してないし、一もみもみも許可してないのじゃよ!?」
なんかあわあわしながらも、律儀についてくるまつりは偉いなあと思った。